(Divorce)

 

   お問合せは✆090‐5513‐3300 又は、

  aoyagi_office@yahoo.co.jp メールにて

 

 

    離婚届けはお住まいの市区町村の窓口で婚姻届と同様に24時間いつでも受付けています。 これは相続問題で微妙な日時の差によって、相続財産に重大な影響を及ぼすことがある為です。 

 離婚後の対策などのご相談や書類作成などの行政書士業務は常時受付ておりますので、お任せ下さい。

 

(1) 離婚手続きの概要(4種類) 

    夫婦間で協議⇒⇒⇒合意・・・・・・・・・・・・協議離婚

      ↓      

     不合意

      ↓

    調停の申立⇒⇒⇒調停成立・・・・・・・・・・調停離婚

      ↓

      ↓   調停に代わる審判審判確定・・・審判離婚

     調停不成立

      ↓

     訴訟提起⇒⇒⇒勝訴・和解で合意・・・・・・裁判離婚

      ↓ 

      敗訴

      ↓

    離婚不成立⇒⇒⇒⇒控訴・上告

 

(2) 民法で定められている離婚理由

  相手が話し合い離婚に合意しない場合、裁判手続きで離婚できるのは下記5点の理由が

   あった場合のみです。

   1.不貞行為

     不貞行為とは、自由な意思に基づいて配偶者以外の者と性的関係を結ぶことをい

                います。

   2.悪意の遺棄

     正当な理由なく、夫婦の同居義務や協力義務などに違反することですが、夫婦関

               係の廃絶を企画する意思まで必要で、単純な同居義務違反では足りません。

   3.3年以上の生死不明

     単純な音信不通だけでは足りず、立証が難しです。

   4.強度の精神病で回復見込みなし

     この項目は将来なくなる方向です。

   5.その他婚姻を継続し難い重大な理由

     ①長期間の別居、②DV、③性格の特別な不一致、④配偶者の親族と特別な不和

                  などです。

(3) 協議離婚する場合の注意点と決めておくべき事項

         協議離婚する場合に、養育費などの金銭の支払いを離婚後に受ける場合には、公正証

      を作成することをお奨めします。 すなわち、合意内容を公正証書にしておくと、将来

      の不払の際、与の差し押さえや強制執行を速く確実に実行することが出来ます。  

      ただし、公正証書が債務名義としての効力があり、間接強制執行できるのは、日本国内

      のみのことです。 養育費の合意を公正証書にしていても、義務者の財産が外国にしか

      ない場合や、日本に支店のない外国会社から給与の支払いを受けている場合には、公正

      執行できません。

 

  決めておくべき事項は下記の8項目です。

   1.慰謝料(Divorce Consolation Money)

   2.財産分与(Divorce property Distribution)

   3.婚姻費用の清算(Living expense Liquidation)

   4.年金分割(Pension Division)

   5.養育費(Child Support Expense)

   6.親権者の指定(Person with Parental Authority)

             (子供が未成年のときには離婚届に必記載)

   7.面会交流(Visitation)

   8.離婚後の氏(Family Name after devorce)

 

慰謝料  

 離婚によって被る精神的苦痛に対して支払われる金員、精神的苦痛を慰謝するための損害賠償のことです。   離婚原因を作った有責配偶者に対して請求できます。「性格の不一致や価値観の相違」等の場合は離婚慰謝料は基本的に請求出来ません。

 

(1) 慰謝料が請求できる場合

  1.浮気や暴力など離婚に至った原因行為から生じる精神的苦痛に対するもの。

    例:不貞行為、暴力・悪意の遺棄、婚姻生活維持の不協力、性交渉の不存在

  2.離婚により配偶者の地位を失うことから生じる精神的苦痛に対するもの。

 

(2)慰謝料の相場

   様々な事情(離婚に至った原因行為の内容、結婚期間の長短、相手方の資力収入な

      ど)を考慮して決定されます。 裁判上の相場は100~300万が多いようです。  当然、

      個別具体的な事情によっても金額は異なります。 

     裁判所に対して理解して貰える主張・立証が必要です。 例えば、精神的苦痛により

      鬱病になってしまった場合は診断書などが立証になります。 不貞行為の証拠として、

      現場写真、口述の記録、書面の記録などが立証になります。

 

(3) 財産分与(民法768条1項)

      婚姻生活中に夫婦で協力して築き上げた財産を、離婚の際にそれぞれの貢献度に応

         じて分配することで、下記の3種類があります。

 1.清算的財産分与

    婚姻中、夫婦間で協力して形成・維持してきた財産については、その名義いかんに

         拘らず夫婦の共有財産と考え、離婚の際にはそれぞれの貢献度に応じて公平に分配す

         る。   清算的財産分与は有責配偶者からの請求でも認られます。

 2.扶養的財産分与 

    離婚した場合、夫婦の片方が生活に困るという事情がある場合に、その生計を補助

         するという扶養的目的により財産が分与されます。  

 3.慰謝料的財産分与 

    離婚の際に、慰謝料と財産分与を明確に区別せずにまとめて「財産分与」として請

         求する場合があります。 このような場合「慰謝料を含む」という意図があるので慰

   謝料的財産分与と呼びます。 

 

(4) 財産分与の対象となるもの

   共有財産か否かの判断は、財産の名義によるのではなく、実質的な判断によります。

  夫婦名義で購入した不動産、共同生活に必要な家具や家財、片方の名義になっている預

  貯金や車、有価証券、保険解約返戻金、退職金などです。

   夫婦が保有する財産のうち、婚姻中に取得された財産は共有財産と推定されます。 

  財産分与の対象となる財産は原則として「別居時」を基準に確定します。

  別居後の取得財産は対象となりません。

(5) 財産分与の対象とならないもの

     特有財産は対象になりません民法762条の1項)。  婚姻前から片方が有していた財

  産(例:独身時代の預貯金、婚姻中の相続によって得た財産など)。 但し、特有財産

  でも夫婦が協力して価値の維持・増価した場合は貢献度の応じて財産分与の対象とされ

  る場合もあります。

(6) 財産分与の割合

    1/2が一般的、夫婦の片方が特殊な能力や努力によって高額な資産形成がなされたよ

   うな場合は、分与の割合が修正されることがあります。

   

(7) 財産分与の方法

   一番簡単な方法は協議によって取り決めます。 取り決めをした場合は、その内容に

  従って財産分与を行います。 将来に渡り分割で支払うような場合は上記しましたが、

  給与の差押え等がすぐに実行出来るように公正証書を作成しておくことが重要です。 

  当事者間の話合が纏まらない場合は、離婚調停・離婚審判・離婚訴訟となります。

 

(8)財産分与の時期(期限)(民法768条2項だだし書) 

   財産分与請求期間は離婚したときから2年(除籍期間)以内にしなければなりませ

  ん。 財産分与は離婚と同時に決められることが一般的です。 離婚の際、財産分与の

  取決めをしなかった場合でも、離婚後に財産分与の請求することも可能です。

 

 

婚姻費用

 

 先ず婚姻費用とは「夫婦と未成熟の子」という家族がその収入や財産、社会的地位に応じて通常の社会生活を維持するために必要な生活費のことです。 法律上、婚姻費用については、夫婦がその負担能力(収入の大小等)に応じて分担する義務を負っています。 この義務は別居していても、法律上の夫婦であり限りなくなりません。   

 そのため別居中、妻に比べて収入の高い夫が生活費を払ってくれない場合は、婚姻費用の分担請求が出来ることになります。

(1) 婚姻費用の金額

    婚姻費用は「月額いくら」という形で決めます。 その金額については夫婦間の話

   合で決めますが、決まらない場合は家庭裁判所に対して調停を申し立てます。 調停

   委員を交えた話合によって決めていくことになります。 調停での話合でも決着しな

   い場合は、家事審判官審判という形で金額を決めます。 

    婚姻費用の金額は夫婦の収入、子供の数、子供の年齢などを総合的に考慮して決め

   られるますが裁判所の運用としてあらかじめ標準的な生活状況を想定し作成された

   「婚姻費用算定表というものを利用することが多です。

 

(2) 婚姻費用の支払い時期

    婚姻費用の支払い義務は「請求したとき」からとされます。 別居後に婚姻費用を

   払ってくれない場合は、直ぐに婚姻費用分担請求することが出来ます。

    離婚した後は婚姻費用の分担義務がなくなりますので婚姻費用を請求することは出

   来なくなります。 子供の養育費については、子供自身または子供を扶養している片方

   の配偶者が別居中に請求出来るもので、養育費の負担は別居に至る事情や婚姻関係破

   たんの理由を問わず 子供を養育している限り認められます。  

    しかし、生活費については、別居に至る事情が 問題となるケースがあります。 別

   居に至った原因が、主に婚姻費用を請求する側にあるような場合は認められないこと

   が多いです。

(3) 夫が支払う婚姻費用の金額(H22の司法統計)

    婚姻関係事件のうち調停成立の内容が「婚姻継続」でなされた場合で、かつ月払い

   にする場合のデータです。

   30万超      2%

   20~30万    4%

   15~20万    7%

   10~15万     16%

     8~10万     13%

     6~8万     16%

     4~6万     18%

     3~4万     8%

     2~3万     7%

     2万以下      8%

 

熟年離婚の退職金・年金分割

 熟年離婚の際に考えておかねばならない事として、退職金年金分割の問題があります。 退職金や年金分割が今後の生活の糧となりますので、知識をしっかり学んでから 離婚するようにしましょう。

(1) 退職金の考え方

   退職金には、給与の後払い的な性格があると考えられています、従って、退職金も給

  与と同じく財産分与の対象になります。 退職金が財産分与の対象となるのは、①退職

  金がすでに支給されている場合か、②退職金がまだ支払われていないが退職が近い場合

  か、すでに退職が決まっている場合などです。

(2) 退職金分割を算定する方法

   分割対象となる退職金の計算方法について、判例上の考え方は、退職金相当額から婚

  姻前の労働分を差し引いた金額が対象となります。すなわち婚姻期間中の労働分のみが

  対象となるわけです。 しかし、双方が話合い合意に至れば合意額がなにより優先され

  るのは言うまでもありません。

(3) 年金分割制度

   離婚後に片方配偶者の年金保険料の納付実績の一部を分割し、それをもう片方の配偶

  者が受け取れるという制度です。 この制度は平成16年に国民年金法の一部改正する法

  律により新しく導入されました。 注意しなければならないのは、対象となるのは「厚

  生年金と共済年金」のみであり、国民の基礎年金である「国民年金」や「厚生年金基

  金、国民年金基金」は対象となりません。 また婚姻前の期間分は対象となりません。

  さらに、将来受け取る予定の年金額の2分の1を貰える制度ではなく、保険料の納付実

  績の分割をうけるという制度です。 年金分割制度を利用するメリットがあるのは、あ

  くまでも、婚姻期間中に相手方が厚生年金・共済年金を自分より多く支払っていた場合

  のみとなります。 国民年金は分割されませんので、夫が自営業者や漁業、農業などの

  場合には、そもそも年金分割制度を利用することは出来ません。 自分の方が年金受給

  額が多いような場合は、逆に年金分割を請求される立場になってしまいます。 また、

  年金受給を受ける本人が、原則として、保険料納付済期間、保険料免除期間及び合算対

  象期間の合計が25年以上(近い将来10年に改正)ない場合には、年金受給資格が発生せ

  ず、せっかく年金分割しても年金が受け取れませんので要注意です。 問題点は、相手

  が障害年金受給権者である場合は請求できません。 ただ、夫婦間の合意があれば合意

  分割出来ますので諦めないで下さい。 年金分割は当事者の一方が死亡後1か月以内な

  ら請求可能ですので、この点にも十分注意が必要です。

(4) 年金分割の種類と方法

  (1)合意分割

    夫婦間の合意が成立した場合、合意内容を証明することにより年金分割手続

   ることが出来ます。 具体的には、合意内容記載の書類を年金事務所の窓口に持参し

   ます。 その他、合意内容を明らかにした公正証書の謄本もしく抄録本(抄本)

   または公証人の認証を受けた私署証書を添付することでも分割手続きが取れす。 

   合意分割の場合は夫婦双方が請求可能で、3号分割の第3号被保険者の請求のみ可能

   であるのとは違います。 なお、婚姻期間に3号被保険者であった期間も含まれる場

   合は、合意分割を請求することで、同時に3号分割を請求したものと見做されます。 

   夫婦間の協議によって合意が出来ない場合は、家庭裁判所で調停・審判・離婚訴訟に

   よる手続きによって決定することになります。

   (2)3号分割

    3号分割の場合は当事者間の合意は不要ですので、分割を受ける当事者は下

   記手続きを取って年金分割を受けることが出来ます。 対象となる期間は 

   H20年4月以降の婚姻期間ですから、それより以前の婚姻期間がある場合には

   合意分割を使わなければなりません。 従って、3号分割を請求するケースは

   非常に少ないと言現状です。 3号分割は事実婚でも請求可能ですが、事実

   婚は戸籍本などで確認出来ませんので、婚姻期間は住民票の住所を一緒にし

   おくなどの証明方法を取ることで対応することになります。

    3号分割の請求方法は、請求者の現住所を管轄する日本年金機構に標準報酬 

   改定請求書を提出します。 この際、年金手帳、離婚届、戸籍謄本、合意分割

   の場合は按分割合を定めた公証書や調停調書、確定判決等を持参します。 

   3号分割の場合は2分の1とまっていので、按分割合を定める必要はあり

   ません。 請求できる期限は離婚成立の翌日から2年以内です。 年金分割の

   請求をす按分割合に基づいた改定が行われ、改定をした後の保険料納付記

   録が当事双方に通知されます。  

 

 

養育費

 離婚した後に、子供を監護しない親から、監護する親に対して支払われる費用のことです。  協議離婚の場合には、合わせて協議文書を公正証書で作成するべきです。 調停離婚や訴訟離婚の場合には、付帯して請求して、定められることが一般的です。 勿論、離婚後に請求することも可能です。 さらに、事後的に、状況が変化したことを理由に、増減額請求することも可能です。

 算定基準は、基本的には、裁判所が作成した養育費算定表に従って、形式的に算定されます。 のの算定表が修正適用されるのは、一般的に予見出来る範囲を超えた「特別な事情」があるときに限定されます。

 

親権者の指定

 子供が未成年の場合には、離婚する際に、夫婦のいずれかを親権者と定めなければなりません(単独親権制度)。 協議離婚の場合ンきは、離婚届けに親権者を記載して届出ます。 調停離婚や裁判離婚の場合には、離婚に付随して親権者指定についても審理し、これを調停や判決のおいて定めます。 判断基準としては、①監護の実績の尊重、現状の尊重、②子どもの意思の尊重(おおむね10歳以上の子供の場合)、

③母性の優先、④兄弟不分離、⑤監護能力などです。 親権と監護権との分離は、原則行いません。

 

面会交流 

 離婚はしたが、未成年の子供がいる場合は身上監護、親権、養育費や面会交流などの問題が残ります。 今回は離婚後子供を養育看護していない方の親によって行われる面会交流について下記述べますので参考にして下さい。 なお、ご質問やご意見あればご一報下さい。

  そもそも、面会交流子供の福祉のために認められるべきものです。 先進心理学の知見では、別れた親との面会は、子供の発達上重要な意義を有するとされています。

 改正前の民法766条で面会交流権については直接規定されていませんが、平成24年4月1日から施工された改正後の民法766条には 面会交流は法律的に明文化されています。 裁判所の調停で子供のいる親が離婚と引き換えに面会交を認めるという主張は実際に裁判所の実務で可能であります。 その為、子供のいない親を子供を使って子供に会いたい親心に揺さぶりをかけて有利に離婚することも可能であります。

その他、子供にも会わせたくないない親が養育費もいらない、面会交流もなしで離婚を希望して夫婦が同意すれば実質子捨てを纏める調停も可能です。 一番の被害者は何の罪もない子供であることは言うまでもありません。

  面会交流権の拒否について、供がはっきり会いたくないと意思表示をしている場合、それが証明できれば面会は拒否できます。  近年、養育費を支払う代わりに面会交流を強要する親がおりますが、養育費の支払いと面会交流は基本的に別物です。

面会交流の合意については、たとえ、公正証書を作成していても、不履行の場合は、間接強制することはできませんので、注意が必要です。

 

有責配偶者からの離婚請求

 有責配偶者からも離婚請求出来るのかが問題になりますが、その可否は信義則で判断されるというのが、判例です。 

有責配偶者から離婚請求が肯定される下記3点が揃うのが条件です。

 ① 相当期間の別居、相当期間については、議論のあるところですが、通常の場合  

   は、別居期間が2年以上とされているのに、対して、有責性があるので、10年  

   前後が一つの目安になるのでは、と考えれれています。

   ②   未成熟子の要件の必須性(判例)

 ③ 全体として、信義則違反の有無により判断されます。

 

 離婚後の公的支援制度

 離婚後は一人で子供を育てていくことは、とても大変なことです。 その厳しい状況をサポートしてくれる色々な公的支援があります。 各種の要件を満たす必要はありますが、下記のような公的支援を受けられますのでご参考にして下さい。なお、ご質問などあればご一報下さい。 

 

(1) 経済的支援制度(手当など)

   ★ 児童扶養手当

   ★ 児童手当

   ★ 特別児童扶養手当障害児童福祉手当

   ★ 生活保護

   ★ 就学援助

 

(2) 経済的支援制度(貸付など)

   ★ 母子福祉資金貸付金

   ★ 生活福祉資金貸付制度

   ★ 女性福祉資金貸付制度

   ★ 応急小口資金

 

(3) 就職に関する支援

   ★ 母子家庭自立支援教育訓練給付金

   ★ 母子家庭高等技能訓練促進費等給付金

   ★ 寡婦等職業相談員

 

(4) 住居等に関する支援

   ★ 母子生活支援施設

   ★ 公営住宅への入居の優遇

   ★ 母子アパート(東京都)

   ★ サポートセンター等

   ★ ホームヘルパーの派遣

 

(5) 生活に対する補助・優遇制度

   ★ ひとり親家庭に対する医療費補助制度

   ★ 乳幼児医療費助成制度

   ★ 都営交通の無料パス(東京都)

   ★ JR通勤定期の割引

   ★ 税金の軽減

   ★ 水道・下水道料金の減免

   ★ 粗大ゴミの処理手数料の減免

 

離婚後の戸籍はどう変わるのか?

筆頭者(夫)の戸籍

  現状では夫が筆頭者になっている場合が多いので、便宜上、夫が筆頭者である前

 提で解説しますが、妻が筆頭者になっている場合は男女が逆になります。

  筆頭者である夫の戸籍は離婚後も新たな戸籍を編製することなく、これまで夫婦

 で入っていた戸籍にそのまま筆頭者として残ります。

  現在のIT化された戸籍では、協議離婚の場合だけは単に離婚年月日が記載されま

 すが、裁判離婚や調停離婚の場合にはその旨が戸籍に記載されます。

  IT化された戸籍においては、婚姻中は「夫」「妻」という配偶者区分が記されて

 いますが、離婚すると消されます。

妻の戸籍 

  筆頭者でない妻の場合は、離婚した場合には夫婦の戸籍から除籍されます。  除

 籍された後は、婚姻前に自分が入っていた戸籍(両親の戸籍)に戻るか、または離

 婚 と同時に新戸籍を編製することになるのが一般的です。  両親の戸籍に戻る 

 場合には以前に自身が婚姻で除籍された記録が残っています。 その婚姻にあたっ

 て除籍された記録はそのまま残りつつ、それとは別にもう一度、自身の欄が再作成

 されます。 復籍した結果、自身の名前が二つ並んだ形となります。 離婚届には

 「婚姻前の氏にもどる者の本籍」という欄があります。 これは、筆頭者ではない

 欄「もとの戸籍の戻る」「新しい戸籍をつくる」という二つの選択肢が用意されて

 います。

子どもの戸籍

  父母が離婚しても、その子供の戸籍は筆頭者の戸籍内に留まることになります。 

 夫が筆頭者の場合には、子どもは夫の戸籍内にそのまま残ります。 離婚に際し

 て、未成年の子どもがいる場合には、必ず「親権者」が定められます。

  協議離婚の場合には協議のなかで父母のどちらかが親権者になる のか決めなけれ

 ばなりません(単独親権制度)。 裁判離婚の場合裁判所が親権者を裁定します。 

 親権者になった側の戸籍に自動的に入ると思いがちですが、親権者かどうかにかか

 わらず子供は筆頭者の側の戸籍に取りあえずは入り続けます。 もし、親権者に妻(母親)がなった場合でも、子どもの戸籍は夫(父親)側の戸籍の残ります。 しか

 し、それでは何かと不便ですし、感情的にも問題があります。 そこで、子供を母

 親側の新戸籍に移すためには家庭裁判所に審判を申立て「子の氏の変更許可」を得

 てから、「母の氏を称する入籍届」を市町村役場に提出しなければなりません。 

 子供が15才以上の場合は子供自らが、15才未満の場合は母親が法定代理人として申

 立てをします。 離婚後に子供と同一戸籍に入りたい場合は、母親自らを筆頭者と

 する新戸籍を編製し、そこに「母の氏を称する入籍届」をして子どもを入れること

 になります。 これは、母親の氏の変更とは関係ありません、母親が氏の変更をし 

 ない場合でも、「母の氏を称する入籍届」を市区町村役場に提出します。

  離婚後父母の戸籍に戻った場合は、自分の子供を同じ戸籍に入れることが出来ま

 せんので、注意が必要です。

 

 協議離婚合意書離婚に伴う契約書サンプル

         協議離婚合意書(案)****(以下、甲という)と妻****(以下、乙という)は協議離婚に合意し、次の通り、協議離婚合意書を取り交わした。

  1、 甲及び乙は、互いに離婚届に署名捺印の上、平成**年**月**日ま

  でに、乙が***区役所に届け出るものとする。

2、 甲及び乙の長男****の親権者は甲とするが、甲乙離婚後は、乙が*

  ***を引き取り、教育監護に当たる。(親権者・監護権者に注意。)

3、 甲は、乙が離婚後も**(甲の姓)を名乗ることを承諾する。

4、 甲及び乙は、離婚に当たり互いに慰謝料を求めない。

5、 甲は、乙に対し、財産分与として金****万円を平成**年**月*

  *日までに引き渡す。

6、 甲は、乙に対し、平成**年**月**日より、長男****養育費と

  して毎月金**万円を**(月末)までに支払う。但し、その支払は*** 

  *の月までとする。(長男****が大学卒業など)

7、 甲および乙は、上記条項を誠実に履行し、また上記以外の金銭給付並び

  に要求をしないことを確約する。この合意書の成立を証するため、本書2通  

  を作成し、各自署名捺印のうえ、その一通を保有する。平成**年**月*

  *日

甲(本籍・住所・氏名・印)               

乙(本籍・住所・氏名・印)

 

     財産分与その他に関する契約証書

 夫****(以下甲という)と妻****(以下乙という)は、離婚することに合意し協議離婚の届出をなすに際して、子の処置、財産分与等に関して、本日、下記の通り契約を締結した。

                 記

1.甲乙間の未成年の子**(平成**年**月**日生、以下丙という)の親権 

  者・監護者を乙と定める。

2.甲は乙に対し次の事項を履行することを約した。

   (1) 財産分与・慰謝料として、金******万円を協議離婚の届出書を作成した 

   後、直ちに支払うこと。

 (2) 丙の養育費として、離婚届出受理日より成人するまでの間の養育費として、金*

   *****万円を一括して支払うこととし、協議離婚の届出書を作成した後、直

   ちに支払うこと。

   (3) 丙の高校・大学進学、事故又は病気など特段の事由により通常の養育費を大幅に

   上回る時は、甲乙協議の上、甲は別途その必要費用を乙に支払うこと。

3.甲名義の土地・建物売買及び売買までの甲の負担

   (1) 第2項の(1)(2)、の支払いは、甲名義の下記土地・建物の売買代金より支弁され

   ることとし、甲はその買受人の買入希望額が合計**万円以上の場合には、直

   ちに下記物件を売却し、乙に対し可及的速やかに上記(1)、(2)の支払いをなさ

         なければならない。 但し、6ヶ月を経過しても売買代金を金**万円以上とす

         る買受希望者が現れない場合、本契約締結日より10ヶ月経過後の平成*年*月

         *日限り、甲は乙に対し第2項(1)、(2)の支払いを実行する。

   (2) 前号の売買により甲名義の下記土地・建物の所有名義が買受人に移転されるまで

   の間、甲は下記土地・建物の固定資産税及びこれが負担するローン(毎月の支払

   い及びボーナス時の支払いを含む)の支払いは全て甲において負担する。

 [不動産の表示]

   ******○○○番地○○(住居表示ではない)

           宅地○○○.○○㎡

  ******○○○番地○○

家屋番号○○○番○○ 木造スレート葺二階建 居宅一棟一階○○.○㎡ 

4.財産分与等の一括支払いまでの乙等の生活費の支弁

 甲は第2項(1)、(2)の支払いを履行するまでは、乙に対し、乙及び丙の生活費(第3 

 項(2)の支払い分は除く)として、月額合計**万円を支払う。

 但し、ボーナス時はその都度、金***万円(ボーナス時のローン支払い分は除

 く)を別途支払うものとする。

5.乙はこの契約に定めた以外には甲に対して何らの請求をしないこと。又、甲は乙

6.乙が本契約書の趣旨の公正証書作成を請求する時は、甲は請求に応じるものとす

  る。但し、公正証書作成に要する費用は乙の負担とする。

平成**年**月**日                             

(甲)住所・氏名・印

(乙)住所・氏名・印

 

 離婚に伴う財産分与とそれに課せられる税金について

 財産を分与する側にかかる税金

  離婚により相手方から財産を貰った場合、通常、贈与税はかかることはあるませ

 ん。 これは、相手方から贈与を受けたものではなく、1)夫婦の財産関係の清算、

 2)財産を受取る側の離婚後の生活保障のための財産分与請求権に基づき給付を受

 けたものと考えられるからです。 これらの趣旨を逸脱しない範囲内の額であれ 

 ば、贈与という性質のものではないため、贈与税は課せられません。

 しかし、以下の場合には、贈与税が課せられますので、注意して下さい。 

 1.その分与された財産の額が婚姻中の夫婦の協力によって得た財産額やその他一

   切の事情を考慮しても、多過ぎる場合は、その多過ぎる部分に贈与税が課税さ

   れます。

 2.離婚が贈与税や相続税を免れるために行われたと認められる場合は、離婚によ

   って貰った財産全てに贈与税が課税されます。(相続税法基本通達9-8所得

   税基本通達33-1の4

 3.土地や建物等の不動産の場合

   この場合は財産分与者の側譲渡所得税が課税される事になります。 譲渡  

   取得税は、土地や建物の売却益から取得費用等を差引いて算出します。

   財産分与の場合、その対象となる不動産の価格は分与時点の時価で評価します

   (所得税基本通達33-1の4)。 不動産購入時より時価の方が低ければ、譲渡

   所得税はかかりません。 仮に、財産分与で名義変更を行う際に、不動産購入

   時より時価が高ければ、その差額に課税されます。 一方、A)20年以上婚姻関

   係を継続している夫婦間での居住用財産の贈与は基礎控除110万円に加えて、

   最高2000万円の配偶者控除を受けることが出来ます(相続税法21条の6)。

   B)居住用不動産であり、譲渡する相手が親族でない場合は時価3000万円まで

   の譲渡益が非課税となります。 A)の制度を利用するには離婚成立前に所有権

   移転する必要があり、B)の制度を利用するには離婚成立後に所有権移転する必 

   要があります。

   また将来、分与を受けた土地や建物を売った場合には、財産分与を受けた日を

   基に長期譲渡になるか短期譲渡になるか判定することになります。

 

財産を受け取る側に係る税金

 不動産所得税は、不動産取得の事実を課税客体とする地方税(都道府県税)です。

 財産分与には、1)清算的財産分与、2)慰謝料的財産分与、3)扶養的財産分与

 があります。 清算的財産分与の場合、実質的には妻名義の財産であるが形式的に

 夫名義の財産を、形式的にも(名実ともに)妻名義にすることになり、妻による新

 規の不動産取得は存在しませんから、不動産取得税の対象外になります。 これに

 対して、慰謝料的財産分与と扶養的財産分与の場合、名実ともに夫から妻に財産移

 転があり、妻による新規の不動産取得の事実が存在しますから、不動産取得税の対

 象となります。 その税率は、定資産課税台帳に登録されている価格に3%(土地建

 物のうち住宅の場合、住宅以外の場合はを4%)、土地の場合はその1/2を乗じた価 

 格が不動産取得税となります。 軽減措置として、婚姻後に取得した不動産を財産

 分与とする場合は1/2に軽減されます。 建物については1200万円を固定資産評価

 額から控除されます。 その他の軽減措置の詳細は都道府県庁にご確認下さい。

 

 

 

財産を分与する側にかかる税金

  離婚により相手方から財産を貰った場合、通常、贈与税はかかることはあるませ

 ん。 これは、相手方から贈与を受けたものではなく、1)夫婦の財産関係の清算、

 2)財産を受取る側の離婚後の生活保障のための財産分与請求権に基づき給付を受

 けたものと考えられるからです。 これらの趣旨を逸脱しない範囲内の額であれ 

 ば、贈与という性質のものではないため、贈与税は課せられません。

 しかし、以下の場合には、贈与税が課せられますので、注意して下さい。 

 1.その分与された財産の額が婚姻中の夫婦の協力によって得た財産額やその他一

   切の事情を考慮しても、多過ぎる場合は、その多過ぎる部分に贈与税が課税さ

   れます。

 2.離婚が贈与税や相続税を免れるために行われたと認められる場合は、離婚によ

   って貰った財産全てに贈与税が課税されます。(相続税法基本通達9-8所得

   税基本通達33-1の4

 3.土地や建物等の不動産の場合

   この場合は財産分与者の側譲渡所得税が課税される事になります。 譲渡  

   取得税は、土地や建物の売却益から取得費用等を差引いて算出します。

   財産分与の場合、その対象となる不動産の価格は分与時点の時価で評価します

   (所得税基本通達33-1の4)。 不動産購入時より時価の方が低ければ、譲渡

   所得税はかかりません。 仮に、財産分与で名義変更を行う際に、不動産購入

   時より時価が高ければ、その差額に課税されます。 一方、A)20年以上婚姻関

   係を継続している夫婦間での居住用財産の贈与は基礎控除110万円に加えて、

   最高2000万円の配偶者控除を受けることが出来ます(相続税法21条の6)。

   B)居住用不動産であり、譲渡する相手が親族でない場合は時価3000万円まで

   の譲渡益が非課税となります。 A)の制度を利用するには離婚成立前に所有権

   移転する必要があり、B)の制度を利用するには離婚成立後に所有権移転する必 

   要があります。

   また将来、分与を受けた土地や建物を売った場合には、財産分与を受けた日を

   基に長期譲渡になるか短期譲渡になるか判定することになります。

 

財産を受け取る側に係る税金

 不動産所得税は、不動産取得の事実を課税客体とする地方税(都道府県税)です。

 財産分与には、1)清算的財産分与、2)慰謝料的財産分与、3)扶養的財産分与

 があります。 清算的財産分与の場合、実質的には妻名義の財産であるが形式的に

 夫名義の財産を、形式的にも(名実ともに)妻名義にすることになり、妻による新

 規の不動産取得は存在しませんから、不動産取得税の対象外になります。 これに

 対して、慰謝料的財産分与と扶養的財産分与の場合、名実ともに夫から妻に財産移

 転があり、妻による新規の不動産取得の事実が存在しますから、不動産取得税の対

 象となります。 その税率は、定資産課税台帳に登録されている価格に3%(土地建

 物のうち住宅の場合、住宅以外の場合はを4%)、土地の場合はその1/2を乗じた価 

 格が不動産取得税となります。 軽減措置として、婚姻後に取得した不動産を財産

 分与とする場合は1/2に軽減されます。 建物については1200万円を固定資産評価

 額から控除されます。 その他の軽減措置の詳細は都道府県庁にご確認下さい。