Establish company of foreigner

 

 外国人の会社設立

 

 

  外国人が会社設立する手続きは、日本人が会社設立する手続きと、基本的な要件は変わりません。 日本で既に、永住者(特別永住者含む)、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者等の資格で在留している外国人は、職業選択の制限を受けませんので、日本人が設立する場合と全く同じ手続きで設立することができます。 しかし、まだ日本に在留していない外国人が、日本で会社設立するためには、入管局に投資経営許可申請のうえ、許可を取って入国するか、他の許可、(留学、人文知識国際業務、家族滞在、文化活動、短期滞在など)で入国し、入国後に投資経営許可に在留資格変更許可申請する方法があります。 会社を設立すること自体は「書類さえ揃えることができるならば」それほど問題ではありません。  外国人の方が問題になるのは、「会社設立」の作業より「在留ビザの更新・変更」の部分です。

 

外国人が会社設するときの注意点と現状

 外国人の方は居住する各自治体で印鑑登録もできるますが、別の方法として「サイン証明書」を在日公館などで交付してもらう方法があります。在日公館にて、自分のサイン(または母印)を証明してもらい、印鑑証明書の代替証明書として使用することができます。

 2012昨年7月の入管法改正に絡んで会社設立(経営管理許可を取る)が難しくなったように思います。 例えば、一人代表、一人発起人で会社設立は可能でしょうか?

 以前の外国人登録制度の場合には、短期ビザで上陸して投資経営許可申請をしていましたが、法改正後は中長期在留者でないと住民登録がなされません。

 欧米人は通常、印鑑証明書の代わりにサイン証明書で済ませます、例えば、カナダ大使館の場合では、在内公館でサイン証明を求める場合に日本の住所を記載して、領事がそれを認証します。 会社設立許可申請の場合はそのサイン証明書を住民票代わりに使うことで通常許可されていますが、国籍によって、違う対応を求められるケースがあります。

 外国人一人で会社を設立したいが、取りあえず日本人と共同で設立して、その後、増資するという方法は可能でしょうか?

 最近の事例では、中国人が投資をして日本で会社設立するケースで、日本人のビジネスパートナーを立てて、その日本人を代表取締役に、中国人を取締役として、会社設立登記を完了しました。 日本人は若干の投資で、中国人が残り全額を追加投資を行いました。 半年たって、会社運営の目途がつき、投資経営許可申請を入管に申請しました。 最初は、共同代表、二人取締役に対して、東京入管の判断で中国人一人代表なら許可する意向がみられました。 当初、中国人は日本人の代表取締役が存在しているほうが、実務面で有利と考えていましたが、東京入管の意向通り、日本人が取締役で、中国人を単独の代表取締役としました。 中国人は当初日本にいなかったので、念書を入管に提出して対応し、許可をとることが出来ました。

 従来は、海外から投資して、投資経営の許可を取ろうとしている外国人は、日本に入国するのは難しいと考え、日本人又は永住権のある外国人をパートナーにして、その人を代表取締役にしているケースが殆どでした。

 では、パートナーがいない場合の会社設立はどうするのか?

   短期滞在で入国してくるケースでは、印鑑証明書がとれない中で、一人代表の会社を設立して、一人発起人で、投資経営許可を取る場合は、実際上商業登記をする場合は、日程的に、東京は諸外国の大使館・領事館が揃っているので問題はありませんが、地方からでは時間的にサイン証明をとるのが大変です。 外国人本人が外国でサイン証明を入手し、用意してくれれば良いですが、短期で入国した場合に30日では、間に合わないケースがあります。 地方から、証人2人を同行し、わざわざ上京して、予約を入れて領事の前で認証しなければなりません。

 韓国以外の国で、サイン証明書に住所の記載のない場合はどうするのか?

 

サイン証明に日本の住所の記載、公証人連合会法務省民事局の見解が異なります。

 定款認証の段階では、日本に住所が無いと取締役に就任できません、との公証人連合会の見解です。 発起人ないし、代表取締役が日本にいるという証明をする為に、サイン証明書に住所が記載されている場合は良いとして、記載のない場合はサイン証明書+宣誓供述書、これは本国大使館で領事の面前で氏名、生年月日、日本の住所、等を宣誓して領事の認証を受けて、それを添付してサイン証明書として定款認証時に提出します。

 他方、法務省民事局の場合は、サイン証明書に日本の住所がなくとも問題ないとの見解です。 登記上、日本に住所があることが、代表取締役のうち1名は必ず日本に住所を有することが要件ですが、それを実証する書類の添付は要求していません。

ただ、調査の結果、日本に住所がないことが判明したら、公正証書原本不実記載で

訴訟となります。 サイン証明書に住所が記載されていなくていも、そのサイン証明書をもって会社設立登記ができるということです。

 

 外国人の印鑑登録

 印鑑登録できる人は、15歳以上(印鑑登録可能年齢)で、市町村に住民登録している、成年被後見人でない方が対象です。 外国人の場合は、「特別永住者証明書みなし特別永住者証明書を含む)」または在留カード(みなし在留カードを含む)」を持参の上、本人が登録する印鑑と下記の身分証明書を持って住居地の区役所に行き、即日登録ができます。 詳しくは区役所登録担当へ確認してください。

(1) 運転免許証、パスポートなどで官公署発行で写真が貼付され、浮出プレス又は    

    割印などがある、有効期限内の運転免許証、パスポートなどを持って、本人が区

        役所に行った場合は、その場で登録できます。

(2) 市内で印鑑登録をしている方を保証人にして、申請書の保証人欄に、既に印鑑登

    録してある保証人が署名し、登録してある印鑑を押します。 この申請書と登録

    する印鑑を持って区役所に行くと、その場で登録できます。(市外で印鑑登録を

    している方も保証人になれますが、上記に加えて発行後3か月以内の印鑑証明書

        も必要になります。 )。   代理人による申請ができますが、登録する印鑑、本

        人自筆の委任状、代理人の印鑑、代理人が確認できる健康保険証などがそれぞれ

        必要です。    

登録できる印鑑は: 1辺8mm以上、25mm以下の正方形の中に 、印影が収まる印鑑です。 

例:SMITH JOHN CHRISTPERのケースでは、下記の3通りいずれでもの印鑑も登録できます。
(通称名 ジョン スミス)

surname surname+initial 通称名

 

登録できない印鑑: ニックネームや愛称、称号などが刻まれたもの、ゴム印など変形しやすいもの、外枠が欠けているもの、印影を変化させることができるもの、動物のシルエットや図柄等をそのまま姓・名に加工したもの、職業、資格その他氏名以外の事項を表わしているもの、印影が不鮮明なもの、縁のないもの又は文字の判読が困難なもの、住民票の氏名にない文字を加えたもの、読みが同じでも別の字に書き替えたもの、他の者が既に登録している印鑑又は他の者が既に登録している印鑑にその印 

影が著しく類似しているものなどです。

 

 

 

会社設

 

  株式会社の設立方法には、発起設立募集設立の2通りありますが、一般的に発起設立で取締役会非設置会社を設立する方が多いので、ここでは起業の企画者である発起人が会社設立時に発行する株式を全部引受ける発起設立で取締役会非設置会社について解説します。 取締役会非設置会社とは、会社役員の構成は、取締役会を置かずに1名または数名だけの会社です。 オーナーである株主が、組織・運営に関して全ての事を決定する権限を持つ、オーナー経営者むけの会社です。

 

 会社設立に必要な書類等

1.定款3部 法務局公証役場申請者各一部)

2.印鑑登録証明書(個人)2部 (公証役場法務局

3.払込証明書+預金通帳のコピー(ゆうちょ銀行は不可)

4.株式会社設立登記申請書+収入印紙貼付台紙

5.就任承諾書(取締役全員各々必要、印鑑登録証明書添付)

6.登記申請書の別紙(OCR用紙)

7.印鑑(改印)届書

8.設立時取締役(=発起人の場合不要)及び本店所在地の決議書(定款に番地ま

  で記載の場合は不要)

9.設立時代表取締役を選定したことを証する書類(一人取締役の場合は不要)

10.印鑑登録済みの印鑑

11.会社登録用代表取締役の印鑑 (インターネット販売で安価に作れます)

12.印鑑カード交付申請書(登録後でもよいが手間を省くため申請時に提出)

 

会社設立費用

1.定款認証時(公証役場)

  印紙代   4万円(電子定款の場合は不要)

  定款認証代 5万円

  定款謄本交付手数料 約2千円(枚数により異なる)

2.登記申請時(法務局)

  登録免許税 資本金x7/1000で算出、最低税額は15万円 

3.資本金 最低は1円からでも可能、一般的には100万円以上

4.会社代表取締役登録用印鑑代

 

会社設立時の注意点

1.同商号名、がつ同一本店所在地の類似商号調査

2.株式会社は、商号の中に「株式会社」を使用する

2.本店所在地の公証役場で定款の認証を受ける

3.本店所在地を管轄する法務局(地方法務局)に申請する

 

定款(旧来の紙定款)の作成方法

1.定款とは、会社の組織や株主の地位などを定めた根本規則のことです。

  会社を設立するには、発起人が定款を作成し、発起人全員が記名捺印します。

  作成された定款は公証人の認証を受けなければなりません。 現在、電子定款

  作成も可能です、印紙代4万円が不要になり節約できます。

2.会社設立に際しての原始定款は3部作成します。 公証人の認証を受けた定款は

  1部は公証役場の保管用、1部は会社設立登記申請用として法務局、1部は会社

  で原本として保管します。

3.定款記載事項は「絶対的記載事項」、「相対的記載事項」、「任意的記載事項」

  と3つに分類されます。

  1)絶対的記載事項会社法27条):必ず記載しなければならない事項

    ★ 目的

    ★ 商号

                  ①商号の中に株式会社の場合は、「株式会社」 合同会社の場合は、「合

       同会社」と必ずいれる。 

      ②会社名の英文の表示を決める事ができます。 NECの定款の1条は
      (商号)第一条 本会社は、日本電気株式会社と称し、英文では、NEC

       Corporationと表示する。         

    ★ 本店所在地

    ★ 設立に際して出資される財産の価格またはその最低額

    ★ 発起人の氏名又は名称及び住所(印鑑証明書の氏名住所と全く同じ)

 

  2)相対的記載事項会社法28条29条):定めがないと、その事項の効力が認め 

    られない事項

    ★ 変態設立事項

    ★ 基準日

    ★ 広告の方法

    ★ 剰余金配当に関る事項

    ★ 財産引受けに関する事項

    ★ 発起人が受ける報酬、その発起人の氏名

    ★ 会社の負担する設立に関する事項

    ★ 取締役の任期の短縮・伸長に関する事項

    ★ 取締役選任における累積投票制度の廃除に関する事項

    ★ 設立時の取締役、監査役、会計参与に関する事項

    ★ 株式の内容に関する事項

    ★ 株券の発行に関する事項

    ★ 監査役の監査範囲の限定に関する事項、その他多数

 

  任意的記載事項: 公序良俗に反しない限り、いかなる事項も記載出来ます

    が、一旦定款に記載すると、定款変更の手続きを取らない限り、その変更は

    出来ません。

    ★営業年度

    ★株式総会の招集方法

    ★役員の報酬に関する事項

    ★配当金の支払いに関する事項

    ★株主総会の議長

    ★役員の員数、その他多数

   

電子定款の作成方法 

1.先ず定款の記載内容を決める。

   紙の定款と同様に公証役場で内容のチェックを受ける。

2.PDF作成ソフトで電子定款を作成する。

   通常ワードで作成した定款原稿をPDFファイルに変換する。PDF変換ソフトは

   Adobe Acrobat Xスタンダード等を使用する。

3.住民基本台帳カードを取得する。

4.「公的個人認証サービスの電子証明書」を取得する。

   この電子証明書は実印の印鑑証明書に該当するもので

   電子証明書のサービスを受けるには住基カードを使って市区町村の窓口で登録

   発行の申請手続きを行う(これは印鑑登録に相当する)。

   申請の際は住基カード、身分を証明するもの(運転免許証など)、手数料500

   円を持参する。

   取得した電子証明書は個人の住基カードに保存される。 証明書を格納した後   

   の住基カードは実印が中に入っているのと同じ状態になるので、取扱いには要

   注意。

5.ICカードリーダ・ライタを準備する。

   公的個人認証サービス適合可能なICカードリーダ・ライタであることを確認。

6.電子署名プラグインソフトで定款(PDF)に署名する。

   前述のICカードリーダ・ライタで読み取った電子証明書を「電子署名プラグイ   

   ンソフトを使って電子定款(PDF)に埋め込みます。 このソフトは法務省の

   ホームページからダウンロードする、又は市販のソフト(ピスク等)がある。

7.公証役場と事前打ち合わせ、定款をプリントアウトして内容を再確認してもら 

  う。

8.電子申請を行う(電磁的記録の認証の嘱託)。

   「法務省オンライン申請システム」にユーザー登録を行い同システムを経由し

   て電子定款を指定公証人に送付(アップロード)する。

   この手続きを「電磁的記録の認証の嘱託という。 嘱託人が電磁的記録に指定  

   公証人が認証を与えることにより電磁的記録に付された電子署名が真正である

   こと(電子署名が作成名義人の意思に基づいて作成されたこと)が確実に証明

   されることになる。

   電子公証制度の手数料は公証役場の窓口で5万円納付する。

   電子文書のファイル名は半角英数字(31文字以内、拡張子含まず)でなければ

   システム上処理出来ないので要注意。

9.公証役場に行き定款の認証を受ける。

   公証人と前もって決めた日時に公証役場を訪問し、電子定款の認証を受ける。

   その時には次の書類などを持参する。

   ①新しいフロッピーディスク又はCD (公証役場によっては役場で用意)

   ②電子定款をプリントアウトしたもの2部 (公証役場によっては不要)

   ③発起人全員の印鑑証明書

   ④委任状(行政書士などが電子定款認証を行う場合のみ)

   ⑤認証手数料5万円

   ⑥証明手数料保存手数料など2千円程度

   ⑦身分証明書

   ⑧認印

10.法務局で法人設立登記申請をする。

   電子定款の認証が完了したら銀行に出資金を払い込み法務局で法人登記を申請

   する。 申請時の必要書類(登記申請書、就任承諾書、印鑑証明書、振り込みが

   あったことを証する書面、設立時代表取締役を選定したことを証する書面な 

   ど)は紙の定款と同じです。

    登記申請はオンラインで行うことも出来る、書類の不備などの確認のために

   も登記申請は直接法務局に行く方法を勧めます。

 

現物出資による会社設立

 現物出資とは
 本来、出資は金銭を原則とするが、例外的に金銭以外の財産をもって出資することも可能です。 これを現物出資といい、会社設立時、或いは増資時における金銭以外の財産の出資をいいます。

 

現物出資に関する会社法の規定

① 発起人は、定款に500万円を超える現物出資についての記載又は記録があるとき  

      は、定款の公証人の認証の後遅滞なく、当該事項を調査させるため、裁判所に対

      し、検査役の選任の申立てをしなければならない(33)。

② 設立時取締役は、その選任後遅滞なく、500万円を超えない現物出資財産等を調 

      査しなければならない(46条)。

③ 株式会社の設立に際し現物出資できるのは、発起人に限られる(34条63条)。

④ 出資された財産等の価額が不足する場合の責任(52条

 

現物出資の対象となりえるもの

① 土地・建物などの不動産

② 機械、自動車、原材料や棚在庫品など

③ 有価証券(株券、国債、社債、地方債など)

④ 代金請求権、家賃請求権などの債権

⑤ 営業権、漁業権

⑥ 工場所有権、特許権、著作権など、かたちのない財産

 

現物出資の価格の決め方

 現物出資の価格の決め方と注意点は下記のとおりです。

 ① 現物の価格は時価(出資する時の価格=価値)
   出資するものが、モノである場合は新品の時の購入価格ではなく、現在の相場価 
       格を定款に記載します。
       現在の相場価格は、yahooオークションや中古自動車のHPなどで、出資 しよう
       とするモノの現在の価値を調べて下さい。
②  出資する現物の価格が、時価を超えてしまうと、出資した側に譲渡税がかかりま 
       す。   例えば、10万円の価値の車を100万円で現物出資したとすると、その差額
       の90 万円に対して譲渡税がかかります。
   ですから、500万円以下であれば、添付書類が不要な現物出資ですが、資本金を
       上げたいなどの理由で高額につけてしまうと譲渡税がかかる場合があるので、
       注意が必要です。

③  出資したモノは耐用年数の範囲内で減価償却出来るので、税金対策にもなりま

       す。   10万円以上から30万円までの資産は少額資産として認められます。   

    また、20万円未満の減価償却資産は一括して3年間で均等に償却することも

   できます。    ただし、中小企業と大企業ではその資産の価格によって税法が異

       なります。   ですから、現物出資するものの価格を決定し兼ねる時は、税金面で

       有利な金額である30万円以内の少額資産の範囲内に設定するのもひとつの考え方

       です。

 

財産引継書の作成

  財産引継書は、2通作成し、1通は会社の保管用、1通は設立登記の際の調査報告書商業登記法第47条第2項第3項イ)の附属書類として法務局に提出します。

 

財産引継書のサンプル

         財産引継書

現物出資の目的たる財産の表示

(現物出資する財産の種類)

(具体的な商品名) ○○○○株式会社 ××××

(商品固有のシリアルナンバー等) 製造番号○○××△△

   価格合計 金200万円也

以上、私所有の上記財産を現物出資として給付します。

                      平成25年10月○日
                      神奈川県横浜市中区本牧1-1-1
                       発起人 行政太郎 印

株式会社××××御中
 

調査報告書の作成

 現物出資の対象となる財産が引き渡されたとき、設立時取締役(監査役設置会社であるときは設立時取締役及び設立時監査役)は、その選任後遅滞なく、現物出資の対象となる財産について、定款に記載されている価額が相当であるか調査しなければなりません(会社法第46条第1項)。

 そして、調査結果が相当である場合には、調査報告書を作成し、設立登記申請書の添付書面として提出します(商業登記法第47条第2項第3項イ)。

 

調査報告書のサンプル

             現物出資報告書

 私は平成25年10月○日、株式会社○○○の取締役に選任されましたので、会社法第46条の規定に基づき調査致しました。 その結果は下記のとおり報告致します。

調査事項

1.定款に記載をされた現物出資財産の価格に関する事項(会社法第33条第10項第1   

  号及び第2号に該当する事項)

  定款に定めた、現物出資をする者は発起人○〇○〇であり、出資の目的たる財産 

  その価格、並びにこれに対し割当てる設立時発行株式の種類及び数は下記の通り

  です。

  イ. 乗用車トヨタクラウンアスリート平成23年式 車体番号○〇○〇

     この価格 180万円

     これに対し割当てる設立時発行株式 普通株式 180株

  ロ. パソコン 東芝株式会社 平成25年生FH-999、製造蛮行○○

     この価格 20万円

     これに対し割当てる設立時発行株式 普通株式 20株

① 上記イについては、時価金200万円と見積もられるべきところ、定款に記載した評 

  価額はその十分の九の金180万円であり、これに対し割当てる設立時発行株式の数

  は180株であることから、当該定款の定めは正当なものと認めます。

② 上記ロに就き、当該市場価格は20万円であり、定款に記載した評価額はその一分 

  の一であり、これに対し割当てる設立時発行株式の数は50額であることから、

  当該定款の定めは正当なものと認めます。

2.発起人○〇○〇の引受けに係る200株について、平成25年10月○日現物出資の目的 

  たる財産の給付があったことは、別紙財産引継書により認めることが出来ます。

3.その他、設立手続きが法令または定款に違反している事項は認められません。

上記のとおり会社法の規定に従い報告致します。

平成25年10月○日

株式会社○○○

設立時取締役○○○印

  

現物出資の魅力
   資金不足の場合でも金銭以外の財産を有する場合には現物出資により設立、増資が可能となります。

現物出資の問題点
   現物出資された財産が過大評価されたなら、その評価額に相当する現実の資本が会社に確保されたことにならず、資本の空洞化をもたらし、又は資本充実責任の原則に反し会社を害するおそれがあります。このように、出資者による制度の悪用の可能性も高いことから、「現物出資」には、下記の通りの規制がかけれられています。

検査役の調査
 この場合、原則として財産の評価について裁判所専任の検査役を専任してもらい調査を受ける必要があります。 しかし検査役の調査は長期間を要し、費用も多額になることから下記のような例外が認められています。

例外規定
① 現物出資者に割り当てる株式の総数が発行済株式総数の1/10を超えないとき
② 現物出資する財産につき募集事項として定めた価額の総額が、500万円を超えない  

 とき
③ 財産が市場価格のある有価証券で、その有価証券について募集事項として定めた価

  額がその市場価格を超えないとき
④ 現物出資する財産につき募集事項として定めた価額が相当であることについて、

    護士、監査法人、税理士、公認会計士 の証明を受けたとき。 現物出資財産の価額

  が500万円を超える場合でも、上記の弁護士等の評価証明書があれば、検査役の調

  査は不要となりました。

⑤ 現物出資する財産がその株式会社に対する金銭債権(返済期が到来しているもの)

    であって、当該金銭債権につき募集事項として定めた価額が当該金銭債権に係るそ

    の株式会社の負債の帳簿価額を超えないと現物出資財産の価額が500万円以下の場 

  合には、検査役の調査も弁護士の評価も不要です。 

       

不動産鑑定評価の必要性
   上記④ような場合に検査役の検査に替えて弁護士、公認会計士、税理士の現物出資の財産に対する評価証明の発行を持って検査役の調査に替えることが出来ます。
この場合に不動産を現物出資する場合には証明に加えて不動産鑑定士の評価証明書、即ち不動産鑑定評価書が必要となります。   何故なら不動産は個別性が強く適正な価格を把握するためには不動産鑑定評価によらなければならないからです

 

現物出資デメリット
   デメリットこそ重要な情報であるということ、そしてメリットは場合によっては、デメリットを更に上回るからなのです。
1.現物出資をした後は手続が必要
 現物出資とは、会社から株式を与えられる代わりに、個人所有の財産が会社所有の財産になるということです。
 個人から現物出資として給付された財産は、会社のものとなり、個人に返還する義務はありません。
 このように、財産の所有権が個人から会社(法人)に移転しますので、その財産によっては所有権移転の手続が必要になるものがあります。 具体的には不動産(土地・建物)や動産では車などです。
 不動産では所有権移転登記が必要になりますし、車についても名義変更手続が必要になります。
 これらの手続は登記前に行う必要はありませんが、登記後には行わなければなりません。
 これら手続には多少の費用もかかりますし、専門家に依頼すれば専門家への報酬も必要になります。
 こういった事を考えますと、出資する現物財産によっては、現金出資のみによる通常の会社設立に比べて、行わなければならない手続が増える場合があります。
 これが手続き上のデメリットです。

2.現物出資には税金がかかる
 また、上記の手続の話にも関連しますが、現物出資には税金がかかる場合があります。 先ほどの手続でいいますと、不動産の場合は所有権移転登記を行いますので、まず登録免許税が必要になります。 そして、不動産を取得した会社(法人)には不動産取得税や固定資産税がかかってきます。
 車についても同様で、車種や年式によっては自動車税や自動車取得税が会社(法人)にかかってきます。
 また、現物出資を行った個人(株主)に対しては譲渡所得税がかかる場合があります。 譲渡所得とは、資産の譲渡による所得をいいます。
会社(法人)に対する現物出資も、その対価として株式(持分)を取得するわけですから、通常の売買と同様、ここでいう譲渡所得にあたります。
 譲渡所得の対象となる資産としては、土地、建物、機械器具、ゴルフ会員権、特許権、著作権、特定の有価証券などがあります。 なお、貸付金や売掛金はなどの金銭債権は対象とはなりません。
 もちろん個々の財産の状況によって、税額や税金の有無も変わってきますが、少なくとも現物出資をすることによって、一時的にも手続が発生したり、会社・個人双方に税金負担が発生する場合があるということを充分念頭に置いておく必要があります。
 

現物出資の定款記載例

<現物出資>この価格 180万円

第25条 当会社の設立に際して現物出資をする者の氏名、出資の目的である財産、そ

    の価格及びこれに対して割当てる株式数は、次の通りです。

      (1) 出資者 発起人 ○○○○

    (2) 出資財産及びその価額

                 イ. 乗用車トヨタクラウンアスリート平成23年式 車体番号○〇○〇

                この価格 180万円

                これに対し割当てる設立時発行株式 普通株式 180株

             ロ. パソコン 東芝株式会社 平成25年生FH-999、製造蛮行○○

                この価格 20万円

                  これに対し割当てる設立時発行株式 普通株式 20株

 

 

 NPO法人(特定非営利活動法人)

 NPO法人とは、公益を追及する団体です。 事業により出た利益は今後の非営利事業のために限定して使う必要があり、社員や役員に分配することは出来ません。

 NPO法人の根拠法である「特定非営利活動促進法」は改正され、平成24年4月1日に施行されています。 NPO法人の設立条件は、NPO法2条2項(※注1)に規定されていて次の項目に該当しなければなりません。

1.社員の資格の得喪に関して、不当な条件を付さないこと

2.社員のうち報酬を受ける者の数が、役員総数の3分の1以下であること

3.活動が、宗教の教義を広め、儀式行事を行い、及び信者を教化育成することを主 

  たる目的とするものでないこと

4.活動が、政治上の主義を推進し、支持し、又はこれに反対することを主たる目的

  とするものでないこと

5.活動が、特定の候補者若しくは公職にある者又は政党を推薦し、支持し、又は、

  これらに反対することを目的とするものでないこと。

 

※注1NPO第2条第2項 (定義)

第2条  この法律においてNPO法人「特定非営利活動」とは、別表に掲げる活動に該 

    当する活動であって、不特定かつ多数のものの利益の増進に寄与することを

    目的とするものをいう。 

 2    この法律においてNPO法人「特定非営利活動法人」とは、特定非営利活動を

    行うことを主たる目的とし、次の各号のいずれにも該当する団体であって、

    この法律の定めるところにより設立された法人をいう。  

  ①次のいずれにも該当する団体であって、営利を目的としないものであること。 

   イ 社員の資格の得喪に関して、不当な条件を付さないこと。
   ロ 役員のうち報酬を受ける者の数が、役員総数の三分の一以下であること。

    ②その行う活動が次のいずれにも該当する団体であること

   イ 宗教の教義を広め、儀式行事を行い、及び信者を教化育成することを主た

               る目的とするものでないこと。

         ロ 政治上の主義を推進し、支持し、又はこれに反対することを主たる目的と

               するものでないこと。

         ハ  特定の公職(公職選挙法(昭和25年法律第100号)第3条に規定する公 

      職をいう。以下同じ。)の候補者(当該候補者になろうとする者を含

      む。以下同じ。)若 しくは公職にある者又は政党を推薦し、支持し、又

      はこれらに反対することを目的とするものでないことと。

 3    この法律において「認定特定非営利活動法人」とは、第44条第1項の認定を

    受けた特定非営利活動法人をいう。

 4    この法律において「仮認定特定非営利活動法人」とは、第58 条第1 項の仮

            認定を受けた特定非営利活動法人をいう。

 

特定非営利活動促進法改正の概要

所轄庁の変更

 2以上の都道府県に事務所を設置するNPO法人の所轄庁事務は、その主たる事務所の所在する都道府県(従来の内閣府から変更)が、 その事務所が1の指定都市区域内にのみ所在するNPO法人にあってはその指定都市が行うようになりました。

認定事務も地方自治体で実施

 NPO法人のうち、その運営組織及び事業活動が適正であって公益の増進に資するものは、所轄庁(都道府県知事又は政令指定都市の長)の認定を 受けることができるようになりました(従来の国税庁長官による認定制度は廃止)。

申請手続きの簡素化・柔軟化

 定款の変更について、所轄庁の認証を要しない事項(役員の定数等)が追加されました。   また、社会総会の決議について、書面等による社員全員の同意の意思表示に替えることができるようになりました。

会計の明確化

 NPO法人が作成すべき計算書類のうち、「収支計算書」が「活動計算書」(活動に係る事業の実績を表示するもの)に変更されました。

認定基準の緩和

 認定を受けるための基準が緩和されました。また、設立初期のNPO法人には財政基盤が弱い法人が多いことから、 1回に限りスタートアップ支援としてPST基準を免除した仮認定(3年間有効)制度が導入されました。

認定の効果の拡充

 認定NPO法人(仮認定を含む)への寄附者は、現行の所得税法上の所得控除の適用のほか、税額控除を選択することが できるようになりました(地方税とあわせて寄附金額の最大50%)。          
注) 認定制度の見直し(仮認定制度を除く)は、平成23年度税制改正より平成23年分の所得から適用です。

 

特定非営利活動

 特定非営利活動とは、次の活動に該当する活動であって、不特定かつ多数のものの利益の増進に寄与することを目的とするものです。 特定非営利活動か否かについては、法人が行う事業の具体的な内容に基づいて諸官庁の判断によります。

1.保健、医療又は福祉の増進を図る活動

2.社会教育の推進を図る活動

3.まちづくりの推進を図る活動

4.観光の振興を図る活動

5.農山漁村又は中山間地域の振興を図る活動

6.学術、文化、芸術又はスポーツ振興を図る活動

7.環境の保全を図る活動

8.火災救援活動

9.地域安全活動

10.人権の擁護又は平和の推進を図る

11.国際協力の活動

12.男女共同参画社会の形成の促進を図る活動

13.子どもの健全育成を図る活動

14.情報化社会の発展を図る活動

15.科学技術の振興を図る活動

16.経済活動の活性化を図る活動

17.職業能力の開発又は雇用機会の拡充を支援する活動

18.消費者の保護を図る活動

19.前各号に掲げる活動を行う団体の運営又は活動に関する連絡、助言又は援助の活

   動

20.  前各号に掲げる活動に準ずる活動として都道府県又は指定都市の条例で定める活

   動

 

NPO法人設立手続きの流れ

1.NPO法人の基本事項の策定

   活動趣旨に賛同する人を集め、下記の事項を決定します。

   A.   主たる目的である特定非営利活動等の決定

   B. 定款案の作成

   C. 組織体制(代表者、事務担当者)の決定

   D. 事務所の所在地の決定

   F. 理事と監事の選任(理事3名以上、監事1名以上) 

   G. 社員10名以上の確保(構成員で、総会で議決権を持ちます)

   H. 設立趣旨書の作成

    I. 2年間の事業計画書と活動予算書の作成

2.設立申請書類の作成

3.NPO法人設立総会を開催し、基本事項等の承認を行う

4.設立申請書類を所轄庁へ提出

5.公告・縦覧

   所轄庁は、申請書類を受理後、NPO法人名や代表者名等を公告します。 書類

   の一部について、受理した日から2か月間縦覧の用に供します。

6.所轄庁による認証又は不認証の決定

   上記5の縦覧の用に供した後、原則2か月以内に認証の決定を行い通知します。

7.認証決定後、設立当初の財産目録作成

8.設立登記

9.設立登記完了届書類(下記)を所轄庁へ提出

   設立登記完了届出書

   登記事項証明書

   設立当初の財産目録

 

NPO法人設立の必要書類

1.設立認証申請書 

   法人名や代表者、事務所所在地、目的などを記載します。

2.定款

   法人の目的、運営の決め事などの根本的な規則を記載します。

3.役員名簿及び役員のうち報酬を受ける者の名簿

   設立当初の役員名簿です、各役員の氏名、住所、報酬の有無を記載します。

4.各役員の就任承諾書及び誓約書の写し

   役員になることを承諾する書面です。

5.役員の住民票の写し

6.社員のうち10名以上の者の名前

   社員が10名以上いることを証明する書面です。

7.確認書

   宗教的、政治的な団体でなく、暴力団でないことを確認する書面です。

8.設立趣旨書

   法人格が必要な理由、動機や経緯などをまとめた書面です。

9.設立についての意思の決定を証する議事録の写し

   設立総会の日時、場所、出席者数、審議の内容またはその経過や結果等を記載

   します。

10.2年分(設立当初と翌事業年度)の事業計画書

11.2年分(設立当初と翌事業年度)の活動予算書

 

各種申請書様式 H24.11.6更新)

 ①NPO法人設立登記申請書申請書様式 Word    記載例(PDF) 

 ②NPO法人役員変更登記申請書(住所移転)申請書様式Word 記載例(PDF)  

 ③NPO法人役員変更登記申請書(理事の重任又は辞任) 申請書様式Word

  記載例(PDF)   
 ④NPO法人役員変更登記申請書(理事全員重任申請書様式)Word 記載(PDF)

 ⑤NPO法人役員変更登記申請書(理事退任後に理事選任手続を行った場合の理事退

  任,就任) 申請書様式 Word 記載例(PDF)
 ⑥NPO法人名称変更登記申請書 申請書様式 Word 記載例(PDF)
 ⑦NPO法人目的及び事業変更登記申請書 申請書様式Word 記載例(PDF)
 ⑧NPO法人変更(資産の総額変更)登記申請書 申請書様式
Word

  記載例(PDF
 ⑨NPO法人主たる事務所移転登記申請書(管轄登記所内移転申請書様式)

   Word  記載例(PDF
 ⑩NPO法人主たる事務所移転登記申請書(管轄登記所外移転 申請書様式Word

   記載例(PDF)

 ⑪NPO法人解散及び清算人就任登記申請書 申請書様式Word記載例(PDF)
 ⑫NPO法人清算結了登記申請書 申請書様式Word 記載例(PDF)
 ⑬NPO法人役員変更登記申請書(理事長以外の理事の代表権喪失による変更) 申請 

  書様式 Word 記載例(PDF)

 

認定NPO法人制度の概要

 NPO法人のうち、一定の要件を満たす法人は、所轄庁(都道府県又は政令指定都市)から認定されることで、税制上の優遇措置を受けることができます。
 この認定NPO法人制度は、NPO法人への寄附を促すことにより、NPO法人の活動を支援することを目的としています。
 また、設立後5年以内のNPO法人については、スタートアップ支援のため、要件からパブリック・サポート・テスト(PTS)が免除され、 税制上の優遇措置が認められる仮認定を1回に限り受けることができる仮認定NPO法人制度が新たに導入されました (平成27年3月31日までは、設立後5年を超えたNPO法人も仮認定を受けることができます)。
 
認定等(認定及び仮認定)の基準      
 認定NPO法人等(認定NPO法人及び仮認定NPO法人)になるための一定の要件とは次の基準のことです。
 1.パブリック・サポート・テスト(PST)に適合すること(仮認定は除きます)

 2.事業活動において、共益的な活動の占める割合が、50%未満であること

 3.運営組織及び経理が適切であること

 4.事業活動の内容が適切であること

 5.情報公開を適切に行っていること

 6.事業報告書等を所轄庁に提出していること

 7.法令違反、不正の行為、公益に反する事実がないこと

 8.設立の日から1年を超える期間が経過していること

 上記の基準を満たしていても、暴力団、又は、暴力団若しくは暴力団の構成員等の統制下にある法人など、 欠格事由に該当するNPO法人は認定等を受けることができません。        

       

パブリック・サポート・テスト(PST)に関する基準

 パブリック・サポート・テスト(PST)とは、広く市民からの支援を受けているかどうかを判断するための基準であり、認定基準のポイントとなるものです。
 PSTの判定に当たっては、「相対値基準」、「絶対値基準」、「条例個別指定」のうち、いずれかの基準を選択できます。
 設立初期のNPO法人には財政基盤が弱い法人が多いことから、スタートアップ支援として、仮認定NPO法人制度ではPSTに関する基準が免除されます。

相対値基準

 実績判定期間における経常収入金額のうちに寄附金等収入金額の占める割合が5分の1以上であることを求める基準です。

絶対値基準

 実績判定期間内の各事業年度中の寄附金の額の総額が3,000円以上である寄附者の数が、年平均100人以上であることを求める基準です。

条例個別指定

 認定NPO法人としての認定申請書の提出前日までに、事務所のある都道府県又は市区町村の条例により、 個人住民税の寄附金税額控除の対象となる法人として個別に指定を受けていることを求める基準です。 ただし、認定申請書の提出前日までに条例の効力が生じている必要があります。
 
実績判定期間について
 実績判定期間とは、認定を受けようとする法人の直前に終了した事業年度の末日以前5年 (過去に認定を受けたことのない法人又は仮認定を受ける法人の場合は2年)内に終了した各事業年度のうち最も早い事業年度の初日から当該末日までの期間をいいます。    
           

認定等の有効期間

 認定の有効期間は、所轄庁による認定の日から起算して5年、仮認定は3年となります。 また、認定の有効期間の更新を受けようとする認定NPO法人は、有効期間の満了の日の6ヶ月前から3ヶ月前までの間に有効期間の更新の申請をし、 有効期間の更新を受けることとなります(仮認定には有効期間の更新はありません)。
 認定の有効期間の更新がされた場合の認定の有効期間は、従前の認定の有効期間の満了の日の翌日から起算して5年となります。      
                  

認定NPO法人等の情報公開

 認定NPO法人等は、毎事業年度1回、役員報酬規程等や事業報告書等を所轄庁 (2以上の都道府県の区域内に事務所を設置する認定NPO法人等にあっては、所轄庁及び所轄庁以外の都道府県)に提出しなければなりません。
 また、認定NPO法人等は、これらの書類について閲覧の請求があった場合には、正当な理由がある場合を除いて、 これをその事務所において閲覧させなければならないこととされています。   
                     

税制上の優遇措置について

寄附者に対する税制上の優遇措置

① 個人が寄附した場合

  個人が認定NPO法人等に対し、その認定NPO法人等の行う特定非営利活動に

  係る事業に関連する寄附をした場合には、 所得控除又は税額控除のいずれかを選

  択適用できます。  また、都道府県又は市区町村が条例で指定した認定NPO法人 

  等に個人が寄附した場合、個人住民税(地方税)の計算において、寄附金税額控除

  が適用されます。              

② 法人が寄附した場合

  法人が認定NPO法人等に対し、その認定NPO法人等の行う特定非営利活動に 

  係る事業に関連する寄附をした場合は、 一般寄附金の損金算入限度額とは別に、

  特定公益増進法人に対する寄附金の額と合わせて、 特別損金算入限度額の範囲内

  で損金算入が認められます。   なお、寄附金の額の合計額が特別損金算入限度額 

  を超える場合には、その超える部分の金額は一般寄附金の額と合わせて、 一般寄

  附金の損金算入限度額の範囲内で損金算入が認められます。              

③ 相続人等が相続財産等を寄附した場合

  相続又は遺贈により財産を取得した者が、その取得した財産を相続税の申告期限

  までに認定NPO法人(仮認定NPO法人は適用されません)に対し、 その認定NPO

  法人が行う特定非営利活動に係る事業に関連する寄附をした場合、その寄附をし

  た財産の価額は相続税の課税価格の計算の基礎に算入されません。         

    

法人自身の税制上の優遇措置(みなし寄附金制度)

 認定NPO法人が、その収益事業に属する資産のうちからその収益事業以外の事業で特定非営利活動に係る事業に支出した金額は、 その収益事業に係る寄附金の額とみなされ、一定の範囲内で損金算入が認められます(仮認定NPO法人は適用されません)。

 

 

 

 

 

 

会社の解散と清算

 

 会社設立よりも、会社の清算のほうが、時間もかかり、面倒です。 しかし、ずるずると、見通しの立たない会社を経営することは、大変なことです。 まず、解散と清算の流れを下記に説明致します。 

 会社は解散の特別決議が議決されると清算会社に移行します。 解散=会社の消滅

ではなく、清算事務の完了と清算終了登記によって消滅します。

 会社法の規定により、解散を議決には 特別決議 が必要です。 特別決議は議決権の過半数を有する株主が出席し、かつ議決権の2/3以上の多数で決する決議ですが、定款で別途特別決議の要件を定めている場合は、その規定に従います。

   株主への総会召集通知、議事録等については通常の株主総会と同様の手順です。従って一般的には、書面決議によっても解散決議を行います。 株主が少い、小規模な会社では、議事録は必要ですが、 書面決議にすれば手続きが簡略になります。 解散の日は、「日に解散する」と解散日を指定した場合はその日で、解散日を明示していない場合は解散決議の議決日となります。 

 会社が解散して清算会社になると事業活動はできず、後は会社を消滅させるための残務整理=清算事務だけを行います。 従って、解散時には取締役は退任し、代わって清算人を選任します。

 清算会社の機関は、株主総会と清算人以外は任意です。 解散前に取締役会、監査人(監査役会)等を設置していた場合でもこれを廃止することができますから、小規模な会社で名目だけの取締役会や監査人を置いていた場合は、廃止する(取締役会に代わる清算人会は置かない )方が清算事務が簡略化できます。

清算人は解散前の取締役の立場とほぼ同様で

・会社との関係は委任契約で善管注意義務を負います。

・清算会社を代表します。清算人が複数の場合は、各自が代表となるか代表清算人を

 置くこともできます。

・ただし任期は法定されておらず、清算結了まで。

 通常は取締役がそのまま清算人に就任しますが、それ以外に、定款で定める者・株主総会の決議によって選任された者にすることもできます。

定款の変更項目は

・会社の機関 前述したように、できるだけ簡素化したほうが清算事務も簡略化で

 きます。

・清算事務年度(事業年度) 解散の日の翌日から1年になります。 従って株主

 総会の開催日も変更されます。

・その他 清算会社の内容に合致するよう変更が必要です。

解散時の財産目録、貸借対照表
 会社法の規定により、 清算人は解散時の財産目録を作成し、これに基づいて清算会社の(開始)貸借対照表を作成します 。

財産目録に付すべき資産等の価額は帳簿価額ではなく処分価額で

・処分不能の無形資産や繰延資産は「0」

・解散事業年度の確定税額は未払金に計上

・清算所得に対する税額は概算計上します。

財産目録を及び貸借対照表は、株主総会の承認を得なければなりません。

解散時の登記と各種届 

 解散の日から2週間以内に「解散の登記」と「清算人の選任の登記」をしなければなりません。 申請者は清算人です。

・登記申請書 申請者が同一なので、同一の登記申請書でよい ( 2件まとめて記載

 してもよい )

・定款 1通

・株主総会議事録 1通

・(清算人の)印鑑届出書 清算人の印鑑証明書を添付

・委任状 代理人によって申請する場合

・清算人が就任を承諾したことを証する書面 

 取締役が清算人に就任する場合は不要

 取締役以外が清算人に就任する場合で、株主総会議事録に就任を承諾する旨記載さ

 れている場合も不要

登記簿謄本(全部事項証明書)は、税務官庁への異動届出書(又は法人の設立・異動届出書、法人等設立・解散・変更届出書)や社会保険の届に添付する必要があります。 必要部数を準備してください。

・税務署用  ・都道府県税事務所用  ・市町村用

異動届出書の記載事項は、解散及び清算人、異動前後の事業年度等です。

・社会保険事務所用  ・労働局又は労働基準監督署用

 

 債権申出の広告など

  帳簿等で判明している債権者には、個別に債権の申出を催告するとともに、官報に「解散広告」を出さなければなりません。 この広告期間は2ケ月を下回ることができません。 また、この期間が終わらないと残余財産の分配はできません 。 なお、官報広告は法定事項のため債権者がいない場合でも出さなければなりません。

 

解散と税務申告

 事業年度の開始日から解散の日までを事業年度とみなし、解散の日の翌日から2ケ月以内に解散確定申告書の提出が必要です。

・法人税

・事業税及び道府県民税

・市町村民税

通常の確定申告用紙を使用しますが、計算月数が「12」でない場合は按分計算が必要な外、償却額の計算に改定償却率を用いる点が要注意点です。

 

清算事務、残余財産の確定

 清算人の仕事は資産の売却と債務の弁済で、これを「清算事務」といいます。

清算事務が1年を超える場合は、1年を区切りにして清算事務年度を順次繰越します。清算事務年度が終了すると、決算及び株主総会の開催が必要です。また、税務申告も必要ですが、小規模な会社で清算事務年度を繰越すことはまずないでしょうから、説明は省きます。

債務の弁済が完了すると、株主へ分配する残余財産が確定します(残余財産がない場合は分配=0)。従って、残余財産の確定日=債務弁済の完了日です。

 

清算結了の登記と税務申告

 残余財産が確定し、株主への分配が可能となれば清算を結了するため、決算報告書を作成し株主総会を開きます。

株主総会で決算報告が承認されると会社は消滅しますので、決算報告承認から2週間以内に清算結了の登記を行います。

・登記申請書 申請者は清算人

・株主総会議事録 1通

・委任状 代理人によって申請する場合

・清算人が印鑑カードの交付を受けている場合は返納

登記簿謄本(閉鎖事項証明書)は、税務官庁への異動届けに添付する必要があります。 必要部数を準備してください。

・税務署用

・都道府県税事務所用

・市町村用

 清算結了の登記後は、登記簿謄本を添付した異動届出書(又は法人の設立・異動届出書、法人等設立・解散・変更届出書)の提出も必要です。

異動届出書の記載事項は、残余財産の確定と確定日、清算結了と結了日等です。

残余財産の確定日の翌日から1ケ月以内に(清算)確定申告書を提出します。また、消費税に関しては「事業廃止届出書」を提出します。