2017年

2月

23日

在留資格「定住者」

 

 在留資格「定住者」は、審査要件が、決まっているもの(告示該当定住者)と、決まっていないもの(非告示該当定住者)があります。 

 

 告示該当定住者の要件は、平成2年法務省告示第132号に該当する場合に限り認められると規定してあります。 

 「定住者」に係る在留資格認定証明書の交付申請が出来る場合、即ち「定住者」として新規入国できる場合は告示該当定住者に限定ということです。

告示該当定住者の事例

1.日系人やその配偶者

2.「定住者」の実子

3.日本人や永住者の配偶者の実子(連れ子)

4.日本人や永住者・「定住者」の6歳未満の養子

5.中国残留邦人やその家族等

 

 非告示該当定住者の要件は、入管法別表第二によれば「法務大臣が特別な理由(原則でない場合)を考慮して一定の在留期間を指定して居住を認める者」とあります。在留資格で、人道上の理由その他特別な理由がある場合に認められると規定されています。 非告示定住者として「定住者」の取得を希望する場合は、現在有する在留資格から「定住者」への在留資格変更許可申請を行うことになります

 

実際によくある非告示該当定住者の事例は、

1.「日本人の配偶者等」の在留資格を持つ外国人が、配偶者の本国の連れ子を日本に呼び  

   よせる場合

2.「日本人の配偶者等」の在留資格を持つ外国人が、本国の高齢の親を日本に呼び寄せる

   場合

3.「日本人の配偶者等」の在留資格を持つ外国人が、日本人と離婚または死別後継続して

   日本に在留する場合

4.「日本人の配偶者等」の在留資格を持つ外国人が、離婚または死別後、日本人実子の親 

   権者として扶養監護する場合

 

 在留資格「定住者」には、実に様々なケースが含まれており、それぞれの状況に応じて提出資料等も異なります。 まずは自分が申請しようとする「定住者」の在留申請が「定住者」の中でどのケースに該当するのかを明確にすることです。

 

定住者」への在留資格変更許可が認められた事例

  日本人、永住者又は特別永住者の配偶者として「日本人の配偶者等」又 は「 永住者の配偶者等」の在留資格をもって在留する外国人について、2012年7月9日から施行された改正出入国管理及び難民認定法(以下「入管法」)では 、同法第22条の4第1項第7号に掲げる事実 (配偶者の身分を有する者としての活動を継続して6月以上行わないで在留していること(当該活動を行わないで在留していることにつき正当な理由がある場合を除く 。))が判明したことにより在留資格の取消しをしようとする場合には、在留資格変更許可申請又は永住許可申請の機会を与えるよう配 慮することとされています(入管法第22条の5参照 )。 法務省入国管理局では、上記入管法第22条の5の趣旨等を踏まえ、運用の透明性向上を図る観点から 、平成23年度中に、在留資格 「日本人の配偶者等」 又は「永住者の配偶者等」から「定住者」 への 在留資格変更許可が認めれられた事例及び認められなかった事例を 、 下記のとおり公表いたします。 在留資格変更許可申請については、在留資格の変更を適当と認めるに足りる相当の理由があるときに限り許可することとされ(入管法第20条 )、この 相当の理由があるか否かの判断は、法務大臣又は権限の委任を受けた地方入国管理局長の裁量に委ねられておりますが、当該外国人の行おうとする活動 、在留の状況、在留の必要性等を総合的に勘案して行っており、下記にある事例に類似する場合であっても、結論が異なることもあります 。

「定住者」への在留資格変更許可が認められた事例

① 性別:女性

  本邦在留期間:  約6年 

  前配偶者:    日本人男性
  全配偶者との婚姻期間:約6年6か月

  離婚死別:    離婚
  前配偶者との実子の有無:日本人実子(親権は申請人)
  特記事項:    日本人実子の監護・養育実績あり
           訪問介護員として一定の収入あり

②性別:女性

  本邦在留期間:  約6年 

  前配偶者:    日本人男性
  全配偶者との婚姻期間:約3年

  離婚死別:    事実上の破綻
  前配偶者との実子の有無:無
  特記事項:    前配偶者による家庭内暴力が原因で婚姻関係が事実上破綻
           離婚手続は具体的に執られていない状況にあったものの,現     

           に別居し双方が離婚の意思を明確に示していた
           看護助手として一定の収入あり

③性別:       男性

  本邦在留期間:  約13年8か月 

  前配偶者:    特別永住者女性
  全配偶者との婚姻期間:約6年1か月

  離婚死別:    死別
  前配偶者との実子の有無:無
  特記事項:    金属溶接業経営を継続する必要あり
           金属溶接業経営により一定の収入あり
④ 性別:      女性

  本邦在留期間:  約8年1か月 

  前配偶者:    日本人男性
  全配偶者との婚姻期間:約4年5か月

  離婚死別:    離婚
  特記事項:    前配偶者との実子の有無:前配偶者による家庭内暴力が原因  

           で離婚
           前配偶者による家庭内暴力により外傷後ストレス障害を発症
           日本人実子の監護・養育実績

「定住者」への在留資格変更許可が認められなかった事例   

① 性別:      男性

  本邦在留期間:  約4年10か月 

  前配偶者:    日本人女性
  全配偶者との婚姻期間:約3年

  離婚死別:    離婚
  前配偶者との実子の有無:日本人実子(親権は前配偶者)

  特記事項:    詐欺及び傷害の罪により有罪判決
② 性別:      男性

  本邦在留期間:  約4年1か月 

  前配偶者:    永住者女性
  全配偶者との婚姻期間:約3年11か月

  離婚死別:    事実上の破綻
  前配偶者との実子の有無:無(親権は前配偶者)

  特記事項:    単身で約1年9か月にわたり本邦外で滞在
③ 性別:      女性

  本邦在留期間:  約4年1か月 

  前配偶者:    日本人男性
  全配偶者との婚姻期間:約3年10か月

  離婚死別:    死亡
  前配偶者との実子の有無:無

  特記事項:    単身で約1年6か月にわたり本邦外で滞在
           本邦在留中も前配偶者と別居し風俗店で稼働

④性別:       女性

  本邦在留期間:  約3年4か月 

  前配偶者:    日本人男性
  全配偶者との婚姻期間:約1年11か月

  離婚死別:    離婚
  前配偶者との実子の有無:無

  特記事項:    前配偶者の家庭内暴力による被害を申し立てた2回目の離婚
           初回の離婚時に前配偶者による家庭内暴力を受けていたとし 

           て保護を求めていたが、間もなく前配偶者と再婚
           前配偶者との婚姻期間は離再婚を繰り返していた時期を含め

           約1年11か月

定住者のQ&A

Q1: 定住者は風俗の仕事をしても大丈夫ですか?  台湾国籍で「定住者」の資格

         を持つ女性が水商売の仕事がしたいと言っていますが、それは大丈夫ですか?
A1: 定住者には就労職種の制限はありませんので、違法な商売でない限り可能で

         す。   ただし、その職業で在留期間更新許可が出るかどうかは別問題です。
         留学生の資格活動許可での、禁止されているのは「風営法」に定められている

         風俗店での就労であり、風俗を除く水商売はOKですし、過半数のアルバイト

         留学生が水商売に就いています。
Q2: 韓国人の母が日本人男性と再婚し、本人は15歳に来日後、日本人男性と養子縁

   組し定住者の資格をとりました。 その後、本人は韓国に帰った為、定住者

   ザの更新ができず、在留資格が消滅しました。 現在は留学の在留資格で在留

   し、母親と同居しています。 日本人の父が昨年死亡しましたが、再度、定住

   の在留資格をとることが出来ますか?

A2: 母親が病気や障害があり介護が必要である場合は、他の人が面倒がみれない等

   の理由があれば、定住者の在留資格がが取れる可能性があります。 一方、現
   在は留学の在留資格ですが、大学卒業後は、人文知識・国際業務等の在留資格

   を取ることができます。

Q3:定住者である外国人ならば例外なく就労活動に制限はありませんか?

   現在当社で採用を検討している中国人の就労資格証明書に在留資格欄(在留期

   間)定住者5年、活動の内容は収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受け

   る活動となっています。
A3: 定住者ならば職種に制限はありません。 告示でも非告示でもそれは同じです。

Q4: 定住者の在留資格で本邦に在留の未成年外国人が17才で窃盗で逮捕され、保護

   観察処分を受けている場合、次の在留期間更新の際、不許可になるのでしょう

   か?
A4: 在留資格「定住者」の更新については、法務大臣(実際には入国管理局)の裁

   量事項ですので、「絶対にだめ」「絶対に大丈夫」ということは言えません。
   ただ、「定住者」の更新に関して言えば、「素行が善良であること」というこ

   とが重視されるのは確かです。 具体的に言えば、この要件に反する「素行が

   善良でない」素行不良というのは、以下のような例を指します。
   1)日本又は日本以外の国の法令に違反して、懲役、禁錮、罰金に処せられた
   2)少年法により、保護観察処分が継続中である
   3)(1に該当しなくとも)法律違反を繰り返し起こしている
   4)(1に該当しなくとも)入管法に関する不正行為を行った
   「定住者」の更新は、素行要件だけでなく、日本への定着度、具体的な素行不

   良事由の中身、その他の要件を総合的に判断して許否が決まりますので、一概

   に「だめ」とは言えません。 上記「素行不良」例に該当しても「定住者」の

   更新ができた例もあります。
Q5: 在留資格「短期滞在」から在留資格「定住者」に切り替えたいのですが可能で

   しょうか?  フィリピン妻の子18才の養子縁組が完了したので、子の在留資格

   を「定住者」に切り替え可能ですか?

A5:「短期滞在」から他の在留資格への変更はできないのが原則ですが、日本にいる

   家族と同居することを理由として「日本人の配偶者等」、「定住者」、「家族

   滞在」等への変更をすることは例外的に認めれています。
    短期査証で招へいした外国人配偶者の連れ子を、帰国させずに「定住者」に

   変更申請することは普通にできます。 しかし本件の場合、申請が受理される

   かということと、申請が許可されるかということは分けて考える必要がありま

   す。 日本人である質問者さんと連れ子さんとは養子縁組をしたとのことです

   が、入管行政上は当該養子縁組は直接の在留の根拠とはなり得ません。 とい

   うのも日本人の養子(普通養子縁組)として「定住者」が取得できるのは「6

   歳未満の養子」に限られるからです。 事情により7歳程度までは許可される

   場合があるのですが、残念ながら18歳ではこの理屈で許可がされることはあ

   り得ないと言えます。 しかし母の夫である日本人と養子縁組をしたかどうか

   は別として、「日本人配偶者の未成年で未婚の実子」にあたる場合は、やはり

   「定住者」の取得が可能です。 ただし理屈としては、日本に嫁いだ外国人妻

   (夫)が本国より連れ子を伴って、日本で監護・養育をする必要性があること

   が求めれますので、就学期を過ぎて、本国法の規定では成年に達している(フ

   ィリピンは18歳で成年です。)子であり、まして母との交流が緊密とは言え

   ない(これまではフィリピンで他の親族に監護・養育されていた)ような場合

   であれば、入管が在留資格変更を認めない可能性は十分にあります。 「日本

   人の配偶者の未成年で未婚の実子」(ここでいう未成年とは日本民法により20

   歳未満のことを言います。)として「定住者」を申請するに際しては、養子縁

   組の事実は単に状況証拠にすぎず、在留資格の要件とは直接関わりがありませ

   んので、実際のところ日本で監護・養育する必要性がどの程度あるのかが立証

   できなければ許可は見込めません。 これまで本国で子を監護・養育をしてい

   た親族が死亡又は疾病により監護・養育の継続が不可能(著しい困難)とな

   り、日本で母が養育するしかない状態であり、母の夫もそれを認めているこ

   と。 加えて日本社会への定着をするため日本語学校や大学への入学が予定さ

   れている等の条件が整っていれば許可される可能性はあるとは思います。 ま

   た、性別は不明ですが、同じ年齢でも男女によって審査の内容は変ってきま

   す。 もし女性であれば、母の属性(フィリピンパブ等での就労経験がある場

   合など)によっては、18歳という年齢であれば、即働き手として期待ができる

   わけですので、入管は非常に警戒します(「定住者」には就労制限が一切ない

   ので、合法的にホステスとして稼動できてしまうため)。
    男性であればあったで、フィリピンでは自立して生活が可能な年齢に達して

   いるため、今更親に扶養される必要性の説明が苦しくなります。 いずれにし

   ても厳しい審査となりますので、審査で争点となり得るポイントに沿って、丁

   寧な説明が必要です。
    子を監護・養育するのが真の目的ではなく、フィリピンにいるよりも経済的

   メリットがある(お金が稼げる)から招へいするのだ、という心象を入国審査

   官がもった場合はまず許可されないと思ってください。
    いろいろと手を尽くしても、それでも入管が「定住者」を認めないことはあ

   りますので、その際には次善の策として語学留学生として「留学」の取得がで

   きるかも検討はしておいた方が良いかと思います。 本国でハイスクール以上

   の学歴があれば可能ですし、急いで探せば日本語学校への○月入学に間に合う

   (願書締め切りは2月中が多い。)と思うので、できれば同時平行ですすめる

   のが良いとは思います。 もちろんそれなりの学費が必要ですが、「定住者

   の審査でも日本語学校への入学が決まっているということは、評価(日本社会

   への定着の期待)となりますし、何より「定住者」が不許可となってから学校

   選びを開始しても、おそらくは4月入学に間に合わず、一旦は帰国させなけれ

   ばならない事態となるためです(改めて9~10月入学のための手続をとること

   になります。)。 語学留学生が母と養父に扶養されて日本語学校に通うので

   あれば、身元保証が適確にされますので、学校も入管も非常に安心できる内容

   です。 その意味では「留学」の審査であれば有利な状況であると言えます。 

Q6: 私は日本人男性との間に子どもがいますが、彼には奥さんがいるため結婚はし

   ていませんが、胎児認知をしています。 再来月、在留資格「興行」が切れま

   す、定住者の在留資格許可申請できますか?

A6:胎児認知後の子は日本人です、その子どもを監護養育さするきは、通常、定住

   者の在留資格が許可されます(法務省入国管理局長通達平成8年7月30日)。

   認知については民法上の効果(遡及効)と国籍法上の効果は異なりますので、

   注意が必要です。
Q7:私は日本人と5年間婚姻していましたが、離婚することになりました。 子ど

   もはいませんが、定住者の在留資格許可はとれますか?
A7:相当期間(3年程度)実体関係がある婚姻を継続していた場合には、日本人と離

   婚して、かつ子どもがいなくても、定住者の在留資格への在留資格変更許可を

   認容されることがあります。。

Q8:私は日系人の配偶者です、在留資格は「定住者」です。 この度、夫婦関係不

   仲が原因で、協議離婚することになりました。 この在留資格「定住者」の更

   新は可能ですか?
A8:この場合は、日本人配偶者の場合よりもさらに「日本との結びつき」は弱まり

   ますから、要求される「相当期間」等は長めになるとみて下さい。 

Q9:私は在留資格「人文知識・国際業務」で在留しており、日本人や日系人との身

   分関係はありません、在留資格「定住者」への変更は可能ですか?
A9:在留期間の長さ、独立生計要件、これまでの在留状況、家族の有無、人道的理

   由等の諸般の事情を総合的に考慮して、特段の事由があるときは、「定住者

   への変更を認容されることは例外的にあります。

Q10:私は日本人や日系人とのつながりもないし、現在、オーバーステイです。 在  

   留資格「定住者」の許可される方法はありますか?
A10:「定住者」の要件には全く合致しません、このケースは「在留特別許可」のみ

   該当する可能性があります。 「在留特別許可」の要件は複雑です、これまで

   の実務経験で、重要なのは、「監護養育している子どもの存在」です。 しか

   もその「子どもの年齢」と在留期間(10年以上目安)が重要です。

Q11:在留資格「定住者」と聞くと、いわゆる「定住外国人」のことを想起します

   が、何か関係はありますか?
A11:関係がありません。 在留資格「定住者」で在留していても、日本に来たばか

   りで、実際には全く「定住」していない外国人も多くおられます。 他方、10

   年以上、日本にいながら「定住者ビザ」を持っていない外国人はむしろごく普

   通であります。 つまり、「定住者」の在留資格というのは、入管法上の法律

   用語ですが、一般によく聞く「定住外国人」という語は単に、長く日本に在留

   しているだけで、定住者ビザの有無とは直接関係がない用語法や文脈で用いら

   れています。
Q12:日本人配偶者でしたが、離婚しました。 日本人実子一人存在しますが、現実

   の養育はありません。 在留資格「定住者」の認定許可されますか? 

A12:経験則上、ほとんど許可されていません。 

Q13 : 私は日本人男性で、妻は韓国人です。妻には連れ子(娘)がおり、私とは養子

         縁組をしています。 私達夫婦が結婚してからしばらくは娘は妻の両親(韓国)

   のもとで暮らしておりましたが、娘が16歳の時に認定証明書の申請を行い、学

   校の長期休暇を利用して来日させ、「定住者」の在留資格を貰いました。
    その後学校があるので娘は一旦、韓国に帰国させ、毎年夏休みに来日させて

   在留資格の延長をしておりましたが、この度娘が高校を卒業し日本の大学へ入

   学が決まり、日本で一緒に生活することになりました。 娘は高校の外国語の

   授業で日本語を専攻しており、大学入試もとても優秀な成績でしたので、奨学

   金がもらえることになったのですが、その奨学金受給の条件が「留学」の在留

   資格を持っていることとあり、大学に問い合わせましたところ、娘のように

   「定住者」では受給要件を満たさないのだそうです。  娘のようなケースで

   「留学」の在留資格は取れますか?

A13:今回のようなケースはよくあることです。 もちろん問題なく「留学」への在

   留資格変更はできますが、大学卒業後に再度「留学」から「定住者」への変更

   はできないということです。 それはなぜかと言いますと、娘さんに付与され

   ている「定住者」の在留資格の要件が、「日本人の配偶者の未成年で未婚の実

   子」であるからです。 娘さんは16歳の時に在留資格の決定がされていますの

   で、当時は上記要件を問題なくクリアしておりますが、大学卒業の時点では既

   に成年に達していますので、上記には該当しなくなってしまうのです。
    そのため大学を卒業する等して学業を修了しその後も日本で生活する場合、

   奥さんの連れ子としての在留資格は得れませんので、娘さん自身が就職するな

   どして適合する在留資格を得る必要があります。
    もっとも多くの留学生は親元を離れてひとりで日本にやってきて、卒業後も

   自立して就職をしています。 要は彼らと同じスタンスに立つことになるだけ

   であり、優秀である娘さんについては心配ないのかもしれませんが、少なくと

   も就労に一切の制限のない「定住者」であるよりは職業選択の幅は小さなもの

   にはなります。 「定住者」であれば、履修した学問分野とまったく別の道に

   進むのも自由(大学を辞めてダンサーを目指したって問題ありません。)です

   し、親の扶養を受けているのであれば大学卒業後にフリーターでも無職であっ

   ても構いません。 また、「定住者」の付随的なメリットとして、「定住者

   を得てから5年以上経てば永住許可申請ができるという緩和措置があるのに対

   し、「留学」から就労資格への変更を行った者については、継続して10年以上

   の在留歴があり、かつ、就労資格に変更してから5年以上が経過しないと永住許

   可申請ができないなどの違いがあります(ただし奥様が「永住者」であるか、

   又は奥様の永住申請と同時に永住申請するのであれば在留資格が「留学」でも

   申請可能です(本邦上陸後1年以上経過している必要はあります。))。
    奨学金の額によっては当然魅力的なお話でしょうし、当事者であるお子さん

   の方が自立心が旺盛で奨学金受給に積極的な場合もあります。 奨学金を得る

   ことで在留の地位の安定を失うことになります。

 

 

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2016年

8月

09日

仮放免許可申請

    一昨年の7月以降、政府が不法滞在者の取り締まりを一層強化しており、その発覚が頻繁になってきました。 「逮捕された」、「収容された」と「助けて!」との声がよく聞こえてきます。 基本的には不法滞在は違法であり、許されることではありませんが、その中で、難民のように、本国に帰国出来ないそれぞれの特別な事情があることも事実です。 入管に収容されたら仮放免許可申請在留特別許可願を至急提出しなければ、退去強制になる場合が殆どです。 即ち、迅速な対応が必要です(遅くとも逮捕・収容されてから2週間以内に申請)、ぐずぐずしていると退去強制命令が出されてしまいます。 退去強制命令が出されてしまうともうその変更は殆ど不可能というのが現状です。 配偶者や婚約者が不法滞在者である場合は入管や警察に逮捕される前に日本人の配偶者等の在留資格許可申請をして下さい。 このような取り扱いが難しい許可申請は入管のプロである申請取次行政書士の「横浜のアオヤギ行政書士事務所」にお任せ下さい。

 

仮放免とは

 不法残留者や不法滞在者が退去強制事由(出国命令対象該当者は除く)に該当すると疑う相当の理由があれば、入国管理局の主任審査官が発布する収容令書により容疑者を収容することになります。 原則として収容施設のうえ60日以内に結論が出される仕組みになっていますが、健康上の理由などから、一時的に収容停止にして、手続きを進めることが認められており、そのことを仮放免と言います。

 

仮放免の請求権者

 被収容者の代理人(行政書士など)、保佐人、配偶者、直系の親族若しくは兄弟姉妹

基本的には、身元保証人がなります。 行政書士が身元保証人になるときに申請人となります。 婚約者も同じく、身元保証人になり、申請人になることが可能です。

 

仮放免許可請求先

 入国者収容所に収容されている場合は当該入国者収容所長に、また地方入国管理局の収容場に収容されている場合は当該収容場を管轄する地方入国管理局の主任審査官に請求します。 なお、仮放免許可を請求する場合には、許可された場合仮放免中の身元引受け及び法令遵守等の指導を行う身元保証人を決めておかなければなりません。

 

仮放免許可申請提出書類

 仮放免許可申請書仮放免を請求する理由を証明する疎明資料、身元保証人に関する資料等、詳細については請求先の地方入国管理局、入国収容所又は申請取次行政書士に確認下さい。

 

仮放免の許可

 仮放免の請求があった場合は、入国者収容所長又は主任審査官が、被収容者の情状及び仮放免の請求の理由となる証拠並びにその者の性格、資産等を考慮して、その者を仮放免することが出来ると定めらています。 仮放免の許可に際して、300万円以下(通常50万円前後)の保証金を納付させ、かつ、住居及び行動範囲の制限、呼び出しに対する出頭の義務その他必要と認める条件を付すものとされています。 この保証金は在留特別許可が認められた場合、または、入国管理局が本人の出国を確認した後に返還されます。

 

仮放免許可申請に該当するケース

・収容令書による仮放免(入国管理局により身柄を収容された場合)
・出頭申告による仮放免(在留特別許可等を願い出て出頭申告した場合)
・退去強制令書による(退去強制令書が発付されてからの仮放免許可)

 オーバーステイ(不法滞在)容疑で収容された場合、原則として60日以内に退去強  

 制などの処分が確定します。    ただし、退去強制令書による仮放免許可のように、

 退去強制令書が発付された場合でも、一定の条件を満たし、かつ特別な事情がある 

 と判断されれば、例外的に一時的な仮放免が許可される場合があります。     実際、

 仮放免許可の流れと在留特別許可(退去強制手続きの流れ)は全く独立した別建て

 の手続きですが、在留特別許可の可能性が高まれば、仮放免許可されるというケー

 スを多々見てきたこともあり、仮放免許可申請をすることを強くお勧めします。   
 ただ、仮放免許可申請は申請のタイミングや申請の理由等、重要なポイントがいく

 つかあり、それを誤ると許可されるべき事案で不許可になったりすることがありま

 す。

 

仮放免根拠法令

出入国管理及び難民認定法第54条第2項

 入国者収容所長又は主任審査官は、前項の請求により又は職権で、法務省令で定めるところにより、収容令書又は退去強制令書の発付 を受けて収容されている者の情状及び仮放免の請求の理由となる証拠並びにその者の性格、資産等を考慮して、300万円を超えない範囲内で法務省令の定める額の保証金を納付させ、かつ、住所及び行動範囲の制限、呼出しに対する出頭の義務その他必要と認める条件を付して、その者を仮放免することができる。

 

仮放免取扱要領第9条

 入国者収容所長又は主任審査官は、仮放免許可申請書並びに第6条及び第7条に規定する書類の提出又は送付を受けたときは、被収容者の容疑事実又は退去強制事由及び前条に定める入国審査官等の意見のほか、次の点を勘案し、仮放免を許可することができる。

(1)仮放免請求の理由及びその証拠
(2)被収容者の性格、年齢、資産、素行及び健康状態
(3)被収容者の家族状況
(4)被収容者の収容期間
(5)身元保証人となるべき者の年齢、職業、収入、資産、素行、被収容者との関係  及び引受け熱意      
(6)逃亡し、又は仮放免に付す条件に違反するおそれの有無
(7)日本国の利益又は公安に及ぼす影響
(8)人身取引等の被害の有無
(9)その他特別の事情
 

仮放免の許否判断

 仮放免の許否は、仮放免請求等に基づき、個別の事案ごとに諸般の事情を総合的に勘案して判断されるものであり、許否に係る基準はありませんが、その許否判断に当たって考慮する事項は、出入国管理及び難民認定法第54条第2項及び仮放免取扱要領第9条において次のとおり定められています。   

・被収容者の容疑事実又は退去強制事由
・仮放免請求の理由及びその証拠
・被収容者の性格、年齢、資産、素行、健康状態
・被収容者の家族状況
・被収容者の収容期間
・身元保証人となるべき者の年齢、職業、収入、資産、素行、被収容者との関係及 
 び引受け熱意
・逃亡し、又は仮放免に付す条件に違反するおそれの有無
・日本国の利益又は公安に及ぼす影響
・人身取引等の被害の有無
・その他特別の事情

 

仮放免のQ&A

Q1:仮放免とはそもそも何ですか?

A1:簡潔に言えば、収容されている外国人の身柄を一時的に解放する処分をいいま

        す。   刑事事件における保釈とは違う手続きですが、似ている点もあります。

Q2:仮放免の許可条件は何ですか?

A2:実は、仮放免許可の要件については入管法上に明確な定めはありません。

        入管法54条2項は、「収容されている者の情状及び仮放免の請求の理由となる証

        拠並びにその者の性格、資産等を考慮して、300万円を超えない範囲内で法務省

        令によって定める額の保証金を納付させ、かつ、住居及び行動範囲の制限、呼出

        しに対する出頭の義務その他必要と認める条件を付して、その者を仮放免でき

        る」と規定しています。 つまりは様々な事情を総合的に判断して決めるという

        ことです。   但し、一定の非公開の基準はあります。

Q3:仮放免許可申請を専門家に依頼したいと思っています。行政書士、弁護士のど

        ちらに依頼するのが良いですか?

A3:できることはいずれでもほとんど変わりはありません。それより大切なのは入管

        専門の申請取次行政書士であるかどうか、専門の弁護士であるかどうかという点

    です。  小職の聞いた話では、資格者に依頼しているにも関わらず、その資格者

        は仮放免理由書を数行書いて提出しただけで、仮放免が不許可になっている事例

        があります。   プロからすると、「ありえない」話ですが、お客さんの無知に付

        け込み、適当な仕事をする人もいる、ということです。   行政書士や弁護士も

        様々です。   専門家は専門分野により経験や知識が人により大きく違うというこ

        とを認識しておいてください。

Q4:ボランティアの方が仮放免のサポートをしてくれるようですが、頼んでもいい

   でしょうか?

A4:もちろん頼むのは自由です。しかしながら、ボランティアの方は入管て手続きの

   プロではなく、善意からあくまで「無料奉仕」でやっていますので、間違った

   ことをされても文句はいえません。  自分や配偶者の運命がかかったこの瞬

   間に、無料奉仕の素人に運命を委ねるか、百戦錬磨のプロ・申請取次行政書士

   に依頼するほうがいいのかはよくお考えください。

Q5:私の彼が福岡入管に捕まってしまったようです。 仮放免許可申請の依頼を考

   えています。遠方からですがご依頼できますか?

A5:はい、大丈夫です。実際、入管の収容業務を専門とする、行政書士、弁護士は少

    ないのが現状です。   その上、仮放免許可申請や在留特別許可に関し、経験豊富

        な行政書士、弁護士はさらに少ないのが現状です。

Q6:仮放免の際に必要になる保証金額はいくらぐらいですか?

A6:一概には言えませんが、30万円程度が多いです。

Q7:行政書士や弁護士は仮放免申請が出来ますか?

A7:はい、行政書士や弁護士は代理人として、仮放免許可申請をすることが出来ま

        す。 ただし、身元保証人になることが条件です、
Q8:申請をしてから仮放免の結果が出るまでに要する時間はどれぐらいですか?

A8:仮放免の審査に要する時間は、約2週間~1ヶ月ほどです。仮放免許申請の結果

        は申請書に記載した申請人宛に仮放免の結果は通知されます。   つまり行政書

        士、弁護士などに依頼した時には、仮放免許可申請を受任した行政書士事務所、

        弁護士事務所に通知される事になります。

Q9:自分で仮放免申請をするのが不安です。仮放免は簡単に認められますか?

A9:仮放免申請の許可を得ることは、簡単ではありません。

        一般的に在留特別許可が認められる可能性が高ければ、仮放免も許可されやすい

   と思っています?が決してそんなことはありません。 仮放免の許可率を上げ

   るためには緻密かつ詳細な理由書を提出する必要があります。 現在の入管実

   務の運用では、多くの場合、病気等の身体的事情、出頭申告をした者に認めら

   れることが多いです。 一方、仮放免は不許可に終わったが、その後在留特別

   許可が認められているケースもあり、たとえ仮放免が不許可に終わったとして

   も在留特別許可が認められないというわけではありません。

Q10 : 過去に仮放免が許可された事例はどんなものがありますか?

A10 : まず多いのは、出頭申告された方です。   次に、退去令書発布後の取消訴訟を

         提起している方です。   但し、訴訟を起こしたほうがよいかは、慎重な判断が

         必要です。

Q11 :仮放免許可申請は入国管理局に外国人が収容されたら、すぐに行うものと考え

   てよいのですよね? 知人が出頭して収容されました、彼には日本人配偶者が 

   おり現在妊娠しています。 このようなケースでは在留特別許可を受理される

   可能性が高いのでは? 仮放免許可申請はまだしていないということですが。

A11 : 仮放免許可は、病気などの人道的な理由で許可されるという建前は入管のホー

   ムページに記載されていますが、現状は人道的な配慮はありません。 許可さ

   れるかどうかは別として、配偶者であれば一日も早く監禁された配偶者を救出

   したいというの当然のことです、通常は収容当日にでも仮放免申請すべきもの

   です。 しかしながら、仮放免申請の書類を入管に取りに行くと「申請するだ

   け時間の無駄など」と入管職員に言われ、申請をするのを躊躇してしますま

   す。 在留特別許可の可能性が高まれば、仮放免許可されるというケースは多

   くありますので、すぐに仮放免許可申請をして下さい。
Q12 : 仮放免が許可された後、以前に、不法就労の事実が発覚した場合、仮放免許可

   は取消されますか?
 

A12 : 入管の判断次第です。 仮放免許可の段階で入管当局が覚知していなかった違

   法行為が、仮放免許可後に発覚した場合は、仮放免取り消しは当然あります。
   ただし、現実には、不法滞在者の大部分が、不法就労を伴った不法滞在者であ

   りますが、仮放免許可はされています。 このため、あらたに不法就労の経歴

   が発覚した場合でも、必ず仮放免許可が取消されるとは断言できません。 仮

   放免許可がそのまま続く可能性も少しはありえます。
Q13 : 母親と19才の少年がオーバースティで出頭しましたが、結果的に仮放免許可が

   下りました。 本来なら収容されるところ、仮放免許可がおりましたが、なに

   が理由でしょうか?   仮放免許可証を所持している場合でも警察から拘束され

   ることがありますか?

A13 : まず、未成年の少年が扶養者(母)と共に仮放免されたとかんがえられます。

   仮放免中でも、不法残留(法律違反)中ですので警察に入管法違反で検挙され

   ることはあります。 仮放免は、刑事手続きとは別個のものなので、罰則を免

   除したり、猶予する効果はありません。 仮放免許可書は常に携帯してくださ

   い。 これを見せれば、拘束される可能性は低くなります。 通常は身柄を拘

   束して退去強制手続きを行います。 仮放免を許可されると言うことは決して

   普通のことではありません。 
 

 

難民認定申請と仮滞在許可申請

1.難民認定申請
   申請書類を作成し、地方入国管理局へ難民認定の申請をします。 申請者の方は  

  難民認定を必要とする状況についてインタビューを受けることになります。

2.仮滞在許可(※注1)
   不法滞在者等の在留資格未取得外国人から難民認定申請があったときは、その   

  者の法的地位の安定を図るため、当該外国人が本邦に上陸した日(本邦にある間   

  に難民となる事由が生じた者にあっては、その事実を知った日)から6か月以内に   

  難民認定申請を行ったものであるとき又は難民条約上の迫害を受けるおそれのあ   

  った領域から直接本邦に入ったものであるときなどの一定の要件を満たす場合に 

  は、仮に本邦に滞在することを許可し、その間は退去強制手続が停止されます。  

  なお、仮滞在許可の判断は、難民認定申請者から提出のあった難民認定申請書

  の書類により行われるので、別途、仮滞在許可のための申請は必要ありません。

3.仮滞在許可による滞在
   仮滞在許可を受けると一時的に退去強制手続が停止され、仮滞在期間の経過等   

  当該許可が終了するまでの間は、適法に本邦に滞在することができます。  

 ・仮滞在許可書
   法務大臣が仮滞在の許可をした外国人には、仮滞在許可書が交付されます。     

   許可を受けている間は、この許可書を常に携帯する必要があります。  

   仮滞在期間及び同期間の延長の書類により行いますので、別途、仮滞在許可の 

   ための申請は必要ありません。 仮滞在期間は、原則として3月です。 仮滞

   在期間の更新申請は、許可期限の10日前から受け付けており、申請書は、各地

   方入国管理局、支局及び出張所の窓口に備え付けてあります。    

 ・仮滞在許可の条件     
   仮滞在許可を受けた者は、住居や行動範囲が制限されるほか、本邦における活 

   動についても、就労は禁止され、また、難民調査官から出頭の要請があった場

   合には、指定された日時、場所に出頭して、難民認定手続へ協力する義務が課

   されるなど、種々の条件が付されます。     

 ・仮滞在の許可の取消し     
   仮滞在の許可を受けた者がその付された条件に違反した場合、不正に難民認定

   を受ける目的で偽変造された資料を提出した場合、虚偽の陳述をした場合等に

   は仮滞在の許可が取り消されることがあります。    

 

難民認定
 難民と認定されると、「定住者」の在留資格が与えられます。 また、難民と認定された人が海外へ出国する際には、パスポートの代わりとして「難民旅行証明書」の交付を受けることができます。

1.異議申立て
   不認定の場合、異議申立てを行うことができます。

2.異議申立人
   難民認定がされなかった外国人や、難民認定を取り消された外国人は、法務大 

   臣に対して異議申立てをすることができます(入管法61条の2の9)。

3.異議申立期間
   原則として難民認定をしない旨の通知、または難民認定を取り消した旨の通知

   を受けた日から7日以内

4.異議申立ての窓口
   異議申立人の住所または現在地を管轄する入国管理局

5.異議申立てに必要な書類
  ①異議申立書
  ②異議申立の理由を立証する資料

6.法務大臣の決定
   法務大臣が、異議申立てに理由がある旨の決定をし、難民と認定された外国人 

   には、難民認定証明書が交付されます。難民と認められた外国人が、一定の要

   件を満たす場合は、定住者の在留資格が与えられます。 また、一定の要件を

   満たさない場合でも、在留を特別に許可すべき事情がある場合は、特別に在留

   を許可されることがあります。

7.退去強制
   異議申立ても却下され、また訴訟を行った場合で敗訴したときには、退去強制  

   処分を受け、第三国へ出国することになります。

 

平成24年の難民認定申請者数

   平成24年に我が国において難民認定申請を行った者は2545人であり、前年に比べ678人(約36%)増加しました。 また、難民の認定をしない処分に対して異議の申立てを行った者は1738人であり、前年に比べ19人増加し、申請数及び異議申立数いずれも、我が国に難民認定制度が発足した昭和57年以降最多となりました。 難民として認定した者は18人(うち13人は異議申立手続における認定者)、難民として認定しなかった者は、難民認定申請(一次審査)で2083人,異議申立てで790人で、難民とは認定しなかったものの、人道的な配慮が必要なものとして在留を認めた者は112人であり、両者を合わせた数(庇護数)はたったの130人でした。

 

難民認定申請数及び異議申立数

 (1)  難民認定申請数
   ア 難民認定申請を行った者(以下「申請者」という。)は2545人であり、前

     年に比べ678人(約36%)増加しました。
       イ 申請者の国籍は、50か国にわたり、主な国籍は、トルコ423人、ミャンマ

     ー 368人、ネパール320人、パキスタン298人、スリランカ255人、バン

     グラデシュ169人、インド125人、ナイジェリア118人、ガーナ104人、
     カメルーン58人となっています。
   ウ 申請者の申請時における在留状況は、正規在留者が1777人(申請者全体の  

     約70%)で,不正規在留者が768人(同約30%)となっています。
         なお、不正規在留者のうち、収容令書又は退去強制令書が発付された後に 

     申請を行った者は586人(約76%)となっています。 
   エ 申請者全体の約23%に当たる573人が、過去に難民認定申請を行ったこと

     があり、このうち正規在留者は279人(うち、難民認定申請中であること

     を理由に付与された在留資格「特定活動」を有する者が約91%)、不正規

     在留者は294人(うち、既に退去強制令書の発付を受けている者が83%) 

     となっています。           
(2) 異議申立数
   ア 難民の認定をしない処分に対して異議の申立てを行った者(以下「異議申

     立者」という。)は1738人であり、前年に比べ19人増加しました。
   イ 異議申立者の国籍は、47か国にわたり、主な国籍は、トルコ296人、ミャ

     ンマー272人、ネパール257人、スリランカ206人、パキスタン197人、バ

     ングラデシュ131人、インド77人、カメルーン62人、ナイジェリア49人、
     イラン37人となっています。

処理の状況
(1) 難民認定申請(一次審査)
   ア 難民認定申請の処理数は2198人であり,前年に比べ79人増加しました。そ

     の内訳は、難民と認定した者(以下「認定者」という。)5人、難民と認定

     しなかった者(以下「不認定者」という。)2083人、申請を取り下げた者

     等110人です。
   イ 不認定者の主な国籍は、ミャンマー337、トルコ334人、ネパール303人、 

     パキスタン247人、75スリランカ210人、バングラデシュ154人、インド 

     96人、ナイジェリア75人、カメルーン66人、イラン49人となっていま 

     す。                             
(2) 異議申立て
       異議申立ての処理数は996人であり、前年に比べ116人(約13%)増加しまし 

   た。 その内訳は、異議の申立てに理由があるとされた者(認定者)13人、理

   由がないとされた者(不認定者)790人、異議申立てを取り下げた者等193 

   人です。 なお、法務大臣は、異議申立てに対する決定に当たって、難民審査 

   参与員の意見を聴かなければならないとされています(出入国管理及び難民認 

   定法第61条の2の9)。過去に法務大臣が難民審査参与員の意見(意見が分かれ 

   たものについては多数意見)と異なる決定をした例はありません。  

(3) 庇護数

     難民と認定しなかったものの、人道上の配慮を理由に在留を認めた者(以下「そ

   の他の庇護者」という。)は112人です。  認定者18人にその他の庇護者112人

       を加えた130人が、我が国が実質的に庇護を与えた者(庇護数)です。  なお、

       認定者の国籍は、ミャンマーほか3か国で、認定者数はミャンマー15人ほか  3人

       となっています。 また、庇護を与えた者の国籍は、16か国にわたり、うちミャ

   ンマーが89人で全体の約68%を占めています。  

(4) 仮滞在許可制度の運用状況

   仮滞在許可(※注1)者は74人で、前年に比べ3人増加しました。  仮滞在の許可

   可否を判断した人数は701人で、許可対象とならなかった者について、その理由

       の主なものは次のとおりです。  ①本邦に上陸した日(本邦にある間に難民とな 

   る事由が生じた者にあっては、その事実を知った日)から6か月を経過した後に

   難民認定申請をしたこと…410人、②既に退去強制令書の発付を受けていたこ

   と…320人となっています(※注2)。
     

難民認定申請における主な申立て

(1) 認定者の主な申立て(※注3)
     ・本国において、反政府団体のメンバーとして反政府活動を行ったところ、本国    

   政府から逮捕され、尋問や拷問を受けた
       ・本邦において、反政府団体のメンバーとして積極的かつ継続的に反政府活動を

          行っている
(2) 不認定者の主な申立て(※注3 )
      ・対立政党の構成員等から危害を加えられるおそれ(約19%)
      ・反政府団体やテロ組織,犯罪組織等から危害を加えられるおそれ(約17%)
      ・相続問題や借金取立て等の私人間の争いや生活苦などの個人的事情(約 17%)
      ・過去に難民不認定処分を受けた申請における申立てと同様の申立て(約15%)

  (※注1) 「仮滞在許可」とは、不法滞在中の難民認定申請者の法的地位の安定 

        化を速やかに図ることを目的として、これら不法滞在者から難民認定 

                     申請があった場合に、出入国管理及び難民認定法第61条の2の4第1項

                     に定める要件に該当する場合を除き、その者に仮に本邦に滞在するこ

                     とを許可する制度です。
        (※注2) 1人の申請者について許可しなかった理由が複数ある場合は、そのすべ

                     てが計上されています。
      (※注3) 平成24年下半期分(約1200件)について分析したものです

 

 

 

 

 

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2016年

3月

01日

在留資格「建設特定活動」

 横浜「アオヤギ行政書士事務所」が在留資格「建設特定活動」につき解説いたします。

ご質問やお問合せは、下記のフォームに記載のうえ、メールにて送信下さい。なお、返信ご希望の質問には、貴メールアドレスの記載をお忘れなく。

 

 2020年オリンピック東京大会関連の建設需要に対応するため、人材不足に悩み、人材確保のため、 緊急時限的措置として、建設分野の技能実習を満了した技能実習生が、外国人建設就労者として最大で3年間雇用契約に基づく即戦力労働者として建設業務に従事できるようになりました。

 

技能実習期間の満了後、引き続き継続して在留する場合

 技能実習期間を満了後、引き続き国内に在留する場合は外国人建設就労者として、企業との雇用契約のもと、「特定活動」の在留資格をもって2年間、建設業務に従事することができます。

 

入管への許可申請提出書類

1.在留資格変更許可申請書

2.受入れ建設会社の登記簿謄本

3.受入れ建設会社の決算書

4.受入れ建設会社の法定調書合計表

5.雇用契約書

6.身元保証書

7.本人の住民票

8.本人の課税証明書、納税証明書

9.その他(要請があれば、提出するもの)

10.パスポートと在留カード提示

 

 

 技能実習から建設特定活動への流は、下記の図を参照ください。(TICC協同組合作成)
 

技能実習期間の満了後、帰国してから1年未満で再入国して在留する場合、又は、技能実習期間の満了後、帰国してから1年以上経過後に再入国して在留する場合

 技能実習期間を満了後、一旦帰国した技能実習生が帰国後1年未満で再入国する場合、特定活動の在留資格で2年間雇用契約を結び、建設業務に従事させることができます。

 技能実習期間を満了後、一旦帰国した技能実習生が帰国後1年以上が経過した後に再入国する場合、特定活動の在留資格で最大3年間雇用契約を結び、建設業務に従事させることができます。

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2016年

2月

27日

在留資格「特定活動」指定書

 「横浜のアオヤギ行政書士事務所」が在留資格「特定活動」の指定書につき、解説致します。 ご意見やご質問は下記のフォームに記載のうえ、メールにて送信下さい。 なお、返信希望のご質問には、貴メールアドレスの記載をお忘れなく。

 

 在留資格「特定活動」は様々な活動が含まれます。 その許可要件や日本での活動内容は個々により大きく異なります。 従って、「特定活動」在留資格で上陸許可を受けた場合には許可された「特定活動」の内容が解るように、指定書が交付されます。 上陸許可証印シールの付近に指定書を添付します。 また、在留資格変更許可等により指定書を交付する
在留資格で在留カードを交付する場合には、旅券や在留カードに添付することなくそのまま指定書を交付されますが、紛失防止等の理由により旅券への添付を推奨します。

 

指定書とは

 次に記載する在留資格の方が就労できるかどうかを記載(指定)した紙片のことです。
   ① 家事使用人の特定活動の外国人(雇用主が外交と投資経営及び法律会計業務など)
 ② ワーキングホリデー、サマージョッブの特定活動の外国人
 ③ 在留資格留学の外国人
   ④ 就職活動中の特定活動の留学生
 ⑤ 難民申請中の外国人

 

 

特定活動」に該当する活動は以下の通りです。

1.特定研究等活動

  日本の公私機関(法務省令で定める要件に該当する事業活動を行う機関で法務大

  臣が指定したものに限る)との契約に基づいて研究、指導、教育に関連する事業

  を経営する活動。 一般の企業や個人が利用することはあまりありません。

2.特定情報処理活動

  一般の企業や個人が利用することはあまりありません。

3.特定研究活動・特定情報処理活動者の配偶者や子

  一般の企業や個人が利用することはあまりありません。

4.法務大臣が個々の外国人について特に指定する活動

  1)外交官等の個人的使用人

  2)投資・経営」等の個人的使用人

    投資・経営の在留資格者は、家事使用人を雇用することができます。 一般

    的な例は、外国本社の役員などが日本赴任にあたり、現地のメイドを家族と

    共に日本に招へいする場合
    家事使用人の在留資格「特定活動」申請の要件
    1 家事使用人が18歳以上であること
        2 月額15万円以上の報酬を受けて、雇用した外国人の家事に従事すること
            3 13歳未満の子がいること、または病気等により日常の家事に従事するこ

                  とができない配偶者がいること

  3)亜東関係協会(台湾の対日窓口機関)職員とその家族 

    亜東関係協会(あとうかんけいきょうかい)とは、台湾の対日窓口機関であ 

    り、台北駐日経済文化代表処の台北本部です。 日本との間に国交がないた

    め形式的には非政府機関でありますが、実質的には中華民国外交部の所管。

    日本側のカウンターパートは公益財団法人交流協会

  4駐日パレスチナ総代表部職員とその家族

    The Permanent General Mission of Palestine

    東京都千代田区麹町2-12-1CTS麹町ビル7階 大使/常駐総代表:ワリー

    ド・シアム 閣下 H.E. Mr. Waleed SIAM, Ambassador, Representative

    of the Permanent General Mission of Palestine

  5)ワーキングホリディ 

    二つの国・地域間の取り決めに基づき、おのおのの国・地域が、相手国・地

    域の青少年に対して、自国・地域で一定期間の休暇を過ごし、その間の滞在  

    費を補うために就労することを相互に認める制度です。 ワーホリと略され

    ることもあります。 通常の観光ビザでは訪問国での就労はいっさい認めら

    れませんが、国際的に広い視野をもった若い人を育て、相互理解や友好を深

    めることを目的にする限りにおいて許可するという趣旨です。 風俗営業な

    どこの目的に反するとみなされる職種に従事することはできません。      

    日本のワーキング・ホリデー制度は、1980年(昭和55)にオーストラリア

    との間で初めて締結された。その後ニュージーランド(1985年)、カナダ

    (1986年)、韓国・フランス(1999年)、ドイツ(2000年)、イギリス

    (2010年)と締結し、2013年(平成25)2月のノルウエーで12か国・地

    域となりました。 ビザの有効期間は最長1年(イギリスのみ2年)ですが、

    就労期間は、これとは別に6か月以内などと定められています。 また、ビ

    ザの年間発給数に上限が設けられている国・地域(2013年時点で、カナダ

    6500人、韓国1万人、フランス1500人、イギリス1000人、アイルランド

    400人、台湾2000人、香港250人)、申請期間が決められている国・地域な

    どがあります。 申請要件として、申請時の年齢が18歳以上30歳以下(韓国

    とアイルランドは25歳以下)であること、子供を同伴しないこと、滞在当初

    の生計を維持できる資金を所持することなどが定められています。 日本で

    ワーキング・ホリデービザの発給を受けるためには、国内にある相手国大使

    館または領事館に申請を行います。 制度利用者数は、『平成19年版観光白

    書』の「ワーキング・ホリデー査証発給実績」(2006年・締約国7か国)に

    よると、日本からオーストラリアへは1万0939人でオーストラリアから日本

    へは918人というように、韓国を除いて日本からの利用者のほうが多くなっ

    てます。

  6)アマチュアスポーツ選手とその家族

  7)外国弁護士の国際仲裁代理

  8)インターシップ

    インターンシップとは、外国の大学生が就業前の準備として、日本企業に受

    け入れられ、実習を行い就業を体験する活動です。 一般的なのは、海外で

    採用予定の大学生に、採用前の研修の一環として日本本社で業務に従事させ

    る場合です。 そして、インターンシップには報酬を払う場合と報酬を払わ 

    ないものがありますが、有償の場合には「特定活動」を申請し、無償の場合

    は「文化活動」または「短期滞在」を申請します。

  9)英国人ボランティア

 10)サマージョブ 

    外国の大学生が、サマージョブ(学業の遂行及び将来の就業に資するものと

    して、夏季休暇等の期間(3月を超えない期間)を利用して我が国の企業等

    の業務に従事する活動)を希望する場合
 11)外国の大学生が参加する地方公共団体の国際文化交流

    外国の大学生が、国際文化交流(大学の授業が行われない3月を超えない期 

    間、我が国の地方公共団体が実施する国際文化交流事業に参加し、日本の小

    中学校等において国際文化交流に係る講義を行う活動)を希望する場合
 12)インドネシア・フィリピンの協定に基づいた看護師、介護福祉士※注1参照

    日・インドネシア経済連携協定(平成20年7月1日発効)に基づき平成20年

    度から、日・フィリピン経済連携協定(平成20年12月11日発効)に基づき

    平成21年度から、年度ごとに、外国人看護師・介護福祉士候補者(以下「外

    国人候補者」という。)の受入れを実施してきており、これまでに両国併せ

    て累計1562人が入国してきました。(平成24年度の入国完了(平成24年5

    月29日)時点) また、ベトナムからの候補者の受入れに向けて、政府部内

    やベトナム側との間で調整を行っています。 これら3国からの受入れは、

    看護・介護分野の労働力不足への対応として行うものではなく、相手国から

    の強い要望に基づき交渉した結果、経済活動の連携の強化の観点から実施す

    るものです。

 13)病院等に入院し、医療を受ける、又その付添

 14) 大学を卒業した留学生が卒業後「就職活動」や「起業活動」を行うことを希

    望する場合

 15)法務大臣が上陸特別許可、在留資格変更許可、在留特別許可に基づいて、上

    陸・在留を認める場合、他に該当する資格がないときに「特定活動」の資格

    が付与されることがあります。 在留期間更新申請や在留資格変更申請が不

    許可になった場合に出国準備期間として「特定活動」が付与されます。

    例)在留資格で許可された在留活動を3ヶ月以上継続して行わない場合は、

      在留資格取消の対象になり、在留期限が残っていても取消対象で(入管

      法22条の4第6項)、 取消決定後、通常1ヶ月の出国準備機関の「特定

      活動」が付与されます。

 

「特定活動」Q&A

Q1: 私は今年3月に日本の大学を卒業しましたが、まだ就職先が決まっていませ

   ん。  「留学」の在留資格はあと1ヵ月で切れてしまいます。どうすればよ

   いのですか?

A1: 在留資格「留学」から在留資格「特定活動」に変更することで、日本に滞在し

   て就職活動を続けることができます。 就職活動を目的とする「特定活動」

   は、原則6カ月なのですが、1回更新することができるので、最長1年間は日本

   に滞在することが可能です。      

Q2:就職活動のための「特定活動ビザ」を取得できるのは、どういう人なのです

   か?

A2:対象となるのは、「大学院、大学、短期大学の卒業者」もしくは「専門士の称号

    を取得した専門学校の卒業者」です。

Q3:日本語学校の卒業生なのですが、「特定活動」の在留資格とれますか?

A3:現在、日本語学校の卒業生には出されていません。

Q4:就職活動のための「特定活動」在留資格は、「留学」の在留資格が切れた直後

   に申請してもよいのですか?

A4:「留学」から「特定活動」への変更手続きは、「留学」の在留資格の期間が終

   了する前に行います。

Q5:就職活動のための「特定活動」を取得するには、何か必要な資料いりますか?

A5:「特定活動」の在留資格を取得するには、個人情報に関する資料のほか、卒業

   した学校からの推薦状が必要です。 さらに、継続的に就職活動をしているこ

   とを示す資料を添付することが求められます。

Q6:就職活動をしていることを示すためには、就職活動の記録を自分で手書きすれ

   ばよいのですか?

A6:自分で手書きした就職活動記録だけでは、申請を受け付けてもらえなかった

   り、最終的に「特定活動」の在留許可が認められない場合があります。 面接

   した会社のパンフレットや就職説明会における配布資料、就活セミナーなどの

   書類など、継続的に就職活動していたことが分かる証拠を数多く提出してくだ

   さい。

Q7:卒業した学校からの推薦状はすぐに出ますか?

A7: 一時期「特定活動」に関するトラブルが多発したため、推薦状を出すのに慎重

   になっている学校があります。  また、推薦状を出すために面談を実施した

   り、誓約書を出させる学校もあります。 なるべく早めに、学校の留学生相談

   窓口で相談してください。

Q8:卒業した学校が推薦状を出してくれないのですが、どうすればよいですか?

A8:面倒なので、推薦状を出さない大学や専門学校が、あります。 学校と交渉す

   る行政書士をご紹介します。

Q9:私の知人は学校から推薦書をもらったのに、私はもらえません。 不公平じゃ

   ないですか? 

A9:推薦書を発行する基準は、各学校の裁量に任されているので、学校により発行

   基準が違います。 自分に推薦書が出ないことを、入国管理局に抗議する留学

   生もいますが、入国管理局は推薦書の発行に関する権限を持っていないので、

   卒業した学校に問い合わせてください。

Q10 :「特定活動」の在留資格で、アルバイトはできるのですか? 

A10 :「留学」と同様に、「特定活動」の期間中でも、資格外活動の許可を得ること

         ができればアルバイトはできます。

Q11 :「特定活動」の在留資格を取得することができました。  今は、夏休みの期

   間なので、1日8時間までアルバイトしてもよいですね?

A11 : 「特定活動」の在留資格でアルバイトをする場合は、資格外活動の許可申請を

   して認可されねばなりません。 また、「特定活動」の在留資格は、「留学」 

   の在留資格ではありませんので、長期休暇期間の特例もありません。 したが

   って、「留学」の在留資格であれば、夏休みに1日8時間以内のアルバイトする

   事は許されますが、「特定活動」在留資格の場合、夏休みであっても1週間28

   時間を超えるアルバイトは認められません。 資格外活動において時間超過す 

   ると、2度目の更新申請が許可されない場合もあります。

Q12 :「特定活動」の期間中に会社の内定をもらったのですが、入社は来年4月にな

   ります。 いま持っている「特定活動」の在留資格まま、入社を待っていても

   よいのですか?

A12 : 内定をもらうと、来年4月に入社するまでの期間は、就職活動をおこなわない

         ことになります。   厳密に言うと、在留目的が異なることになるため、あらた

         めて在留資格の変更許可を申請する必要があるのです。   その場合は、同じ

        「特定活動」ですが、活動の目的が「就職活動」から「待機」に変わることに

   なります。

Q13 : 外国人の「特定活動」の在留資格についてお聞きしたいのです。 私は「永住 

   者」の在留資格をもっている中国人です、夫は日本人です。 私の母親75才は

   中国上海で一人暮らしで、とっても心配です。 中国には、母親の世話をする

   家族がいません。 私は専業主婦で、経済力はありません。 日本人の夫は扶

   養する意思はありますが、「特定活動」の在留資格許可申請できますか?

A13 : 「連れ親」についての「特定活動」の資格該当性については、
        ・扶養を受けていること
        ・本国に身寄りがないこと
        ・年齢が70歳以上であること
        の3点が要件とされているようです。  ただし年齢については70歳未満であっ

        ても疾病その他の事情により認められる場合があります。
    具体的には、まず短期滞在(親族訪問)で来日し、入国したらすぐに在留資格の

    変更許可申請します。 中国の医療機関の診断書があれば、確率が高くなりま

    す。   本邦に在留滞する正当な理由のある外国人は在留許可が取れます。

Q14 :「特定活動」の在留資格で就業について、今年の3月に日本の大学を卒業した

   中国人留学生を採用することとなりました。  採用するにあたり本人から在 

   留資格の変更(現在の資格は「特定活動」)をするにあたり①雇用契約書、②

   商業法人登記簿謄本、決算報告書、③会社パンフレットなどの提出を求められ

   たので、本人に渡し在留資格の変更の手続きを現在行っている最中です。 在

   留資格変更許可されるまでは弊社にて就業することはできないのでしょぅか?
     本人の在留資格変更許可には「就職活動及び当該活動に伴う日常的な活動(収

         入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動を除く)といった記載があ

         ります。

A14 :「資格外活動許可」を入国管理局から受けていれば、その範囲でアルバイトは

   可能です。 しかし、正式に社員として就労することはできません。
      現在当該中国人が持っている「特定活動」というのは、「就職活動に特定さ

         れた活動が可能」というもので、働くためのものではありません。   だからこ

         そ、「就職活動及び当該活動に伴う日常的な活動(収入を伴う事業を運営する

         活動又は報酬を受ける活動を除く)」とわざわざ記載されているのです。
            もし、資格外活動許可がなく、又は時間等の制限を超えた場合は、退去強制

   の対象になります。 また、現在申請中の資格変更許可申請も不許可になりま

   す。

 

※注1

経済上の連携に関する日本国とインドネシア共和国との間の協定の適用を受けるインドネシア人看護師等の出入国管理上の取扱いに関する指針(平成20年5月26日法務省告示第278号)

第一 目的

この指針は,経済上の連携に関する日本国とインドネシア共和国との間の協定(以下「協定」という。)第九十四条1及び4並びに協定附属書十第一編第六節の適用を受けるインドネシア人看護師等について,出入国管理に係る運用上の指針を定め,もって出入国の公正な管理を図ることを目的とする。

第二 定義

この指針において,次の各号に掲げる用語の意義は,それぞれ当該各号に定めるところによる。

一 インドネシア人看護師候補者 協定附属書十第一編第六節1の規定に基づき,保健師助産師看護師法(昭和二十三年法律第二百三号)第七条第三項に規定する看護師の免許を受けることを目的として本邦に入国し,在留する者をいう。

二 インドネシア人介護福祉士候補者 協定附属書十第一編第六節2の規定に基づき,社会福祉士及び介護福祉士法(昭和六十二年法律第三十号)第三十九条に規定する介護福祉士となる資格(以下「介護福祉士資格」という。)を取得することを目的として本邦に入国し,在留する者をいう。

三 インドネシア人看護師 協定附属書十第一編第六節3の規定に基づき,保健師助産師看護師法第五条に規定する看護師としての業務に従事する者として本邦に入国し,在留するものをいう。

四 インドネシア人介護福祉士 協定附属書十第一編第六節3の規定に基づき,介護福祉士の名称を用いて社会福祉士及び介護福祉士法第二条第二項に規定する介護等の業務に従事する者として本邦に入国し,在留するものをいう。

五 インドネシア人看護師等 インドネシア人看護師候補者,インドネシア人介護福祉士候補者,インドネシア人看護師又はインドネシア人介護福祉士をいう。

六 受入れ機関 協定附属書十第一編第六節の規定に基づき,その設立している病院,介護施設その他の施設(以下「雇用受入れ施設」という。)において雇用する契約をインドネシア人看護師等との間で締結した公私の機関をいう。

第三 インドネシア人看護師等及びこれらの受入れ機関に関する事項

 一 インドネシア人看護師候補者及びその受入れ機関 <ンドネシア人看護師候補者

   及びその受入れ機関は,それぞれ次に掲げる事項のいずれにも該当するものと

   する

  1 インドネシア人看護師候補者

  (一)経済上の連携に関する日本国とインドネシア共和国との間の協定に基づく  

    看護及び介護分野におけるインドネシア人看護師等の受入れの実施に関する

    指針(平成二十年厚生労働省告示第三百十二号。以下「インドネシア厚生労 

    働省告示」という。)第二の一の1に定めるインドネシア人看護師候補者で

    あること。

  (二)本邦においてインドネシア厚生労働省告示第二の一の2に定める日本語の

    語学研修及び看護導入研修を受けること

  (三)在留期間の更新又は在留資格の変更を受ける場合は,在留状況が良好であ

    ること。

  2 受入れ機関

   (一)過去三年間にインドネシア人看護師等の受入れ及び外国人の就労に係る不

    正行為を行ったことがないこと。

    (二)インドネシア人看護師候補者との雇用契約に基づいて,日本人が従事する

           場合に受ける報酬と同等額以上の報酬をインドネシア人看護師候補者に支払う

           こととしていること。

      (三)インドネシア人看護師候補者用の宿泊施設を確保し,かつ,インドネシア 

           人看護師候補者の帰国旅費の確保等帰国担保措置を講じていること。

      (四)雇用受入れ施設がインドネシア厚生労働省告示第二の一の3に定める要件

           を満たしており,かつ,同施設で行う研修が同告示第二の一の4に定める要件

           を満たしていること。

      (五)(二)に掲げる同等報酬の要件の遵守状況,(四)に掲げる雇用受入れ施

           設の要件の遵守状況及び同施設で行う研修の実施状況について,毎年一月一日

          現在で,インドネシア厚生労働省告示第一の四の6に規定する受入れ調整機関

        (以下「受入れ調整機関」という。)を通じて地方入国管理局に報告することと

          していること。

     (六)受け入れているインドネシア人看護師候補者との雇用契約を終了する場合に

         は終了予定日及び終了の理由について,受け入れているインドネシア人看護師

         候補者が失踪した場合には発覚日時及び失踪状況について,受け入れているイ

         ンドネシア人看護師候補者が収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける

         活動(第四又は第五に定める手続を経て指定された受入れ機関との雇用契約に

         基づく雇用受入れ施設における活動及び出入国管理及び難民認定法(以下

       「法」という。)第十九条第二項の規定による許可を受けて行う活動を除く。)

        を行ったことを知った場合には発覚日時及び当該活動の状況について,それぞれ

        当該インドネシア人看護師候補者の身分事項と共に,受入れ調整機関を通じて速

        やかに地方入国管理局に報告することとしていること。

二 インドネシア人介護福祉士候補者及びその受入れ機関 インドネシア人介護福祉士

   候補者及びその受入れ機関は,それぞれ次に掲げる事項のいずれにも該当するもの

   とする。

   1 インドネシア人介護福祉士候補者

   (一)インドネシア厚生労働省告示第二の二の1に定めるインドネシア人介護福祉

        士候補者であること。

   (二)本邦においてインドネシア厚生労働省告示第二の二の2に定める日本語の語

        学研修及び介護導入研修を受けること。

(三)在留期間の更新又は在留資格の変更を受ける場合は,在留状況が良好であるこ

       と。

   2 受入れ機関

   (一)過去三年間にインドネシア人看護師等の受入れ及び外国人の就労に係る不正

        行為を行ったことがないこと。

   (二)インドネシア人介護福祉士候補者との雇用契約に基づいて,日本人が従事す

        る場合に受ける報酬と同等額以上の報酬をインドネシア人介護福祉士候補者に支

        払うこととしていること。

   (三)インドネシア人介護福祉士候補者用の宿泊施設を確保し,かつ,インドネシ 

        ア人介護福祉士候補者の帰国旅費の確保等帰国担保措置を講じていること。

 (四)雇用受け容れ施設がインドネシア厚生労働省告示第二の二の3に定める要件

    を満たしていること。

   (五)(二)に掲げる同等報酬の要件の遵守状況,(四)に掲げる雇用受入れ施設

        の要件の遵守状況及び同施設で行う研修の実施状況について,毎年一月一日現在

        で,受入れ調整機関を通じて地方入国管理局に報告することとしていること。

   (六)受け入れているインドネシア人介護福祉士候補者との雇用契約を終了する場

        合には終了予定日及び終了の理由について,受け入れているインドネシア人介護

        福祉士候補者が失踪した場合には発覚日時及び失踪状況について,受け入れてい

        るインドネシア人介護福祉士候補者が収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を

        受ける活動(第四又は第五に定める手続を経て指定された受入れ機関との雇用契

        約に基づく雇用受入れ施設における活動及び法第十九条第二項の規定による許可

        を受けて行う活動を除く。)を行ったことを知った場合には発覚日時及び当該活

        動の状況について,それぞれ当該インドネシア人介護福祉士候補者の身分事項と

        共に,受入れ調整機関を通じて速やかに地方入国管理局に報告することとしてい

        ること。

三 インドネシア人看護師及びその受入れ期間

  インドネシア人看護師及びその受入れ機関は,それぞれ次に掲げる事項のいずれ

 にも該当するものとする。

 1 インドネシア人看護師

 (一)インドネシア厚生労働省告示第三の一の1に定めるインドネシア人看護師で 

   あること。

 (二)在留期間の更新又は在留資格の変更を受ける場合は,在留状況が良好である  

   こと。

 2 受入れ機関

 (一)過去三年間にインドネシア人看護師等の受入れ及び外国人の就労に係る不正   

        行為を行ったことがないこと。

(二)インドネシア人看護師との雇用契約に基づいて,日本人が従事する場合に受け 

         る報酬と同等額以上の報酬をインドネシア人看護師に支払うこととしていること。

(三)雇用受入れ施設が,インドネシア厚生労働省告示第三の一の2に定める要件を  

        満たしていること。

(四)(二)に掲げる同等報酬の要件の遵守状況及び(三)に掲げる雇用受入れ施設

        の要件の遵守状況について,毎年一月一日現在で,受入れ調整機関を通じて地方

        入国管理局に報告することとしていること。

(五)受け入れているインドネシア人看護師との雇用契約を終了する場合には終了予

         定日及び終了の理由について,受け入れているインドネシア人看護師が失踪し

         た場合には発覚日時及び失踪状況について,受け入れているインドネシア人看

        護師が収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動(第四又は第五に定

        める手続を経て指定された受入れ機関との雇用契約に基づく雇用受入れ施設にお

        ける活動及び法第十九条第二項の規定による許可を受けて行う活動を除く。)を

        行ったことを知った場合には発覚日時及び当該活動の状況について,それぞれ当

        該インドネシア人看護師の身分事項と共に,受入れ調整機関を通じて速やかに地

        方入国管理局に報告することとしていること。

四 インドネシア人介護福祉士及びその受入れ機関

      インドネシア人介護福祉士及びその受入れ機関は、それぞれ次に掲げる事項のい 

  ずれにも該当するものとする。

 1インドネシア人介護福祉士

 (一)インドネシア厚生労働省告示第三の二の1に定めるインドネシア人介護福祉  

    士であること。

   (二)在留期間の更新又は在留資格の変更を受ける場合は,在留状況が良好であること。

 2 受入れ機関  

    (一)過去三年間にインドネシア人看護師等の受入れ及び外国人の就労に係る不正

        行為を行ったことがないこと。

  (二)インドネシア人介護福祉士との雇用契約に基づいて,日本人が従事する場合に

        受ける報酬と同等額以上の報酬をインドネシア人介護福祉士に支払うこととして

        いること。

  (三)雇用受入れ施設が,インドネシア厚生労働省告示第三の二の2に定める要件を

        満たしていること。

   (四) (二)に掲げる同等報酬の要件の遵守状況及び(三)に掲げる雇用受入れ施

        設の要件の遵守状況について、毎年一月一日現在で、受入れ調整機関を通じて地

        方入国管理局に報告することとしていること。

   (五)受け入れているインドネシア人介護福祉士との雇用契約を終了する場合には

        終了予定日及び終了の理由について,受け入れているインドネシア人介護福祉士

        が失踪した場合には発覚日時及び失踪状況について,受け入れているインドネシ

        ア人介護福祉士が収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動(第四又

        は第五に定める手続を経て指定された受入れ機関との雇用契約に基づく雇用受入

        れ施設における活動及び法第十九条第二項の規定による許可を受けて行う活動を

        除く。)を行ったことを知った場合には発覚日時及び当該活動の状況について,

        それぞれ当該インドネシア人介護福祉士の身分事項と共に,受入れ調整機関を通

        じて速やかに地方入国管理局に報告することとしていること。

第四 上陸の手続

         本邦に上陸しようとするインドネシア人看護師等は,査証の発給を受け,法第 

      三章第一節及び第二節に規定する上陸の手続を経て,特定活動の在留資格並びに

      インドネシア人看護師及びインドネシア人介護福祉士にあっては三年,インドネ

      シア人看護師候補者及びインドネシア人介護福祉士候補者にあっては一年の在留

      期間の決定を受けるものとする。

第五 在留期間の更新及び在留資格の変更の手続  

  一 インドネシア人看護師候補者

 1 在留期間の更新の手続

   本邦に在留するインドネシア人看護師候補者であって,在留期間の更新を受け  

  ようとするものは,法第二十一条に規定する在留期間の更新の手続を経て,新た

  な在留期間を一年(ただし,既に在留した期間と新たに在留することとなる期間

  を合わせて三年の範囲内とする。)とする許可を受けるものとする。

 2 在留資格の変更の手続 

   本邦に在留するインドネシア人看護師候補者であって,やむを得ない事情によ  

  り指定された受入れ機関又は雇用受入れ施設を変更しようとするものは,法第二

  十条に規定する在留資格の変更の手続を経て,その在留期間の満了の日までの期

  間を新たな在留期間とし,新たな受入れ機関又は雇用受入れ施設を指定する許可

  を受けるものとする。

  二 インドネシア人介護福祉士候補者

 1 在留期間の更新の手続

   本邦に在留するインドネシア人介護福祉士候補者であって,在留期間の更新を

  受けようとするものは,法第二十一条に規定する在留期間の更新の手続を経て,

  新たな在留期間を一年(ただし,既に在留した期間と新たに在留することとなる

  期間を合わせて四年の範囲内とする。)とする許可を受けるものとする。

 2 在留資格の変更の手続

   本邦に在留するインドネシア人介護福祉士候補者であって,やむを得ない事情

  により指定された受入れ機関又は雇用受入れ施設を変更しようとするものは,法

  第二十条に規定する在留資格の変更の手続を経て,その在留期間の満了の日まで

  の期間を新たな在留期間とし,新たな受入れ機関又は雇用受入れ施設を指定する

  許可を受けるものとする。

  三 インドネシア人看護師

 1 在留期間の更新の手続

   本邦に在留するインドネシア人看護師であって,在留  

   期間の更新を受けようとするものは,法第二十一条に規定する在留期間の更新

  の手続を経て,新たな在留期間を三年又は一年とする許可を受けるものとする。

 2 在留資格の変更の手続

   次のいずれかに該当する者は,法第二十条に規定する在留資格の変更の手続を

  経て,新たな活動を指定し,新たな在留期間を(一)に該当する者については三  

  年,(二)に該当する者については三年又は一年とする許可を受けるものとす

  る。

 (一)本邦に在留するインドネシア人看護師候補者であって,看護師国家試験に合

   格し,厚生労働大臣の免許を受けてインドネシア人看護師としての活動を行お

   うとするもの

 (二)本邦に在留するインドネシア人看護師であって,指定された受入れ機関又は

   雇用受入れ施設を変更してインドネシア人看護師としての活動を継続しようと

   するもの

  四 インドネシア人介護福祉士

 1 在留期間の更新の手続

   本邦に在留するインドネシア人介護福祉士であって,在留期間の更新を受けよ

  うとするものは,法第二十一条に規定する在留期間の更新の手続を経て,新たな

  在留期間を三年又は一年とする許可を受けるものとする。

 2 在留資格の変更の手続

   次のいずれかに該当する者は,法第二十条に規定する在留資格の変更の手続を

  経て,新たな活動を指定し,新たな在留期間を (一)に該当する者については

  三年,(二)に該当する者については三年又は一年とする許可を受けるものとす

  る。

 (一)本邦に在留するインドネシア人介護福祉士候補者であって,介護福祉士試験

   に合格し,介護福祉士資格を取得してインドネシア人介護福祉士としての活動

   を行おうとするもの

 (二)本邦に在留するインドネシア人介護福祉士であって,指定された受入れ機関

   又は雇用受入れ施設を変更してインドネシア人介護福祉士としての活動を継続

   しようとするもの

附 則

この告示は、経済上の連携に関する日本国とインドネシア共和国との間の協定の効力発生の日から施行する。

 

 

 

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2016年

1月

15日

イスラム法

「横浜・アオヤギ行政書士事務所」イスラム法につき解説いたします。 ご質問やお問合せは下記のフォームに記載の上、メールにて送信下さい。 なお、返信希望のご質問には、貴メールアドレスの記載をお忘れなく。

 

  イスラム法は、ムスリムの社会生活のすべての領域、出生・結婚・死亡など個人の人生の節目に関して、様々な規定を与えています。 これは日本の憲法や民法などのような制定法とは趣を異にするものです。

 

イスラム法の内容

 儀礼的規範(イバーダート)法的規範(ムアーマラート)に大別されます。

 

儀礼的規範(イバーダート)

イバーダートは神と人間の関係を規定した垂直的な規範で、宗教的行為、すなわち五行(菩薩の修すべき5種の行法)にかかわるものです。

 

法的規範(ムアーマラート)

 ムアーマラートは社会における人間同士の関係を規定した水平的な規範と位置づけられます。  婚姻、相続、契約、訴訟、非ムスリムの権利義務、刑罰、戦争など、イスラム社会における相互の権利や義務に関わる規範です。 私たちの考える民法や刑法に当たる事柄が規定されています。基本的には、ムスリムの政権担当者がイスラー法を施行する責任を担うています。

 

イスラム法では刑罰は、①同害報復刑(キサース刑)と②固定刑(ハッド刑)と③裁量刑(タァズィール刑)に分けられます。

 

同害報復刑は、加害者が成人で知的に成熟しており、被害者と同等の身分である場合、被害者ないし相続人が同程度の報復をするというものです。(「目には目を!」) 被害者の同意を得れば金銭支払いで済ますこともあります。

固定刑は、姦通、中傷、飲酒をした場合は定められた回数のむち打ち、窃盗をした場合は手足の切断、追い剥ぎをした場合は死刑あるいは手足の切断あるいは追放、といった具合に明示されています。また、背教者は死刑です。

裁量刑は、イスラム法に刑罰が定められていない犯罪に対して裁判官の裁量によって科す刑罰のことです。文書偽造、詐欺、恐喝、偽証などの場合に適用されています。 

 

イスラム法をシャリーア(水辺に至る道)と言います。 シャリーア(Shari'a)は、コーランと預言者ムハンマドの言行(スンナ)を法源とする法律で、1000年以上の運用実績があります。 ローマ法を起源としないイスラム世界独自のものであります。 シャリーアはコーランと預言者ムハンマドの言行(スンナ)を法源とし、イスラム法学者が法解釈を行います。
 コーランを解釈するための学問体系(コーラン解釈学)も存在し、預言者ムハンマドの時代から1000年以上、法解釈について議論され続けています。 法解釈をする権限はイスラム法学者のみが持ち、カリフ(アラビア語で「後継者」の意味。ムハンマドの死後、イスラム共同体の政治と宗教の両面で率いる指導者を言う。)が独断で法解釈をすることはできないとされています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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2016年

1月

02日

渉外扶養

 「横浜 アオヤギ行政書士事務所」が渉外扶養につき解説いたします。 ご質問やお問合せは下記のフォームに記載のうえ、メールにて送信下さい。

 

扶養の種類

 公的扶養と指摘扶養の2つあります。 公的扶養とは、生活保護法や社会保険法(療保険金保険護保険、雇用保険、労災保険)など、国家や社会による生活扶助のことです。 私的扶養とは、私人間に生じる扶養です

私的扶養は、夫婦、親子その他親族関係から生ずる場合が通常ですが、贈与や終身定期金といった契約関係や、遺言に基ずく扶養関係が生じます。

 

渉外扶養の裁判管轄

 日本には、扶養に関する事件の国際裁判管轄を規定する成文規定はありません。 従って、他の渉外家事事件の場合と同様に条理に基づき決めることになります。 具体的には①扶養義務者である相手方の住所に管轄が認められるとする、②扶養権利者である申立人の住所地に管轄が認められるとする、③義務者の住所地とともに権利者の住所地にも管轄が認められるとする考え方等があります。

 

渉外扶養の準拠法

 渉外義務の準拠法に関する法律が対象とする扶養関係は、夫婦、親子等の親族関係からくる扶養です。 具体的には、夫婦間の婚姻費用分担、親の未成熟子に対する扶養義務負担などです。

養義務の準拠法に関する条約を国内法化したものです。 日本は1986年に同条約を批准しております。

 

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2015年

12月

31日

渉外相続

 「横浜 アオヤギ行政書士事務所」渉外相続について解説いたします。 ご質問やお問合せは下記のフォームに記載のうえ、メールにて送信下さい。 なお、返信希望のご質問には、貴メールアドレスの記載をお忘れなく。

 

 今年最後のご相談は、渉外相続についてでした。 外国人(イスラム教)と日本人女性が婚姻して、日本で居住しておりました。 外国人男性は、在留資格「永住者」を取得することが出来、二人の子供にも恵まれて、ハッピーライフそのものでした。 

 外国人男性は、出張で、自国のアフリカの本国に長期出張が頻繁にあり、自国で第二夫人がおりました。 しかし、日本人女性はその存在を知りませんでした。 運悪く、昨年の出張中に「永住者」の在留期限が経過してしまいました。

 先月、その外国人男性が、自国で第二夫人宅で死亡してしまいました。 その後、第二夫人から、日本人女性に男性の日本にある財産の相続について、請求してきて、その対応を相談されてこられました。

 

相続の国際裁判管轄と準拠法について

 これまで、相続事件の国際裁判管轄については、実務上も、基準が明確ではありませんが、相続開始時における被相続人の住所が日本にある場合、日本に国際裁判管轄が認められえていると考えられています。 準拠法は、通則法36条において、被相続人の本国法と定められております。 なお、相続の準拠法には、反致(通則法41)の適用がありますから、例えば、日本に居住する外国人が亡くなった場合、当該外国人の本国法の国際私法規定によれば、住居地法が適用されることとされているとすれば、反致によって、日本法が準拠法となります。

 

通則法第36条  (相続)

相続は、被相続人の本国法による。

通則法第41条  (反致)
当事者の本国法によるべき場合において、その国の法に従えば日本法によるべきときは、日本法による。ただし、第二十五条(第二十六条第一項及び第二十七条において準用する場合を含む。)又は第三十二条の規定により当事者の本国法によるべき場合は、この限りでない。

 

反致(renvoi仏語)

   渉外的私法関係において、各国の国際私法が統一されていないため、準拠法を定める際、一つの法律関係について、法廷地の国際私法の規定だけでなく、外国の国際私法の規定も考慮した上で、準拠法を定めることをいう。
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2015年

12月

28日

就業資格証明書交付申請

 「横浜 アオヤギ行政書士事務所」就労資格証明書について解説いたします、ご質問やご意見は下記のフォームに記載のうえ、メールにて送信下さい。 なお、返信希望のご質問には、貴メールアドレスの記載をお忘れなく。

 

 就労資格証明書とは、在留する外国人からの申請に基づき、その者が行うことができる収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動を法務大臣が証明する文書です。
 外国人を雇用等しようとする者は、その外国人が我が国で就労する資格があるか否かについてあらかじめ確認したいと思いますし、他方、外国人本人も就職等の手続きをスムーズに行うためには、自分が就労できる在留資格を有していることを雇用主等に明らかにする手段があれば便利です。 外国人が我が国で合法的に就労できるか否かは、旅券に貼付(又は押印された)上陸許可証印、中長期在留者については在留カード、特別永住者については特別永住者証明書を確認するほか、資格外活動の許可を受けていることを確認することによっても判断することができます。
 しかし、具体的にどのような活動が認められているかについては、入管法の別表に記載されている各種の在留資格に対応する活動を参照しないと判然としない場合もあります。 そこで、入管法は、雇用主等と外国人の双方の利便を図るため、外国人が希望する場合には、その者が行うことができる就労活動を具体的に示した就労資格証明書を交付することができることとし、雇用しようとする外国人がどのような就労活動を行うことができるのか容易に確認できるようにしました。
 ただし、外国人が我が国で就労活動を行うことができるか否かは、在留資格の種類又は資格外活動許可の有無によって決定されるものであるため、就労資格証明書自体は外国人が就労活動を行うための許可書ではありませんし、これがなければ外国人が就労活動を行うことができないというものでもありません。
 なお、この就労資格証明書を提示しないことにより、雇用の差別等の不利益な扱いをしてはならない旨が入管法第19条の2第2項(※注1)に規定されています。
(※注1)

第19条の2 法務大臣は、本邦に在留する外国人から申請があつたときは、法務省令で定め

         るところにより、その者が行うことができる収入を伴う事業を運営する活動又は報酬

         を受ける活動を証明する文書を交付することができる。
 2  何人も、外国人を雇用する等に際し、その者が行うことができる収入を伴う
事業を

         運営する活動又は報酬を受ける活動が明らかな場合に、当該外国人が前項の文書を提

         示し又は提出しないことを理由として、不利益な取扱いをしてならない。

 

就業資格証明書交付申請の必要書類

1   申請書 就労資格証明書交付申請書(新様式)【PDF】

2 資格外活動許可書を提示(同許可書の交付を受けている者に限ります。)

3 在留カード(在留カードとみなされる外国人登録証明書を含みます。以下同じ。)又は

      特別永住者証明書(特別永住者証明書とみなされる外国人登録証明書を含みます。)を

      提示

  ※申請人以外の方が、当該申請人に係る就労資格証明書交付申請を行う場合に

   は、在留カードの写しを申請人に携帯させてください。

4 旅券又は在留資格証明書を提示

5 旅券又は在留資格証明書を提示することができないときは、その理由を記載した理由書

6 身分を証する文書等の提示(申請取次者が申請を提出する場合)

転職前の会社
・源泉徴収票(転職前の会社発行)
・退職証明書(転職前の会社発行)

転職後の会社
・転職後の会社の概要を明らかにする資料
  A 法人登記簿謄本(発行後3ケ月以内)
  B 直近の決算書の写し(新設会社の場合は、今後1年間の事業計画書)
  C 会社等の案内書(取扱い商品あるいは提供するサービスの概要を説明するもの)
・次のいずれかで、転職後の活動の内容、期間、地位及び報酬の記載ある文書
  A 雇用契約書の写し
  B 辞令・給与辞令の写し
  C 採用通知書の写し
  D 上記AないしCに準ずる文書
・雇用理由書(書式自由で、採用するに至った経緯や雇用理由の説明書)

 

審査基準

 出入国管理及び難民認定法別表第一に定める在留資格のうち就労することができる在留資格を有していること、又は、就労することができない在留資格を有している者で資格外活動許可を受けていること、又は、就労することに制限のない在留資格を有していること。

 

標準処理期間

当日(勤務先を変えた場合などは1か月~3か月)

 

 

就労資格証明書Q&A

Q 1 : 私は日本で「人文知識・国際業務」の在留資格を持って働いています。 留期限は2

          年先なのですが、転職しました。 仕事内容は前の仕事と同様ですが、「人文知識・

          国際業務」の在留資格で行うことができる活動に含まれるかどうかを確認したいので

          す。 どのような手続をすればよいでしょうか?

A 1:  「就労資格証明書」の交付申請を行うことで証明を受けることができます。

 

Q2:私は今年の1月に「人文知識・国際業務」の在留資格で来日し、現在3年の在留期間を

         持っています。 現在、勤務している会社は、給料が低いなどの労働条件が良くあり

         ません、転職を考えています。 会社を辞めて求職活動をした場合、在留資格はどう

         なるのですか?

A2: 正当な理由なく「人文知識・国際業務」の在留資格に見合う活動を3ヶ月以上してい

         ない場合は、在留資格の取消し対象となります。 しかし、直ちに取り消されるわけ

         ではありません。 この場合は、退職してから3ヶ月以内に再就職して、入管へ就労

         資格証明書の交付を申請し、証明書が交付されれば、問題なく現在の3年在留資格を

          維持できます。 転職先は現在の資格に合致する会社であることが必要です。

 

Q3 : 私は2013年の1月に「技能」の在留資格で来日しましたが、転職を考えています

         が、転職した場合、改めて「技能」の在留資格許可申請をする必要があるのでしょう

         か?
A3 : 転職の場合は、在留資格許可申請を新たにする必要はありません。 新しい職場で働

         くことが技能の在留資格に該当する旨の就労資格証明書の交付申請をします。 就労

         資格証明書が交付されれば、現在の在留期間が維持されることになります。

 

Q4 :  私は「技能」の在留資格で在留している韓国人料理人ですが、今年の10月に韓国料理

         店が倒産しました。 その後、仕事を探しましたが、やっと新しい仕事が決まりまし

         た。 在留資格は、来年の3月末までです。 3ヶ月失業の状態でしたが、在留資格

         の更新は可能でしょうか? 
A4 : 正当な理由もなく在留資格に該当する活動を3ヶ月以上していない場合は、在留資格

         が取消される場合があります。 しかし、この場合は就職活動をしていた訳ですか

         ら、取消されることはありません。 在留期間が切れる3ヶ月一寸前に在留期間更新手

         続きをしてください。 更新時には、新しい料理店に関する資料と、前の料理店の倒

         産の疎明資料、住民税の課税・納税証明書を添付してください。

 

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2015年

12月

10日

ビザ免除国

 「横浜 アオヤギ行政書士事務所」ビザ免除国につき解説いたします。 ビザ免除国の国民は、短期で来日するのに、ビザの取得なく、日本に入国出来ます。 入国後、ビザの在留期間延長や在留資格変更のうえ、引き続いて在留することが出来る場合があります。

 

 現在、下記の67の国・地域に対してビザ免除措置を実施しています。 これらの諸国・地域人は、商用、会議、観光、親族・知人訪問等を目的とする場合には、入国に際してビザを取得する必要はありません。 ただし、日本で報酬を受ける活動に従事する場合、又はそれぞれ国毎に決められた短期滞在の期間を超えて滞在する場合にはビザを取得する必要があります。 上陸許可の際に付与される在留期間は、インドネシア、タイ及びブルネイは 「15」、その他の国・地域については「90日」です。  

                                                                                                               67のビザ免除措置国・地域一覧表

アジア

インドネシア(注1)、シンガポール、タイ(2(15日以内)、マレーシア注3)、

ブルネイ(15日以内)、韓国、台湾注4)、香港注5)、マカオ注6)

欧州

アイスランド、アイルランド(注8、アンドラ、英国(注8、イタリア、エストニア、オーストリア(注8)、オランダ、キプロス、ギリシャ、クロアチア、サンマリノ、スイス(注8)、スウェーデン、スペイン、スロバキア、スロベニア、セルビア、チェコ、デンマーク、ドイツ(注8)、ノルウェー、フィンランド、フランス、ブルガリア、ベルギー、ポーランド、ポルトガル、マケドニア旧ユーゴスラビア、マルタ、モナコ、ラトビア、リトアニア、リヒテンシュタイン(注8、ルーマニア、ルクセンブルク

 

北米

米国、カナダ

 

中南米

アルゼンチン、ウルグアイ、エルサルバドル、グアテマラ、コスタリカ、スリナム、チリ、

ドミニカ共和国、バハマ、バルバドス(注7)、ホンジュラス、メキシコ(注8

 

大洋州

オーストラリア、ニュージーランド

 

中東

イスラエル、トルコ(注7

 

アフリカ

チュニジア、モーリシャス、

レソト注7

 

(注1)

インドネシア(2014年12月1日以降)のビザ免除の対象は、ICAO(International Civil Aviation Organization:国際民間航空機関)標準のIC旅券を所持し、インドネシアに所在する日本の在外公館(大使館,総領事館,領事事務所)においてIC旅券の事前登録を行った方に限ります(事前登録の有効期間は3年又は旅券の有効期間満了日までのどちらか短い期間になります。)。

(注2)

タイ(2013年7月1日以降)のビザ免除の対象はCAO標準のIC旅券所持する方に限ります。

(注3)

マレーシアのビザ免除の対象は(2013年7月1日以降)、ICAO標準のIC旅券を所持する方に限ります。 IC旅券を所持していない方は事前にビザを取得することをお勧めします(事前にビザを取得せずに入国する場合、日本入国時に厳格な入国審査が行われ、結果として入国できないおそれがあります)。

(注4)

台湾のビザ免除の対象は、身分証番号が記載された台湾護照(旅券)を所持する方に限ります。

(注5)

香港のビザ免除の対象は、香港特別行政区旅券及び英国海外市民(BNO)旅券を所持する方(香港居住権所持者)に限ります。

(注6)

マカオのビザ免除の対象は、マカオ特別行政区旅券を所持する方に限ります。

(注7)

バルバドス(2010年4月1日以降)、トルコ(2011年4月1日以降)、及びレソト(2010年4月1日以降)のビザ免除の対象は、ICAO標準の機械読取式旅券(MRP:Machine-Readable Passport又はIC旅券を所持する方に限ります。 MRP又はIC旅券を所持していない方は、ビザを取得することをお勧めします(事前にビザを取得せずに入国する場合、日本入国時に厳格な入国審査が行われ、結果として入国できないおそれがあります)。

(注8)

これらの国の方は、ビザ免除取極において6か月以内の滞在が認められていますが、90日を超えて滞在する場合には、在留期間満了前に法務省(地方入国管理局)において在留期間更新手続きを行う必要があります。

(注9)

ペルー(1995年7月15日以降)及びコロンビア(2004年2月1日以降)に対しては、ビザ取得を勧奨する措置を導入しています。 事前にビザを取得せずに入国する場合、日本入国時に厳格な入国審査が行われ、結果として入国できないおそれがあります。

 

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2015年

12月

08日

在留資格変更許可申請「特定活動」

 「横浜 アオヤギ行政書士事務所」在留資格変更許可申請「特定活動」につき、解説致します。 ご意見やご質問は下記のフォームに記載のうえ、メールにて送信下さい。 なお、返信希望のご質問には、貴メールアドレスの記載をお忘れなく。

 

 在留資格「特定活動」は様々な活動が含まれます。 その許可要件や日本での活動内容は個々により大きく異なります。 「特定活動」の資格許可申請は他の資格許可申請に比べて解り難い手続きで、一般の外国人が申請するにはかなり難しいと思います。 

 

 先日の相談は、 母親(アメリカ人)、父親(日本人)との長女Aさん(日本人)からです。

アメリカ在住の両親ですが、父親が先月死亡、母親が脳梗塞で入院しており、アメリカで親族がいない母親を日本で面倒を見たいが、その方法についてでした。

 この場合は、下記の2通りの方法があります。

①在留資格「特定活動」の在留資格認定証明書交付申請して、許可を貰ってから日本に呼び

 寄せる。

 但し、この場合、告示25※が入院前提なので、入院先が決まっていないと許可になりませ

 ん。

告示25※本邦に相当期間滞在して、病院又は、診療所に入院し疾病又は傷害について医療を

   受ける活動及び入院前後に当該疾病又は傷害について継続して医療を受ける活動

②短期ビザで来日して、その後、期間更新をします。 その間に、在留資格「特定活動」許

 可申請をします。

特定活動連れ親についての資格要件

1.扶養をうけていること

2.本国に身寄りがないこと

3.年齢が70歳以上であること、未満であっても、疾病やその他の事情による。

 

 

特定活動」に該当する活動は以下の通りです。

1.特定研究等活動

  日本の公私機関(法務省令で定める要件に該当する事業活動を行う機関で法務大臣が指

  定したものに限る)との契約に基づいて研究、指導、教育に関連する事業を経営する活

  動。 一般の企業や個人が利用することはあまりありません。

2.特定情報処理活動

  一般の企業や個人が利用することはあまりありません。

3.特定研究活動・特定情報処理活動者の配偶者や子

  一般の企業や個人が利用することはあまりありません。

4.法務大臣が個々の外国人について特に指定する活動

  1)外交官等の個人的使用人

  2)投資・経営」等の個人的使用人

    投資・経営の在留資格者は、家事使用人を雇用することができます。 一般的な例

    は、外国本社の役員などが日本赴任にあたり、現地のメイドを家族と共に日本に招

    へいする場合
    家事使用人の在留資格「特定活動」申請の要件
    1 家事使用人が18歳以上であること
        2 月額15万円以上の報酬を受けて、雇用した外国人の家事に従事すること
            3 13歳未満の子がいること、または病気等により日常の家事に従事することがで

      きない配偶者がいること

  3)亜東関係協会(台湾の対日窓口機関)職員とその家族 

    亜東関係協会(あとうかんけいきょうかい)とは、台湾の対日窓口機関であ、台

    北駐日経済文化代表処の台北本部です。 日本との間に国交がないため形式的には

    非政府機関でありますが、実質的には中華民国外交部の所管。 日本側のカウン

    ターパートは公益財団法人交流協会

  4駐日パレスチナ総代表部職員とその家族

    The Permanent General Mission of Palestine

    東京都千代田区麹町2-12-1CTS麹町ビル7階 大使/常駐総代表:ワリード・シア

    ム 閣下 H.E. Mr. Waleed SIAM, Ambassador, Representative of the

    Permanent General Mission of Palestine

  5)ワーキングホリディ 

    二つの国・地域間の取り決めに基づき、おのおのの国・地域が、相手国・地域の青

    少年に対して、自国・地域で一定期間の休暇を過ごし、その間の滞在費を補うため

    に就労することを相互に認める制度です。 通常の観光ビザでは訪問国での就労は

    いっさい認められませんが、国際的に広い視野をもった若い人を育て、相互理解や

    友好を深めることを目的にする限りにおいて許可するという趣旨です。 風俗営業

    などこの目的に反するとみなされる職種に従事することはできません。 日本のワ

    ーキング・ホリデー制度は、1980年(昭和55)にオーストラリアの間で初めて締結

    された。その後ニュージーランド(1985年)、カナダ(1986年)、韓国・フラン

    ス(1999年)、ドイツ(2000年)、イギリス(2010年)と締結し、2013年(平

    成25)2月のノルウエーで12か国・地域となりました。 ビザの有効期間は最長1年

    (イギリスのみ2年)ですが、就労期間は、これとは別に6か月以内などと定められ

    ています。 また、ビザの年間発給数に上限が設けられている国・地域(2013年時

    点で、カナダ6500人、韓国1万人、フランス1500人、イギリス1000人、アイルラ

    ンド400人、台湾2000人、香港250人)、申請期間が決められている国・地域な

    があります。 申請要件として、申請時の年齢が18歳以上30歳以下(韓国とアイル

    ランドは25歳以下)であること、子供を同伴しないこと、滞在当初の生計を維持で

    きる資金を所持することなどが定められています。 日本でワーキング・ホリデー

    ビザの発給を受けるためには、国内にある相手国大使館または領事館に申請を行い 

    ます。 制度利用者数は、『平成19年版観光白書』の「ワーキング・ホリデー査証

    発給実績」(2006年・締約国7か国)によると、日本からオーストラリアへは1万

    0939人でオーストラリアから日本へは918人というように、韓国を除いて日本から

    の利用者のほうが多くなってます。

  6)アマチュアスポーツ選手とその家族

  7)外国弁護士の国際仲裁代理

  8)インターシップ

    インターンシップとは、外国の大学生が就業前の準備として、日本企業に受け入れ

    られ、実習を行い就業を体験する活動です。 一般的なのは、海外で採用予定の大

    学生に、採用前の研修の一環として日本本社で業務に従事させる場合です。 そし

    て、インターンシップには報酬を払う場合と報酬を払わ ないものがありますが、

    有償の場合には「特定活動を申請し、無償の場合は「文化活動」または「短期

    在」を申請します。

  9)英国人ボランティア

 10)サマージョブ 

    外国の大学生が、サマージョブ(学業の遂行及び将来の就業に資するものとして、

    夏季休暇等の期間(3月を超えない期間)を利用して我が国の企業等の業務に従す

    る活動)を希望する場合
 11)外国の大学生が参加する地方公共団体の国際文化交流

    外国の大学生が、国際文化交流(大学の授業が行われない3月を超えない期間、が

    国の地方公共団体が実施する国際文化交流事業に参加し、日本の小中学校等におい

    て国際文化交流に係る講義を行う活動)を希望する場合
 12)インドネシア・フィリピンの協定に基づいた看護師、介護福祉士※注1参照

    日・インドネシア経済連携協定(平成20年7月1日発効)に基づき平成20年度から、

    日・フィリピン経済連携協定(平成20年12月11日発効)に基づき平成21年度か

    ら、年度ごとに、外国人看護師・介護福祉士候補者(以下「外国人候補者」とい

    う。)の受入れを実施してきており、これまでに両国併せて累計1562人が入国して

    きました。(平成24年度の入国完了(平成24年5月29日)時点) また、ベトナム

    からの候補者の受入れに向けて、政府部内やベトナム側との間で調整を行っていま

    す。 これら3国からの受入れは、看護・介護分野の労働力不足への対応として行

    うものではなく、相手国からの強い要望に基づき交渉した結果、経済活動の連携の

    強化の観点から実施するものです。

 13)病院等に入院し、医療を受ける、又その付添

 14) 大学を卒業した留学生が卒業後「就職・起業活動」を行うことを希望する場合

 15)法務大臣が上陸特別許可、在留資格変更許可、在留特別許可に基づいて、上陸・在

    留を認める場合、他に該当する資格がないときに「特定活動」の資格が付与される

    ことがあります。 在留期間更新申請や在留資格変更申請が不許可になった場合に

    出国準備期間として「特定活動」が付与されます。

    例)在留資格で許可された在留活動を3ヶ月以上継続して行わない場合は、在留資

      格取消の対象になり、在留期限が残っていても取消対象で(入管法22条の4第6

      項)、 取消決定後、通常1ヶ月の出国準備機関の「特定活動」が付与されま

      す。

 

「特定活動」Q&A

Q1: 私は今年3月に日本の大学を卒業しましたが、まだ就職先が決まっていませ

   ん。  「留学」の在留資格はあと1ヵ月で切れてしまいます。どうすればよ

   いのですか?

A1: 在留資格「留学」から在留資格「特定活動」に変更することで、日本に滞在し

   て就職活動を続けることができます。 就職活動を目的とする「特定活動」

   は、原則6カ月なのですが、1回更新することができるので、最長1年間は日本

   に滞在することが可能です。      

Q2:就職活動のための「特定活動ビザ」を取得できるのは、どういう人なのです

   か?

A2:対象となるのは、「大学院、大学、短期大学の卒業者」もしくは「専門士の称号

    を取得した専門学校の卒業者」です。

Q3:日本語学校の卒業生なのですが、「特定活動」の在留資格とれますか?

A3:現在、日本語学校の卒業生には出されていません。

Q4:就職活動のための「特定活動」在留資格は、「留学」の在留資格が切れた直後

   に申請してもよいのですか?

A4:「留学」から「特定活動」への変更手続きは、「留学」の在留資格の期間が終

   了する前に行います。

Q5:就職活動のための「特定活動」を取得するには、何か必要な資料いりますか?

A5:「特定活動」の在留資格を取得するには、個人情報に関する資料のほか、卒業

   した学校からの推薦状が必要です。 さらに、継続的に就職活動をしているこ

   とを示す資料を添付することが求められます。

Q6:就職活動をしていることを示すためには、就職活動の記録を自分で手書きすれ

   ばよいのですか?

A6:自分で手書きした就職活動記録だけでは、申請を受け付けてもらえなかった

   り、最終的に「特定活動」の在留許可が認められない場合があります。 面接

   した会社のパンフレットや就職説明会における配布資料、就活セミナーなどの

   書類など、継続的に就職活動していたことが分かる証拠を数多く提出してくだ

   さい。

Q7:卒業した学校からの推薦状はすぐに出ますか?

A7: 一時期「特定活動」に関するトラブルが多発したため、推薦状を出すのに慎重

   になっている学校があります。  また、推薦状を出すために面談を実施した

   り、誓約書を出させる学校もあります。 なるべく早めに、学校の留学生相談

   窓口で相談してください。

Q8:卒業した学校が推薦状を出してくれないのですが、どうすればよいですか?

A8:面倒なので、推薦状を出さない大学や専門学校が、あります。 学校と交渉す

   る行政書士をご紹介します。

Q9:私の知人は学校から推薦書をもらったのに、私はもらえません。 不公平じゃ

   ないですか? 

A9:推薦書を発行する基準は、各学校の裁量に任されているので、学校により発行

   基準が違います。 自分に推薦書が出ないことを、入国管理局に抗議する留学

   生もいますが、入国管理局は推薦書の発行に関する権限を持っていないので、

   卒業した学校に問い合わせてください。

Q10 :「特定活動」の在留資格で、アルバイトはできるのですか? 

A10 :「留学」と同様に、「特定活動」の期間中でも、資格外活動の許可を得ること

         ができればアルバイトはできます。

Q11 :「特定活動」の在留資格を取得することができました。  今は、夏休みの期

   間なので、1日8時間までアルバイトしてもよいですね?

A11 : 「特定活動」の在留資格でアルバイトをする場合は、資格外活動の許可申請を

   して認可されねばなりません。 また、「特定活動」の在留資格は、「留学」 

   の在留資格ではありませんので、長期休暇期間の特例もありません。 したが

   って、「留学」の在留資格であれば、夏休みに1日8時間以内のアルバイトする

   事は許されますが、「特定活動」在留資格の場合、夏休みであっても1週間28

   時間を超えるアルバイトは認められません。 資格外活動において時間超過す 

   ると、2度目の更新申請が許可されない場合もあります。

Q12 :「特定活動」の期間中に会社の内定をもらったのですが、入社は来年4月にな

   ります。 いま持っている「特定活動」の在留資格まま、入社を待っていても

   よいのですか?

A12 : 内定をもらうと、来年4月に入社するまでの期間は、就職活動をおこなわない

         ことになります。   厳密に言うと、在留目的が異なることになるため、あらた

         めて在留資格の変更許可を申請する必要があるのです。   その場合は、同じ

        「特定活動」ですが、活動の目的が「就職活動」から「待機」に変わることに

   なります。

Q13 : 外国人の「特定活動」の在留資格についてお聞きしたいのです。 私は「永住 

   者」の在留資格をもっている中国人です、夫は日本人です。 私の母親75才は

   中国上海で一人暮らしで、とっても心配です。 中国には、母親の世話をする

   家族がいません。 私は専業主婦で、経済力はありません。 日本人の夫は扶

   養する意思はありますが、「特定活動」の在留資格許可申請できますか?

A13 : 「連れ親」についての「特定活動」の資格該当性については、
        ・扶養を受けていること
        ・本国に身寄りがないこと
        ・年齢が70歳以上であること
        の3点が要件とされているようです。  ただし年齢については70歳未満であっ

        ても疾病その他の事情により認められる場合があります。
    具体的には、まず短期滞在(親族訪問)で来日し、入国したらすぐに在留資格の

    変更許可申請します。 中国の医療機関の診断書があれば、確率が高くなりま

    す。   本邦に在留滞する正当な理由のある外国人は在留許可が取れます。

Q14 :「特定活動」の在留資格で就業について、今年の3月に日本の大学を卒業した

   中国人留学生を採用することとなりました。  採用するにあたり本人から在 

   留資格の変更(現在の資格は「特定活動」)をするにあたり①雇用契約書、②

   商業法人登記簿謄本、決算報告書、③会社パンフレットなどの提出を求められ

   たので、本人に渡し在留資格の変更の手続きを現在行っている最中です。 在

   留資格変更許可されるまでは弊社にて就業することはできないのでしょぅか?
     本人の在留資格変更許可には「就職活動及び当該活動に伴う日常的な活動(収

         入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動を除く)といった記載があ

         ります。

A14 :「資格外活動許可」を入国管理局から受けていれば、その範囲でアルバイトは

   可能です。 しかし、正式に社員として就労することはできません。
      現在当該中国人が持っている「特定活動」というのは、「就職活動に特定さ

         れた活動が可能」というもので、働くためのものではありません。   だからこ

         そ、「就職活動及び当該活動に伴う日常的な活動(収入を伴う事業を運営する

         活動又は報酬を受ける活動を除く)」とわざわざ記載されているのです。
            もし、資格外活動許可がなく、又は時間等の制限を超えた場合は、退去強制

   の対象になります。 また、現在申請中の資格変更許可申請も不許可になりま

   す。

 

※注1

経済上の連携に関する日本国とインドネシア共和国との間の協定の適用を受けるインドネシア人看護師等の出入国管理上の取扱いに関する指針(平成20年5月26日法務省告示第278号)

第一 目的

この指針は,経済上の連携に関する日本国とインドネシア共和国との間の協定(以下「協定」という。)第九十四条1及び4並びに協定附属書十第一編第六節の適用を受けるインドネシア人看護師等について,出入国管理に係る運用上の指針を定め,もって出入国の公正な管理を図ることを目的とする。

第二 定義

この指針において,次の各号に掲げる用語の意義は,それぞれ当該各号に定めるところによる。

一 インドネシア人看護師候補者 協定附属書十第一編第六節1の規定に基づき,保健師助産師看護師法(昭和二十三年法律第二百三号)第七条第三項に規定する看護師の免許を受けることを目的として本邦に入国し,在留する者をいう。

二 インドネシア人介護福祉士候補者 協定附属書十第一編第六節2の規定に基づき,社会福祉士及び介護福祉士法(昭和六十二年法律第三十号)第三十九条に規定する介護福祉士となる資格(以下「介護福祉士資格」という。)を取得することを目的として本邦に入国し,在留する者をいう。

三 インドネシア人看護師 協定附属書十第一編第六節3の規定に基づき,保健師助産師看護師法第五条に規定する看護師としての業務に従事する者として本邦に入国し,在留するものをいう。

四 インドネシア人介護福祉士 協定附属書十第一編第六節3の規定に基づき,介護福祉士の名称を用いて社会福祉士及び介護福祉士法第二条第二項に規定する介護等の業務に従事する者として本邦に入国し,在留するものをいう。

五 インドネシア人看護師等 インドネシア人看護師候補者,インドネシア人介護福祉士候補者,インドネシア人看護師又はインドネシア人介護福祉士をいう。

六 受入れ機関 協定附属書十第一編第六節の規定に基づき,その設立している病院,介護施設その他の施設(以下「雇用受入れ施設」という。)において雇用する契約をインドネシア人看護師等との間で締結した公私の機関をいう。

第三 インドネシア人看護師等及びこれらの受入れ機関に関する事項

 一 インドネシア人看護師候補者及びその受入れ機関 <ンドネシア人看護師候補者

   及びその受入れ機関は,それぞれ次に掲げる事項のいずれにも該当するものと

   する

  1 インドネシア人看護師候補者

  (一)経済上の連携に関する日本国とインドネシア共和国との間の協定に基づく  

    看護及び介護分野におけるインドネシア人看護師等の受入れの実施に関する

    指針(平成二十年厚生労働省告示第三百十二号。以下「インドネシア厚生労 

    働省告示」という。)第二の一の1に定めるインドネシア人看護師候補者で

    あること。

  (二)本邦においてインドネシア厚生労働省告示第二の一の2に定める日本語の

    語学研修及び看護導入研修を受けること

  (三)在留期間の更新又は在留資格の変更を受ける場合は,在留状況が良好であ

    ること。

  2 受入れ機関

   (一)過去三年間にインドネシア人看護師等の受入れ及び外国人の就労に係る不

    正行為を行ったことがないこと。

    (二)インドネシア人看護師候補者との雇用契約に基づいて,日本人が従事する

           場合に受ける報酬と同等額以上の報酬をインドネシア人看護師候補者に支払う

           こととしていること。

      (三)インドネシア人看護師候補者用の宿泊施設を確保し,かつ,インドネシア 

           人看護師候補者の帰国旅費の確保等帰国担保措置を講じていること。

      (四)雇用受入れ施設がインドネシア厚生労働省告示第二の一の3に定める要件

           を満たしており,かつ,同施設で行う研修が同告示第二の一の4に定める要件

           を満たしていること。

      (五)(二)に掲げる同等報酬の要件の遵守状況,(四)に掲げる雇用受入れ施

           設の要件の遵守状況及び同施設で行う研修の実施状況について,毎年一月一日

          現在で,インドネシア厚生労働省告示第一の四の6に規定する受入れ調整機関

        (以下「受入れ調整機関」という。)を通じて地方入国管理局に報告することと

          していること。

     (六)受け入れているインドネシア人看護師候補者との雇用契約を終了する場合に

         は終了予定日及び終了の理由について,受け入れているインドネシア人看護師

         候補者が失踪した場合には発覚日時及び失踪状況について,受け入れているイ

         ンドネシア人看護師候補者が収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける

         活動(第四又は第五に定める手続を経て指定された受入れ機関との雇用契約に

         基づく雇用受入れ施設における活動及び出入国管理及び難民認定法(以下

       「法」という。)第十九条第二項の規定による許可を受けて行う活動を除く。)

        を行ったことを知った場合には発覚日時及び当該活動の状況について,それぞれ

        当該インドネシア人看護師候補者の身分事項と共に,受入れ調整機関を通じて速

        やかに地方入国管理局に報告することとしていること。

二 インドネシア人介護福祉士候補者及びその受入れ機関 インドネシア人介護福祉士

   候補者及びその受入れ機関は,それぞれ次に掲げる事項のいずれにも該当するもの

   とする。

   1 インドネシア人介護福祉士候補者

   (一)インドネシア厚生労働省告示第二の二の1に定めるインドネシア人介護福祉

        士候補者であること。

   (二)本邦においてインドネシア厚生労働省告示第二の二の2に定める日本語の語

        学研修及び介護導入研修を受けること。

(三)在留期間の更新又は在留資格の変更を受ける場合は,在留状況が良好であるこ

       と。

   2 受入れ機関

   (一)過去三年間にインドネシア人看護師等の受入れ及び外国人の就労に係る不正

        行為を行ったことがないこと。

   (二)インドネシア人介護福祉士候補者との雇用契約に基づいて,日本人が従事す

        る場合に受ける報酬と同等額以上の報酬をインドネシア人介護福祉士候補者に支

        払うこととしていること。

   (三)インドネシア人介護福祉士候補者用の宿泊施設を確保し,かつ,インドネシ 

        ア人介護福祉士候補者の帰国旅費の確保等帰国担保措置を講じていること。

 (四)雇用受け容れ施設がインドネシア厚生労働省告示第二の二の3に定める要件

    を満たしていること。

   (五)(二)に掲げる同等報酬の要件の遵守状況,(四)に掲げる雇用受入れ施設

        の要件の遵守状況及び同施設で行う研修の実施状況について,毎年一月一日現在

        で,受入れ調整機関を通じて地方入国管理局に報告することとしていること。

   (六)受け入れているインドネシア人介護福祉士候補者との雇用契約を終了する場

        合には終了予定日及び終了の理由について,受け入れているインドネシア人介護

        福祉士候補者が失踪した場合には発覚日時及び失踪状況について,受け入れてい

        るインドネシア人介護福祉士候補者が収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を

        受ける活動(第四又は第五に定める手続を経て指定された受入れ機関との雇用契

        約に基づく雇用受入れ施設における活動及び法第十九条第二項の規定による許可

        を受けて行う活動を除く。)を行ったことを知った場合には発覚日時及び当該活

        動の状況について,それぞれ当該インドネシア人介護福祉士候補者の身分事項と

        共に,受入れ調整機関を通じて速やかに地方入国管理局に報告することとしてい

        ること。

三 インドネシア人看護師及びその受入れ期間

  インドネシア人看護師及びその受入れ機関は,それぞれ次に掲げる事項のいずれ

 にも該当するものとする。

 1 インドネシア人看護師

 (一)インドネシア厚生労働省告示第三の一の1に定めるインドネシア人看護師で 

   あること。

 (二)在留期間の更新又は在留資格の変更を受ける場合は,在留状況が良好である  

   こと。

 2 受入れ機関

 (一)過去三年間にインドネシア人看護師等の受入れ及び外国人の就労に係る不正   

        行為を行ったことがないこと。

(二)インドネシア人看護師との雇用契約に基づいて,日本人が従事する場合に受け 

         る報酬と同等額以上の報酬をインドネシア人看護師に支払うこととしていること。

(三)雇用受入れ施設が,インドネシア厚生労働省告示第三の一の2に定める要件を  

        満たしていること。

(四)(二)に掲げる同等報酬の要件の遵守状況及び(三)に掲げる雇用受入れ施設

        の要件の遵守状況について,毎年一月一日現在で,受入れ調整機関を通じて地方

        入国管理局に報告することとしていること。

(五)受け入れているインドネシア人看護師との雇用契約を終了する場合には終了予

         定日及び終了の理由について,受け入れているインドネシア人看護師が失踪し

         た場合には発覚日時及び失踪状況について,受け入れているインドネシア人看

        護師が収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動(第四又は第五に定

        める手続を経て指定された受入れ機関との雇用契約に基づく雇用受入れ施設にお

        ける活動及び法第十九条第二項の規定による許可を受けて行う活動を除く。)を

        行ったことを知った場合には発覚日時及び当該活動の状況について,それぞれ当

        該インドネシア人看護師の身分事項と共に,受入れ調整機関を通じて速やかに地

        方入国管理局に報告することとしていること。

四 インドネシア人介護福祉士及びその受入れ機関

      インドネシア人介護福祉士及びその受入れ機関は、それぞれ次に掲げる事項のい 

  ずれにも該当するものとする。

 1インドネシア人介護福祉士

 (一)インドネシア厚生労働省告示第三の二の1に定めるインドネシア人介護福祉  

    士であること。

   (二)在留期間の更新又は在留資格の変更を受ける場合は,在留状況が良好であること。

 2 受入れ機関  

    (一)過去三年間にインドネシア人看護師等の受入れ及び外国人の就労に係る不正

        行為を行ったことがないこと。

  (二)インドネシア人介護福祉士との雇用契約に基づいて,日本人が従事する場合に

        受ける報酬と同等額以上の報酬をインドネシア人介護福祉士に支払うこととして

        いること。

  (三)雇用受入れ施設が,インドネシア厚生労働省告示第三の二の2に定める要件を

        満たしていること。

   (四) (二)に掲げる同等報酬の要件の遵守状況及び(三)に掲げる雇用受入れ施

        設の要件の遵守状況について、毎年一月一日現在で、受入れ調整機関を通じて地

        方入国管理局に報告することとしていること。

   (五)受け入れているインドネシア人介護福祉士との雇用契約を終了する場合には

        終了予定日及び終了の理由について,受け入れているインドネシア人介護福祉士

        が失踪した場合には発覚日時及び失踪状況について,受け入れているインドネシ

        ア人介護福祉士が収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動(第四又

        は第五に定める手続を経て指定された受入れ機関との雇用契約に基づく雇用受入

        れ施設における活動及び法第十九条第二項の規定による許可を受けて行う活動を

        除く。)を行ったことを知った場合には発覚日時及び当該活動の状況について,

        それぞれ当該インドネシア人介護福祉士の身分事項と共に,受入れ調整機関を通

        じて速やかに地方入国管理局に報告することとしていること。

第四 上陸の手続

         本邦に上陸しようとするインドネシア人看護師等は,査証の発給を受け,法第 

      三章第一節及び第二節に規定する上陸の手続を経て,特定活動の在留資格並びに

      インドネシア人看護師及びインドネシア人介護福祉士にあっては三年,インドネ

      シア人看護師候補者及びインドネシア人介護福祉士候補者にあっては一年の在留

      期間の決定を受けるものとする。

第五 在留期間の更新及び在留資格の変更の手続  

  一 インドネシア人看護師候補者

 1 在留期間の更新の手続

   本邦に在留するインドネシア人看護師候補者であって,在留期間の更新を受け  

  ようとするものは,法第二十一条に規定する在留期間の更新の手続を経て,新た

  な在留期間を一年(ただし,既に在留した期間と新たに在留することとなる期間

  を合わせて三年の範囲内とする。)とする許可を受けるものとする。

 2 在留資格の変更の手続 

   本邦に在留するインドネシア人看護師候補者であって,やむを得ない事情によ  

  り指定された受入れ機関又は雇用受入れ施設を変更しようとするものは,法第二

  十条に規定する在留資格の変更の手続を経て,その在留期間の満了の日までの期

  間を新たな在留期間とし,新たな受入れ機関又は雇用受入れ施設を指定する許可

  を受けるものとする。

  二 インドネシア人介護福祉士候補者

 1 在留期間の更新の手続

   本邦に在留するインドネシア人介護福祉士候補者であって,在留期間の更新を

  受けようとするものは,法第二十一条に規定する在留期間の更新の手続を経て,

  新たな在留期間を一年(ただし,既に在留した期間と新たに在留することとなる

  期間を合わせて四年の範囲内とする。)とする許可を受けるものとする。

 2 在留資格の変更の手続

   本邦に在留するインドネシア人介護福祉士候補者であって,やむを得ない事情

  により指定された受入れ機関又は雇用受入れ施設を変更しようとするものは,法

  第二十条に規定する在留資格の変更の手続を経て,その在留期間の満了の日まで

  の期間を新たな在留期間とし,新たな受入れ機関又は雇用受入れ施設を指定する

  許可を受けるものとする。

  三 インドネシア人看護師

 1 在留期間の更新の手続

   本邦に在留するインドネシア人看護師であって,在留  

   期間の更新を受けようとするものは,法第二十一条に規定する在留期間の更新

  の手続を経て,新たな在留期間を三年又は一年とする許可を受けるものとする。

 2 在留資格の変更の手続

   次のいずれかに該当する者は,法第二十条に規定する在留資格の変更の手続を

  経て,新たな活動を指定し,新たな在留期間を(一)に該当する者については三  

  年,(二)に該当する者については三年又は一年とする許可を受けるものとす

  る。

 (一)本邦に在留するインドネシア人看護師候補者であって,看護師国家試験に合

   格し,厚生労働大臣の免許を受けてインドネシア人看護師としての活動を行お

   うとするもの

 (二)本邦に在留するインドネシア人看護師であって,指定された受入れ機関又は

   雇用受入れ施設を変更してインドネシア人看護師としての活動を継続しようと

   するもの

  四 インドネシア人介護福祉士

 1 在留期間の更新の手続

   本邦に在留するインドネシア人介護福祉士であって,在留期間の更新を受けよ

  うとするものは,法第二十一条に規定する在留期間の更新の手続を経て,新たな

  在留期間を三年又は一年とする許可を受けるものとする。

 2 在留資格の変更の手続

   次のいずれかに該当する者は,法第二十条に規定する在留資格の変更の手続を

  経て,新たな活動を指定し,新たな在留期間を (一)に該当する者については

  三年,(二)に該当する者については三年又は一年とする許可を受けるものとす

  る。

 (一)本邦に在留するインドネシア人介護福祉士候補者であって,介護福祉士試験

   に合格し,介護福祉士資格を取得してインドネシア人介護福祉士としての活動

   を行おうとするもの

 (二)本邦に在留するインドネシア人介護福祉士であって,指定された受入れ機関

   又は雇用受入れ施設を変更してインドネシア人介護福祉士としての活動を継続

   しようとするもの

附 則

この告示は、経済上の連携に関する日本国とインドネシア共和国との間の協定の効力発生の日から施行する。

 

 

 

 「横浜のアオヤギ行政書士事務所」在留資格変更許可申請「特定活動」につき、解説致します。 ご意見やご質問は下記のフォームに記載のうえ、メールにて送信下さい。 なお、返信希望のご質問には、貴メールアドレスの記載をお忘れなく。

 

 在留資格「特定活動」は様々な活動が含まれます。 その許可要件や日本での活動内容は個々により大きく異なります。 「特定活動」の資格許可申請は他の資格許可申請に比べて解り難い手続きで、一般の外国人が申請するにはかなり難しいと思います。 

 

特定活動」に該当する活動は以下の通りです。

1.特定研究等活動

  日本の公私機関(法務省令で定める要件に該当する事業活動を行う機関で法務大臣が指

  定したものに限る)との契約に基づいて研究、指導、教育に関連する事業を経営する活

  動。 一般の企業や個人が利用することはあまりありません。

2.特定情報処理活動

  一般の企業や個人が利用することはあまりありません。

3.特定研究活動・特定情報処理活動者の配偶者や子

  一般の企業や個人が利用することはあまりありません。

4.法務大臣が個々の外国人について特に指定する活動

  1)外交官等の個人的使用人

  2)投資・経営」等の個人的使用人

    投資・経営の在留資格者は、家事使用人を雇用することができます。 一般的な例

    は、外国本社の役員などが日本赴任にあたり、現地のメイドを家族と共に日本に招

    へいする場合
    家事使用人の在留資格「特定活動」申請の要件
    1 家事使用人が18歳以上であること
        2 月額15万円以上の報酬を受けて、雇用した外国人の家事に従事すること
            3 13歳未満の子がいること、または病気等により日常の家事に従事することがで

      きない配偶者がいること

  3)亜東関係協会(台湾の対日窓口機関)職員とその家族 

    亜東関係協会(あとうかんけいきょうかい)とは、台湾の対日窓口機関であ、台

    北駐日経済文化代表処の台北本部です。 日本との間に国交がないため形式的には

    非政府機関でありますが、実質的には中華民国外交部の所管。

    日本側のカウンターパートは公益財団法人交流協会

  4駐日パレスチナ総代表部職員とその家族

    The Permanent General Mission of Palestine

    東京都千代田区麹町2-12-1CTS麹町ビル7階 大使/常駐総代表:ワリード・シア

    ム 閣下 H.E. Mr. Waleed SIAM, Ambassador, Representative of the

            Permanent General Mission of Palestine

  5)ワーキングホリディ 

    二つの国・地域間の取り決めに基づき、おのおのの国・地域が、相手国・地域の青

            少年に対して、自国・地域で一定期間の休暇を過ごし、その間の滞在費を補うため

            に就労することを相互に認める制度です。 ワーホリと略されることもあります。 

            通常の観光ビザでは訪問国での就労はいっさい認められませんが、国際的に広い視

            野をもった若い人を育て、相互理解や友好を深めることを目的にする限りにおいて

            許可するという趣旨です。 風俗営業などこの目的に反するとみなされる職種に従

            事することはできません。      

    日本のワーキング・ホリデー制度は、1980年(昭和55)にオーストラリアとの間で

            初めて締結された。その後ニュージーランド(1985年)、カナダ(1986年)、韓

            国・フランス(1999年)、ドイツ(2000年)、イギリス(2010年)と締結し、

            2013年(平成25)2月のノルウエーで12か国・地域となりました。 ビザの有効期

            間は最長1年(イギリスのみ2年)ですが、就労期間は、これとは別に6か月以内な     

    どと定められています。 また、ビザの年間発給数に上限が設けられている国・地

    域(2013年時点で、カナダ6500人、韓国1万人、フランス1500人、イギリス1000

    人、アイルランド400人、台湾2000人、香港250人)、申請期間が決められている

    国・地域などがあります。 申請要件として、申請時の年齢が18歳以上30歳以下

    (韓国とアイルランドは25歳以下)であること、子供を同伴しないこと、滞在当初

    の生計を維持できる資金を所持することなどが定められています。 日本でワーキ

    ング・ホリデービザの発給を受けるためには、国内にある相手国大使館または領事

    館に申請を行います。 制度利用者数は、『平成19年版観光白書』の「ワーキン

    グ・ホリデー査証発給実績」(2006年・締約国7か国)によると、日本からオース

    トラリアへは1万0939人でオーストラリアから日本へは918人というように、韓国 

    を除いて日本からの利用者のほうが多くなってます。

  6)アマチュアスポーツ選手とその家族

  7)外国弁護士の国際仲裁代理

  8)インターシップ

    インターンシップとは、外国の大学生が就業前の準備として、日本企業に受け入れ

    られ、実習を行い就業を体験する活動です。 一般的なのは、海外で採用予定の大

    学生に、採用前の研修の一環として日本本社で業務に従事させる場合です。 そし

    て、インターンシップには報酬を払う場合と報酬を払わないものがありますが、有

    償の場合には「特定活動」を申請し、無償の場合は「文化活動」または「短期滞

    在」を申請します。

  9)英国人ボランティア

 10)サマージョブ 

    外国の大学生が、サマージョブ(学業の遂行及び将来の就業に資するものとして、

    夏季休暇等の期間(3月を超えない期間)を利用して我が国の企業等の業務に従事

    する活動)を希望する場合
 11)外国の大学生が参加する地方公共団体の国際文化交流

    外国の大学生が、国際文化交流(大学の授業が行われない3月を超えない期間、我

    が国の地方公共団体が実施する国際文化交流事業に参加し、日本の小中学校等にお

    いて国際文化交流に係る講義を行う活動)を希望する場合
 12)インドネシア・フィリピンの協定に基づいた看護師、介護福祉士※注1参照

    日・インドネシア経済連携協定(平成20年7月1日発効)に基づき平成20年度から、

    日・フィリピン経済連携協定(平成20年12月11日発効)に基づき平成21年度か

    ら、年度ごとに、外国人看護師・介護福祉士候補者(以下「外国人候補者」とい

    う。)の受入れを実施してきており、これまでに両国併せて累計1562人が入国して

    きました。(平成24年度の入国完了(平成24年5月29日)時点)また、ベトナムか

    らの候補者の受入れに向けて、政府部内やベトナム側との間で調整を行っていま

    す。 これら3国からの受入れは、看護・介護分野の労働力不足への対応として行

    うものではなく、相手国からの強い要望に基づき交渉した結果、経済活動の連携の

    強化の観点から実施するものです。

 13)病院等に入院し、医療を受ける、又その付添

 14) 大学を卒業した留学生が卒業後「就職活動」や「起業活動」を行うことを希望する場

    合

 15)法務大臣が上陸特別許可、在留資格変更許可、在留特別許可に基づいて、上陸・在

    留を認める場合、他に該当する資格がないときに「特定活動」の資格が付与される

    ことがあります。 在留期間更新申請や在留資格変更申請が不許可になった場合に

    出国準備期間として「特定活動」が付与されます。

    例)在留資格で許可された在留活動を3ヶ月以上継続して行わない場合は、在留資

      格取消の対象になり、在留期限が残っていても取消対象で(入管法22条の4第6

      項)、 取消決定後、通常1ヶ月の出国準備機関の「特定活動」が付与されま

      す。

 

「特定活動」Q&A

Q1: 私は今年3月に日本の大学を卒業しましたが、まだ就職先が決まっていません。  

   「留学」の在留資格はあと1ヵ月で切れてしまいます。どうすればよいのですか?

A1: 在留資格「留学」から在留資格「特定活動」に変更することで、日本に滞在して就職

   活動を続けることができます。 就職活動を目的とする「特定活動」は、原則6カ月な

   のですが、1回更新することができるので、最長1年間は日本に滞在することが可能で

   す。      

Q2:就職活動のための「特定活動ビザ」を取得できるのは、どういう人なのですか?

A2:対象となるのは、「大学院、大学、短期大学の卒業者」もしくは「専門士の称号を取得

   した専門学校の卒業者」です。

Q3:日本語学校の卒業生なのですが、「特定活動」の在留資格とれますか?

A3:現在、日本語学校の卒業生には出されていません。

Q4:就職活動のための「特定活動」在留資格は、「留学」の在留資格が切れた直後に申請

   してもよいのですか?

A4:「留学」から「特定活動」への変更手続きは、「留学」の在留資格の期間が終了する

   前に行います。

Q5:就職活動のための「特定活動」を取得するには、何か必要な資料いりますか?

A5:「特定活動」の在留資格を取得するには、個人情報に関する資料のほか、卒業した学

   校からの推薦状が必要です。 さらに、継続的に就職活動をしていることを示す資料

   を添付することが求められます。

Q6:就職活動をしていることを示すためには、就職活動の記録を自分で手書きすればよい

   のですか?

A6:自分で手書きした就職活動記録だけでは、申請を受け付けてもらえなかったり、最終

   的に「特定活動」の在留許可が認められない場合があります。 面接した会社のパン

   フレットや就職説明会における配布資料、就活セミナーなどの書類など、継続的に就

   職活動していたことが分かる証拠を数多く提出してください。

Q7:卒業した学校からの推薦状はすぐに出ますか?

A7: 一時期「特定活動」に関するトラブルが多発したため、推薦状を出すのに慎重になっ

   ている学校があります。  また、推薦状を出すために面談を実施したり、誓約書を

   出させる学校もあります。 なるべく早めに、学校の留学生相談窓口で相談してくだ

   さい。

Q8:卒業した学校が推薦状を出してくれないのですが、どうすればよいですか?

A8:面倒なので、推薦状を出さない大学や専門学校が、あります。 学校と交渉する行政

   書士をご紹介します。

Q9:私の知人は学校から推薦書をもらったのに、私はもらえません。 不公平じゃないで

   すか? 

A9:推薦書を発行する基準は、各学校の裁量に任されているので、学校により発行基準が

   違います。 自分に推薦書が出ないことを、入国管理局に抗議する留学生もいます

   が、入国管理局は推薦書の発行に関する権限を持っていないので、卒業した学校に問

   い合わせてください。

Q10 :「特定活動」の在留資格で、アルバイトはできるのですか? 

A10 :「留学」と同様に、「特定活動」の期間中でも、資格外活動の許可を得ることができれ

   ばアルバイトはできます。

Q11 :「特定活動」の在留資格を取得することができました。  今は、夏休みの期間なの

   で、1日8時間までアルバイトしてもよいですね?

A11 : 「特定活動」の在留資格でアルバイトをする場合は、資格外活動の許可申請をして認

   可されねばなりません。 また、「特定活動」の在留資格は、「留学」の在留資格で

   はありませんので、長期休暇期間の特例もありません。 したがって、「留学」の在

   留資格であれば、夏休みに1日8時間以内のアルバイトする事は許されますが、「特定

   活動」在留資格の場合、夏休みであっても1週間28時間を超えるアルバイトは認められ

   ません。 資格外活動において時間超過すると、2度目の更新申請が許可されない場合

   もあります。

Q12 :「特定活動」の期間中に会社の内定をもらったのですが、入社は来年4月になります。 

   いま持っている「特定活動」の在留資格まま、入社を待っていてもよいのですか?

A12 : 内定をもらうと、来年4月に入社するまでの期間は、就職活動をおこなわないことに

   なります。   厳密に言うと、在留目的が異なることになるため、あらためて在留資格

   の変更許可を申請する必要があるのです。   その場合は、同じ「特定活動」ですが、

    活動の目的が「就職活動」から「待機」に変わることになります。

Q13 : 外国人の「特定活動」の在留資格についてお聞きしたいのです。 私は「永住者」の

   在留資格をもっている中国人です、夫は日本人です。 私の母親75才は中国上海で一

   人暮らしで、とっても心配です。 中国には、母親の世話をする家族がいません。 

   私は専業主婦で、経済力はありません。 日本人の夫は扶養する意思はありますが、

   「特定活動」の在留資格許可申請できますか?

A13 : 「連れ親」についての「特定活動」の資格該当性については、
        ・扶養を受けていること
        ・本国に身寄りがないこと
        ・年齢が70歳以上であること
        の3点が要件とされているようです。  ただし年齢については70歳未満であっても疾病

   その他の事情により認められる場合があります。
    具体的には、まず短期滞在(親族訪問)で来日し、入国したらすぐに在留資格の変更許可

   申請します。 中国の医療機関の診断書があれば、確率が高くなります。   本邦に在

   留滞する正当な理由のある外国人は在留許可が取れます。

Q14 :「特定活動」の在留資格で就業について、今年の3月に日本の大学を卒業した

   中国人留学生を採用することとなりました。  採用するにあたり本人から在 

   留資格の変更(現在の資格は「特定活動」)をするにあたり①雇用契約書、②

   商業法人登記簿謄本、決算報告書、③会社パンフレットなどの提出を求められ

   たので、本人に渡し在留資格の変更の手続きを現在行っている最中です。 在

   留資格変更許可されるまでは弊社にて就業することはできないのでしょぅか?
     本人の在留資格変更許可には「就職活動及び当該活動に伴う日常的な活動(収

         入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動を除く)といった記載があ

         ります。

A14 :「資格外活動許可」を入国管理局から受けていれば、その範囲でアルバイトは

   可能です。 しかし、正式に社員として就労することはできません。
      現在当該中国人が持っている「特定活動」というのは、「就職活動に特定さ

         れた活動が可能」というもので、働くためのものではありません。   だからこ

         そ、「就職活動及び当該活動に伴う日常的な活動(収入を伴う事業を運営する

         活動又は報酬を受ける活動を除く)」とわざわざ記載されているのです。
            もし、資格外活動許可がなく、又は時間等の制限を超えた場合は、退去強制

   の対象になります。 また、現在申請中の資格変更許可申請も不許可になりま

   す。

 

※注1

経済上の連携に関する日本国とインドネシア共和国との間の協定の適用を受けるインドネシア人看護師等の出入国管理上の取扱いに関する指針(平成20年5月26日法務省告示第278号)

第一 目的

この指針は,経済上の連携に関する日本国とインドネシア共和国との間の協定(以下「協定」という。)第九十四条1及び4並びに協定附属書十第一編第六節の適用を受けるインドネシア人看護師等について,出入国管理に係る運用上の指針を定め,もって出入国の公正な管理を図ることを目的とする。

第二 定義

この指針において,次の各号に掲げる用語の意義は,それぞれ当該各号に定めるところによる。

一 インドネシア人看護師候補者 協定附属書十第一編第六節1の規定に基づき,保健師助産師看護師法(昭和二十三年法律第二百三号)第七条第三項に規定する看護師の免許を受けることを目的として本邦に入国し,在留する者をいう。

二 インドネシア人介護福祉士候補者 協定附属書十第一編第六節2の規定に基づき,社会福祉士及び介護福祉士法(昭和六十二年法律第三十号)第三十九条に規定する介護福祉士となる資格(以下「介護福祉士資格」という。)を取得することを目的として本邦に入国し,在留する者をいう。

三 インドネシア人看護師 協定附属書十第一編第六節3の規定に基づき,保健師助産師看護師法第五条に規定する看護師としての業務に従事する者として本邦に入国し,在留するものをいう。

四 インドネシア人介護福祉士 協定附属書十第一編第六節3の規定に基づき,介護福祉士の名称を用いて社会福祉士及び介護福祉士法第二条第二項に規定する介護等の業務に従事する者として本邦に入国し,在留するものをいう。

五 インドネシア人看護師等 インドネシア人看護師候補者,インドネシア人介護福祉士候補者,インドネシア人看護師又はインドネシア人介護福祉士をいう。

六 受入れ機関 協定附属書十第一編第六節の規定に基づき,その設立している病院,介護施設その他の施設(以下「雇用受入れ施設」という。)において雇用する契約をインドネシア人看護師等との間で締結した公私の機関をいう。

第三 インドネシア人看護師等及びこれらの受入れ機関に関する事項

 一 インドネシア人看護師候補者及びその受入れ機関 <ンドネシア人看護師候補者

   及びその受入れ機関は,それぞれ次に掲げる事項のいずれにも該当するものと

   する

  1 インドネシア人看護師候補者

  (一)経済上の連携に関する日本国とインドネシア共和国との間の協定に基づく  

    看護及び介護分野におけるインドネシア人看護師等の受入れの実施に関する

    指針(平成二十年厚生労働省告示第三百十二号。以下「インドネシア厚生労 

    働省告示」という。)第二の一の1に定めるインドネシア人看護師候補者で

    あること。

  (二)本邦においてインドネシア厚生労働省告示第二の一の2に定める日本語の

    語学研修及び看護導入研修を受けること

  (三)在留期間の更新又は在留資格の変更を受ける場合は,在留状況が良好であ

    ること。

  2 受入れ機関

   (一)過去三年間にインドネシア人看護師等の受入れ及び外国人の就労に係る不

    正行為を行ったことがないこと。

    (二)インドネシア人看護師候補者との雇用契約に基づいて,日本人が従事する

           場合に受ける報酬と同等額以上の報酬をインドネシア人看護師候補者に支払う

           こととしていること。

      (三)インドネシア人看護師候補者用の宿泊施設を確保し,かつ,インドネシア 

           人看護師候補者の帰国旅費の確保等帰国担保措置を講じていること。

      (四)雇用受入れ施設がインドネシア厚生労働省告示第二の一の3に定める要件

           を満たしており,かつ,同施設で行う研修が同告示第二の一の4に定める要件

           を満たしていること。

      (五)(二)に掲げる同等報酬の要件の遵守状況,(四)に掲げる雇用受入れ施

           設の要件の遵守状況及び同施設で行う研修の実施状況について,毎年一月一日

          現在で,インドネシア厚生労働省告示第一の四の6に規定する受入れ調整機関

        (以下「受入れ調整機関」という。)を通じて地方入国管理局に報告することと

          していること。

     (六)受け入れているインドネシア人看護師候補者との雇用契約を終了する場合に

         は終了予定日及び終了の理由について,受け入れているインドネシア人看護師

         候補者が失踪した場合には発覚日時及び失踪状況について,受け入れているイ

         ンドネシア人看護師候補者が収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける

         活動(第四又は第五に定める手続を経て指定された受入れ機関との雇用契約に

         基づく雇用受入れ施設における活動及び出入国管理及び難民認定法(以下

       「法」という。)第十九条第二項の規定による許可を受けて行う活動を除く。)

        を行ったことを知った場合には発覚日時及び当該活動の状況について,それぞれ

        当該インドネシア人看護師候補者の身分事項と共に,受入れ調整機関を通じて速

        やかに地方入国管理局に報告することとしていること。

二 インドネシア人介護福祉士候補者及びその受入れ機関 インドネシア人介護福祉士

   候補者及びその受入れ機関は,それぞれ次に掲げる事項のいずれにも該当するもの

   とする。

   1 インドネシア人介護福祉士候補者

   (一)インドネシア厚生労働省告示第二の二の1に定めるインドネシア人介護福祉

        士候補者であること。

   (二)本邦においてインドネシア厚生労働省告示第二の二の2に定める日本語の語

        学研修及び介護導入研修を受けること。

(三)在留期間の更新又は在留資格の変更を受ける場合は,在留状況が良好であるこ

       と。

   2 受入れ機関

   (一)過去三年間にインドネシア人看護師等の受入れ及び外国人の就労に係る不正

        行為を行ったことがないこと。

   (二)インドネシア人介護福祉士候補者との雇用契約に基づいて,日本人が従事す

        る場合に受ける報酬と同等額以上の報酬をインドネシア人介護福祉士候補者に支

        払うこととしていること。

   (三)インドネシア人介護福祉士候補者用の宿泊施設を確保し,かつ,インドネシ 

        ア人介護福祉士候補者の帰国旅費の確保等帰国担保措置を講じていること。

 (四)雇用受け容れ施設がインドネシア厚生労働省告示第二の二の3に定める要件

    を満たしていること。

   (五)(二)に掲げる同等報酬の要件の遵守状況,(四)に掲げる雇用受入れ施設

        の要件の遵守状況及び同施設で行う研修の実施状況について,毎年一月一日現在

        で,受入れ調整機関を通じて地方入国管理局に報告することとしていること。

   (六)受け入れているインドネシア人介護福祉士候補者との雇用契約を終了する場

        合には終了予定日及び終了の理由について,受け入れているインドネシア人介護

        福祉士候補者が失踪した場合には発覚日時及び失踪状況について,受け入れてい

        るインドネシア人介護福祉士候補者が収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を

        受ける活動(第四又は第五に定める手続を経て指定された受入れ機関との雇用契

        約に基づく雇用受入れ施設における活動及び法第十九条第二項の規定による許可

        を受けて行う活動を除く。)を行ったことを知った場合には発覚日時及び当該活

        動の状況について,それぞれ当該インドネシア人介護福祉士候補者の身分事項と

        共に,受入れ調整機関を通じて速やかに地方入国管理局に報告することとしてい

        ること。

三 インドネシア人看護師及びその受入れ期間

  インドネシア人看護師及びその受入れ機関は,それぞれ次に掲げる事項のいずれ

 にも該当するものとする。

 1 インドネシア人看護師

 (一)インドネシア厚生労働省告示第三の一の1に定めるインドネシア人看護師で 

   あること。

 (二)在留期間の更新又は在留資格の変更を受ける場合は,在留状況が良好である  

   こと。

 2 受入れ機関

 (一)過去三年間にインドネシア人看護師等の受入れ及び外国人の就労に係る不正   

        行為を行ったことがないこと。

(二)インドネシア人看護師との雇用契約に基づいて,日本人が従事する場合に受け 

         る報酬と同等額以上の報酬をインドネシア人看護師に支払うこととしていること。

(三)雇用受入れ施設が,インドネシア厚生労働省告示第三の一の2に定める要件を  

        満たしていること。

(四)(二)に掲げる同等報酬の要件の遵守状況及び(三)に掲げる雇用受入れ施設

        の要件の遵守状況について,毎年一月一日現在で,受入れ調整機関を通じて地方

        入国管理局に報告することとしていること。

(五)受け入れているインドネシア人看護師との雇用契約を終了する場合には終了予

         定日及び終了の理由について,受け入れているインドネシア人看護師が失踪し

         た場合には発覚日時及び失踪状況について,受け入れているインドネシア人看

        護師が収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動(第四又は第五に定

        める手続を経て指定された受入れ機関との雇用契約に基づく雇用受入れ施設にお

        ける活動及び法第十九条第二項の規定による許可を受けて行う活動を除く。)を

        行ったことを知った場合には発覚日時及び当該活動の状況について,それぞれ当

        該インドネシア人看護師の身分事項と共に,受入れ調整機関を通じて速やかに地

        方入国管理局に報告することとしていること。

四 インドネシア人介護福祉士及びその受入れ機関

      インドネシア人介護福祉士及びその受入れ機関は、それぞれ次に掲げる事項のい 

  ずれにも該当するものとする。

 1インドネシア人介護福祉士

 (一)インドネシア厚生労働省告示第三の二の1に定めるインドネシア人介護福祉  

    士であること。

   (二)在留期間の更新又は在留資格の変更を受ける場合は,在留状況が良好であること。

 2 受入れ機関  

    (一)過去三年間にインドネシア人看護師等の受入れ及び外国人の就労に係る不正

        行為を行ったことがないこと。

  (二)インドネシア人介護福祉士との雇用契約に基づいて,日本人が従事する場合に

        受ける報酬と同等額以上の報酬をインドネシア人介護福祉士に支払うこととして

        いること。

  (三)雇用受入れ施設が,インドネシア厚生労働省告示第三の二の2に定める要件を

        満たしていること。

   (四) (二)に掲げる同等報酬の要件の遵守状況及び(三)に掲げる雇用受入れ施

        設の要件の遵守状況について、毎年一月一日現在で、受入れ調整機関を通じて地

        方入国管理局に報告することとしていること。

   (五)受け入れているインドネシア人介護福祉士との雇用契約を終了する場合には

        終了予定日及び終了の理由について,受け入れているインドネシア人介護福祉士

        が失踪した場合には発覚日時及び失踪状況について,受け入れているインドネシ

        ア人介護福祉士が収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動(第四又

        は第五に定める手続を経て指定された受入れ機関との雇用契約に基づく雇用受入

        れ施設における活動及び法第十九条第二項の規定による許可を受けて行う活動を

        除く。)を行ったことを知った場合には発覚日時及び当該活動の状況について,

        それぞれ当該インドネシア人介護福祉士の身分事項と共に,受入れ調整機関を通

        じて速やかに地方入国管理局に報告することとしていること。

第四 上陸の手続

         本邦に上陸しようとするインドネシア人看護師等は,査証の発給を受け,法第 

      三章第一節及び第二節に規定する上陸の手続を経て,特定活動の在留資格並びに

      インドネシア人看護師及びインドネシア人介護福祉士にあっては三年,インドネ

      シア人看護師候補者及びインドネシア人介護福祉士候補者にあっては一年の在留

      期間の決定を受けるものとする。

第五 在留期間の更新及び在留資格の変更の手続  

  一 インドネシア人看護師候補者

 1 在留期間の更新の手続

   本邦に在留するインドネシア人看護師候補者であって,在留期間の更新を受け  

  ようとするものは,法第二十一条に規定する在留期間の更新の手続を経て,新た

  な在留期間を一年(ただし,既に在留した期間と新たに在留することとなる期間

  を合わせて三年の範囲内とする。)とする許可を受けるものとする。

 2 在留資格の変更の手続 

   本邦に在留するインドネシア人看護師候補者であって,やむを得ない事情によ  

  り指定された受入れ機関又は雇用受入れ施設を変更しようとするものは,法第二

  十条に規定する在留資格の変更の手続を経て,その在留期間の満了の日までの期

  間を新たな在留期間とし,新たな受入れ機関又は雇用受入れ施設を指定する許可

  を受けるものとする。

  二 インドネシア人介護福祉士候補者

 1 在留期間の更新の手続

   本邦に在留するインドネシア人介護福祉士候補者であって,在留期間の更新を

  受けようとするものは,法第二十一条に規定する在留期間の更新の手続を経て,

  新たな在留期間を一年(ただし,既に在留した期間と新たに在留することとなる

  期間を合わせて四年の範囲内とする。)とする許可を受けるものとする。

 2 在留資格の変更の手続

   本邦に在留するインドネシア人介護福祉士候補者であって,やむを得ない事情

  により指定された受入れ機関又は雇用受入れ施設を変更しようとするものは,法

  第二十条に規定する在留資格の変更の手続を経て,その在留期間の満了の日まで

  の期間を新たな在留期間とし,新たな受入れ機関又は雇用受入れ施設を指定する

  許可を受けるものとする。

  三 インドネシア人看護師

 1 在留期間の更新の手続

   本邦に在留するインドネシア人看護師であって,在留  

   期間の更新を受けようとするものは,法第二十一条に規定する在留期間の更新

  の手続を経て,新たな在留期間を三年又は一年とする許可を受けるものとする。

 2 在留資格の変更の手続

   次のいずれかに該当する者は,法第二十条に規定する在留資格の変更の手続を

  経て,新たな活動を指定し,新たな在留期間を(一)に該当する者については三  

  年,(二)に該当する者については三年又は一年とする許可を受けるものとす

  る。

 (一)本邦に在留するインドネシア人看護師候補者であって,看護師国家試験に合

   格し,厚生労働大臣の免許を受けてインドネシア人看護師としての活動を行お

   うとするもの

 (二)本邦に在留するインドネシア人看護師であって,指定された受入れ機関又は

   雇用受入れ施設を変更してインドネシア人看護師としての活動を継続しようと

   するもの

  四 インドネシア人介護福祉士

 1 在留期間の更新の手続

   本邦に在留するインドネシア人介護福祉士であって,在留期間の更新を受けよ

  うとするものは,法第二十一条に規定する在留期間の更新の手続を経て,新たな

  在留期間を三年又は一年とする許可を受けるものとする。

 2 在留資格の変更の手続

   次のいずれかに該当する者は,法第二十条に規定する在留資格の変更の手続を

  経て,新たな活動を指定し,新たな在留期間を (一)に該当する者については

  三年,(二)に該当する者については三年又は一年とする許可を受けるものとす

  る。

 (一)本邦に在留するインドネシア人介護福祉士候補者であって,介護福祉士試験

   に合格し,介護福祉士資格を取得してインドネシア人介護福祉士としての活動

   を行おうとするもの

 (二)本邦に在留するインドネシア人介護福祉士であって,指定された受入れ機関

   又は雇用受入れ施設を変更してインドネシア人介護福祉士としての活動を継続

   しようとするもの

附 則

この告示は、経済上の連携に関する日本国とインドネシア共和国との間の協定の効力発生の日から施行する。

 

 

 

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11月

19日

在留資格「介護」

 「横浜 アオヤギ行政書士事務所」が在留資格「介護」につき解説いたします。 現在のところは、「介護」という在留資格は存在しませんが、今年3月6日に政府が入管法改正案を閣議決定致しました。 現在は、経済連携協定(EPA)の枠組みのみで、外国人介護従事者として在留資格「特定滞在」として約1600人在留しています。  団塊世代が75歳を超える2015年問題、これに対し250万人の介護人材が必要と見込まれますが、このままいけば35万人が不足するとの推計です。 海外から多くの介護福祉士に在留して貰うために、収入の底上げをすることと労働環境の改善が、最低必要条件になります。 政府は、この2点を改善しないと、介護福祉士の国家試験に合格する能力の高い外国人が、日本に来ると思いますか?

 

入管法改正閣議決定から今後の見通しと予定

平成27年11月現在継続審議中で、

可決成立日 未定

公布日   未定 
官報掲載日 未定
施行日   未定(公布の日から1年以内に施行)

 

在留資格「介護」取得の流れ

① 在留資格「留学ビザ」にて入国後

② 国が指定する介護福祉士養成機関で学び(2年以上)

③ 介護福祉士の資格を取得した者が対象となる。

 

 現状の技能実習制度のもと、単純労働者として、漁業、食品製造、造船所、建設業など幅広い業種に中国などから15万人以上が在留資格「技能実習」で働いています。

  厚生労働省は、本年度、外国人が日本で働きながら技術を学ぶ技能実習制度で介護分野の人材を受け入れる方針を決定しました。  実習場所は、特別養護老人施設に限定され、訪問介護は含まれません。 外国人が安価な労働力として、利用されないように、日本人と同程度の収入が条件とされます。 技能実習制度は、最長3年間ですので、実習終了後は、在留資格「介護」で在留してもらうようにするわけです。

 

 

 

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2015年

11月

19日

国際(渉外)養子縁組

 

 国際養子とは、国籍の異なる養親と養子の間で養子縁組を行うことを言います。 当事者の一方の国における手続き上の観点からは、渉外養子とも呼ばれます。 戦災孤児や、家庭問題等が深刻・経済的困窮などの理由で子供の養育が出来ない家族から、国境を越えて未成年者を養子として迎えるケースが多数です。 送り出す側は、開発途上国、迎え入れる側は、先進国であることが多いです。 こどもの権利条約によりますと、養子縁組は可能な限り国内委託を優先させることを定めており、国際的な養子縁組が行われる児童が国内における養子縁組の場合における保護及び基準と同等のものを享受することを確保するよう定めています。  

 止む無く、海外に送り出す場合も児童の利益最善化に最大限の配慮がなされるべきことを求め、不当な金銭授受を禁じています。 また、1993年のハーグ条約により、手続きの初めから終わりまで、両国の法務当局が責任を負うよう定められています。 人身売買ではないとの証明から始まり、法務当局間での養親と養子についてのプロフィール交換、送り出す側は子供の出国までを見届け、迎える側は子供の入国を確認する義務があるとされています。 

 

 日本において、養子縁組に関する担当官庁は法務省民事局(及び法務局・地方法務局)、外国籍の養子の日本在留に関する許認可官庁は法務省入国管理局(及び地方入国管理局)になりますが、国際養子に関する直接的な法律はありません。 6歳未満に関しては民法に特別養子縁組の詳細な規定があり、特に実親とは別れた乳幼児を他国から引取る場合などは、特別養子縁組によることが想定されています。 法の適用に関する通則法により、準拠法は、養親の本国法によるものと定められています。 養子の本国法に、縁組の承諾や許可に関する保護要件が設定されている場合は、それも満たすことが求められます。 帰化に際して、縁組当時 本国法において未成年で、1年以上日本に住んでいる外国人養子は、簡易帰化の適用が可能となります。

 

国際結婚に伴う連れ子を養子にする

 異なる国籍の者同士で国際結婚を行い、配偶者の子供を養子にする場合です。

ただし、後述のとおり、養子縁組をしたからといって、必ずしも帰化要件の緩和や在留資格が与えられるとは限りません。

 

成年同士の養子縁組

 それぞれの法律によって、養子は未成年者や一定の年齢以下のみに対象が限られている国と、日本のように成年者が養子となることも可能な国とがあり、後者で当事者の合意により養子縁組が行われる場合です。 なお、後述のとおり、養子縁組によって相続等における法律上の親子関係が発生することと、帰化在留資格の取得の可否とは、また別問題です。

一般の未成年養子に関する在留資格
①特別養子には、日本人の配偶者等の在留資格が与えられる
②6歳未満の普通養子には、定住者の在留資格が与えられる
③それ以上の年齢では、人道上配慮すべき特段の事情がある場合は法務大臣から個別
 に定住者の在留資格が与えられる可能性もありますが、そうでなければ、通常の外
 国人と同様に何らかの在留資格が別途必要になります。
連れ子に関する在留資格
 日本人が、外国人配偶者の外国籍の子供と養子縁組する場合(養子縁組しない場合でも)、その外国人配偶者に扶養されている未成年の未婚の実子は、原則として定住者の在留資格が与えられます。 成年後や独立生計の養子が日本に居住するには、通常の外国人と同様、何らかの在留資格が別途必要になります。 また、外国人が、日本人配偶者の日本国籍の子供と養子縁組する場合は、養親の本国法に基づくことになります。
成年養子に関する在留資格
 留学生や技術研修などで来日した外国人が、日本での在留期間の延長や事業承継者となることを目的として、日本人の養子となることを希望する例が見られます。 しかし、成年養子には帰化や在留資格に関する特段の優遇措置は与えられておらず、滞在の便法としての利用は無意味であります。 このことは、養子縁組を脱法手段とした不法入国や違法滞在の防止とも関連しています。
日本人が外国人を養子にする場合の届出手続き
 日本で養子縁組する場合は、成立要件と準拠法は日本の民法となりますので、市町村役場に養子縁組届を提出します。 海外で養子縁組をし、その国の方式によって養子縁組を成立させる場合には、縁組成立の日から3ヶ月以内に市町村に養子縁組届とその国の発行した縁組証明書を提出します。
日本人と外国人の夫婦が外国人又は日本人の子供を養子にする場合
準拠法は日本法と外国人配偶者の本国法となり、両法を適法することになります。
 
国籍の変動
 養子が養親の国籍を取得するかは、養親の本国法によることになります。
①養親が日本人の場合には、養子となった外国人の国籍は変動しません。 すなわち、養子
   縁組をすることで日本国籍を取得できるわけではありません。 日本国籍を取得するに
   は、帰化許可申請することになりますが、帰化要件が緩和されています。
②養親が外国人の場合で、養子となった日本人が養親の国籍を取得する場合には、養子の日
   本国籍は当然には喪失しないで、二重国籍者となります。
戸籍の変動
 日本国籍を有しない者について戸籍が編製されることはありません。 日本人の養親又は養子の戸籍身分事項覧養に養子縁組の事実が記載されます。 但し、養親が日本人と外国人の夫婦で養子が日本人の場合には、日本人養親の戸籍に編入され、その氏を称します。 一方、特別養子の場合は、まず、養子の新戸籍が編製され、その後日本人養親の戸籍に編入されます。
際養子縁組の提出必要書類
①家庭裁判所の許可書
②国籍証明書
 外国人養子の本国発行の国籍証明書です。 有効パスポートで代用可能の場合があります
   が、役所によりパスポートの和訳書の提出要請があります。
③出生証明書
④親族関係証明書
 親子関係などの確認です。
⑤養子の親族の同意書 

 

 国際養子縁組Q&A

Q1A子さんは日本人45歳女性です。 既に離婚しており、18歳の息子が一人おります。 将

 来、フィリピン国籍の子供と養子縁組をと考えていますが、養親としての条件はあります

 か?  収入の最低限度額などありますか?

A1日本の法律では、自己又は配偶者の直系卑属以外の未成年者を養子とする場合、家庭裁判

 所の許可が必要です。 家庭裁判所では必要に応じて、申立人、未成年者、代諾者(未成

 年者が15歳未満のとき)などに対し、家庭裁判所調査官が調査をしたり、裁判官が審問を

 したりして、これらの結果に基づき、裁判官が許可するかどうか判断することになりま

 す。 一方、養子になる者が外国籍である場合、その外国の法律も同時に、満たさなけれ

 ばなりません。 そもそも養子にして親権を持たなれば日本へ連れて来ることも出来ませ

 んから、まずはその外国の法律上で養子縁組をします。 養母としての条件はその国の法

 律によりますから、今回は、フィリピンの弁護士および在日フィリピン大使館・総領事館

 などにご相談ください。 その国の法律上養子縁組が成立すれば、市町村役場に養子縁組

 届を提出します。 た養子にできたとしても、日本に移住するための在留資格が認めら

 れるかどうかはまた別問題です。まずは入国管理局へ在留資格認定証明書交付申請をしま

 すが、そこでは身元保証人としての収入や一緒に暮らす家が問題になってきます

Q2国際養子縁組について考えております。 日本では日本国籍の者が海外から養子を迎える

 方法を教えて下さい?

A2「法の適用に関する通則法」31条に養子縁組の規定がありますので、国際養子は本法の想

 定の範囲です。 ただ、養子候補が、どこの国籍で何歳かといったことなど具体的条件が

 からんでくるので、ここでは結論が出ません。 さらに、日本永住のためには、外国国籍

 の養子を帰化させるかどうかという問題も生じてきます。 法の適用に関する通則法31条

 は次の通りです。基本的には、養親が日本人なら、日法の手続きで養子縁組できることに

 なりますが、場合により、養子の母国の法も積適用になります。

Q3養子縁組を認めていない国はありますか?

A3イスラム教諸国(チュニジア除く)のように、全く認めない国や、インドのようにヒン

 ドゥー教徒間でのみ認める国があります。

 

法の適用に関する通則法31
(養子縁組)
第31条 養子縁組は、縁組の当時における養親となるべき者の本国法による。この場合において、養子となるべき者の本国法によればその者若しくは第三者の承諾若しくは同意又は公的機関の許可その他の処分があることが養子縁組の成立の要件であるときは、その要件をも備えなければならない。
2 養子とその実方の血族との親族関係の終了及び離縁は、前項前段の規定により適用すべき法による。

 

 

 

 

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2015年

11月

17日

渉外離婚

 「横浜 アオヤギ行政書士事務所」渉外離婚につき解説いたします。 ご質問やご意見は下記のフォームに記載のうえ、メールにて送信下さい。 なお、返信希望のご質問には、貴メールアドレスの記載をお忘れなく。

 

離婚の国際裁判管轄

 離婚の国際裁判管轄が日本の裁判に認められるかは、現在のところ、明文規定は存在しません。 従って、過去の2ケの最高裁判例(最大判昭39.3.25、最判平8.6.24)を基に、当該離婚において国際裁判管轄が認められるか否かを判断することになります。

 は、日本に国際裁判管轄が認められることを原則とし、原告が日本に住所を有する場合、例外的に被告が原告を遺棄した場合、被告が行方不明の場合、その他これに準じる場合には、日本にも国際裁判管轄がある旨示しました。 も被告の住所地を原則的な管轄基準とし、その他どのような場合に日本に管轄がみとめられるかについては当事者の公平や裁判の適正・迅速の理念により条理に従って決定するのが相当とし、管轄の有無の判断に当たっては、原告が被告の住所地国に訴訟を提起することにつき法律上の又は事実上の障害があうか否か及びその程度を考慮し、離婚を求める原告の権利の保護に欠けることのないよう留意しなければならない旨、判示しました。

 これらの基準によれば、被告の住所が日本にあれば、日本に国際裁判管轄が認められますから、当事者双方が日本国内に在住していれば、日本に国際裁判管轄が認められます。 また、原告となる当事者の一方が国外に在住していても、被告となる当事者が日本国内に住所を有していれば、日本に国際裁判管轄が認められます。

 一方、これらの基準によれば、当事者双方が日本人であっても、双方が日本国外で在住している場合、日本に国際裁判管轄が認められないと考えます。 この場合でも、協議離婚は可能ですから、協議離婚による離婚の可能性を提案することになります。

 

 

日本に住んでいる同国の外国人夫婦の離婚手続

<準拠法>

 国籍が同じ外国人の場合、準拠法は同一本国法となります。 その結果、本国の法律で「協議離婚」が認められていない場合は、裁判による離婚しかありません。 またたとえ「協議離婚」が認められていても、韓国人同士の離婚のように日本で離婚届を出しただけでは本国では認められない場合もあり、韓国から見て有効な離婚を成立させるために韓国大使館・領事館に双方が出頭し、離婚の意思確認をすることもあります。

<裁判管轄>

 共に常居所が同じ日本と判断されれば、日本の裁判所に管轄権があることになり、家庭裁判所での調停・審判・裁判を申し立てます。 このようにして成立した離婚は本国でも認められる可能性が高いと言えますが、前もって在日大使館、領事館で確かめて下さい。

<例外>国籍が同じであっても、アメリカのように州により離婚の法律が異なる場合や宗教毎に法律が異なる場合は、同じ法律を適用することができません。

 

日本に住んでいるィ国籍の外国人夫婦の離婚手続

<準拠法>

 異国籍の外国人夫婦には共通の本国法がありませんので、①共通の常居所地である国の法律、②それが無い場合は密接地の国の法律を準拠法とすることになります。 このケースの場合、共通の常居所地が日本と判断された場合、日本の法律が準拠法になります。日本の民法に基づいて、協議離婚、調停離婚、裁判離婚ができます。

<離婚の効力>その後それぞれの本国で、日本で成立した離婚が有効と認められる為に、きちんと手続きを取ることが必要です。

 

 

 

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2015年

11月

16日

渉外婚姻と氏

 「横浜 アオヤギ行政書士事務所」渉外婚姻と氏につき解説いたします。 ご質問やご意見は下記のフォームに記載のうえ、メールにて送信下さい。 なお、返信希望のご質問には、貴メールアドレスの記載をお忘れなく。

 

外国人と婚姻した日本人の氏はどうなるのでしょうか?

婚姻前の氏を称する場合(原則)

 実務上、婚姻後の氏は、それぞれの当事者の本国法によって決まるものとされていますので、日本人は、婚姻の際の定めに従い、夫又は妻の氏を称することになります。

 民法750条は、日本人と外国人の婚姻が想定されていませんので、日本人は外国人と婚姻してもそのまま引続き婚姻前の氏を称するものと解されています。(戸籍法107条②)

 

外国人配偶者の氏に変更する場合

①家庭裁判所の許可を要しない場合

 戸籍法107条②によると、その者は、その婚姻の日から6ヶ月以内に限り、家庭裁判所の許 

 可を得ないで、その旨を届け出ることができます。

②家庭裁判所の許可を要する場合

 自分、配偶者の氏を繋いだ氏にしたい場合や、婚姻の日から6ヶ月を過ぎ得て配偶者の氏に

 変更する場合は、家庭裁判所の許可が必要となります。 

③外国人男性と婚姻した日本人女性が、自分の氏を外国人男性の氏に変更した場合

 その女性に前婚の子どもがおり、その子が女性の戸籍に在籍していた場合は、氏の変更

 が、家庭裁判所の許可を要する戸籍法107条第1項に基づくものか、家庭裁判所の許可を要

 しない戸籍法107条第2項に基づくものかで、取扱が異なります。

 即ち、戸籍法第107条第1項に基づく氏の変更の効力は、同一戸籍内の全ての者に当然に及 

 ぶものと解されています。 他方、戸籍法第107条第2項に基づく氏の変更は、届出人のみ

 について生ずるものとされており、届出人の戸籍に同席する子がある場合には、届出人に

 ついて新戸籍が編成され、同籍する子は従前の戸籍に留まる取り扱いがなされます。 

 従って、子も母の変更した氏を称し、同一の戸籍となることを希望する場合、子は母と同

 籍する旨の入籍の届出が必要になります。

 

日本人と婚姻した外国人の氏はどうなるのでしょうか?

 婚姻後の氏は、それぞれの当事者の本国法によって決まるものとされていますので、外国人の配偶者の氏は、当該外国人の本国法によって定められることになります。 当該外国人の本国法に従い、外国人配偶者の氏を配偶者である日本人の氏に変更する場合、これを日本において日本人の戸籍に反映させるためには、下記の手続をとることになります。 日本人と外国人が婚姻する場合、外国人の氏名などの情報が日本人の戸籍の身分事項に記載されますが、ここで記載される外国人配偶者の情報は、全て婚姻時のものです。 婚姻により、当該外国人の本国法に従い、その氏を日本人の氏に変更した場合は、日本人である当事者が、配偶者の氏の変更届をして、配偶者の氏が変更したことを記載して貰います。 その際には、外国人配偶者の本国の公的機関が発行した、氏に変更したことの証明書とその訳文が必要となります。

 

 

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2015年

11月

12日

渉外婚姻

 「横浜 アオヤギ行政書士事務所」渉外婚姻につき、解説いたします。 渉外婚姻とは、①日本人と外国人が日本で婚姻、②外国人二人が日本で婚姻、③日本人二人が外国で婚姻、④日本人と外国人が海外で婚姻などを言います。

 ご質問やお問合せは下記のフォームに記載のうえ、メールにて送信下さい。 なお、返信希望のご質問には、貴メールアドレスの記載をお忘れなく。

 

 

1.日本における日本人と外国人の婚姻

①実質的成立要件

 通則法24条1項に、「婚姻の成立は、各当事者につき、その本国法による。」と規定されて 

 おり、それぞれの本国法が適用されます。 例外として、国によっては、婚姻の成立は、 

 その当事者の住所地法によるとしている場合があります。 この場合は、反致により、当

 該外国人の実子的成立要件についても、日本法が適用されます。

  例えば、日本人男性とフィリピン人女性が結婚する場合、一方的要件については、日本 

 人完成については日本法、フィリピン人女性については、フィリピン法に照らして要件を

 満たしているか否かを確認します。 双方的要件については、日本法とフィリピン法に照

 らして要件を満たしているかを確認します。 具体的に言えば、再婚禁止期間は双方的要

 件であるため、フィリピン法で再婚禁止期間の定めがないとしても、日本法に6ヶ月の再婚

 禁止期間が定められていることから、フィリピン人女性と再婚の場合は、前婚の離婚成立

 から6ヶ月経過しないと、婚姻できません。 一方婚姻適齢は、一方的要件ですから、日本

 人男性が18歳で、日本民法上は、婚姻適齢を満たしており、フィリピン人女性は、フィ

 リピン法をクリアーしていれば良い訳です。

 

②形式的成立要件

 通則法24条1項に、「婚姻の方式は、婚姻挙行地の法による」としています。 例えば、日 

 本人と外国人が日本で婚姻する場合は、日本法によらなければなりません。

 

2.日本における外国人同士の婚姻

①実質的成立要件

 通則法24条1項に、「婚姻の成立は、各当事者につき、その本国法による。」と規定されて 

 おり、それぞれの本国法が適用されます。

 

3.外国における日本人同士の婚姻

①実質的成立要件

 双方につき日本法が適用されます。 

②形式的成立要件

 婚姻挙行地の方式によることも、日本の方式によることもできます。 婚姻挙行地の方式 

 による場合は、それぞれ国より、異なります。

 日本の方式による場合は、具体的には、当該日本人の本籍地、または、当該日本人がいる

 国に駐在する大使、公使又は領事に届出をすることできます。 この場合、外国から直接

 郵送する方法で婚姻届を提出することも出来ます。

 

4.外国における日本人とフィリピン人(外国人)の婚姻

①実質的成立要件

   通則法24条1項に従い、日本法とフィリピン法によることになります。 フィリピン法に

 よれば、実質的成立要件は、次の通りです。

 1、婚姻適齢(18歳以上、25歳以下は両親の同意書が必要)

 2.重婚の禁止

 3.近親婚等

 4.婚姻禁止期間(日本人男性が死亡の場合は、フィリピン人女性には301日間(10ヶ

   月)という再婚禁止期間があります。しかし、日本人男性と離婚した場合は、禁止期

   間はありません。

 

 

 

 

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2015年

11月

11日

「研修」「技能実習」から「日本人配偶者等」に在留資格変更許可申請

 「横浜 アオヤギ行政書士事務所」在留資格「研修」から 資格変更許可につき解説いたします。 ご質問やお問合せは、下記のフォームに記載の上、メールにて送信下さい。 なお、返信希望のお問合せは、貴メールアドレスの記載をお忘れなく。

 

 本日のご相談は、現在「研修」の在留資格で在留しているフィリピン人男性が、研修会社のOLと結婚して、継続して日本に在留したい。 可能でしょうか? といったものです。

 

 「研修」や「技能実習」で日本に在留している人の本来の目的は、外国人が日本の技術、技能、知識等を研修修得して、自国でその研修した技術等を活かすことです。 それを、止めてしまうことが出来るか?です。 日本人配偶者等や永住者の配偶者に変更ことを認められない場合もあり、一度本国へ帰国し、その後、在留資格認定証明書交付申請で呼寄せることを指導されることもあります。

 

 入管の在留資格変更許可を得るには、研修先や実習の送出し機関や実習機関への届出と許可を得ることが必要になります。

 

 次に、住所地の市区町村役場に婚姻届を提出し、婚姻受理証明書を発行して貰って、入管に添付書類の一つとします。  その他の書類は、外国人の婚姻要件具備証明書、日本人配偶者の戸籍謄本、住民票、配偶者の課税納税証明書などです。

 

 審査のポイントは、特に下記の3点であると考えます。

1.虚偽の婚姻ではないか

2.生活設計はどうか?

3.過去の犯罪歴はないか?

 

全てが クリアーできるなら、許可が下りる可能性が出てきます。

 

 

 

 

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2015年

10月

22日

フィリピン人の渉外特別養子縁組

 「横浜 アオヤギ行政書士事務所」フィリピン人の渉外特別養子縁組につき解説いたします。 ご質問やご意見は下記のフォームに記載の上、メールにて送信下さい。

 

 基本的に、養子縁組と特別養子縁組とは大きく意味も手続きも異なります。 特別養子縁組は、実親との親子関係が切れます。 従って、成立要件も裁判手続きも異なります。  

 フィリピン人の子どもを特別養子として迎え入れたい場合、は日本とフィリピン両国での手続きが必要です。 法律の適用は、日本とフィリピン両国の養子縁組に関する法律となります。 具体的には、日本は民法、フィリピンはフィリピン家族法第7章(養子縁組)、大統領令第603号(児童少年福祉法)、フィリピン共和国法第8043号(渉外養子縁組)です。 しかし、フィリピンには、特別養子縁組の規定が用意されておりません。

 

特別養子縁組申立書⇒ここをクリックして下さい

特別養子縁組申立書の書き方見本は⇒ここをクリックして下さい。 

 

特別養子縁組申立てに必要な書類

(1) 申立書1通

(2) 標準的な申立添付書類

養親となる者の戸籍謄本(全部事項証明書)

養子となる者の戸籍謄本(全部事項証明書)

養子となる者の実父母の戸籍謄本(全部事項証明書)

 

 

 「法の適用に関する通則法」31条に養子縁組の規定がありますので、国際特別養子の日本法の想定の範囲ですが、養子が、どこの国籍で何歳かといったことなど具体的条件がからんでくきます。 

 日本法の手続きで特別養子縁組できることになりますが、場合により、下記のフィリピン法も累積適用になります。

 

「法の適用に関する通則法」31条(養子縁組)
 養子縁組は、縁組の当時における養親となるべき者の本国法による。この場合において、  
 養子となるべき者の本国法によればその者若しくは第三者の承諾若しくは同意又は公的機
 関の許可その他の処分があることが養子縁組の成立の要件であるときは、その要件をも備
 えなければならない。
 養子とその実方の血族との親族関係の終了及び離縁は、前項前段の規定により適用すべ
 き法による。

 

フィリピン家族法第183条(養親の条件)

 養親は、成年(18歳)に達しており、行為能力を有するものとして、養育することが出来る資力を有する場合は、養親となることができる。 また、養親は、養子より16歳以上年長でなければならない。 注:フィリピン渉外養子縁組法第9条に、養親は申請時に27歳以上の要件としてありますので、現実には、27歳以上でなければなりません。

 

フィリピン家族法第184条(養親の欠格事由)

(1)被後見人である養子を後見人が養親となる場合

(2)反社会的な犯罪行為により、有罪判決をうけた者

(3)外国人、但し、下記は例外とする

 (a)親族を養子にする元フィリピン国籍を有するもの

   (b)フィリピン人配偶者の嫡出子を養子にする場合

   (c)フィリピン人と結婚して、その外囲ぐう者と共同でsh銀族を養子にする者

 

フィリピン家族法第187条(養子の欠格事由)

(1)成年に達したもの、(他の法律、共和国法例第8043号などの要件があり、年齢適格は、0歳~15歳となっています。)

(2)フィリピンと外交関係が無い国

 

フィリピン大統領令603号第29条(児童少年福祉法)

 配偶者の一方が外国人の場合、養親となる夫婦は、共同で養親となる夫婦共同養子縁組が、義務とされています。

 

児童少年福祉法第35条(試験監護)

 養子縁組は、養親が裁判所の監督を受け、6ヶ月以上試験監護を実施して、親としての適性を判断した後でなければ決定してはならない。 フィリピン人間の養子縁組では、裁判所は、この利益に合致すると判断したときは、申立人の請求又は職権でその期間を短縮又は、免除することが出来る。 しかし、渉外養子の場合は、試験監護期間を満了しなければならない。

 

児童少年福祉法第36条(裁判所の決定) 社会福祉事業省、または児童福祉施設の報告書、提出された資料を審査して、裁判所は、養子縁組の決定をする。

 

 

 

 

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2015年

10月

19日

フィリピン人の渉外養子縁組

 「横浜 アオヤギ行政書士事務所」フィリピン人の渉外養子縁組につき解説いたします。 ご質問やご意見は下記のフォームに記載の上、メールにて送信下さい。

 

 現在、日本に在留しているフィリピン人の7歳の子どもの養子縁組手続きにつき、相談を受けました。  

 フィリピン人の子どもを養子として迎え入れたい場合、は日本とフィリピン両国での手続きが必要です。 法律の適用は、日本とフィリピン両国の養子縁組に関する法律となります。 具体的には、日本は民法、フィリピンはフィリピン家族法第7章(養子縁組)、大統領令第603号(児童少年福祉法)、フィリピン共和国法第8043号(渉外養子縁組)です。 フィリピンは、1990年国連「子供の権利に関する条約」と1997年「ハーグ国際養子縁組条約」に批准しています。 

 

 「法の適用に関する通則法」31条に養子縁組の規定がありますので、国際養子の日本法の想定の範囲ですが、養子が、どこの国籍で何歳かといったことなど具体的条件がからんでくきます。 

 日本法の手続きで養子縁組できることになりますが、場合により、下記のフィリピン法も累積適用になります。

 

「法の適用に関する通則法」31条(養子縁組)
 養子縁組は、縁組の当時における養親となるべき者の本国法による。この場合において、  
 養子となるべき者の本国法によればその者若しくは第三者の承諾若しくは同意又は公的機
 関の許可その他の処分があることが養子縁組の成立の要件であるときは、その要件をも備
 えなければならない。
 養子とその実方の血族との親族関係の終了及び離縁は、前項前段の規定により適用すべ
 き法による。

 

フィリピン家族法第183条(養親の条件)

 養親は、成年(18歳)に達しており、行為能力を有するものとして、養育することが出来る資力を有する場合は、養親となることができる。 また、養親は、養子より16歳以上年長でなければならない。 注:フィリピン渉外養子縁組法第9条に、養親は申請時に27歳以上の要件としてありますので、現実には、27歳以上でなければなりません。

 

フィリピン家族法第184条(養親の欠格事由)

(1)被後見人である養子を後見人が養親となる場合

(2)反社会的な犯罪行為により、有罪判決をうけた者

(3)外国人、但し、下記は例外とする

 (a)親族を養子にする元フィリピン国籍を有するもの

   (b)フィリピン人配偶者の嫡出子を養子にする場合

   (c)フィリピン人と結婚して、その外囲ぐう者と共同でsh銀族を養子にする者

 

フィリピン家族法第187条(養子の欠格事由)

(1)成年に達したもの、(他の法律、共和国法例第8043号などの要件があり、年齢適格は、0歳~15歳となっています。)

(2)フィリピンと外交関係が無い国

 

フィリピン大統領令603号第29条(児童少年福祉法)

 配偶者の一方が外国人の場合、養親となる夫婦は、共同で養親となる夫婦共同養子縁組が、義務とされています。

 

児童少年福祉法第35条(試験監護)

 養子縁組は、養親が裁判所の監督を受け、6ヶ月以上試験監護を実施して、親としての適性を判断した後でなければ決定してはならない。 フィリピン人間の養子縁組では、裁判所は、この利益に合致すると判断したときは、申立人の請求又は職権でその期間を短縮又は、免除することが出来る。 しかし、渉外養子の場合は、試験監護期間を満了しなければならない。

 

児童少年福祉法第36条(裁判所の決定) 社会福祉事業省、または児童福祉施設の報告書、提出された資料を審査して、裁判所は、養子縁組の決定をする。

 

 

 

 

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2015年

10月

09日

フィリピン人を短期滞在で招へいする手続き

 

 

 在フィリピン日本国大使館及びセブ・ダバオ出張駐在官事務所におけるビザ申請は、現在、一部の例外を除き、在フィリピン日本国大使館の指定した代理申請機関(下記)を通じて申請しなければなりません。 従って、ビザ申請者が直接大使館に申請することはできません。 勿論、代理申請の取次手数料が課せられます。 

 

提出基本書類

ビザ申請人(フィリピン人)が準備するもの

① 旅券

② ビザ申請書(代理申請業者がもっている)

③ 写真 4.5x4.5㎝ 1枚 

④ 出生証明書 NSO発行の謄本 1通

      字が潰れて読めないものは、CITY HALL発行の出生証明書も必要

⑤ 婚約者として招聘するときはNSO発行の独身証明書

⑥   知人関係疎明資料(観光を除く)写真、送金送品控え、メールや手紙など

    公的機関発行の申請人またはその扶養者の所得証明書又は預金通帳及び納税証明書

 

日本側で準備するもの

⑦ 招へい理由書

⑧ 招へい理由に関する資料(知人関係説明書、戸籍謄本など)

⑨ 滞在予定表

⑩ 住民票(家族全品の続柄が記載されているもの)

 

身元保証人が渡航費用の一部又は全額負担する場合の追加資料

⑪ 身元保証書

⑫ 身元保証人の収入を証明するもの、下記の中から1点

・ 所得証明書・課税証明書(市区町村役場発行)

・ 預金残高証明書又は預金通帳の写し

・ 確定申告書の写し(税務署受付印のあるもの)

・ 納税証明書(税務署発行)

 

招へい理由書見本

 

招へい理由書

                         平成2710月○日

在マニラ日本国総領事殿

招へい人

住所:〒231-0824  横浜市中区本牧三之谷16-23

氏名:青柳保廣              印

電話番号:090-5513-3300

ファックス番号:045-623-1973

ビザ申請人

国籍:フィリピン

職業:無職

氏名:パスポート通りに記載

生年月日: 西暦19xx年〇月〇日生  〇歳

上記の者の招へい目的等は次のとおりです。

 

招へい目的 

婚約者の健康状態の確認と、日本の病院での診察

招へい経緯 既に婚約関係であり、前回(何年何月何日)に1ヶ月のビザを頂戴し、来日いたし、着々と婚姻の準備をしておりました。  しかし、添付診断書・入院証明書の通り○○○の大病を患い、婚姻手続きが順延しております。本来は、小生が、こちらからフィリピンに渡り、病状を含め経済状況などを確認しなければならなかったのですが、小生が行政書士という職業柄、相続に関する手続きや、後見人の申立等多忙で行くことができず、添付送金書のとおり平成〇年○月〇日に金100万円を送金して様子をみておりました。最近になり、病状が回復したとのことなので、小生が本人の健康状態の確認を致したく、また、状況に応じて日本の病院の診察も受けさせたく思い、申請をする次第です。

3.申請人との関係 婚約者

 

申請代理機関

①UHI(ユニバーサル・ホリデイズ・インク)
https:// www.universalholidays.com
https://www.facebook.com/UniversalHolidaysInc
email: japanvisa@universalholidays.com
uhijapanvisa@gmail.com

②Discovery Tour, Inc.
(ディスカバリーツアー)
http://www.discoverytour.ph/japanvisatour

③RAJAH TRAVEL CORPORATION
(ラジャ・トラベル・コーポレーション)
http://www.rajahtravel.com

④RELI TOURS & TRAVEL AGENCY
(レリ・ツアーズ・アンド・トラベル・エージェンシー)
http://www.relitours.ph

⑤ATTIC TOURS PHILS.,INC
(アティック・ツアーズ)

⑥FRIENDSHIP TOURS AND RESORTS CORPORATION
(フレンドシップ・ツアーズ)
http://www.friendshipmanila.com

⑦PAN PACIFIC TRAVEL CORPORATION
(パンパシフィック・トラベル・コーポレーション)
http://www.panpacifictravel.ph

 

 

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2015年

10月

08日

自己信託

「横浜のアオヤギ行政書士事務所」自己信託につき解説いたします、ご質問やご意見は下記のフォームに記載のうえ、メールにて送信下さい。 なお、返信希望のご質問には、貴メールアドレスの記載をお忘れなく。

 

 まず、「自己信託」は、「福祉型信託」の中核に位置し、「福祉型信託」は「家族信託」の中核に位置し、「家族信託」は「民事信託」の中核に位置しています。

 「自己信託」とは、委託者が、自分自身を受託者として、自己の財産を自分や自分以外の人のために管理・処分する旨を意思表示することによって、信託を設定する(公正証書等※信託法3条3号)ことを言う、単独行為です。 この自己信託は、高齢者・障害者等の生活支援をはじめ、債権などの流動化や証券化、事業の再生や資金調達、業務提携など幅広く、平成20年9月30日から活用できる、新しい制度です。

 例えば、Aさんが、右手に持った5000万円を、文書(公正証書)でAさんに信託すると書いて左手に移すと、その5000万円はAさん本人のものでなくなり、信託財産となります。 Aさんの債権者は、この5000万円を差押えることは出来なくなり、Aさんは、引続き自分や家族のために使用することが出来ます。

※信託法3条3号 

 特定の者が一定の目的に従い自己の有する一定の財産の管理又は処分及びその他の当該目的の達成のために必要な行為を自らすべき旨の意思表示を公正証書その他の書面又は電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものとして法務省令で定めるものをいう。以下同じ。)で当該目的、当該財産の特定に必要な事項その他の法務省令で定める事項を記載し又は記録したものによってする方法

 

自己信託の要件

1.信託の目的

2.信託をする財産を特定するために必要な事項

3.自己信託をするものの氏名又は名称及び住所

4.受益者の定め(受益者を定める方法の定め)

5.信託財産に属する財産の管理又は処分の方法

6.信託行為に条件又は期限を付すことは、条件又は期限に関する定め

7.信託法第163条第9号の事由(当該事由を定めない場合にあっては、その旨)

8.前各号に掲げるもののほか、信託の条項


自己信託の信託設定

 自己信託は信託宣言であり、委託者の単独行為で信託が設定されます。 自己信託は、公正証書その他の書面(公証役場の認証等)もしくは電磁的記録により設定されます。


自己信託の目的

 自己信託の目的は、受託者が信託事務を処理する上で従うべき指針であり、基準です。 自己信託については、信託法第8条との関係で、「安定した生活の支援と福祉の確保」あるいは、「信託財産の適正な管理と確実な継承」で足りると考えられる。


信託法第8条(受託者の利益享受の禁止)

 受託者は、受益者として信託の利益を享受する場合を除き、何人の名義をもってするかを問わず、信託の利益を享受することができない。
 

自己信託の財産

 信託財産は、委託者の財産から分離可能な管理承継出来る価値のある財産です。

一般に管理運用又は管理処分の対象となる移転可能な特定財産で、しかも金銭的価値に見積もり得るものとされています。 従って、積極財産に限られ、債務などの消極財産は含まれません。 また、金銭的価値に見積れない委託者の生命、身体、名誉等の人格権は当然ながら、含まれません。

 

自己信託の受益者

 受益者の資格は、自然人と法人に限られますが、胎児は受益者になり得ます。 この場合は、信託管理人の選任が必要です(法123条)。 委託者、受益者になれますし、また、受託者も受益者になることも出来ます。

 福祉型の自己信託の場合は、受益者本人では、財産管理が出来ないため、支援が必要な者です。 実務的からみて、自己信託で委託者本人が当初受益者になるのが多いのは課税問題があるからです。

 

受益者の具体例

①   高齢の委託者本人

②   高齢の配偶者・認知症配偶者

③   障害を持つ子

④   未成年の子

⑤   浪費癖の強い子

⑥   後添えの配偶者若しくは内縁の妻

⑦   所在不明の相続人

⑧   遺産承継者や事業承継者としての子及び孫

⑨   委託者死亡後の祭祀にかかわる者

 

自己信託の委託者

 委託者は、信託行為の当事者としての地位にあり、当然に各種の権利義務があります。 一方、権利等として、法第145条で制限する旨を定めることが出来るとされています。 

委託者に当然認められる権利は次のようなものです。 
① 受託者の辞任同意権、解任の合意権、新受任者の選任合意権など

② 信託財産管理者の解任に関する裁判申立権など

③ 信託管理人の辞任同意権、解任合意権、裁判申立権、新信託管理人の選任合意権など

④ 信託監督人の辞任同意権、解任合意権、解任裁判申立権など

⑤ 信託の変更合意権、信託の終了合意権、信託終了時の残余財産法的帰属権

⑥ その他

 一方、委託者の地位の相続で、法147条で、「委託者の相続人は、委託者の地位を相続により、承継しない」とされております。

 

信託不動産登録免許税

建物は、固定資産評価額の4/1000です

所有権以外の財産の信託は2/1000です。

「自己信託」という分類はありませんので、全て信託登録になります。


信託課税

 信託にとって原則(障害者に対する贈与税以外)優遇税制は存在しません。 信託課税は、受託者は導管にすぎず受益者が財産を有しているとみなされます。 時には、権利はあるが、いまだ全く受益がないのに課税され、或は、元本受益権を取得していない収益受益者信託財産の全部の価格を取得したとして取扱われることもあります。

 信託課税の規定は、改正前の相続税法では第4 条に置かれていましたが、平成19年度改正では、第4 条のまま改正されたのではなく、第9 条(贈与又は遺贈により取得したものとみなす場合-その他の利益の享受)の次に、第三部 信託に関する特例として第9条の2(贈与又は遺贈により取得したものとみなす信託に関する権利)が規定されるという形で改正されました。 さらに、第9条の3(受益者連続型信託の特例)から第9条の6(政令への委任)まで信託課税に関する特例が新たに規定されることとなりました。

 

Q事例1:甲が、平成○年○月○日に金銭1 億円を信託し、20年間は受益者を甲の長男A と

 し、毎年80万円ずつを配当することにし、10年後に長女Bも受益者とし、毎年200万円ず

 つを配当することにした。 信託財産が消滅したら、信託は終了することにした。
 この場合、長女B は「停止条件が付された信託財産の給付を受ける権利を有する者」とな

 るから、「受益者として権利を現に有する者」には該当せず、受益者として贈与税の課税

 はされないと考えるが、それでよいか?
A 事例1では、長女Bは、10 年後になって初めて受益者となるが、信託の効力が生じた時

 (信託の設定時)においては、停止条件が付された信託財産の給付を受ける権利を有する

 者ではあるが、「受益者としての権利を現に有する者」には該当しないことから、相続税

 法第9条の2第1項に規定する受益者ではない。 したがって、信託の設定時点では長女Bに

 贈与税は課税されない。 ただし、事例1では、受益者は長男A のがいることから、上記

 の相続税法施行令第1条の12 第3 項の規定の適用に当たっては、その信託に関する権利の

 全部を長男Aが取得したものとして贈与税が課税されることとなる。

Q事例2:父甲(委託者)が、相続税評価額10 億円の上場株式を信託財産、信託期間を30

 年、年収見込額500万円とし、信託受益権については分割し、収益受益者を本人とし、元本

 受益者を子供乙とする信託契約を締結した。
 ※ この株式の相続税評価額が1 株(500円株)当り1 万円、予想配当率10%とすると、信

 託予想利益の額は毎年500万円(10 万株×配当50円)となる(信託手数料等は考慮せ

 ず)。

A事例2: 乙に対して元本受益権(評価額9,900万円)の贈与があったものとして与税が課

 される。 なお、甲に対して課税関係は生じないが、仮に設定時における甲の収益受益権

 の評価額を算定すれば5,628.5 万円となる。 元本受益権:10 億円×0.099(30年、年

 8%の複利現価率)=9,900 万円
 収益受益権:500 万円×11.257(30 年、年8%の複利年金現価率)=5,628.5万円

 

自己信託設定公正証書の具体例

自己信託設定公正証書

 本公証人は、信託設定者A(以下委託者A)の嘱託により、次の法律行為に関する陳述の趣旨を録取し、この証書を作成する。

第1 信託基本事項

(信託の設定)

第1条 委託者Aは、平成26年1月30日、本証書に記載する目的に従い、別紙記載の財産に

 ついて、自己を信託の受託者として、受益者らのために、当該財産の管理、処分及びその

 他本信託目的の達成のために必要な行為を行うものとして信託を設定する(以下本自己信

 託)。

(基本となる要件事項)

第2条 本自己信託にかかる基本要件事項は、次のとおりである。

(1)信託の目的

   第3条記載のとおりである。

(2)信託をする財産を特定するために必要な事項

   第4条及び別紙記載のとおりである。

(3)自己信託をする者の氏名及び住所

   住所 横浜市中区本牧三之谷16-23

   氏名 A

(4)受益者の定め (受益者を定める方法の定めも含む)

   第5条記載のとおりである。

(5)信託財産に属する財産の管理または処分の方法 

   第7条、第9条、第11条記載のとおりである。

(6)信託行為の条件または期限に関する定め

   第6条記載のとおりである。

(7)信託法第163条第9号の信託行為で定めた終了事由

   第6条のとおりである。

第2 信託の主たる条項

(信託の目的)

第3条 本信託の目的は、次のとおりである。

 下記「信託財産」記載の不動産及び金融資産を信託財産として管理運用等を行い、受益者

 である委託者本人及び委託者の長男B及び長女Cの安定した生活及び福祉を確保すること

 を目的とするものである。 殊に、浪費癖を有する受益者長男Bの生にわたる安定した

 生活と最善の福祉を確保するための支援などを行うものであって、一時的な多額の給付は

 しないものとする。

(信託財産)  

第4条 本信託の信託財産は、次のとおりである。

(1) 不動産の信託

   別紙「信託財産目録」第1記載の不動産(以下「信託不動産」)を信託財産とし、同

   不動産についてはこれを賃貸用不動産として管理運用を行う。

(2) 金融資産の信託

   別紙「信託財産目録」第2記載の金融資産(賃貸用不動産の運用益を含む。)  

   (以下「信託金融資産」)を信託財産として管理運用及び処分を行うものとする。

(受益者)

第5条 本信託の第一次受益者は、委託者S及び長男B(昭和50年1月1日生)とする。 

 この場合、第7条に基づき長男Bに給付する金銭は委託者Sが負担している扶養義務の範

 囲内の金額とする。

 2.S死亡後の第二次受益者として、委託者の長女C(昭和55年5月5日生)を指定す

   る。

 3.S死亡以前に受益者長男Bが死亡したときは、第二次受益者として長女Cを指定す

   る。

 4.前2項の場合、長女Cに対しそれまでに長男Bに給付したのと同額程度の給付を行

   う。

(信託時間・信託終了事由)

第6条 本信託の期間(信託終了事由)は、次のとおりである。

 委託者S及び長男B両名の死亡まで。 従って、S死亡以前に受益者長男Bが死亡したと

 きは、委託者Sの死亡をもって終了する。

(信託の内容)

第7条 受託者は、信託財産の管理運用を行い、賃貸用不動産から生ずる賃料その他の収益

 及び金融資産をもって、公租公課、保険料、修繕積立金その他の必要経費及び信託報酬等

 を支払い、または積立、その上で、受託者が相当と認める額の生活費等を受益者に交付

 し、また受益者の施設利用費等を銀行振込み等の方法で支払う。

(後継受託者)

第8条 委託者兼当初受託者Sが死亡した場合は、委託者の長女Cを後継受託者に指定す

 る。

 2.当初受託者Sにつき後見開始、保佐開始の審判の申立または、任意後見監督人の 専

 任の審判がなされた場合は、委託者及び受益者の承諾なくして、当然に当初受託者Sは受

 託者を辞任し、後継の受託者として上記長女Cを指定する。

(信託財産の管理及び処分方法など)

第9条 本信託財産に属する財産の管理または処分の方法等は、次のとおりである。

(1)   信託不動産については、信託による所有権変更(前条の場合は所有権移転)及び信託の

   登記手続きをし、その余の信託財産(金融資産)については信託に必要な表示または

   記録等を行うこととする。

(2) 信託財産の保存あるいは管理運用に必要な処置は、受託者がこれを行うものとし、信託

    不動産について他に賃貸し、または賃貸しているものは賃貸人の地位を継承する。

(3) 受託者は、本信託事務の処理につき特に必要な場合は専門的知識を有する第三者 に委託

       することができる。

(4) 受託者は、本信託開始後速やかに、信託財産目録を作成して受益者に交付する。

(5) 受託者は、本信託開始と同時に信託財産に係る帳簿などを作成し、受益者に対して以後

       6ヵ月ごとに適宜の方法でその内容につき報告する。

(6) 受託者は、受益者若しくは受益者の任意後見人等(成年後見人及び保佐人等をも含

        む。)から報告も求められたときはすみやかに求められた事項をその者に報告するもの

       とする。

(7) 期間満了により信託が終了したときは、受託者は、本項(5)記載の信託財産にかかる帳

        簿等を作成して後記清算受託者に信託財産とともに引渡士事務引継ぎを行うものとす

        る。

(8) この信託条項に定めのない事項は、受益者または成年後見人等(保佐人、任意後見人を

       含む。)と受託者の合意によって定めるほか、信託法その他の法令に従うものとする。

第3 信託終了時の条項

(清算受託者)

第10条 信託終了後の清算受託者として、前記長女Cを指定する。

(残余財産の清算手続き及び帰属権利者)

第11条 信託財産については、清算受託者において、清算手続きを行い、残余財産につき次

       のとおり給付し帰属させる。

(1) 長女Cに帰属させる。

(2) 長女Cが死亡している場合は、○○○○に帰属させる。

(受託者の報酬)

第12条 受託者に報酬は支給しない。

 

 

   

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2015年

10月

01日

フィリピンでの結婚手続き

 横浜のアオヤギ行政書士事務」がフィリピンでの婚姻手続きにつき解説します。 ご質問やお問合せは下記のフォームに記載のうえ、メールにて送信下さい。 なお、返信希望のご質問には、貴メールアドレスをお忘れなく。

 

 昨日にご相談は、日本人男性がフィリピン在住のフィリピン女性とフィリピン方式で結婚したいので、その具体的方法?、必要期間?、費用?でした。

 

フィリピンでの結婚手続きの詳細は、

1.在マニラ日本大使館/セブ・ダバオ領事館で結婚要件具備証明書の申請を行います、申請

  の翌日証明書貰えます。 申請必要書類は、

  ①日本人男性のパスポート

  ②日本人男性の戸籍謄本

  ③フィリピン人女性の出生証明書(PSA旧NSO発行)

 

2.婚姻許可申請(結婚してよいかどうかの審査)⇒婚約者の住居地域の役所

  役所の掲示板で10日間掲示⇒交渉によって掲示期間を短縮できます。

 

3.婚姻許可証受取申請⇒婚姻許可証を申請した役所で、申請翌日に受け取ります。

  ①日本大使館発行の婚姻要件具備証明書(日本人男性宛ての書類)

  ②フィリピン人女性の出生証明書

  ③フィリピン人女性の「日本人と結婚する人のための講習」CFO参加証明書

  ④フィリピン人女性のパスポート写し

  ⑤日本人男性とフィリピン人女性のパスポートサイズ写真各1枚

  ⑥500~1500ペソ


4.婚姻届提出=結婚式(市役所、裁判所、教会のうちどこに提出しても可)

  ①婚姻許可証(上記3で申請した書類)

  ②結婚指輪(各1)

  ③日本人男性の印鑑

  ④カメラ(フィリピン人女性を日本に呼ぶためのに必要な結婚式記録写真を撮る)

  ⑤結婚の立会人(2~4人)

 

5.フィリピン民事登録所に結婚登録をする⇒婚姻証明書の発行

  婚姻証明書の発行までに1ヶ月程度時間が掛るので、日本人男性は、婚姻証明書を受け取

  らずに帰国し、後で送付して貰う。

 

6.日本人男性が帰国後に日本の住所地の役所に結婚届出をする(戸籍に婚姻が記載されま

  す。 この届出は、フィリ ピンの婚姻証明書とその日本語訳を添付します

 


英文説明は下記の通りです。

 

Marriage Procedure in Philippines

 

1. Legal Capacity of Contract Marriage for Japanese spouse at Japan Embassy

  • Japanese Spouse Passport

  • Japanese Spouse Koseki-Touhon

  • Filipino Spouse Birth Certificate

  One day from the application to the legal capacity publication

 

2 Marriage License Application at City Hall in Philippine

  10 days exhibition on the board of the city hall

Sometimes, you can shorten the term of exhibition,

 

3 Receive the marriage license from city hall

  • Legal Capacity of Contract Marriage for Japanese spouse

  • Filipino Spouse Birth Certificate

  • Passport size picture one (1) both bride and groom

  • Japanese Spouse Passport Copy

  • CFO marriage lecture attendance certificate of Filipino spouse

  • 500~1500peso

  One day from the application

 

4 Marriage at city hall

  • Marriage license

  • Ling both bride and groom

  • Japanese spouse Hanko

  • Camera ( For taking the picture for eligibility application)

  • Witnesses (Four persons)

 

5 Marriage registrations at civil register in the city hall

 

6 Report of marriage for Japanese city hall

 

 

 

 

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2015年

9月

30日

マイナンバーと在留外国人

 「横浜のアオヤギ行政書士事務所」が来月交付されるマイナンバー制度と在留外国人関係につき解説いたします。 ご質問やお問合せは、下記のフォームに記載の上、メールにて送信下さい。

  

 マイナンバー制度は、中長期在留者である「留学」や「技術・人文知識・国際業務」「経営管理」「技能実習」といったビザを持つ外国人、すなわち住民票のある外国人が対象になります。 従って、3ヶ月以内の短期在留者、「外交」「公用」の在留資格者は、対象外となります。

 在留外国人の住民票には、在留カード番号とマイナンバーが記載されることになります。

 

 新たに日本に在留する外国人は、入国港で、在留カードの交付をうけ、居住地を定めた日から 14 日以内に、住居地の市区町村役場で転入届を提出し(入管法19の7)、住民票が作成されます。 マイナンバーの「通知カード」は住民票を有する者に送付されるので、外国人の方はこのタイミングで通知されることになります。

 中長期在留外国人が単純帰国する場合は、在留カードと一緒にマイナンバーカードを返却することになります。 そして、返却と同時にマイナンバーが記載されたカードが交付され、再度日本に再度、中長期在留者として滞在する際は、このカードを提示することで、同じマイナンバーが交付されます。


在留外国人へのマイナンバー制度の影響
 法規やルールを守って生活をしている多くの外国人にとっては、何の問題ありません。 しかし、ルールを守っていない外国人には、何かと問題が起こる可能性が大きいです。

 平成28年1月以降は、給与所得者の源泉徴収票や各種支払調書にもマイナンバーが記載されることになるため、確定申告書の提出や納税状況についても行政機関が把握することが可能になります。 在留期間更新許可申請や在留資格変更許可申請時において、納税義務を果たしてない外国人には、消極的要素として評価されることになります。



 


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2015年

9月

29日

出入国管理インテリジェンス・センター

 「横浜のアオヤギ行政書士事務所」が平成27年10月1日に開設される出入国管理インテリジェンス・センターにつき解説いたします。 ご質問やお問合せは下記のフォームに記載のうえ、メールにて送信下さい。

 

 平成25年1月現在の不法残留者数は約6万2千人で、平成24年からは約5千人減少しましたが、ハイリスク外国人が日本に残留しております。 一方不法入国者や不法滞在者の数は把握できませんが、結構多い数に昇っていることは、間違いないところです。 


 東京オリンピック競技大会が開催される2020年に向けて、法務省入国管理局は水際対策の強化、観光立国の推進等を課題として、それぞれの課題において、情報収集、分析の面から貢献し、その役割を果たすことにより、安全・安心な社会を実現を目指すとしています。

 

 出入国管理インテリジェンス・センターは、水際対策や不法滞在・偽装滞在対策を強化して、観光立国の推進を実現するため、情報を活用した施策を策定、実施することとしています。 入国管理局出入国管理情報企画官を長とし、東京入国管理局庁舎内に設置されます。
 出入国管理インテリジェンス・センターには、情報収集、分析、鑑識等の専門知識を有する職員を配置することとしています。

①情報収集
 テロリスト、不法滞在者・偽装滞在者等出入国管理上リスクの高い者(以下「ハイリスク

 者」という。)等に係る国内外関係機関からの情報収集を実施するとともに、国内外関係

 機関との情報共有の枠組みを構築し、情報収集を推進する。
②情報分析
 保有情報を総合的に分析することにより、ハイリスク者等の特定又は類型化を実施し、地

 方入国管理官署に情報提供する。
③鑑識
 偽変造旅券等文書、指紋及び顔画像に係る鑑識の実施に関する企画立案を行う。

 

 

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2015年

9月

28日

遺留分減殺請求

   「横浜のアオヤギ行政書士事務所」遺留分減殺請求につき解説致します。 一昨日のご相談案件は、遺留分減殺請求をして貰いたくない内縁の女性からでした。 「男性には離婚した女性との間に3人の子どもがおります。 相談者は、男性とは婚姻をせずに、内縁関係を継続したい意向で、現在居住している不動産(男性名義)を男性死後取得したい。 遺留分減殺請求をさせない方法は?」との賜っていました。 ご相談やご質問は下のフォームに記載の上、メールにて送信下さい。 なお、返信希望のご質問には、貴メールアドレスの記載をお忘れなく。

 

 被相続人が生前所有していた財産は、遺言によって自由に処分することが出来ます。 今回の相談の場合、まず、男性に遺言書を残して貰うことから始まります。

しかし、遺言によって「全ての財産を内縁者、宗教団体、趣味クラブなどに遺贈する」

と書き遺した場合は残された家族が生活に困る可能性があります。 従って、残された家族の生活保障などの必要上、法定相続分を侵害された相続人に最低保障されている相続分を得る権利が民法によって定められています。 この権利が「遺留分減殺請求権」です。 民法では遺留分減殺請求権を行使出来る者は代襲相続人(孫)を含む子と直系尊属と配偶者に限られて、兄弟姉妹、叔父叔母、従兄妹には遺留分減殺請求の権利はありません。

 各相続人に与えらる遺留分の割合は民法1028条に下記のとおり定められています。

1.直系尊属のみが相続人であるときは、被相続人の財産の3分の1

2.前号に掲げる場合以外の場合は、被相続人の財産の2分の1

  

遺留分算定の基礎となる財産額=死亡時の財産+遺贈+生前贈与価格ー債務価格です。

 相続財産に加算される「贈与」は相続開始1年以内のものに限られます。 但し、遺留分を侵害することを双方が悪意(知っていた)で贈与した財産は1年前であっても加算されます。 相続に対する贈与で特別受益に該当するものは、相続開始の1年以上前の贈与を全て加算されます。

 

遺留分減殺請求の方法

 遺留分減殺請求権形成権なので、訴訟提起の必要はなく、内容証明郵便で請求します、内容証明郵便には字数などの制約があるので注意が必要です。 行政書士などの専門家に依頼するのが簡単で費用も案外安い(依頼前に報酬額の確認をすること)と思います。

 問題は、遺留分減殺請求をしても、無視される場合が多いことです。 現実的には、無視された場合は、調停を申たてますが、これも無視されることがあります。 その次は、民事訴訟で裁判所に訴訟することになるわけですが、当然弁護士に依頼することになりますので、その費用が巨額になる場合もあり、着手金が支払う余裕がなく、諦めてしまうケースも少なからずあると考えます。


 遺言執行者がいる場合、遺言執行者にも減殺請求する旨を知らせておく事が重要です。

遺留分減殺額が確定した時は、遺留分減殺の合意書(行政書士に依頼)を作成して署名捺印しそれぞれが1通所持することになります。

 

 相手が応じない場合は、家庭裁判所に家事調停を申立てることになりますが、遺留分減殺請求の調停で、こちらが負けることは基本的にありません。 審判が確定した場合は遺留分の支払いを受けることが出来ます。  家事審判が確定したにも拘らず、支払に応じない場合は地方裁判所に強制執行の手続きをとることになります。

 

遺留分関連民法条文

第1028条(遺留分の帰属及びその割合)

 兄弟姉妹以外の相続人は、遺留分として、次の各号に掲げる区分に応じてそれぞれ当該各号に定める割合に相当する額を受ける。
1.直系尊属のみが相続人である場合 被相続人の財産の三分の一
2.前号に掲げる場合以外の場合 被相続人の財産の二分の一

第1029条(遺留分の算定)

 遺留分は、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額にその贈与した財産の価額を加えた額から債務の全額を控除して、これを算定する。

 条件付きの権利又は存続期間の不確定な権利は、家庭裁判所が選任した鑑定人の評価に従って、その価格を定める。

第1030条

 贈与は、相続開始前の一年間にしたものに限り、前条の規定によりその価額を算入する。 当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知って贈与をしたときは、一年前の日より前にしたものについても、同様とする。

第1031条(遺贈又は贈与の減殺請求)

 遺留分権利者及びその承継人は、遺留分を保全するのに必要な限度で、遺贈及び前条に規定する贈与の減殺を請求することができる。

第1032条(条件付権利等の贈与又は遺贈の一部の減殺)

 条件付きの権利又は存続期間の不確定な権利を贈与又は遺贈の目的とした場合において、その贈与又は遺贈の一部を減殺すべきときは、遺留分権利者は、第千二十九条第二項の規定により定めた価格に従い、直ちにその残部の価額を受贈者又は受遺者に給付しなければならない。

第1033条(贈与と遺贈の減殺の順序)

 贈与は、遺贈を減殺した後でなければ、減殺することができない。

第1034条(遺贈の減殺の割合)

 遺贈は、その目的の価額の割合に応じて減殺する。 ただし、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う。

第1035条(贈与の減殺の順序)

 贈与の減殺は、後の贈与から順次前の贈与に対してする。

第1036条(受贈者による果実の返還)

 受贈者は、その返還すべき財産のほか、減殺の請求があった日以後の果実を返還しなければならない。

第1037条(受贈者の無資力による損失の負担)

 減殺を受けるべき受贈者の無資力によって生じた損失は、遺留分権利者の負担に帰する。

第1038条(負担付贈与の減殺請求)

 負担付贈与は、その目的の価額から負担の価額を控除したものについて、その減殺を請求することができる。

第1039条(不相当な対価による有償行為)

 不相当な対価をもってした有償行為は、当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知ってしたものに限り、これを贈与とみなす。 この場合において、遺留分権利者がその減殺を請求するときは、その対価を償還しなければならない。

第1040条(受贈者が贈与の目的を譲渡した場合等)

 減殺を受けるべき受贈者が贈与の目的を他人に譲り渡したときは、遺留分権利者にその価額を弁償しなければならない。 ただし、譲受人が譲渡の時において遺留分権利者に損害を加えることを知っていたときは、遺留分権利者は、これに対しても減殺を請求することができる。

 前項の規定は、受贈者が贈与の目的につき権利を設定した場合について準用する。

第1041条(遺留分権利者に対する価額による弁償)

  受贈者及び受遺者は、減殺を受けるべき限度において、贈与又は遺贈の目的の価額を遺留分権利者に弁償して返還の義務を免れることができる。

2項:前項の規定は、前条第一項ただし書の場合について準用する。

第1042条(減殺請求権の期間の制限

   減殺の請求権は、遺留分権利者が、相続の開始及び減殺すべき贈与又は遺贈があったことを知った時から1年間行使しないときは、時効によって消滅する。 相続開始の時から10年を経過したときも、同様とする。

第1043条(遺留分の放棄)

 相続の開始前における遺留分の放棄は、家庭裁判所の許可を受けたときに限り、その効力を生ずる。

2項:共同相続人の一人のした遺留分の放棄は、他の各共同相続人の遺留分に影響を及ぼさない。

第1044条(代襲相続及び相続分の規定の準用)

 第878条第2項及び第3項、第900条、第901条、第903条並びに第904条の規定は、遺留分について準用する。


遺留分減殺請求書の具体例①

 横浜市中区本町1丁目1番地

行政太郎 殿                     横浜市中区本町2丁目2番地

                               行政次郎 

                遺留分減殺請求書

  私は、亡母行政花子の相続人ですが、相続人は貴殿、私と姉行政三子の3人です。貴殿は、亡母から平成24年4月1日付け遺言書により後記記載の土地、建物及び預貯金の遺贈を受け、同遺言に基づき平成25年3月1日付け遺贈を原因とする不動産の所有移転登記手続きをしています。

  従って、貴殿が受けた遺贈は、私の遺留分(亡母の遺産の6分の1)を侵害していすので、遺贈を減殺請求し、遺留分に相当する不動産持分(6分の1)の移転登記手続きと預貯金(6分の1)の支払いを求めます。

   物件目録

(1)土地  所  在 横浜市中区本町1丁目1番地

       地  番 1番1号

       地  目 宅地

       地  積 1000平方メートル

(2)建物  所  在 横浜市中区本町1丁目1番地

       家屋番号 1番地1

       種  類 木造スレート葺平屋建て

       床面積  200平方メートル

(3)預貯金 みずほ銀行 普通預金  金1000万円

 

 遺留分減殺の合意書の具体例②

             遺留分減殺請求合意書

  行政太郎を甲、行政次郎を乙、行政三子を丙として、甲と乙丙とは遺留分減殺につき次の通り合意する。

                 記

 1.甲と乙丙は次の各事実を相互に確認する。

 (1)被相続人行政花子(以下「被相続人」という)が平成23年4月1日付け公正

    証書遺言により、その全財産を甲に包括的に遺贈する旨の遺言をなしたこ 

    と。

 (2)被相続人が平成25年3月1日に死亡し、前記遺言の効力が生じたこと。

 (3)被相続人の遺言は別紙遺言目録記載の通りで、他に存在しないこと。

 (4)乙、丙は、被相続人の子として、遺産に対してそれぞれ6分の1の遺留分を

    有していること。

2.甲は、乙丙に対し、遺留分減殺の価格弁済分として各金2000万円の支払い義   

  務があることを認め、これを次の通り乙丙に送金して支払う。

 (1)甲は、乙丙にたいして平成26年1月30日までに2000万円を乙丙が指定した銀

    行口座に送金して支払う。

    甲が前項の金額の支払いを遅延したときは、前項の支払い期日の翌日より支 

    払に至るまで年10%の延滞損害金を付加して支払う。

3.乙丙は、別紙遺産目録記載の財産が甲の所有であることを認める。

4.甲と乙丙は本件の遺留分減殺請求の合意結果の基づき相続税申告の手続きを共同  

  でなすこととし、それぞれの配分額に応じた相続税を負担することとする。

  但し、申告手続きに伴う税理士費用については甲の負担とする。

5.甲と乙丙は、本件相続に関し本合意書に定める以外、相互になんらの債権債務も

  ないことを確認する。

 以上の合意成立の証として、本合意書3通を作成し、甲、乙、丙それぞれ記名押印のうえ、各1通を所持する。

平成26年1月1日        甲 住所  横浜市中区本町1丁目1番地

                   氏名  行政太郎   

                 乙 住所  横浜市中区本町2丁目2番地

                   氏名  行政次郎   印

                 丙 住所  横浜市中区本町3丁目3番地

                   氏名  行政三子   

 

 

遺留分減殺請求の最高裁判例19件

 

①減殺請求権の性質(最判昭和41年7月14日)

遺留分権利者の減殺請求権の性質
      主   文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
      理   由
上告代理人井上綱雄の上告理由について。
遺留分権利者が民法1031条に基づいて行う減殺請求権は形成権であって、その権利の行使は受贈者または受遺者に対する意思表示によってなせば足り、必ずしも裁判上の請求による要はなく、また一旦、その意思表示がなされた以上、法律上当然に減殺の効力を生ずるものと解するのを相当とする。 従って、右と同じ見解に基づいて、被上告人が相続の開始および減殺すべき本件遺贈のあったことを知った昭和36年2月26日から元年以内である昭和37年1月10日に減殺の意思表示をなした以上、右意思表示により確定的に減殺の効力を生じ、もはや右減殺請求権そのものについて民法1042条による消滅時効を考える余地はないとした原審の判断は首肯できる。 論旨は、右と異る見解に基づくものであって、採用できない。
よって、民訴法401条、95条、89条に従い、裁判官全員の一致で。主文のとおり判決する。   最高裁,同裁判長裁判官長部謹吾

 

②減殺請求後の転得者に対する減殺請求とその消滅時効の起算点(最判昭和35年7月19日)

減殺請求後の転得者に対する減殺請求とその消滅時効の起算点
      主   文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人らの負担とする。
      理   由
上告代理人菅原勇の上告理由第一点について。
所論の実質は原審の適法な証拠判断の非難にすぎず、上告適法の理由と認められない。
同第二点について。
しかし、被上告人甲が上告人らの登記の欠缺を主張し得る第三者に該当することは当裁判所の判例の趣旨に照らして明らかである(昭和33年10月14日判決)。 そして原判決は、亡乙名義に所有権移転登記がなされた時において乙は本件不動産につき完全な所有権を取得し、上告人らは何らの権利をも有しなくなったとし、被上告人丙及び丁が登記義務を承継したとしても、同人らから本件不動産を買受けた被上告人甲において所有権移転登記を得た以上、特段の事情のない限り登記義務は履行不能に帰したと判示して、上告人らの請求を排斥しているのであり、その判断は正当であるから、論旨は理由がないことに帰する。
同第三点について。
所論は原審の適法な証拠判断の非難にすぎず、上告適法の理由と認められない。
同第四点について。
しかし上告人らの減殺請求により本件不動産が全部上告人らの所有に帰したとする所論の立場に立ってみても、未登記の上告人らは被上告人丙、及び丁から本件不動産を買受け所有権移転登記を経た被上告人甲に対し、所有権取得をもって対抗し得ないのであるから、所論は原判決の結論に影響のないものであり、採用に値しない。
同第五点、第六点について。
亡乙に対する減殺請求後、本件不動産を買受けた被上告人甲に対し減殺請求をなし得ないとした原審の判断、並びに時効の起算点に関する原審の判断は、いづれも正当であり、その間に齟齬はないから、論旨はすべて理由がない。
上告代理人加藤行吉、同工藤祐正の上告理由第一点について。
所論は原判決に即せず、第一審判決の違法をいうもので、上告適法の理由と認められない。
同第二点について。
所論の理由のないことは前記菅原代理人の上告理由第二点の説示により諒解すべきである。
同第三点について。
上告人らが贈与を受けたにしてもその所有権の取得をもって対抗できないものである以上、所論の事実を必ずしも確定する必要はないから、原判決に所論の違法あるものとは言えない。
同第四点について。
遺留分に反する譲渡行為であってもそのため当然無効となるものではなく減殺請求に服するにすぎない。 そして本件は被相続人戊の生前の二重贈与と減殺請求の事実に関するもので、単なる相続人間の相続財産の所有権取得の主張の問題ではないから、所論のような理由によって原判決の判断を違法と解することはできない。 引用判例は適切でなく、論旨は理由がない。
よって、民訴401条、95条、93条1項、89条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。  最高裁裁判長裁判官河村又介 

 

③民法1041条1項の価額弁償と贈与・遺贈の目的物の価額算定の基準時(最判昭和51年8月30日)

遺留分権利者が受遺者又は受遺者に対し民法1041条1項の価額弁償を請求する訴訟における贈与又は遺贈の目的物の価額算定の基準時
      主   文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
      理   由
上告代理人下山量平の上告理由一について
原審の裁判長が裁判の評議に加わりその評決の後に転任したものであることは、記録は添付されている原判決正本に徴し明らかであるから、原判決に所論の違法はない。論旨は、独自の見解に基づいて原判決を非難するものであって、採用できない。
 同二(1)について
 遺留分権利者の減殺請求により贈与又は遺贈は遺留分を侵害する限度において失効し、受贈者又は受遺者が取得した権利は右の限度で当然に減殺請求をした遺留分権利者に帰属するものと解するのが相当であって(最高裁昭和33年(オ)第502号同35年7月19日判決、最高裁昭和40年(オ)第1084号同41年7月14日判決、最高裁昭和42年(オ)第1465号同44年1月28日判決)、侵害された遺留分の回復方法としては贈与又は遺贈の目的物を返還すべきものであるが、民法1041条1項が,目的物の価額を弁償することによって目的物返還義務を免れうるとして、目的物を返還するか、価額を弁償するかを義務者である受贈者又は受遺者の決するところに委ねたのは、価額の弁償を認めても遺留分権利者の生活保障上支障をきたすことにはならず、一方これを認めることによって、被相続人の意思を尊重しつつ、すでに目的物の上に利害関係を生じた受贈者又は受遺者と遺留分権利者との利益の調和をもはかることができるとの理由に基づくものと解されるが、それ以上に、受贈者又は受遺者に経済的な利益を与えることを目的とするものと解すべき理由はないから、遺留分権利者の叙上の地位を考慮するときは、価額弁償は目的物の返還に代わるものとしてこれと等価であるべきことが当然に前提とされているものと解されるのである。 このようなところからすると、価額弁償における価額算定の基準時は、現実に弁償がされる時であり、遺留分権利者において当該価額弁償を請求する訴訟にあっては現実に弁償がされる時に最も接着した時点としての事実審口頭弁論終結の時であると解するのが相当である。 所論指摘の民法1029条、1044条、904条は、要するに、遺留分を算定し、又は遺留分を侵害する範囲を確定するについての基準時を規定するものであるにすぎず、侵害された遺留分の減殺請求について価額弁償がされるときの価額算定の基準時を定めたものではないと解すべきである。 右と同旨の原審の判断は正当として是認することができ、原判決に所論の違法はない。 論旨は、採用できない。
同二(2)について
原判決添付別紙目録一、二の土地に関する被上告人の請求には、民法1040条1項本文に基づいて価額弁償を請求する主位的請求と民法709条に基づいて損害賠償を請求する予備的請求があり、原審は、主位的請求を棄却し、予備的請求の一部を認容したものであるところ、所論は、畢竟、上告人が勝訴した主位的請求に関する原審の判断を非難するものであるから、適法な上告理由にあたらない。
同二(3)並びに上告人の上告理由(一)及び(二)について
所論の点に関する原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らして是認することができ、原判決に所論の違法はない。 論旨は、畢竟、原審の専権に属する証拠の取捨判断、事実の認定を非難するものにすぎず、採用できない。
上告人の上告理由(三)について
所論は、原審における主張を経ない事実に基づく原判決非難であるから、適法な上告理由にあたらない。
よって、民訴法401条、95条、89条に従い、裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。   最高裁裁判長裁判官本林 讓

 

④相続人が受けた贈与金銭が特別受益である場合の受益額算定の方法(最判昭和51年3月18日)

相続人が受けた贈与金銭が特別受益である場合の受益額算定の方法
      主   文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
      理   由
上告代理人永宗明の上告理由について
被相続人が相続人に対しその生計の資本として贈与した財産の価額をいわゆる特別受として遺留分算定の基礎となる財産に加える場合に、右贈与財産が金銭であるときは、その贈与の時の金額を相続開始の時の貨幣価値に換算した価額をもって評価すべきものと解するのが、相当である。 何故なら、このように解しなければ、遺留分の算定にあたり、相続分の前渡としての意義を有する特別受益の価額を相続財産の価額に加算することにより、共同相続人相互の衡平を維持することを目的とする特別受益持戻の制度の趣旨を没却することとなるばかりでなく、かつ、右のように解しても、取引における一般的な支払手段としての金銭の性質、機能を損う結果をもたらすものではないからである。 これと同旨の見解に立って、贈与された金銭の額を物価指数に従って相続開始の時の貨幣価値に換算すべきものとした原審の判断は、正当として是認できる。 原判決に所論の違法はなく、論旨は採用できない。
上告人の上告理由について
所論の点に関する原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らし、正当として是認できる。 論旨は、畢竟、原審の専権に属する証拠の取捨判断、事実の認定を非難するものにすぎず、採用できない。
よって、民訴法401条、95条、89条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。   最高裁裁判長裁判官  岸 盛一 

 

⑤民法1042条の減殺すべき贈与があったことを知った時とその認定(最判昭和57年11月12日)

民法1042条の減殺すべき贈与があったことを知った時とその認定
      主   文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
      理   由
上告代理人石川功の上告理由について
民法1042条にいう「減殺すべき贈与があったことを知った時」とは、贈与の事実及びこれが減殺できるものであることを知った時と解すべきであるから、遺留分権利者が贈与の無効を信じて訴訟上抗争しているような場合は、贈与の事実を知っただけで直ちに減殺できる贈与があったことまでを知っていたものと断定することはできないというべきである(大審院昭和13年2月26日判決)。 しかし、民法が遺留分減殺請求権につき特別の短期消滅時効を規定した趣旨に鑑みれば、遺留分権利者が訴訟上無効の主張をしさえすれば、それが根拠のない言いがかりにすぎない場合であっても時効は進行を始めないとするのは相当でないから、被相続人の財産のほとんど全部が贈与されていて遺留分権利者が右事実を認識しているという場合においては、無効の主張について、一応、事実上及び法律上の根拠があって、遺留分権利者が右無効を信じているため遺留分減殺請求権を行使しなかったことがもつともと首肯しうる特段の事情が認められない限り、右贈与が減殺することのできるものであることを知っていたものと推認するのが相当というべきである。
これを本件についてみるのに、原審の適法に確定した事実及び記録によれば、(一)訴外根岸誠二(以下「訴外誠二」という。)は、その妻である上告人とかねて円満を欠いていたところ、昭和33年ころには不仲の程度が甚しくなり、養子である訴外根岸克子(以下「訴外克子」という。)とともに家を出て被上告人桜井キミヱ(以下「被上告人桜井」という。)方で同被上告人と同棲して世話を受けた、(二)訴外誠二は、74歳の高齢になって生活力も失っていた時期である昭和43年12月20日に被上告人桜井の自己及び訴外克子に対する愛情ある世話と経済的協力に感謝し、かつ、自分の亡きあと訴外克子の面倒をみてもらうためにその唯一の財産ともいうべき本件土地建物につき持分二分の一を被上人桜井に贈与し、同時に残りの二分の一を訴外克子に贈与した、(三)訴外誠二は、昭和49年6月25日に死亡したが、上告人はその1か月後には本件土地建物の権利関係について調査し、前記贈与の事実を了知していた。(四)そこで、上告人は訴外誠二の被上告人桜井に対する本件贈与が右両者間の妾契約に基づいてされたもので公序良俗に反して無効であると主張して被上告人桜井の受領した本件土地建物の持分二分の一の返還を求める本件訴を提訴した、(五)これに対し被上告人桜井らは右公序良俗違反の主張を争うとともに、本件第一審の昭和49年11月11日の口頭弁論で陳述した同日付準備書面において、かりに本件贈与が無効であるとしても、右返還請求は民法708条により許されない旨を主張し、第一審判決においてその主張が容れられて本訴請求が排斥されたため、上告人は、差戻前の原審の昭和51年7月27日の口頭弁論において、予備的に、遺留分減殺請求権を行使して、被上告人桜井に対し、本件土地建物の持分6分の1の返還を求めるに至った、(六)上告人がした本件贈与無効の主張は、差戻前の原審において、贈与に至る前記事情及び経過に照らし公序良俗に反する無効なものといえない旨判断されて排斥され、右判断は上告審の差戻判決においても是認された、というのである。 右事実関係によれば、本件贈与無効の主張は、それ自体、根拠を欠くというだけでなく、訴外誠二の唯一の財産ともいうべき本件土地建物が他に贈与されていて、しかも上告人において右事実を認識していたというのであるから、被上告人桜井らから民法708条の抗弁が提出されているにもかかわらずなお本件贈与の無効を主張するだけで昭和51年7月に至るまで遺留分減殺請求権を行使しなかったことについて首肯するに足りる特段の事情の認め難い本件においては、上告人は、おそくとも昭和49年11月11日頃には本件贈与が減殺することのできる贈与であることを知っていたものと推認するのが相当というべきであって、これと同旨の説示に基づいて本件遺留分減殺請求権が時効によって消滅したものとした原審の判断は、正当として是認できる。 論旨は、採用できない。
よって、民訴法401条、95条、89条に従い、裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。   最高裁裁判長裁判官 大橋 進

 

⑥遺贈の目的の返還義務を免れるためにすべき価額弁償とは(最判昭和54年7月10日)

特定物の遺贈につき履行がされた場合に民法1041条により受遺者が遺贈の目的の返還義務を免れるためにすべき価額弁償の意義
      主   文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
      理   由
上告代理人江谷英男、同藤村睦美の上告理由第一点について
本件建物が無価値のものでなく、まだかなりの価値を有するものであるとする原判決の認定判断は、その挙示する証拠関係に照らし、正当として是認することができ、原判決に所論の違法はない。 論旨は、畢竟、原審の専権に属する証拠の取捨判断、事実の認定を非難するか、又は判決の結論に影響のない点をとらえて原判決を論難するものにすぎず、採用できない。
同第二点について
遺留分権利者が民法1031条の規定に基づき遺贈の減殺を請求した場合において、受遺者が減殺を受けるべき限度において遺贈の目的の価額を遺留分権利者に弁償して返還の義務を免れうることは、同法1041条により明らかであるところ、本件のように特定物の遺贈につき履行がされた場合において右規定により受遺者が返還の義務を免れる効果を生ずるためには、受遺者において遺留分権利者に対し価額の弁償を現実に履行し又は価額の弁償のための弁済の提供をしなければならず、単に価額の弁償をすべき旨の意思表示をしただけでは足りない。 何故なら、右のような場合に単に弁償の意思表示をしたのみで受遺者をして返還の義務を免れさせるものとすることは、同条一項の規定の体裁に必ずしも合うものではないばかりでなく、遺留分権利者に対し右価額を確実に手中に収める道を保障しないまま減殺の請求の対象とされた目的の受遺者への帰属の効果を確定する結果となり、遺留分権利者と受遺者との間の権利の調整上公平を失し、ひいては遺留分の制度を設けた法意にそわないこととなるからである。
これを本件についてみるのに、原審の確定したところによれば、被上告人は、遺贈者亡甲の長女で唯一の相続人であり、遺留分権利者として右甲がその所有の財産である本件建物を目的としてした遺贈につき減殺の請求をしたところ、本件建物の受遺者としてこれにつき所有権移転登記を経由している上告人は、本件建物についての価額を弁償する旨の意思表示をしただけであり、右価額の弁償を現実に履行し又は価額弁償のため弁済の提供をしたことについては主張立証をしていない、というのであるから、被上告人は本件建物につき二分の一の持分権を有しているものであり、上告人は遺留分減殺により被上告人に対し本件建物につき2分の1の持分権移転登記手続をすべき義務を免れることができないといわなければならない。
従って、これと同趣旨の原審の判断は正当であって、原判決に所論の違法はない。 論旨は採用できない。
よって、民訴法401条、95条、89条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。   最高裁裁判長裁判官服部高顯

 

⑦遺留分減殺請求権の行使による目的物返還請求権等と民法1042条の消滅時効(最判昭和57年3月4日)

遺留分減殺請求権の行使による目的物返還請求権等と民法1042条の消滅時効
      主   文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
      理   由
上告代理人景山米夫の上告理由一について
民法1031条所定の遺留分減殺請求権は形成権であって、その行使により贈与又は遺贈は遺留分を侵害する限度において失効し、受贈者又は受遺者が取得した権利は右の限度で当然に遺留分権利者に帰属するものと解すべきものであることは、当裁判所の判例とするところであり(最高裁昭和41年7月14日判決、最高裁昭和51年8月30日判決)、従って、遺留分減殺請求に関する消滅時効について特別の定めをした同法1042条にいう「減殺の請求権」は、右の形成権である減殺請求権そのものを指し、右権利行使の効果として生じた法律関係に基づく目的物の返還請求権等をもこれに含ましめて同条所定の特別の消滅時効に服せしめることとしたものではない、と解するのが相当である。 これと同旨の原審の判断は、正当として是認することができ、原判決に所論の違法はない。 論旨は、採用できない。
同二について
原審の適法に確定した事実関係のもとにおいて、民法1040条の規定を類推適用して被上告人の本件遺贈の目的の価額弁償の請求を認めた原審の判断は、正当として是認することができ、原判決に所論の違法はない。 論旨は、採用できない。
よって、民訴法401条、95条、89条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。   最高裁裁判長裁判官本山 亨

 

⑧価額弁償がなされた場合と所得税法59条1項1号の遺贈(最判平成4年11月16日)

遺産全部の包括遺贈に対する遺留分減殺請求権行使と同権利の性質(最判平成8年1月26日)
不動産の持分移転登記手続請求訴訟と受遺者が裁判所の価額による価額弁償の意思表示をした場合の判決主文(最判平成9年2月25日)

不動産の持分移転登記手続請求訴訟と受遺者が裁判所の価額による価額弁償の意思表示をした場合における判決主文
      主   文
一 原判決主文第一項の2及び3を次のとおり変更する。
 1 被上告人は、上告人に対し、被上告人が上告人に対して民法1041条所定の遺贈の目的の価額の弁償として2272万8231円を支払わなかったときは、第一審判決添付第一目録記載の各不動産の原判決添付目録記載の持分につき、所有権移転登記手続をせよ。
 2 上告人のその余の請求を棄却する。
二 その余の本件上告を棄却する。
三 訴訟の総費用はこれを5分し、その二を上告人の負担とし、その余を被上告人の負担とする。
      理   由
第一 上告代理人樽谷進の上告理由一について
  所論の点に関する原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らし、正当として是認することができ、その過程にも所論の違法は認められない。 論旨は、原審の専権に属する証拠の取捨判断、事実の認定を非難するものにすぎず、採用することができない。
第二 同二及び三について
一 所論は、要するに、本件において上告人が求めているのは現物返還のみであり、被上告人もまた、単に価額弁償の意思表示をしたにとどまり現実の履行もその履行の提供もしていないのであるから、原判決主文第一項3のごとき条件付判決をすることは民訴法186条に違反するのみならず、右のごとき判決をしても、登記手続上、上告人の遺留分減殺を原因とする所有権移転登記手続を防止することができないばかりでなく、価額弁償の時期により次の手続が異なるという不安定な結果となるのであって、上告人はかかる判決を求めていないし、また、本件は現物返還を請求している事案であって、価額弁償算定の前提となるべき目的物の価額算定の基準時を事実審口頭弁論終結時とするのは相当でない、というのである。
二 上告人の求めているのが単なる現物返還のみであり、原判決主文第1項3に趣旨不明確な点があることは所論のとおりであって、これを是正すべきことは後記説示のとおりであるが、被上告人は、原審において、後記のとおり、単に価額弁償の意思表示をしたにとどまらず、裁判所が定めた価額により民法1041条の規定に基づく価額弁償をする意思がある旨を表明して、裁判所に対して弁償すべき価額の確定を求める旨の申立てをしているのであるから、原審がこれに応えて上告人の持分の移転登記請求を認めるに当たり、弁償すべき価額を定め、その支払を解除条件として判示したのはむしろ当然であって、そのこと自体を民訴法186条に違反するものということはできない。 また、目的物の価額算定の基準時を事実審口頭弁論終結時より後にすることができないのは事理の当然であって、この点の所論は採用の限りでない。
三 以下、所論に鑑み、原審における被上告人の申立ての趣旨及びこれに対する原審の判断の当否について、職権をもって検討する。
 1 上告人の予備的請求は、上告人から被上告人(受遺者)に対する遺留分減殺請求権の行使により上告人に帰属した遺贈の目的物の返還(不動産については持分の確認及び移転登記手続)を求めるものであるところ、被上告人は、右請求に係る財産のうち第一審判決添付第一目録記載の各不動産(以下「本件不動産」という)の持分については、裁判所が定めた価額により民法1041条の規定に基づく価額の弁償をなすべき旨の意思を表明して弁償すべき価額の確定を求める旨の申立てをしている。 そして、原審の適法に確定したところによれば、(一)甲は、昭和62年1月5日付け目筆証書により全財産を被上告人に遺贈する旨の遺言をした後、同月26日に死亡した,(二)甲の相続人は、被上告人(長男)、乙(次男)及び上告人(次女)の3名である、(三)甲の遺産である本件不動産につき、同年7月2日までに、本件遺言に基づき被上告人に対する所有権移転登記が経由された、(四)上告人は、同月30日,被上告人に対して遺留分減殺請求権を行使する旨の意思表示をした、(五)右遺留分減殺の結果、上告人は、本件不動産についていずれも原判決添付目録記載の割合による持分を取得した、(六)原審口頭弁論終結時における右持分の価額は合計2272万8231円である、というのである。
 2 原審は、右事実関係の下において、被上告人は上告人に対して本件不動産の前記持分の返還義務(持分移転登記義務)を負うが、右義務は価額の弁償の履行又は弁済の提供によって解除条件的に条件付けられているとして、予備的請求のうち本件不動産に関する部分については、「上告人が本件不動産について前記持分権を有することを確認する(主文第一項1)。 被上告人は、上告人に対し、右持分について所有権移転登記手続をせよ(同2)。 被上告人は、上告人に対し2272万8231円を支払ったときは、前項の所有権移転登記義務を免れることができる(同3)。 上告人のその余の請求を棄却する。」旨の判決を言い渡した。
四 そこで、その当否につき判断する。
 1 一般に、遺贈につき遺留分権利者が減殺請求権を行使すると、遺贈は遺留分を侵害する限度で失効し、受遺者が取得した権利は右の限度で当然に減殺請求をした遺留分権利者に帰属するが、この場合、受遺者は、遺留分権利者に対し同人に帰属した遺贈の目的物を返還すべき義務を負うものの、民法1041条の規定により減殺を受けるべき限度において遺贈の目的物の価額を弁償して返還の義務を免れることができる。もっとも、受遺者は、価額の弁償をなすべき旨の意思表示をしただけでは足りず、価額の弁償を現実に履行するか、少なくともその履行の提供をしなければならないのであって、弁償すべき価額の算定の基準時は原則として弁償がされる時と解すべきである。 さらに、受遺者が弁償すべき価額について履行の提供をした場合には、減殺請求によりいったん遺留分権利者に帰属した権利が再び受遺者に移転する反面、遺留分権利者は受遺者に対して弁償すべき価額に相当する額の金銭の支払を求める権利を取得するものというべきである(最高裁昭和51年8月30日判決、最高裁昭和54年7月10日判決)。
 2 減殺請求をした遺留分権利者が遺贈の目的物の返還を求める訴訟において、受遺者が事実審口頭弁論終結前に弁償すべき価額による現実の履行又は履行の提供をしなかったときは、受遺者は、遺贈の目的物の返還義務を免れることはできない。 しかし、受遺者が、当該訴訟手続において、事実審口頭弁論終結前に、裁判所が定めた価額により民法1041条の規定による価額の弁償をなすべき旨の意思表示をした場合には、裁判所は、右訴訟の事実審口頭弁論終結時を算定の基準時として弁償すべき額を定めた上、受遺者が右の額を支払わなかったことを条件として、遺留分権利者の目的物返還請求を認容すべきものと解するのが相当である。
 何故なら、受遺者が真に民法1041条所定の価額を現実に提供して遺留分権利者に帰属した目的物の返還を拒みたいと考えたとしても、現実には、遺留分算定の基礎となる遺産の範囲、遺留分権利者に帰属した持分割合及びその価額の算定については、関係当事者間に争いのあることも多く、これを確定するためには、裁判等の手続において厳密な検討を加えなくてはならないのが通常であるから、価額弁償の意思を有する受遺者にとっては民法の定める権利を実現することは至難なことというほかなく、すべての場合に弁償すべき価額の履行の提供のない限り価額弁償の抗弁は成立しないとすることは、同法条の趣旨を没却するに等しいものといわなければならない。 従って、遺留分減殺請求を受けた受遺者が、単に価額弁償の意思表示をしたにとどまらず、進んで、裁判所に対し、遺留分権利者に対して弁償をなすべき額が判決によって確定されたときはこれを速やかに支払う意思がある旨を表明して、弁償すべき額の確定を求める旨を申し立てたという本件のような場合においては、裁判所としては、これを適式の抗弁として取り扱い、判決において右の弁償すべき額を定めた上、その支払と遺留分権利者の請求とを合理的に関連させ、当事者双方の利害の均衡を図るのが相当であり、かつ、これが法の趣旨にも合致するものと解すべきである。
 3 この場合、民法1041条の条文自体からは、一般論として、原判決主文第一項3のように受遺者が現物返還の目的物の価額相当の金員を遺留分権利者に支払ったときは登記義務を免れると理解することにさして問題はないけれども、現実に争いとなってこれを解決すべき裁判の手続においては、何時までにその主張をなすべきか、その価額の評価基準日を何時にするか、執行手続をいかにすべきか等の手続上の諸問題を無視することができない。 その意味では、原判決主文第一項3のごとき判決は法的安定性を害するおそれがあり、その是正を要するものといわなければならない。一方、受遺者からする本件価額確定の申立ては、その趣旨からして、単に価額の確定を求めるのみの申立てであるにとどまらず、その確定額を支払うが、もし支払わなかったときは現物返還に応ずる趣旨のものと解されるから、裁判所としては,その趣旨に副った条件付判決をすべきものということができる。 弁償すべき価額を裁判所が確定するという手続を定めることは、この手続の活用により提供された価額の相当性に関する紛争が回避され、遺留分権利者の地位の安定にも資するものであって、法の趣旨に合致する。
 4 なお、遺留分権利者からの遺贈の目的物の返還を求める訴訟において目的物返還を命ずる裁判の内容が意思表示を命ずるものである場合には、受遺者が裁判所の定める額を支払ったという事実は民事執行法173条所定の債務者の証明すべき事実に当たり、同条の定めるところにより、遺留分権利者からの執行文付与の申立てを受けた裁判所書記官が受遺者に対し一定の期間を定めて右事実を証明する文書を提出すべき旨を催告するなどの手続を経て執行文が付与された時に、同条一項の規定により、意思表示をしたものとみなされるという判決の効力が発生する。 また、受遺者が裁判所の定める額について弁償の履行の提供をした場合も、右にいう受遺者が裁判所の定める額を支払った場合に含まれるものというべきであり、執行文付与の前に受遺者が右の履行の提供をした場合には、減殺請求によりいったん遺留分権利者に帰属した権利が再び受遺者に移転する反面、遺留分権利者は受遺者に対して右の額の金銭の支払を求める権利を取得するのである。
五 そこで、以上の見解に立って本件をみるのに、上告人は遺留分減殺により本件不動産について原判決添付目録記載の割合による持分を取得したが、受遺者である被上告人は原審において裁判所が定めた価額により民法1041条の規定に基づく価額の弁償をなすべき旨の意思を表明して弁償すべき額の確定を求める旨の申立てをしており、原審口頭弁論終結時における右持分の価額は2272万8231円であるというのであるから、被上告人が同条所定の遺贈の目的の価額の弁償として右同額の金員を支払わなかったことを条件として、上告人の持分移転登記手続請求を認容すべきである。
  以上の次第で、原判決には法令の解釈適用を誤った違法があり、この違法は判決に影響を及ぼすことが明らかである。 そこで、職権により原判決を破棄し、上告人の申立ての趣旨を害さず、かつ、被上告人の原審における申立ての趣旨に副った主文とすべく原判決を一部変更した上、その余の上告を棄却することとする。
よって、民訴法408条、396条、384条、96条、89条、92条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。   最高裁裁判長裁判官可部恒雄  

 

⑨相続開始時の被相続人債務と遺留分の侵害額の算定(最判平成8年11月26日)

相続開始時の被相続人債務と遺留分の侵害額の算定
      主   文
原判決を破棄する。
本件を大阪高等裁判所に差し戻す。
      理   由
上告代理人和田誠一郎の上告理由一の4について
一 原審の確定した事実関係は,次のとおりである。
1 Aは、平成2年6月29日、すべての財産を上告人に包括して遺贈する旨遺言した。
2 Aは、平成2年7月7日死亡した。 同人の法定相続人は、妻である被上告人B並びに子である被上告人C、同D、上告人及びEである。
3 Aは、相続開始の時において、第一審判決別紙物件目録の本件不動産の項の一ないし二九記載の不動産(以下「本件不動産一」などという。)及び同目録の売却済み不動産の項の(一)、(二)記載の不動産(以下「売却済み不動産(一)」などという。)を所有していた。
4 被上告人らは、上告人に対し、平成3年1月23日到達の書面をもって遺留分減殺請求権を行使する旨の意思表示をした。
5 平成2年12月18日、本件不動産六ないし八につき、平成3年2月7日、本件不動産二、五及び二八につき、それぞれ相続を登記原因として上告人に所有権移転登記がされ、また、同日、本件不動産二九につき上告人を所有者とする所有権保存登記がされた。
6 上告人は、被上告人らから遺留分減殺請求権を行使する旨の意思表示を受けた後、同人らの承諾を得ずに、売却済み不動産(一)を3億2732万400円で、同(二)を7237万5000円で、それぞれ第三者に売り渡し、その旨の所有権移転登記を経由した。
二 被上告人らの本件請求は、遺留分減殺請求により被上告人らが本件不動産一ないし二九につき、本件の遺留分の割合である2分の1に各自の法定相続分のそれを乗じて得た割合の持分(被上告人Bは4分の1、同C、同Dは各16分の1の割合の持分)を取得したと主張して、本件不動産一ないし二九につき右各持分の確認を求め、かつ、本件不動産二、五ないし八、二八及び二九につき、遺留分減殺を原因として、右各持分の割合による所有権一部移転登記手続を求めるものである。 なお、被上告人らからは、前記一3記載の不動産のほか普通預金債権、預託金債権等の相続財産が存在する旨の主張がされており、上告人からも、第一審判決別紙相続債務等目録記載の相続債務の存在等が主張されている。
三 原審は、前記事実関係の下において、次のとおり判示して、被上告人らの請求を認容した。
1 上告人は、遺留分減殺の意思表示を受けた後、遺産を構成する売却済み不動産(一)、(二)を第三者に合計3億9969万5400円で売却し、その旨の所有権移転登記を経由したことにより、遺留分減殺請求により被上告人らに帰属した右各不動産上の持分を喪失させたから、被上告人らは、上告人に対し、右持分の喪失による損害賠償請求権を有する。
2 被上告人らは、本訴において、右各損害賠償請求権と上告人が相続債務を弁済したことにより被上告人らに対して有する各求償権とを対当額で相殺する旨意思表示した。 上告人が弁済したとする相続債務の額に被上告人Bは4分の1、同C、同Dは各16分の1の割合を乗じて求償権の額を算定すると、その額が右各損害賠償請求権の額を超えないことは明らかであるから、右求償権は相殺により消滅したというべきである。
3 そうすると、上告人主張の相続債務は、遺留分額を算定する上でこれを無視することができ、したがって、負担すべき相続債務の有無、範囲並びに相続財産の範囲及びその相続開始時の価額を確定するまでもなく、被上告人らは、遺留分減殺請求権の行使により、本件不動産一ないし二九につき、本件の遺留分の割合である2分の1に各自の法定相続分のそれを乗じて得た割合の持分を取得したというべきである。
四 しかしながら、原審の右判断は是認することができない。 その理由は、次のとおりである。
1 遺贈に対して遺留分権利者が減殺請求権を行使した場合、遺贈は遺留分を侵害する限度において失効し、受遺者が取得した権利は遺留分を侵害する限度で当然に遺留分権利者に帰属するところ、遺言者の財産全部の包括遺贈に対して遺留分権利者が減殺請求権を行使した場合に遺留分権利者に帰属する権利は、遺産分割の対象となる相続財産としての性質を有しないものであって(最高裁平成3年(オ)第1772号同8年1月26日第二小法廷判決)、前記事実関係の下では、被上告人らは、上告人に対し、遺留分減殺請求権の行使により帰属した持分の確認及び右持分に基づき所有権一部移転登記手続を求めることができる。
2 被相続人が相続開始の時に債務を有していた場合の遺留分の額は、民法1029条、1030条、1044条に従って、被相続人が相続開始の時に有していた財産全体の価額にその贈与した財産の価額を加え、その中から債務の全額を控除して遺留分算定の基礎となる財産額を確定し、それに同法1028条所定の遺留分の割合を乗じ、複数の遺留分権利者がいる場合は更に遺留分権利者それぞれの法定相続分の割合を乗じ、遺留分権利者がいわゆる特別受益財産を得ているときはその価額を控除して算定すべきものであり、遺留分の侵害額は、このようにして算定した遺留分の額から、遺留分権利者が相続によって得た財産がある場合はその額を控除し、同人が負担すべき相続債務がある場合はその額を加算して算定するものである。 被上告人らは、遺留分減殺請求権を行使したことにより、本件不動産一ないし二九につき、右の方法により算定された遺留分の侵害額を減殺の対象であるAの全相続財産の相続開始時の価額の総和で除して得た割合の持分を当然に取得したものである。 この遺留分算定の方法は、相続開始後に上告人が相続債務を単独で弁済し、これを消滅させたとしても、また、これにより上告人が被上告人らに対して有するに至った求償権と被上告人らが上告人に対して有する損害賠償請求権とを相殺した結果、右求償権が全部消滅したとしても、変わるものではない。
五 そうすると、本件では相続債務は遺留分額を算定する上で無視することができるとし、負担すべき相続債務の有無、範囲並びに相続財産の範囲及びその相続開始時の価額を確定することなく、被上告人らは本件各不動産につき本件の遺留分の割合である2分の1に各自の法定相続分のそれを乗じて得た割合の持分を取得したとした原審の判断には、法令の解釈適用を誤った違法があり、右違法が判決の結論に影響を及ぼすことは明らかである。 その趣旨をいう論旨は理由があり、その余の点を判断するまでもなく、原判決は破棄を免れない。 そして、右の点につき更に審理を尽くさせるため、本件を原審に差し戻すことにする。
よって、民訴法407条1項に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。     最高裁裁判長裁判官千種秀夫

 

⑩民法903条1項の相続人に対する贈与と遺留分減殺の対象(最判平成10年3月24日)

民法903条1項(特別受益者の相続分)の相続人に対する贈与と遺留分減殺の対象
      主   文
原判決中本訴事件に関する部分を破棄する。
前項の部分につき、本件を仙台高等裁判所に差し戻す。
      理   由
一 上告代理人大野藤一の上告理由について
1 本訴事件は、亡甲の相続人であり遺留分権利者である上告人らが、甲からその生前に土地の贈与を受けた被上告人らに対し、遺留分減殺請求権を行使した結果上告人らに帰属した右の土地の持分についての移転登記手続を求めるものであるところ、原審の確定した事実関係及びこれに基づく判断は、次のとおりである。
(一) 甲は、昭和62年8月20日に死亡した。 甲の相続人は、妻である上告人乙、子である同丙及び被上告人丁である。 同戊は同丁の配偶者であり、同峰成及び同繁久は同丁の子である。
(二) 甲は、昭和53年当時、第一審判決添付物件目録1ないし9記載の土地(以下、同目録記載の番号により「1の土地」などという。)を所有していたが、同年10月16日に1、3及び6の土地を被上告人戊、同峰成及び同繁久に、4の土地を同丁にそれぞれ贈与し、同54年1月16日に2及び5の土地を被上告人らに贈与した。
(三) 被上告人らに贈与された1ないし6の土地の右贈与の時点における価額と甲所有の財産として残された7ないし9の土地の右時点における価額を相続税・贈与税の課税実務上の財産評価方法にのっとって比較すると、固定資産税倍率方式により算出され、贈与税申告の際にも用いられた1ないし6の土地の価額は合計1175万3049円であり、路線価方式により算出された9の土地の価額は1397万2000円(1㎡当たり1万4000円)であるから、7及び8の土地の価額を算出するまでもなく、甲所有の財産として残された7ないし9の土地の価額が被上告人らに贈与された1ないし6の土地の価額を上回るものということができる。 そして、当時甲の財産が減少するおそれもなかったから、右贈与が遺留分権利者である上告人らに損害を加えることを知ってされたとはいえない。
(四) 以上によれば、1ないし6の土地は遺留分減殺の対象とならないことが明らかであるから、その余の点について判断するまでもなく本訴事件についての上告人らの請求は理由がない。
2 しかし、9の土地の相続税・贈与税の課税実務上の価額を路線価方式により1397万2000円(1㎡当たり1万4000円)とした原審の事実認定は是認できない。その理由は、次のとおりである。
原審が、乙83号証の1、1及び同84号証の1ないし3により昭和53年及び同54年時点における9の土地に面する路線(不特定多数の者の通行の用に供されている道路又は水路)である道路の路線価が1㎡当たり1万4000円であると認定し、これに同土地の登記簿土の地積である998㎡を乗じて、同土地の課税実務上の価額を1397万2000円であると認定したことは、原判決の説示から明らかである。 ところで、路線価と、路線に接する宅地について評定された1㎡当たりの価額であって、宅地の価額がおおむね同一と認められる一連の宅地が面している路線ごとに設定されるものであり、また、路線価方式とは、宅地についての課税実務上の評価の方式であって、路線価を基として計算された金額をその宅地の価額とするものであり、特段の事情のない限り宅地でない土地の評価に用いることはでろまでの間、本件土地に土砂を搬入掲乙号証から9の土地に面する道路の路線価が1㎡当たり1万4000円であると認定することができるとしても、9の土地の当時の現況が傾斜地を含む山林であることは鑑定の結果などから明白であるから、前掲乙号証から9の土地の相続税・贈与税の課税実務上の価額を1397万2000円(1㎡当たり1万4000円)と認定することはおよそできない筋合いである。 この点において、原判決には証拠に基づかずに事実を認定した違法があり、この違法は判決に影響を及ぼすことが明らかである。 論旨は理由があり、原判決のうち本訴事件に関する部分はすべて破棄を免れない。
二 さらに、職権をもって検討すると、民法903条1項の定める相続人に対する贈与は、右贈与が相続開始よりも相当以前にされたものであって、その後の時の経過に伴う社会経済事情や相続人など関係人の個人的事情の変化をも考慮するとき、減殺請求を認めることが右相続人に酷であるなどの特段の事情のない限り、民法1030条の定める要件を満たさないものであっても、遺留分減殺の対象となるものと解するのが相当である。 ただし、民法903条1項の定める相続人に対する贈与は、すべて民法1044条、903条の規定により遺留分算定の基礎となる財産に含まれるところ、右贈与のうち民法1030条の定める要件を満たさないものが遺留分減殺の対象とならないとすると、遺留分を侵害された相続人が存在するにもかかわらず、減殺の対象となるべき遺贈、贈与がないために右の者が遺留分相当額を確保できないことが起こり得るが、このことは遺留分制度の趣旨を没却するものというべきであるからである。 本件についてこれをみると、相続人である被上告人丁に対する4の土地並びに2及び5の土地の持分各4分の1の贈与は、格別の事情の主張立証もない本件においては、民法903条1項の定める相続人に対する贈与に当たるものと推定されるところ、右各土地に対する減殺請求を認めることが同被上告人に酷であるなどの特段の事情の存在を認定することなく、直ちに右各土地が遺留分減殺の対象にならないことが明らかであるとした原審の判断には、法令の解釈適用を誤った違法があり、この違法は判決に影響を及ぼすことが明らかである。 よって、原判決のうち上告人らの被上告人丁に対する本訴事件に関する部分は、この点からも破棄を免れない。
三 以上に従い、原判決のうち本訴事件に関する部分については、更に審理を尽くさせるため、これを原審に差し戻すこととする。 よって、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。    最高裁裁判長裁判官園部逸夫

 

⑪遺留分権行使による取得不動産の所有権と共有持分権に基づく登記請求権と消滅時効(最判平成7年6月9日)

遺留分権行使による取得不動産の所有権ほ共有持分権に基づく登記請求権と消滅時効
      主   文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
      理   由
上告代理人小沢礼次の上告理由について
遺留分権利者が特定の不動産の贈与につき減殺請求をした場合には、受贈者が取得した所有権は遺留分を侵害する限度で当然に右遺留分権利者に帰属することになるから(最高裁昭和50年(オ)第920号同51年8月30日判決,最高裁昭和53年(オ)第190号同57年3月4日判決)、遺留分権利者が減殺請求により取得した不動産の所有権又は共有持分権に基づく登記千続請求権は,時効によって消滅することはないものと解すべきである。 これと同旨の原審の判断は是認することができ、原判決に所論の違法はなく、論旨は採用できない。
よって、民訴法401条、95条、89条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。
最高裁裁判長裁判官河合伸一 

 

⑫遺留分減殺請求前に遺贈の目的を譲渡した場合と価額弁償額(最判平成10年3月10日)

遺留分減殺請求前に遺贈の目的を譲渡した場合と価額弁償額
      主   文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
       理   由
上告代理人根本孔衛、同三嶋健の上告理由第三点の2について
遺留分権利者が減殺請求権を行使するよりも前に減殺を受けるべき受遺者が遺贈の目的を他人に譲り渡した場合には、民法1040条一項の類推適用により、譲渡の当時譲受人が遺留分権利者に損害を加えることを知っていたときを除き、遺留分権利者は受遺者に対してその価額の弁償を請求し得るにとどまるものと解すべきである(最高裁昭和53年(オ)第190号同57年3月4日判決)。 そして、右の弁償すべき額の算定においては、遺留分権利者が減殺請求権の行使により当該遺贈の目的につき取得すべきであった権利の処分額が客観的に相当と認められるものであった場合には、その額を基準とすべきものと解するのが相当である。
原審の適法に確定した事実関係によれば、上告人及び被上告人らは、昭和60年5月24日に死亡した甲の子であるが、甲はその死亡時において本件土地についての借地権の2分の1の割合による持分を有していたところ、上告人は、右借地権持分の遺贈を受け、平成2年3月13日、練馬ホーム株式会社に対し、これを自身の有する残りの2分の1の割合による持分と共に当時における客観的に相当な額である2億8829万9960円で売却し、被上告人らは、その後の平成4年2月10日、上告人に対し、右遺贈につき遺留分減殺請求の意思表示をしたというのである。
右事実関係の下において、遺留分権利者である被上告人らは、減殺請求権の行使により、それぞれ前記借地権の20分の1の割合による持分を取得すべきであったとした上、民法1040条一項本文の類推適用により受遺者である上告人が各被上告人に対して弁償すべき額について、右借地権の売買代金の20分の1に当たる1441万4998円をもって相当とした原審の判断は、これを是認できる。 所論引用の最高裁昭和50年(オ)第920号同51年8月30日判決は、事案を異にし本件に適切でない。 論旨は採用できない。
その余の上告理由について
所論の点に関する原審の認定判断及び措置は、原判決挙示の証拠関係及び記録に照らし、正当として是認することができ、その過程に所論の違法はない。 論旨は、違憲をいう点を含め、原審の専権に属する証拠の取捨判断、事実の認定を非難し、独自の見解に基づき原判決の法令違背を主張するか、又は原審の裁量に属する審理上の措置の不当をいうものにすぎず、採用できない。 よって、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。   最高裁裁判長裁判官園部逸夫 

 

⑬遺贈に基づく目的物を占有者の取得時効の援用と減殺請求権行使による目的物の権利帰属(最判平成11年6月24日)

遺贈に基づく目的物を占有者の取得時効の援用と減殺請求権行使による目的物の権利帰属
      主   文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人らの負担とする。
      理   由
上告代理人作井康人の上告理由第一ないし第三について
被相続人が相続開始時に債務を有していた場合における遺留分の額は、被相続人が相続開始時に有していた財産全体の価額にその贈与した財産の価額を加え、その中から債務の全額を控除して遺留分算定の基礎となる財産額を確定し、これに法定の遺留分の割合を乗じるなどして算定すべきものであり、遺留分の侵害額は、右のようにして算定した遺留分の額から、遺留分権利者が相続によって得た財産の額を控除し、同人が負担すべき相続債務の額を加算して算定すべきである(最高裁平成5年(オ)第947号同8年11月26日判決)。 原審の適法に確定した事実関係の下においては、被上告人らは、被相続人丙が相続開始時に有した債務を法定相続分に応じて相続したものというべきところ、遺留分算定の基礎となる財産額の確定に当たって右債務の額を控除すべきであるとしても、他方、遺留分侵害額の算定に当たっては被上告人らが相続した債務の額を加算しなければならず、そのようにして算定した遺留分侵害額は、原審認定の遺留分侵害額よりも多額となることが明らかである。 従って、原審認定の遺留分侵害額は、遺留分減殺請求の相手方である上告人らにとって利益でこそあれ、何ら不利益ではないから、論旨は、原判決の結論に影響しない事項の違法をいうことに帰し、採用できない。
同第五について
<要旨>被相続人がした贈与が遺留分減殺の対象としての要件を満たす場合には、遺留分権利者の減殺請求により、贈与は遺留分を侵害する限度において失効し、受贈者が取得した権利は右の限度で当然に右遺留分権利者に帰属するに至るものであり(最高裁昭和40年(オ)第1084号同41年7月14日判決、最高裁昭和50年(オ)第920号同51年8月30日判決)、受贈者が、右贈与に基づいて目的物の占有を取得し、民法162条所定の期間、平穏かつ公然にこれを継続し、取得時効を援用したとしても、それによって、遺留分権利者への権利の帰属が妨げられるものではないと解するのが相当である。 何故なら、民法は、遺留分減殺によって法的安定が害されることに対し一定の配慮をしながら(1030条前段、1035条、1042条等)、遺留分減殺の対象としての要件を満たす贈与については、それが減殺請求の何年前にされたものであるかを問わず、減殺の対象となるものとしていること、前記のような占有を継続した受贈者が贈与の目的物を時効取得し、減殺請求によっても受贈者が取得した権利が遺留分権利者に帰属することがないとするならば、遺留分を侵害する贈与がされてから被相続人が死亡するまでに時効期間が経過した場合には、遺留分権利者は、取得時効を中断する法的手段のないまま、遺留分に相当する権利を取得できない結果となることなどに鑑みると、遺留分減殺の対象としての要件を満たす贈与の受贈者は、減殺請求がされれば、贈与から減殺請求までに時効期間が経過したとしても、自己が取得した権利が遺留分を侵害する限度で遺留分権利者に帰属することを容認すべきであるとするのが、民法の趣旨であると解されるからである。
以上と同旨に帰する原審の判断は、是認するに足り、原判決に所論の違法はない。 論旨は、採用できない。
その余の上告理由について
所論の点に関する原審の判断は、正当として是認することができ、その過程に所論の違法はない。 論旨は、独自の見解に立って原判決を非難するものにすぎず、採用できない。
よって、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。           最高裁裁判長裁判官小野幹雄

 

⑭相続人に対する遺贈と民法1034条の目的の価額(最判平成10年2月26日)

遺留分減殺の意思表示の到達・遺産分割協議の申入れと遺留分減殺の意思表示(最判平成10年6月11日)

遺留分減殺請求権と債権者代位(最判平成13年11月22日)

遺留分減殺請求権と債権者代位
      主   文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
      理   由
上告代理人冨永長健の上告理由について
一 本件は、遺言によって被上告人が相続すべきものとされた不動産につき、当該遺言で相続分のないものとされた相続人に対して貸金債権を有する上告人が、当該相続人に代位して法定相続分に従った共同相続登記を経由した上、当該相続人の持分に対する強制競売を申し立て、これに対する差押えがされたところ、被上告人がこの強制執行の排除を求めて提起した第三者異議訴訟である。 上告人は、上記債権を保全するため、当該相続人に代位して遺留分減殺請求権を行使する旨の意思表示をし、その遺留分割合に相当する持分に対する限度で上記強制執行はなお効力を有すると主張した。
二 遺留分減殺請求権は、遺留分権利者が、これを第三者に譲渡するなど、権利行使の確定的意思を有することを外部に表明したと認められる特段の事情がある場合を除き、債権者代位の目的とすることができないと解するのが相当である。 その理由は次のとおりである。
遺留分制度は、被相続人の財産処分の自由と身分関係を背景とした相続人の諸利益との調整を図るものである。 民法は、被相続人の財産処分の自由を尊重して、遺留分を侵害する遺言について、いったんその意思どおりの効果を生じさせるものとした上、これを覆して侵害された遺留分を回復するかどうかを、専ら遺留分権利者の自律的決定にゆだねたものということができる(1031条、1043条参照)。 そうすると、遺留分減殺請求権は、前記特段の事情がある場合を除き、行使上の一身専属性を有すると解するのが相当であり、民法423条一項ただし書にいう「債務者の一身に専属する権利」に当たるというべきであって、遺留分権利者以外の者が、遺留分権利者の減殺請求権行使の意思決定に介入することは許されないと解するのが相当である。民法1031条が、遺留分権利者の承継人にも遺留分減殺請求権を認めていることは、この権利がいわゆる帰属上の一身専属性を有しないことを示すものにすぎず、上記のように解する妨げとはならない。 なお、債務者たる相続人が将来遺産を相続するか否かは、相続開始時の遺産の有無や相続の放棄によって左右される極めて不確実な事柄であり、相続人の債権者は,これを共同担保として期待すべきではないから、このように解しても債権者を不当に害するものとはいえない。
三 以上と同旨の見解に基づき、本件において遺留分減殺請求権を債権者代位の目的とすることはできないとして、被上告人の第三者異議を全部認容すべきとした原審の判断は、正当として是認できる。 所論引用の判例は、所論の趣旨を判示したものではなく、上記判断はこれと抵触するものではない。 論旨は採用できない。
よって、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。
最高裁裁判長裁判官深澤武久

 

⑮遺分減殺の対象の贈与等各財産につき価額弁償をすることの可否(最判平成12年7月11日)

ア遺留分減殺の対象とされた贈与等各財産につき価額弁償をすることの可否
イ共有株式につき新たに単位未満株式を生じさせる現物分割を命ずることの可否
      主   文
一 原判決中、第一審判決別紙株式目録記載一ないし四及び六の各株式の分割請求及び株券の引渡請求に係る部分を破棄する。
二 前項の部分につき、本件を東京高等裁判所に差し戻す。
三 上告人のその余の上告を棄却する。
四 前項に関する上告費用は上告人の負担とする。
      理   由
一 事案の概要
本件は、亡甲の共同相続人の一人であり相続財産全部の包括遺贈を受けた上告人に対して、遺留分減殺請求をした他の共同相続人である被上告人らが、共有に帰した相続財産中の株式等について共有物の分割及び分割された株式に係る株券の引渡し等を請求したものである。
二 上告代理人高崎英雄の上告受理申立て理由第一について
1 上告人は、遺贈を受け被上告人らからの遺留分減殺請求の対象となっている財産の一部である第一審判決別紙株式目録記載六の株式のみについて、本件訴訟で民法1041条1項に基づく価額の弁償を主張している。
2 原審は、同項の「贈与又は遺贈の目的の価額」とは、贈与又は遺贈された財産全体の価額を指すものと解するのが相当であり、贈与又は遺贈を受けた者において任意に選択した一部の財産について価額の弁償をすることは、遺留分減殺請求権を行使した者の承諾があるなど特段の事情がない限り許されず、そう解しないときは、包括遺贈を受けた者は、包括遺贈の目的とされた全財産についての共有物分割手続を経ないで、遺留分権利者の意思にかかわらず特定の財産を優先的に取得することができることとなり、遺留分権利者の利益を不当に害することになるとして、上告人の価額弁償の主張を排斥し、右株式を被上告人ら三、上告人五の割合で分割した上、上告人に対し、この分割の裁判が確定したときに、右分割株式数に応じた株券を被上告人らに引き渡すよう命じた。

3 しかし、受贈者又は受遺者は、民法1041条1項に基づき、減殺された贈与又は遺贈の目的たる各個の財産について、価額を弁償して、その返還義務を免れることができるものと解すべきである。
何故ならば、遺留分権利者のする返還請求は権利の対象たる各財産について観念されるのであるから、その返還義務を免れるための価額の弁償も返還請求に係る各個の財産についてなし得るものというべきであり、また、遺留分は遺留分算定の基礎となる財産の一定割合を示すものであり、遺留分権利者が特定の財産を取得することが保障されているものではなく(民法1028条ないし1035条参照)、受贈者又は受遺者は、当該財産の価額の弁償を現実に履行するか又はその履行の提供をしなければ、遺留分権利者からの返還請求を拒み得ないのであるから(最高裁昭和53年(オ)第907号同54年7月10日判決)、右のように解したとしても、遺留分権利者の権利を害することにはならないからである。 このことは、遺留分減殺の目的がそれぞれ異なる者に贈与又は遺贈された複数の財産である場合には、各受贈者又は各受遺者は各別に各財産について価額の弁償をすることができることからも肯認できるところである。 そして、相続財産全部の包括遺贈の場合であっても、個々の財産についてみれば特定遺贈とその性質を異にするものではないから(最高裁平成3年(オ)第1772号同8年1月26日判決)、右に説示したことが妥当するのである。
そうすると、原審の前記判断には民法1041条一項の解釈を誤った違法があるというべきである。
三 同第二の三について
1 原審は、第一審判決別紙株式目録一ないし四記載の新日本製鉄株式会社外三社の各株式について、株式は一株を単位として可分であり、かつ、分割することによる価値の減少が認められないことを理由として、右各株式を被上告人ら三、上告人五の割合で分割した上、上告人に対し、この分割の裁判が確定したときに、右分割株式数に応じた株券を被上告人らに引き渡すよう命じた。
2 しかし、右各株式は証券取引所に上場されている株式であることは公知の事実であり、これらの株式については、一単位未満の株券の発行を請求することはできず、一単位未満の株式についてはその行使し得る権利内容及び譲渡における株主名簿への記載に制限がある(昭和56年法律第74号商法等の一部を改正する法律附則15条1項1号、16条、18条1、3項)。 従って、2分割された株式数が一単位の株式の倍数であるか、又はそれが一単位未満の場合には当該株式数の株券が現存しない限り、当該株式を表象する株券の引渡しを強制することはできず、一単位未満の株式では株式本来の権利を行使することはできないから、新たに一単位未満の株式を生じさせる分割方法では株式の現物分割の目的を全うすることができない。
そうすると、このような株式の現物分割及び分割された株式数の株券の引渡しの可否を判断するに当たっては、現に存在する株券の株式数,当該株式を発行する株式会社における一単位の株式数等をも考慮すべきであり、この点について考慮することなく、右各株式の現物分割を命じた原審の判断には、民法258条2項の解釈を誤った違法があり、これを前提として株券の引渡しを命じた原審の判断にも違法がある。
四 結論
以上によれば、原判決中、第一審判決別紙株式目録記載一ないし四及び六記載の各株式の分割及び株券の引渡しを命じた部分には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある。 従って、論旨は理由があり、原判決中、右部分は破棄を免れず、同目録記載一ないし四の各株式に関する請求については、現に存在する株券の株式数、当該株式を発行する株式会社における一単位の株式数等を考慮した現物分割の可否について、同目録記載六の株式に関する請求については、弁償すべき価額について、更に審理判断させるため、本件を原審に差し戻すこととする。
なお、その余の請求に関する上告については、上告受理申立ての理由が上告受理の決定において排除されたので、棄却することとする。
よって、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。
最高裁裁判長裁判官金谷利廣

 

⑯生命保険契約の契約者が死亡保険金の受取人を変更する場合とと民法1031条に規定する遺贈・贈与(最判平成14年11月5日)

自己を被保険者とする生命保険契約の契約者が死亡保険金の受取人を変更する行為と民法1031条に規定する遺贈・贈与
      主   文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人らの負担とする。
      理   由
上告代理人尾倉洋文の上告受理申立て理由について
自己を被保険者とする生命保険契約の契約者が死亡保険金の受取人を変更する行為は、民法1031条に規定する遺贈又は贈与に当たるものではなく、これに準ずるものということもできないと解するのが相当である。 何故なら、死亡保険金請求権は、指定された保険金受取人が自己の固有の権利として取得するのであって、保険契約者又は被保険者から承継取得するものではなく、これらの者の相続財産を構成するものではない(最高裁昭和36年(オ)第1028号同40年2月2日判決)。 また、死亡保険金請求権は、被保険者の死亡時に初めて発生するものであり、保険契約者の払い込んだ保険料と等価の関係に立つものではなく、被保険者の稼働能力に代わる給付でもないのであって、死亡保険金請求権が実質的に保険契約者又は被保険者の財産に属していたとみることもできないからである。
これと同旨の見解に基づき、上告人らの予備的請求を棄却すべきものとした原審の判断は、正当として是認でき、原判決に所論の違法はない。 論旨は採用できない。
よって、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。
最高裁裁判長裁判官横尾和子 

 

⑰価額弁償請求権を確定的に取得する時期(最判平成20年1月24日)

価額弁償の意思表示を受けて遺留分権利者が価額弁償請求する場合に当該遺留分権利者が遺贈目的物につき価額弁償請求権を確定的に取得する時期
      主   文
1 原判決のうち、遺留分減殺請求に係る部分を次のとおり変更する。
 (1)被上告人乙子は、上告人甲子に対し、17862万3727円及びこれに対する平成16年7月17日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
 (2)被上告人丙子は、上告人甲子に対し、334万7145円及びこれに対する平成16年7月17日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
 (3)被上告人乙子は、上告人丁に対し、1732万6915円及びこれに対する平成16年7月17日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
 (4)被上告人丙子は、上告人丁に対し、329万774円及びこれに対する平成16 年7 月17 日から支払済みまで年5 分の割合による金員を支払え。
 (5)上告人らのその余の請求を棄却する。
2 前項の請求に関する訴訟の総費用は、これを2分し、その1を上告人らの負担とし、その余を被上告人らの負担とする。
      理   由
上告代理人前川弘美の上告受理申立て理由について
1 本件は、Xの相続について、遺留分権利者である上告人らが、Xからその遺産を遺贈された被上告人らに対し、民法1041 条1 項に基づく価額弁償として、弁償金及びこれに対する相続開始の日から支払済みまでの遅延損害金の支払を求める事案であり、その遅延損害金の起算日はいつであるのかが争われている。
2 原審が適法に確定した事実関係の概要等は次のとおりである。
(1)X(大正13 年9 月*日生)は、平成8年2月9日に死亡した。 その法定相続人は、妻であるY、実子である上告人甲子、被上告人乙子及び被上告人丙子並びに養子である上告人丁及び戊である。
(2)Xの相続について、上告人丁及び上告人甲子の遺留分は各20分の1である。
(3)Xは、名古屋法務局所属公証人作成に係る平成7年第732号公正証書により、第1審判決別紙遺産目録ⅠないしⅢ記載のとおり、Xの遺産を被上告人ら及びYにそれぞれ相続させる旨の遺言をした。
(4)上告人らは、平成8年8月18日、被上告人ら及びYに対して遺留分減殺請求権を行使し、被上告人ら及びYがXから前記公正証書遺言により取得した遺産につき、それぞれその20分の1に相当する部分を返還するように求めた。
(5)上告人らは、平成9年11月19日に本訴を提起し、遺留分減殺を原因とする不動産の持分移転登記手続等を求めたところ、被上告人丙子は平成15年8月5日、被上告人乙子は平成16年2月27日、それぞれ第1審の弁論準備手続期日において上告人らに対し価額弁償をする旨の意思表示をした。 これに対し、上告人らは、平成16年7月16日の第1審の口頭弁論期日において、訴えを交換的に変更して価額弁償請求権に基づく金員の支払を求めるとともに、その附帯請求として、相続開始の日である平成8年2月9日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた。
3(1)第1審は、上告人らの価額弁償請求を一部認容したが、その附帯請求については、上告人らが被上告人らに対して遺留分減殺請求をした日の翌日である平成8年8月19日から支払済みまでの遅延損害金の支払を求める限度で認容した。
(2)原審は、次のとおり判示して、第1審判決を変更し、上告人らによる価額弁償請求に係る附帯請求について、判決確定の日の翌日から支払済みまでの遅延損害金の支払を求める限度で認容すべきものとした。
特定物の遺贈につき履行がされた場合に、民法1041条の規定により受遺者が遺贈の目的の返還義務を免れるためには、単に価額の弁償をすべき旨の意思表示をしただけでは足りず、価額の弁償を現実に履行するか又はその履行の提供をしなければならない(最高裁昭和53年(オ)第907号同54年7月10日判決)。 もっとも、遺留分減殺請求をした遺留分権利者が遺贈の目的である不動産の持分移転登記手続を求める訴訟において、受遺者が、事実審口頭弁論終結前に、裁判所が定めた価額により民法1041条1項の規定による価額の弁償をする旨の意思表示をした場合には、裁判所は、同訴訟の事実審口頭弁論終結時を算定の基準時として弁償すべき額を定めた上、受遺者がその額を支払わなかったことを条件として、遺留分権利者の請求を認容すべきものである(最高裁平成6年(オ)第1746号同9年2月25日判決)。 そして、この理は、本件のように、受遺者が民法1041条所定の価額の弁償をする旨の意思表示をしたのに対し、遺留分権利者が訴えを変更してその弁償金の支払を求めるに至った場合においても異なるものではなく、遺留分権利者の訴えの変更によって受遺者のした意思表示の内容又は性質が変容するものとみることはできないから、遺留分権利者は、裁判所が受遺者に対し民法1041条の規定による価額を定めてその支払を命じることによって初めて受遺者に対する弁償すべき価額に相当する額の金銭の支払を求める権利を取得するものというべきである。 従って、上告人らの遅延損害金の請求は、本判決確定の日の翌日以降の支払を求める限度で理由がある。
4 しかし、原審の上記判断は是認できない。 その理由は、次のとおりである。
(1)受遺者が遺留分権利者から遺留分減殺に基づく目的物の現物返還請求を受け、遺贈の目的の価額について履行の提供をした場合には、当該受遺者は目的物の返還義務を免れ、他方、当該遺留分権利者は、受遺者に対し、弁償すべき価額に相当する金銭の支払を求める権利を取得すると解される(前掲最高裁昭和54年7月10日判決、前掲最高裁平成9年2月25日判決参照)。 また、上記受遺者が遺贈の目的の価額について履行の提供をしていない場合であっても、遺留分権利者に対して遺贈の目的の価額を弁償する旨の意思表示をしたときには、遺留分権利者は、受遺者に対し、遺留分減殺に基づく目的物の現物返還請求権を行使することもできるし、それに代わる価額弁償請求権を行使することもできると解される(最高裁昭和50年(オ)第920号同51年8月30日判決、前掲最高裁平成9年2月25日判決参照)。 そして、上記遺留分権利者が受遺者に対して価額弁償請求する権利を行使する旨の意思表示をした場合には、当該遺留分権利者は、遺留分減殺によって取得した目的物の所有権及び所有権に基づく現物返還請求権をさかのぼって失い、これに代わる価額弁償請求権を確定的に取得すると解するのが相当である。 従って、受遺者は、遺留分権利者が受遺者に対して価額弁償を請求する権利を行使する旨の意思表示をした時点で、遺留分権利者に対し、適正な遺贈の目的の価額を弁償すべき義務を負うというべきであり、同価額が最終的には裁判所によって事実審口頭弁論終結時を基準として定められることになっても(前掲最高裁昭和51年8月30日判決参照)、同義務の発生時点が事実審口頭弁論終結時となるものではない。 そうすると、民法1041条1項に基づく価額弁償請求に係る遅延損害金の起算日は、上記のとおり遺留分権利者が価額弁償請求権を確定的に取得し、かつ、受遺者に対し弁償金の支払を請求した日の翌日ということになる
(2)これを本件についてみると、前記事実関係等によれば、遺留分権利者である上告人らは、被上告人らがそれぞれ価額弁償をする旨の意思表示をした後である平成16年7月16日の第1審口頭弁論期日において、訴えを交換的に変更して価額弁償請求権に基づく金員の支払を求めることとしたのであり、この訴えの変更により、被上告人らに対し、価額弁償請求権を確定的に取得し、かつ、弁償金の支払を請求したものというべきである。 そうすると、上告人らは、被上告人らに対し、上記価額弁償請求権について、訴えの変更をした日の翌日である同月17日から支払済みまでの遅延損害金の支払を請求することができる。
5 以上と異なる原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある。 論旨は、上記の趣旨をいうものとして理由があり、原判決のうち、価額弁償請求に係る遅延損害金について上記訴えの変更をした日の翌日から判決確定の日までの請求を棄却した部分は破棄を免れない。 そして、上告人らの価額弁償請求は、被上告人らに対して各弁償金及びこれに対する訴えの変更をした日の翌日である平成16年7月17日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があり、その余は理由がないから、原判決のうち遺留分減殺請求に係る部分を主文第1項のとおり変更すべきである。
よって、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。
      最高裁裁判長裁判官泉 徳治

 

⑱遺留分侵害額の算定につき遺留分権利者の法定相続分に応じた相続債務の額を遺留分の額に加算することの可否(最判平成21年3月24日)

相続人のうちの1人に対して財産全部を相続させる旨の遺言がされた場合において、遺留分の侵害額の算定に当たり、遺留分権利者の法定相続分に応じた相続債務の額遺留分の額に加算することの可否
      主   文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
      理   由
上告代理人佐藤昇、同甲木真哉の上告受理申立て理由について
1 本件は、相続人の1人が、被相続人からその財産全部を相続させる趣旨の遺言に基づきこれを相続した他の相続人に対し、遺留分減殺請求権を行使したとして、相続財産である不動産について所有権の一部移転登記手続を求める事案である。 遺留分の侵害額の算定に当たり、被相続人が負っていた金銭債務の法定相続分に相当する額を遺留分権利者が負担すべき相続債務の額として遺留分の額に加算すべきかどうかが争われている。
2 原審が適法に確定した事実関係の概要等は、次のとおりである。
(1) 甲は、平成15年7月23日、甲の有する財産全部を被上告人に相続させる旨の公正証書遺言(以下「本件遺言」という。)をした。 本件遺言は、被上告人の相続分を全部と指定し、その遺産分割の方法の指定として遺産全部の権利を被上告人に移転する内容を定めたものである。
(2) 甲は、同年○月○日に死亡した。 同人の法定相続人は、子である上告人と被上告人である。
(3) 甲は、相続開始時において、第1審判決別紙物件目録記載の不動産を含む積極財産として4億3231万7003円、消極財産として4億2483万2503円の各財産を有していた。 本件遺言により、遺産全部の権利が相続開始時に直ちに被上告人に承継された。
(4) 上告人は、被上告人に対し、平成16年4月4日、遺留分減殺請求権を行使する旨の意思表示をした。
(5) 被上告人は、同年5月17日、前記不動産につき、平成15年○月○日相続を原因として、甲からの所有権移転登記を了した。
(6) 上告人は、甲の消極財産のうち可分債務については法定相続分に応じて当然に分割され、その2分の1を上告人が負担することになるから、上告人の遺留分の侵害額の算定においては、積極財産4億3231万7003円から消極財産4億2483万2503円を差し引いた748万4500円の4分の1である187万1125円に、相続債務の2分の1に相当する2億1241万6252円を加算しなければならず、この算定方法によると、上記侵害額は2億1428万7377円になると主張している。 これに対し。被上告人は、本件遺言により被上告人が相続債務をすべて負担することになるから、上告人の遺留分の侵害額の算定において遺留分の額に相続債務の額を加算することは許されず、上記侵害額は、積極財産から消極財産を差し引いた748万4500円の4分の1である187万1125円になると主張している。
3(1) 本件のように、相続人のうちの1人に対して財産全部を相続させる旨の遺言により相続分の全部が当該相続人に指定された場合、遺言の趣旨等から相続債務については当該相続人にすべてを相続させる意思のないことが明らかであるなどの特段の事情のない限り、当該相続人に相続債務もすべて相続させる旨の意思が表示されたものと解すべきであり、これにより、相続人間においては、当該相続人が指定相続分の割合に応じて相続債務をすべて承継することになると解するのが相当である。 もっとも、上記遺言による相続債務についての相続分の指定は、相続債務の債権者(以下「相続債権者」という。)の関与なくされたものであるから、相続債権者に対してはその効力が及ばないものと解するのが相当であり、各相続人は、相続債権者から法定相続分に従った相続債務の履行を求められたときには、これに応じなければならず、指定相続分に応じて相続債務を承継したことを主張することはできないが、相続債権者の方から相続債務についての相続分の指定の効力を承認し、各相続人に対し、指定相続分に応じた相続債務の履行を請求することは妨げられないというべきである。
そして、遺留分の侵害額は、確定された遺留分算定の基礎となる財産額に民法1028条所定の遺留分の割合を乗じるなどして算定された遺留分の額から、遺留分権利者が相続によって得た財産の額を控除し、同人が負担すべき相続債務の額を加算して算定すべきものであり(最高裁平成5年(オ)第947号同8年11月26日判決)、その算定は、相続人間において、遺留分権利者の手元に最終的に取り戻すべき遺産の数額を算出するものというべきである。 従って、相続人のうちの1人に対して財産全部を相続させる旨の遺言がされ、当該相続人が相続債務もすべて承継したと解される場合、遺留分の侵害額の算定においては、遺留分権利者の法定相続分に応じた相続債務の額を遺留分の額に加算することは許されないものと解するのが相当である。 遺留分権利者が相続債権者から相続債務について法定相続分に応じた履行を求められ、これに応じた場合も、履行した相続債務の額を遺留分の額に加算することはできず、相続債務をすべて承継した相続人に対して求償し得るにとどまるものというべきである。
(2) これを本件についてみると、本件遺言の趣旨等から甲の負っていた相続債務については被上告人にすべてを相続させる意思のないことが明らかであるなどの特段の事情はうかがわれないから、本件遺言により、上告人と被上告人との間では、上記相続債務は指定相続分に応じてすべて被上告人に承継され、上告人はこれを承継していないというべきである。 そうすると、上告人の遺留分の侵害額の算定において、遺留分の額に加算すべき相続債務の額は存在しないことになる。
4 以上と同旨の原審の判断は、正当として是認できる。 論旨は採用できない。
よって、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。
 最高裁裁判長裁判官堀籠幸男

 

⑲価額弁償の意思表示があるも目的物返還及び価額弁償の請求もないときの、価額弁償額の確定を求める訴えの利益(最判平成21年12月18日)

価額弁償の意思表示があるも目的物返還及び価額弁償の請求もないときの、価額弁償の確定を求める訴えの利益
      主   文
原判決中、主文第1項及び第2項を破棄する。
前項の部分につき、本件を東京高等裁判所に差し戻す。
      理   由
上告代理人山田和男の上告受理申立て理由について
1 本件は、甲(以下「甲」という。)の共同相続人の一人であり、甲の遺言に基づきその遺産の一部を相続により取得し、他の共同相続人である被上告人らから遺留分減殺請求を受けた上告人が、被上告人Y1(以下「被上告人Y1」という。)は甲の相続について上告人に対する遺留分減殺請求権を有しないことの確認を求める旨及び被上告人Y2(以下「被上告人Y2」という。)が甲の相続について上告人に対して有する遺留分減殺請求権は2770万3582円を超えて存在しないことの確認を求める旨を訴状に記載して提起した各訴えにつき、確認の利益の有無が問題となった事案である。
2 原審の確定した事実関係の概要等は、次のとおりである。
(1) 甲(大正9年2月生)は、平成16年12月7日に死亡した。 上告人及び被上告人らは、甲の子である。
(2) 甲は、平成10年12月7日、甲の遺産につき、遺産分割の方法を指定する公正証書遺言(以下「本件遺言」という。)をした。
(3) 被上告人らは、平成17年12月2日ころ、上告人に対し、遺留分減殺請求の意思表示(以下「本件遺留分減殺請求」という。)をし、上告人は、遅くとも本件訴訟の提起をもって、被上告人らに対し、本件遺言による遺産分割の方法の指定が被上告人らの遺留分を侵害するものである場合は民法1041条所定の価額を弁償する旨の意思表示をした。
(4) 被上告人らは、上告人に対し、遺留分減殺に基づく目的物の返還請求も価額弁償請求も未だ行っていない。
(5) 本件訴訟の訴状には、請求の趣旨として、①被上告人Y1は甲の相続について上告人に対する遺留分減殺請求権を有しないことの確認を求める旨、②被上告人Y2が甲の相続について上告人に対して有する遺留分減殺請求権は2770万3582円を超えて存在しないことの確認を求める旨の記載がある(以下、上告人の被上告人らに対する上記確認請求を併せて「本件各確認請求」といい、本件各確認請求に係る訴えを併せて「本件各確認の訴え」という。)。
上告人は、原審の第1回口頭弁論期日において、価額弁償をすべき額を確定したいため、本件各確認の訴えを提起したものである旨を述べた。
3 原審は、上記事実関係等の下で、①被上告人Y1に対する確認請求は、上告人が被上告人Y1の遺留分について価額弁償をすべき額がないことの確認を求めるものであり、②被上告人Y2に対する確認請求は、上告人が被上告人Y2の遺留分について価額弁償をすべき額が2770万3582円を超えないことの確認を求めるものであると解した上、以下の理由により、本件各確認の訴えは確認の利益を欠き不適法であると判断し、第1審判決中、本件各確認の訴えが適法であることを前提とする本件各確認請求に係る部分を取り消して、本件各確認の訴えを却下した。
(1) 被上告人らは、上告人に対して遺留分減殺請求をしたが、未だ価額弁償請求権を行使していない。 従って、被上告人らの価額弁償請求権は確定的に発生しておらず、本件各確認の訴えは、将来の権利の確定を求めるものであり、現在の権利関係の確定を求める訴えということはできない。
(2) 仮に、上告人による価額弁償の意思表示があったことにより、潜在的に被上告人らが上告人に対して価額弁償請求権を行使することが可能な状態になったことを根拠として、本件各確認の訴えをもって現在の権利関係の確定を求める訴えであると解する余地があるとしても、受遺者又は受贈者が価額弁償をして遺贈又は贈与の目的物の返還義務を免れるためには現実の履行又は履行の提供を要するのであって、潜在的な価額弁償請求権の存否又はその金額を判決によって確定しても、それが現実に履行されることが確実であると一般的にはいえない。 そして、その金額は、事実審の口頭弁論終結時を基準として確定されるものであって、口頭弁論終結時と上記金額を確認する判決の確定時に隔たりが生ずる余地があることをも考慮すると、本件各確認の訴えは、現在の権利義務関係を確定し、紛争を解決する手段として適切とはいい難い。
4 しかし、原審の上記判断は是認できない。 その理由は、次のとおりである。
(1) 被上告人Y1に対する確認の訴えについて
前記事実関係等によれば、被上告人Y1に対する確認の訴えは、これを合理的に解釈すれば、本件遺言による遺産分割の方法の指定は被上告人Y1の遺留分を侵害するものではなく、本件遺留分減殺請求がされても、上記指定により上告人が取得した財産につき、被上告人Y1が持分権を取得することはないとして、上記財産につき被上告人Y1が持分権を有していないことの確認を求める趣旨に出るものであると理解することが可能である。 そして、上記の趣旨の訴えであれば、確認の利益が認められることが明らかである。 そうであれば、原審は、上告人に対し、被上告人Y1に対する確認請求が上記の趣旨をいうものであるかについて釈明権を行使すべきであったといわなければならず、このような措置に出ることなく、被上告人Y1に対する確認の訴えを確認の利益を欠くものとして却下した点において、原判決には釈明権の行使を怠った違法があるといわざるを得ず、この違法が判決に影響を及ぼすことは明らかである。
(2) 被上告人Y2に対する確認の訴えについて
ア 一般に、遺贈につき遺留分権利者が遺留分減殺請求権を行使すると、遺贈は遺留分を侵害する限度で失効し、受遺者が取得した権利は上記の限度で当然に減殺請求をした遺留分権利者に帰属するが、この場合、受遺者は、遺留分権利者に対し同人に帰属した遺贈の目的物を返還すべき義務を負うものの、民法1041条の規定により減殺を受けるべき限度において遺贈の目的物の価額を弁償し、又はその履行の提供をすることにより、目的物の返還義務を免れることができると解される(最高裁昭和53年、同54年7月10日判決)。 これは、特定の遺産を特定の相続人に相続させる旨の遺言による遺産分割の方法の指定が遺留分減殺の対象となる本件のような場合においても異ならない(以下、受遺者と上記の特定の相続人を併せて「受遺者等」という。)。
そうすると、遺留分権利者が受遺者等に対して遺留分減殺請求権を行使したが、未だ価額弁償請求権を確定的に取得していない段階においては、受遺者等は、遺留分権利者に帰属した目的物の価額を弁償し、又はその履行の提供をすることを解除条件として、上記目的物の返還義務を負うものということができ、このような解除条件付きの義務の内容は、条件の内容を含めて現在の法律関係というに妨げなく、確認の対象としての適格に欠けるところはないというべきである。
イ 遺留分減殺請求を受けた受遺者等が民法1041条所定の価額を弁償し、又はその履行の提供をして目的物の返還義務を免れたいと考えたとしても、弁償すべき額につき関係当事者間に争いがあるときには、遺留分算定の基礎となる遺産の範囲、遺留分権利者に帰属した持分割合及びその価額を確定するためには、裁判等の手続において厳密な検討を加えなくてはならないのが通常であり、弁償すべき額についての裁判所の判断なくしては、受遺者等が自ら上記価額を弁償し、又はその履行の提供をして遺留分減殺に基づく目的物の返還義務を免れることが事実上不可能となりかねないことは容易に想定されるところである。 弁償すべき額が裁判所の判断により確定されることは、上記のような受遺者等の法律上の地位に現に生じている不安定な状況を除去するために有効、適切であり、受遺者等において遺留分減殺に係る目的物を返還することと選択的に価額弁償をすることを認めた民法1041条の規定の趣旨にも沿うものである。
そして、受遺者等が弁償すべき額が判決によって確定されたときはこれを速やかに支払う意思がある旨を表明して、上記の額の確定を求める訴えを提起した場合には、受遺者等がおよそ価額を弁償する能力を有しないなどの特段の事情がない限り、通常は上記判決確定後速やかに価額弁償がされることが期待できるし、他方、遺留分権利者においては、速やかに目的物の現物返還請求権又は価額弁償請求権を自ら行使することにより、上記訴えに係る訴訟の口頭弁論終結の時と現実に価額の弁償がされる時との間に隔たりが生じるのを防ぐことができるのであるから、価額弁償における価額算定の基準時は現実に弁償がされる時であること(最高裁昭和51年8月30日判決)を考慮しても、上記訴えに係る訴訟において、この時に最も接着した時点である事実審の口頭弁論終結の時を基準として、その額を確定する利益が否定されるものではない。
ウ 以上によれば、遺留分権利者から遺留分減殺請求を受けた受遺者等が、民法1041条所定の価額を弁償する旨の意思表示をしたが、遺留分権利者から目的物の現物返還請求も価額弁償請求もされていない場合において、弁償すべき額につき当事者間に争いがあり、受遺者等が判決によってこれが確定されたときは速やかに支払う意思がある旨を表明して、弁償すべき額の確定を求める訴えを提起したときは、受遺者等においておよそ価額を弁償する能力を有しないなどの特段の事情がない限り、上記訴えには確認の利益があるというべきである。
エ これを本件についてみるに、前記事実関係等によれば、被上告人Y2に対する確認の訴えは、被上告人Y2の本件遺留分減殺請求により同被上告人に帰属するに至った目的物につき、上告人が民法1041条の規定に基づきその返還義務を免れるために支払うべき額が2770万3582円であることの確認を求める趣旨をいうものであると解されるから、上告人において上記の額が判決によって確定されたときはこれを速やかに支払う意思がある旨を表明していれば、特段の事情がない限り、上記訴えには確認の利益があるというべきである。 これと異なる見解に立って、被上告人Y2に対する確認の訴えを却下した原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある。
5 以上のとおりであるから、論旨は理由があり、原判決中、上告人の被上告人らに対する確認請求に係る部分(主文第1項及び第2項)は破棄を免れない。 そして、同部分につき、更に審理を尽くさせるため、本件を原審に差し戻すのが相当である。
よって、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。
最高裁裁判長裁判官 古田佑紀  

 

 

 

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2015年

9月

27日

労働者派遣

 「横浜のアオヤギ行政書士事務所」労働者派遣等につき解説いたします。 ご質問やお問合せは、下記のフォームに記載のうえ、メールにて送信下さい。

 

 現行制度では、一般労働者派遣事業(許可制)と特定労働者派遣事業(届出制)の2制度が運用されていましたが、特定労働者派遣事業を担う事業者が適正な運営を行っていないケースがあるなど、業界全体の健全化を目指すため、すべての労働者派遣事業が許可制となります。

 現在の特定労働者派遣事業者は、経過措置が敷かれる施行日から3年の間に新しい許可基準で許可を取得することが必要となります。 特定労働者派遣事業の事業者は小規模事業者が多いことから、資産要件についても暫定的な経過措置が検討されています。

 今回の派遣法改正は既存の法律の微修正ではなく、根本的な内容が大幅に見直されるものとなりました。


一般派遣

 一般派遣で働く場合は、正社員や契約社員のように就業先の企業と直接雇用契約が結ばれるのではなく、派遣スタッフと派遣会社との間で雇用契約が結ばれます。派遣スタッフと派遣会社との雇用関係は、就業先が決まった時点で初めて発生し、派遣契約の結ばれている期間のみ成立します。

 派遣会社は、お仕事のご案内、就業条件の明示、給与の支払い、福利厚生、スキルアップ研修などの面で派遣スタッフをサポートします。 派遣先企業は、派遣スタッフに対し実際の仕事にあたっての指示をします。


特定派遣

 特定派遣とは、派遣就業しているときだけ雇用関係が発生するいわゆる「登録型派遣」と違い、労働者が派遣会社に正社員または契約社員として雇用され、配属先企業に常駐する形で業務をおこなう常用雇用型の派遣システムです。
 配属先企業でのプロジェクトが終了しても雇用関係は続いているため、派遣会社の社員という立場のまま、次の配属先を探します。


紹介予定派遣

 紹介予定派遣とは、派遣先企業に直接雇用されることを予定して一定期間派遣スタッフとして就業し、派遣スタッフと派遣先企業の双方に合意があれば、派遣契約期間終了後に正社員や契約社員などの直接雇用に切り替わる派遣システムです。
 入社前に実際に働いて仕事内容や職場環境を見極めることができるので、ミスマッチなく就職することができます


人材派遣会社と人材紹介会社の違い

 人材派遣会社と人材紹介会社の違いは、就業時の雇用主です。 人材派遣会社の場合は、就業している会社ではなく、人材派遣会社が雇用主となり、人材紹介会社から仕事を得た場合は、就業する会社が雇用主となります。

 

人材派遣会社

 人材派遣会社は、直接スタッフ(転職・就職希望者)と雇用契約を結んで、職場(派遣先)に「派遣スタッフ」としてそのスタッフを就業させます。

 基本的に派遣社員として職場を斡旋する会社です。 派遣会社となりますので、給与・各種社会保険・有給休暇などは派遣元である派遣会社より支給されます。 職場は、派遣会社が斡旋してくれた派遣先となり、派遣先責任者が業務遂行上の上司となります。 また、雇用契約は派遣会社と結びますので職場で理不尽な扱い等を受けた場合は、派遣会社に訴え改善を要求することができます。

 

人材紹介会社

 人材紹介会社は、取引先の企業が社員を募集するときに候補者(就職・転職希望者)を紹介します。 そのため、候補者は人材紹介会社と雇用契約を結びません。 人材紹介会社を通して仕事が決まりましたら、雇用主は紹介してくれた人材紹介会社ではなく、職場となる企業となります。

 正社員(契約社員)として、就職・転職先を紹介する無料サービスを提供する会社となります。 各企業(取引先)からの求人情報、および候補者(就職・転職希望者)からの求職(就職・転職)の相談を受け、求人企業と求職者の双方の要望にそったお仕事を紹介します。 人材紹介会社は一般的に求人企業からの紹介手数料で運営されており、候補者へのカウンセリングや職業紹介は無料で行います。

 

有料職業紹介事業

   有料職業紹介事業とは、手数料を得ながら求人企業と求職者との間での雇用関係成立を斡旋します。
 代表的なものとしては、民会企業が運営する人材紹介会社が挙げられます。 このような職業紹介事業を行うためには、厚生労働省の許可が必要です。
 しかし、港湾運送お職業、建設の職業についての職業紹介は禁止されています。

 

特定労働者派遣事業と一般労働者派遣事業の相違点

  項目        特定労働者派遣事業  一般労働者派遣事業

派遣労働者のパターン    自社の常用雇用労働者     登録者・臨時・日雇い短期・自社の雇用労働者

資産・現預金        要件なし           資産-負債>2000万、現預金の額>1500万、

                             基準資産額>負債÷7

届出から許可までの期間   届出なので受理即日      受理から2~3ヶ月後、

法定費用(印紙代他)    0円             210,000円(1箇所の場合

派遣元責任者講習      受講が好ましい        受講済みが許可要件

派遣元責任者の職務代行者  不要             必要

労働保険(労災・雇用保険) 雇用労働者がいる場合加入   雇用労働者がいる場合加入

社会保険(健康・厚生年金) 加入必要*例外あり      加入必要*例外あり

事務所の広さ要件      基本的にはありません     20㎡以上

事務所の現地調査      基本的にはありません     現地調査


 
                          

労働者派遣事業を行うことができない業務
   1.港湾運送業務
 2.建設業務
 3.警備業務
 4.病院等における医療関係の業務(当該業務について紹介予定派遣をする場合、

  産前産後休業、育児・介護休業の代替要員としての業務の場合、就業場所

  (病院、診療所等)がへき地である場合を除きます。)
 5.人事労務管理関係のうち、派遣先において団体交渉又は労働基準法に規定する協定の締結

      等のための労使協議の際に使用者側の直接当事者として行う業務
   6. 弁護士、外国法事務弁護士、司法書士、土地家屋調査士、公認会計士、税理士、弁理士、

       社会保険労務士又は行政書士の業務   

   7.建築士事務所の管理建築士の業務

             
                    

   
   
   




 

 

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2015年

9月

26日

特別養子縁組

 

 横浜のアオヤギ行政書士事務所」が特別養子縁組の届出・離縁などについてい解説いたします。お問合せや ご質問は下記のフォームに記載のうえ、メールにて送信下さい。 なお、返信希望のお問合せには、貴メールアドレスの記載をお忘れなく。


 特別養子縁組とは児童福祉のための養子縁組の制度です。 昭和63年(1988年)1月1日に特別養子縁組制度が施行され、26年経過しました。

 平成26年4月2日に宇都宮家庭裁判所にて確定した、特別養子縁組の内容は、実親の不同意でも特別養子縁組を認定した画期的な判断が示されました。

 他人が産んだ女児を出生直後から7年間育ててきた栃木県内の50代の夫婦が、特別養子縁組を求めた家事審判で、宇都宮家裁が実の親の同意が無くていも「子供の福祉のため」と縁組を決定しました。  審判で実親は「親子の縁は切りたくない」と主張していましたが、間部裁判官は「実親は女児との交流や経済的支援はなく、夫婦に任せきりだった。 子供の利益を著しく害する状況で、新たな親子関係を築くことが子どもの福祉のためだ」と指摘しました。 実親の虐待が無い場合でも、子供の利益を最優先にする判断は珍しいですが、今後は子の利益を重視する考えかたが一般的になっていくのは間違いないでしょう。

 様々な事情により実の親の下での生活が困難で適切な環境に置かれない乳幼児が、別の家庭で養育を受けることを目的に設けられました。 準拠法は民法第817条、児童福祉法第28条です。 

   普通養子縁組の場合、戸籍上、養子は実親と養親の2組の親を持つことになりますが特別養子縁組は養親と養子の親子関係を重視するため、養子は戸籍上養親の子となり、実親との親子関係がなくなる点で普通養子縁組と異なります。 ただし、民法第734条により近親結婚禁止規定は特別養子縁組によっても実親と実子の親子関係に適応されます。 特別養子縁組の条件として、養子の年齢は6歳未満と制限されています(6才未満から事実上養育していたと認められた場合は8才未満まで可能)。

 尚、里親と養子縁組が混合されがちですが、里親委託は育ての親が一時的に子どもを預かる制度であり、里親と子どもの戸籍上の繋がりは発生しない点が養子縁組とは異なっています。 

 また非嫡出子が特別養子縁組となった場合、実親は縁組後と離縁前に認知することはできません(最高裁平成5年7月14日判決)。

 

 民法817条2①には「家庭裁判所は民法817条3から817条7までに定める要件があるときは、養親となる者の請求により、実方の血族との親族関係が終了する縁組をさせることが出来る」とされています。 このように特別養子は、縁組成立の時から実父母との間の親子関係及びそれから生じる権利義務関係が消滅することになりますので実父母の相続人とはなりません。


 特別養子縁組の要件

1)民法第817条の3 (養親の夫婦共同縁組養親が結婚していて、夫婦2人とも養親になる

      こと
2)民法第817条の4
養親
となる者の年齢)養親の2人とも成人していて、少なくとも一方

  が25歳以上であること

3)民法第817条の5養子となる者の年齢)養子になる子供が6歳未満であること

      (事実上、6歳未満から養育していたことが認められた場合は、8歳未満)
4)民法第817条
の6
父母の同)養子の実の両親が同意していること 

5)民法第817条の7(子の利益のための特別の必要性)実の両親の経済状態、家庭環境など

  が、著しく子供の養育に悪影響を与える場合
 

特別養子縁組成立要件

 特別養子縁組は、父母による養子となる者の監護が著しく困難又は不適当であることその他特別の事情がある場合において、子の利益のため特に必要があると認めるときに成立するものとされています。


特別養子縁組沿革

菊田医師事件(赤ちゃん斡旋事件)

 菊田医師事件とは、1973年に産婦人科医菊田医師が乳児の出生書の偽装によって罪に問われた事件で、特別養子縁組成立の発端になったとされています。

 宮城県石巻市の産婦人科医であった菊田医師は、人工中絶によって乳児の生命を絶つことに疑問を抱いていたことから、中絶を希望する妊婦に対し、出産して乳児を養子に出すように説得していました。 同時に、子宝に恵まれないために養子の引き取りを希望する夫婦を地元紙で募集し、乳児を無報酬で引き渡していました。 その数は100人以上に及ぶと言われています。 実母が出産した経歴が戸籍に残らないように、また養親が実子のように養子を養育できるようにとの配慮から、乳児の出生証明書を偽造していたことが発覚しました。 医師法違反、公正証書原本不実記載、同行使の罪に問われ、罰金20万円、6ヶ月の医療行為停止が科されました。

 しかし、この事件を契機に、法律に違反しながらも乳児の命を守ったことへの賛否両論が巻き起こり、実子として養子を育てたいと考える養親や、社会的養護の下に置かれる子どもが社会的に認知され、要望に応える制度が必要だという機運が高まりました。 

愛知方式 

 愛知方式とは、1982年に愛知県の児童相談所で始まった特別養子縁組の斡旋をさします。 乳幼児は家庭で愛情を持って育てられるべきという考えを基に、児童福祉司の矢満田さんが取り組み始めました。 出産前に実母の相談に乗り、養親を選定、赤ちゃんを退院後に引き渡す方式をとっていますが、児童相談所は通常ならば乳児を乳児院に、措置をとることが一般的ですので、愛知方式は画期的と言われるようになりました。 特別養子縁組の斡旋方法の基礎となり、現在も国内の複数のあっせん団体に活用されています。

 

特別養子縁組制度の運用

担い手

 特別養子縁組の成立には、養子と養親の斡旋が不可欠であり、その仲介は児童相談所と民間斡旋事業者、医療機関が担っています。

児童相談所

 児童相談所は児童福祉を担う公の機関であり、特別養子縁組の斡旋も業務の一部として行っています。 しかし愛知方式のように産まれた赤ちゃんをすぐに養親に引き渡すケースは稀で、まずは乳児院へ措置し、退所後に児童相談所が養親に引き渡すケースが一般的とされています。  

民間あっせん事業者

 全国に15団体あります。 種類の内訳は、任意団体、社団法人、宗教団体、非営利団体となっており、また個人活動で斡旋を行っている事業者も2名います。  事業者の活動経費は、斡旋にかかる費用を実費あるいは寄付金として養親に負担してもらうことで活動を維持しています。 事業者によって養親の負担額は大きく異なり、その範囲は0円から200万円までに及びます。 また寄付金や会費の有無も団体に依拠しています。 費用の主な内訳は、弁護士・カウンセラー・養子引き渡しの際に必要なベビーシッター等の人件費、裁判費用、交通費、オフィスおよび業務運営諸経費となっています。

医療機関

 従来、一部の医師会や産婦人科医が斡旋を行っているのみでしたが、2013年9月にあんしん母と子の産婦人科連絡協議会が設置されたことを受け、担い手としての医療機関の存在感は増してきています。 同協議会には、14道府県の計20の産婦人科が参加し、連携して特別養子縁組に取り組むネットワークが形成されました。

 

特別養子縁組成立までの流れ

 特別養子縁組成立までの流れは、児童相談所での登録を経て縁組するか、民間斡旋事業者での登録を経て縁組するかによって異なっています。 登録後、実際に養子を受け入れるまでの待機期間についても、数週間から数年間までケースにより大きく異なります。

児童相談所の場合(一般的)

 児童相談所を通して特別養子縁組をする場合、まず、養子縁組を目的としてそれまでの間里親として子どもを養育する、養子縁組里親への登録が必要です。 自治体により多少の差異はあるが、一般的に養子縁組里親登録までの流れは以下のようになっています。

・児童相談所へ問い合わせ

・申請要件の確認

・認定前研修申込・受講

・登録申請

・児童相談所職員による家庭調査

・児童福祉審議会里親認定部会(2ヶ月に一回)で審議

・都道府県知事が認定登録

養子縁組里親としての登録をした後は、児童相談所からの子どもの紹介を待つことになります。 紹介を受けてから、特別養子縁組の成立に至るまでは以下の通りです。

・児童相談所からの子どもの紹介

・児童相談所立会いの下、子どもと里親の引き合わせ

・1~3ヶ月間の交流期間

・児童相談所による委託の決定

・委託から半年程度の試験養育期間を経て、家庭裁判所へ申立て

・家庭裁判所での調査を受け、特別養子縁組の審判確定

民間あっせん事業者の場合

 民間事業者でも、まず書類審査や面接を経て里親に登録することを求められる場合が多いです。 民間事業者における、養親になるまでの具体的な流れは以下のようになっています。

・民間のあっせん事業者へ問い合わせ

・面接/審判により、養親の条件を満たしているか、養子を受け入れる環境が整って

 いるか判断

・養親登録が完了

・斡旋事業者から養子を引き取ってほしいとの連絡を受ける

・乳児が養親の元に連れられ、乳児との生活開始

・家庭裁判所への申し立て

・6ヶ月間の試験養育期間を経て、特別養子縁組の審判確定

 


 

特別養子縁組Q&A

Q1家庭裁判所の審判に不服がある場合、抗告出来るのですか?

A1家事審判規則では、養子をするについての許可の審判や特別養子縁組を成立させる 

 審判に対しては即時抗告ができますので、審判書には主文と理由の要旨が記載され 

 ます。 理由の「要旨」といっても、子が産まれるまでの状況や養子をするに至っ 

 た経緯等がかなり詳細に記載されますので、通常の訴訟における判決書とさほど変

 わりません。 理由を詳しく書いておかないと、即時抗告をするときに審判のどこ

 に問題があるかを指摘できませんし、抗告審の裁判所が審判を妥当かどうかを判断 

 するための材料がなくなってしまうからです。

Q2

A2

Q3

A3

 

特別養子縁組判例

1.海外養子の取戻し
大阪地決昭和55年6月16日 原文

最決昭和55年9月5日 原文
*妻子ある男性の子どもを妊娠し、医師や民間団体の斡旋によって、子どもをハワイの日系二世の養子に出したが、その後、男性が離婚し、子どもの実母と再婚したので、養子縁組の無効を主張して、人身保護請求を申し立てたところ、外国にいる子どもに対し人身保護法を発動することはできないとして棄却され上告も却下された事案です。

2.実親の同意
①福島家裁会津若松支審平成4年9月14日 原文

*実父とされる者(日本人)は、認知することなく死亡し、実母(在日韓国人)は、
行方不明となっている事案において、同意要件の例外を認めて、特別養子縁組の
申立てを認容しました。
②福岡高決平成3年12月27日  原文
③青森家五所川原支審平成21年5月21日  原文
*いずれも実母ないし実父が同意を拒否しているが、子どもの利益を害する
おそれがあるとして、同意要件の例外を認めた事案です。
④大阪高決昭和63年10月27日  原文
*実母が普通養子から特別養子の転換への同意を拒否している事案において、
子どもを悪意で遺棄しているわけではなく、不同意もやむを得ないとして、
特別養子縁組の申立てを却下しました。

⑤長野家松本支審平成14年9月27日  原文
⑥東京高決平成14年12月16日  原文
*里親会のあっせんにより、養親希望者に子どもを引き渡したが、特別養子縁組の申立後に実母が同意を撤回した、という事案です。家裁では、子どもを実母に戻すことは、子どもの利益を害するとして、例外的に同意が不要である場合に該当すると判断しましたが、高裁は、例外に該当するか否かに疑問が残るとして、原審に差し戻す決定をしました。

⑦東京高決平成元年3月27日  原文
⑧東京高決平成2年1月30日  原文
*いずれも、家裁で養子縁組の審判が下された後、確定前に実母が同意を撤回したので、高裁が原審を取り消し、差し戻した事案です。

3.里親委託の子どもの連れ戻し
山形家審平成12年3月10日 原文
仙台高決平成12年6月22日 原文
*3年7か月にわたって里親委託されていた子どもについて、実母が引渡しを求めたのに対し、里親の側が自らを監護者として指定するよう申し立てた事案です。家裁は、民法766条を類推適用して、里親側の申立てを認容しましたが、高裁は、このような申立てを認める規定が存在しないとして、これを棄却しました 。高裁は、児相の保護措置を理由として、実母の申立ても却下しましたが、後に措置が解除され、子どもが実母に引き渡されました。しかし、虐待が明るみに出たので、再び児相の措置により、元の里親に戻され、子どもは、精神的に大きなダメージを受けたそうです。



国際養子とは、国籍の異なる養親と養子の間で養子縁組を行うことを言います。 当事者の一方の国における手続き上の観点からは、渉外養子とも呼ばれます。 戦災孤児や、家庭問題等が深刻・経済的困窮などの理由で子供の養育が出来ない家族から、国境を越えて未成年者を養子として迎えるケースが多数です。 送り出す側は、開発途上国、迎え入れる側は、先進国であることが多いです。 こどもの権利条約によりますと、養子縁組は可能な限り国内委託を優先させることを定めており、国際的な養子縁組が行われる児童が国内における養子縁組の場合における保護及び基準と同等のものを享受することを確保するよう定めています。  

 止む無く、海外に送り出す場合も児童の利益最善化に最大限の配慮がなされるべきことを求め、不当な金銭授受を禁じています。 また、1993年のハーグ条約により、手続きの初めから終わりまで、両国の法務当局が責任を負うよう定められています。 人身売買ではないとの証明から始まり、法務当局間での養親と養子についてのプロフィール交換、送り出す側は子供の出国までを見届け、迎える側は子供の入国を確認する義務があるとされています。 

 

 日本において、養子縁組に関する担当官庁は法務省民事局(及び法務局・地方法務局)、外国籍の養子の日本在留に関する許認可官庁は法務省入国管理局(及び地方入国管理局)になりますが、国際養子に関する直接的な法律はありません。 6歳未満に関しては民法に特別養子縁組の詳細な規定があり、特に実親とは別れた乳幼児を他国から引取る場合などは、特別養子縁組によることが想定されています。 法の適用に関する通則法により、準拠法は、養親の本国法によるものと定められています。 養子の本国法に、縁組の承諾や許可に関する保護要件が設定されている場合は、それも満たすことが求められます。 帰化に際して、縁組当時 本国法において未成年で、1年以上日本に住んでいる外国人養子は、簡易帰化の適用が可能となります。

 

国際結婚に伴う連れ子を養子にする

 異なる国籍の者同士で国際結婚を行い、配偶者の子供を養子にする場合です。

ただし、後述のとおり、養子縁組をしたからといって、必ずしも帰化要件の緩和や在留資格が与えられるとは限りません。

 

成年同士の養子縁組

 それぞれの法律によって、養子は未成年者や一定の年齢以下のみに対象が限られている国と、日本のように成年者が養子となることも可能な国とがあり、後者で当事者の合意により養子縁組が行われる場合です。 なお、後述のとおり、養子縁組によって相続等における法律上の親子関係が発生することと、帰化や在留資格の取得の可否とは、また別問題です。

一般の未成年養子に関する在留資格
①特別養子には、日本人の配偶者等の在留資格が与えられる
②6歳未満の普通養子には、定住者の在留資格が与えられる
③それ以上の年齢では、人道上配慮すべき特段の事情がある場合は法務大臣から個別
 に定住者の在留資格が与えられる可能性もありますが、そうでなければ、通常の外
 国人と同様に何らかの在留資格が別途必要になります。
連れ子に関する在留資格
 日本人が、外国人配偶者の外国籍の子供と養子縁組する場合(養子縁組しない場合でも)、その外国人配偶者に扶養されている未成年の未婚の実子は、原則として定住者の在留資格が与えられます。 成年後や独立生計の養子が日本に居住するには、通常の外国人と同様、何らかの在留資格が別途必要になります。 また、外国人が、日本人配偶者の日本国籍の子供と養子縁組する場合は、養親の本国法に基づくことになります。
成年養子に関する在留資格
 留学生や技術研修などで来日した外国人が、日本での在留期間の延長や事業承継者となることを目的として、日本人の養子となることを希望する例が見られます。 しかし、成年養子には帰化や在留資格に関する特段の優遇措置は与えられておらず、滞在の便法としての利用は無意味であります。 このことは、養子縁組を脱法手段とした不法入国や違法滞在の防止とも関連しています。
日本人が外国人を養子にする場合の届出手続き
 日本で養子縁組する場合は、成立要件と準拠法は日本の民法となりますので、市町村役場に養子縁組届を提出します。 海外で養子縁組をし、その国の方式によって養子縁組を成立させる場合には、縁組成立の日から3ヶ月以内に市町村に養子縁組届とその国の発行した縁組証明書を提出します。
日本人と外国人の夫婦が外国人又は日本人の子供を養子にする場合
準拠法は日本法と外国人配偶者の本国法となり、両法を適法することになります。
 
国籍の変動
 養子が養親の国籍を取得するかは、養親の本国法によることになります。
①養親が日本人の場合には、養子となった外国人の国籍は変動しません。 すなわ
 ち、養子縁組をすることで日本国籍を取得できるわけではありません。 日本国籍
 を取得するには、帰化許可申請することになりますが、帰化要件が緩和されていま
 す。
②養親が外国人の場合で、養子となった日本人が養親の国籍を取得する場合には、養
 子の日本国籍は当然には喪失しないで、二重国籍者となります。
戸籍の変動
 日本国籍を有しない者について戸籍が編製されることはありません。 日本人の養親又は養子の戸籍身分事項覧養に養子縁組の事実が記載されます。 但し、養親が日本人と外国人の夫婦で養子が日本人の場合には、日本人養親の戸籍に編入され、その氏を称します。 一方、特別養子の場合は、まず、養子の新戸籍が編製され、その後日本人養親の戸籍に編入されます。
国際養子縁組の提出必要書類
①家庭裁判所の許可書
②国籍証明書
 外国人養子の本国発行の国籍証明書です。 有効パスポートで代用可能の場合があ
 りますが、市町村役場へ確認して下さい。
③出生証明書
④親族関係証明書
 親子関係などの確認です。
⑤養子の親族の同意書 

 

 国際養子縁組Q&A

Q1A子さんは日本人45歳女性です。 既に離婚しており、18歳の息子が一人おりま

 す。 将来、フィリピン国籍の子供と養子縁組をと考えていますが、養親としての 

 条件はありますか?  収入の最低限度額などありますか?

A1日本の法律では、自己又は配偶者の直系卑属以外の未成年者を養子とする場合、家

 庭裁判所の許可が必要です。 家庭裁判所では必要に応じて、申立人、未成年者、 

 代諾者(未成年者が15歳未満のとき)などに対し、家庭裁判所調査官が調査をした

 り、裁判官が審問をしたりして、これらの結果に基づき、裁判官が許可するかどう

 か判断することになります。 一方、養子になる者が外国籍である場合、その外国

 の法律も同時に、満たさなければなりません。 そもそも養子にして親権を持たな

 ければ日本へ連れて来ることも出来ませんから、まずはその外国の法律上で養子縁

 組をします。 養母としての条件はその国の法律によりますから、今回は、フィリ

 ピンの弁護士および在日フィリピン大使館・総領事館などにご相談ください。 そ

 の国の法律上養子縁組が成立すれば、市町村役場に養子縁組届を提出します。 

 た養子にできたとしても、日本に移住するための在留資格が認められるかどうかは

 また別問題です。まずは入国管理局へ在留資格認定証明書交付申請をしますが、そ

 こでは身元保証人としての収入や一緒に暮らす家が問題になってきます

Q2国際養子縁組について考えております。 日本では日本国籍の者が海外から養子を

 迎える方法を教えて下さい?

A2「法の適用に関する通則法」31条に養子縁組の規定がありますので、国際養子は

 日本法の想定の範囲です。 ただ、養子候補が、どこの国籍で何歳かといったこと

 など具体的条件がからんでくるので、ここでは結論が出ません。 さらに、日本永

 住のためには、外国国籍の養子を帰化させるかどうかという問題も生じてきます。
 法の適用に関する通則法31条は次の通りです。基本的には、養親が日本人なら、日

 本法の手続きで養子縁組できることになりますが、場合により、養子の母国の法も

 累積適用になります。
法の適用に関する通則法31
(養子縁組)
第31条 養子縁組は、縁組の当時における養親となるべき者の本国法による。この場合において、養子となるべき者の本国法によればその者若しくは第三者の承諾若しくは同意又は公的機関の許可その他の処分があることが養子縁組の成立の要件であるときは、その要件をも備えなければならない。
2 養子とその実方の血族との親族関係の終了及び離縁は、前項前段の規定により適用すべき法による。

Q3養子縁組を認めていない国はありますか?

A3イスラム教諸国(チュニジア除く)のように、全く認めない国や、インドのように 

 ヒンドゥー教徒間でのみ認める国があります。

 

 

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2015年

9月

25日

養子縁組と養子離縁・取消

 横浜のアオヤギ行政書士事務所」が養子縁組の届出・離縁などについてい解説いたします。 最近の受任やお問合せの案件は、①外国人の子どもを養子・特別養子にしたい ②日本人の養子と離縁したいです。このような問合せは確実に増加しております。 お問合せや ご質問は下記のフォームに記載のうえ、メールにて送信下さい。 なお、返信希望のお問合せには、貴メールアドレスの記載をお忘れなく。

 

  養子縁組とは血縁関係がない者や親子関係がない者の間に親子関係を発生させることです。 この養子縁組で生じた親子はそれぞれ養親・養子(養女)と呼びます。 養子は、縁組の日から養親の嫡出子としての身分を取得すると規定されていますので、相続に関して実子と同様の権利が生じます。 但し、戸籍法の定めるところにより届出のなされた養子でなければ、相続権は認められません。 成人に達した者は養親になることが出来ます(民792条)。 但し、尊属と年長者を養子にすることは出来ません(民793条)。

 

養子縁組には次の2通りがあります。

1.普通養子(契約型)

  普通養子とは、次に説明する特別養子以外の養子のことですが、一般的に養子と言った

  場合は普通養子のことを言います。 普通養子は、実父母の親子関係がそのまま維持さ

  れますので養父母、実父母双方の相続人となり、また、二重の相続権を持つ場合が生じ

  ます。 例えば、Aが自分の子であるBの子C(Aの孫)と養子縁組をした場合にBがAより

  先に亡くなるとAの相続に関しては、Cは子としての相続権と代襲相続権を持つことにな

  ります。

2.特別養子(決定型)

  民法817条2①には「家庭裁判所は民法817条3から817条7までに定める要件があるとき

  は、養親となる者の請求により、実方の血族との親族関係が終了する縁組をさせること

  が出来る」とされています。 このように特別養子は、縁組成立の時から実父母との間

  の親子関係及びそれから生じる権利義務関係が消滅することになりますので実父母の相

  続人とはなりません。

 

養子・養親になれる人

 養子をとることが出来るのは、自分より年齢が上でなければ、あるいは自分の尊属でなければ、だれでも可です。 養親となるには成人に達していなければなりませんが未成年でも結婚(成年擬制)していれば養親になることが出来ます。 また、養子となる者には年齢制限はありませんが、未成年者を、後見人が被後見人を、養子にするときは家庭裁判所の許可が必要です。 但し、自分の孫等直系卑属を養子とする場合には未成年者でも家庭裁判所の許可は不要です。 また、配偶者のある者が養親となる場合、以前は配偶者とともに養親にならなければならなっかたものですが、現在では配偶者の同意があれば単独で養親となれます。 但し、未成年者を養子とする場合には、配偶者とともに養親にならなければならないことになっています。

 

相続税における養子の取り扱い

 民法では、養子の数については制限する規定はありません。 養親となる者と養子になる者が合意すれば、何人でも無制限に養子にすることが出来ます。 しかし、そのことを利用して、相続税の回避を図る事例が多くみられます。 つまり、相続税は法定相続人の数が多いほど、税額が低くなる仕組みになっているからです。 そこで、課税の公平の見地から、養子の人数制限が相続税法に規定されました。 つまり、相続税の計算の時のみに人数が制限されるという事です、法定相続人の権利が制限される訳ではありません。 その内容は、被相続人に実子があるときは1人、実子が無いときは2人までの制限です。 一方、相続税法で養子の人数制限が不適用になる場合が4通りあります。 例えば特別養子縁組による養子などは、不適用の代表例です。 なおこれとは逆に、人数制限以内の養子であったとしても不当に相続税の負担を軽減させる結果になると認められる場合には、当該養子は相続税計算時の法定相続人の数に参入されないという規定が相続税法63条にあります。

 

 養子離縁

 養子離縁は養親と養子との協議で行います(民法811条1項)。 養子縁組は養子が満15歳以上であれば、単独で養親との離縁協議をすることが出来ます(民法811条2項)。 但し、養親が死亡した後に、養子縁組を解消したいときは、家庭裁判所の許可が必要です。 離縁の協議が出来ないときは、家庭裁判所に離縁調停を申立てます。 この調停は、養親と養子双方が離縁に合意しなければなりません。 調停が成立しないときは、離縁の裁判の訴えを家庭裁判所に提起します。 裁判で離縁が認められるには、民法814条で定められた離縁原因に該当することが必要です。

民法814条の離縁原因とは、

1.他の一方から悪意で遺棄されたとき

2.他の一方の生死が3年以上明らかでないとき

3.その他縁組を継続し難い理由があるとき

   ①重大なが虐待や侮辱

   ②性格の不一致

   ③養親が精神病で子の養育が不可能

   ④養子の浪費、犯罪行為 など

 

養子縁組の取消し原因

 ①養親が未成年者である縁組の場合、(民法804条)

 ②養子が尊属又は、年長者である場合、(民法805条)

 ③後見人と被後見人の家庭裁判所の許可がない場合、(民法806条)

 ④配偶者の同意のない場合、(民法806条の2)

 ⑤子の監護をすべき者の同意がない場合、(民法806条の3)

 ⑥養子が未成年者である場合の家庭裁判所の無許可縁組の場合、(民法807条)

 ⑦詐欺または脅迫による場合 (民法808条)

 

養子縁組取消の効果

 養子縁組が取消されると、婚姻の取消しの規定が準用され、縁組が取消されると、その効力は将来に向かってのみ生じます。 次に縁組によって得た財産については、善意の当事者は、その得た財産のうち現に利益を受けている限度で返還すれば足りるのに対して、悪意の当事者は、その得た財産の全部に利息を付して返還しなければなりません。 かつ、悪意の当事者は善意の当事者にたいして、損害賠償責任を負うことにもなります。  また、離縁の場合と同様に、養子の氏は取消によって縁組前の氏に戻ることになります。 もっとも配偶者とともに養子をした養親の一方のみと取消しした場合には、離縁前の氏には戻らず、離縁の際の氏のままとなります。

 縁組から7年間が経過した後に、縁組を取消し、氏が縁組前のものに戻ったような場合には、取消の日から3ヶ月以内に戸籍法に従って届出をすることにより、取消の際の氏を使用し続けることが出来ます。

 

養子縁組Q&A

Q1認知した自分の子と養子縁組することは可能でしょうか?

A1実子は、「卑属」かつ「年少者」ですから、実子を養子とすることは、尊属養子

 の禁止・年長者養子の禁止(いずれも民法793条)に抵触しません。 但し、養子

 縁組の趣旨は、養子に嫡出子の身分を取得させること(民法809条)にありますか

 ら、既に嫡出子の身分を取得している子を養子とすることには、実益がなく、これ

 を認める必要はありません。 一方、非嫡出子である実子を養子とすることは、養

 子にすることで、嫡出子と同等の身分を取得できますので、意味のあることです。 
 子が未成年者であっても、養子縁組には家庭裁判所の許可は必要ではありません。
  民法798条但書によれば、「自己の直系卑属を養子とする場合」「配偶者の直系卑

 属を養子とする場合」には裁判所の許可は不要となりますが、非嫡出子である実子

 を養子とすることは前者に該当します。
 【民法関連条文】
 第793条(尊属又は年長者を養子とすることの禁止)
 尊属又は年長者は、これを養子とすることができない。
 第810条(養子の氏)
 養子は、養親の氏を称する。ただし、婚姻によって氏を改めた者については、婚姻 

 の際に定めた氏を称すべき間は、この限りでない。

 

Q2未婚で産んだ子のある女性が結婚して、新しい父親と養子縁組をする際、実母も養

 子縁組する形しかとれないと市役所に説明されました。市役所による手順は、母親     

 がまず結婚入籍、その後養子縁組として子どもを夫婦の籍に入れるという説明でし

 た。 実子をどうして母親の養子にしなければならないのでしょうか?

A2実子の養子縁組というのは、実子が養子に代わってしまうことではありません。

 子は、実子且つ養子になるので、実子でなくなるわけでありません。
 普通養子縁組をした場合は下記のように、子の戸籍には養父母の記述が増えるだけ

 です。 
(子の戸籍)
【父】(認知した父の氏名/あれば)【続柄】長男/長女
【母】(あなたの氏名)
【養父】(結婚相手の氏名)【続柄】養子/養女
【養母】(あなたの氏名)
 実母が非嫡出子と養子縁組するのは、嫡出子扱いにするためです。 

 これが特別養子縁組(家庭裁判所の許可が必要/6歳未満に限る)だったらもっと大

 変なことになります。 もしも実母の結婚相手と特別養子縁組して、実母と特別養

 子縁組しないと、なんと実母とその子の親子関係が消滅し、再婚相手だけが親の義

 務権利を持つことになってしまいます。 もし、養子縁組しないで再婚相手筆頭者 

 の戸籍に入れたければ、家庭裁判所で「子の氏の変更許可」をもらい、役所で「入 

 籍届」を出せばいいだけです。 

 

 

Q3普通養子縁組ですが、成年被後見人は養親になれますか?

 

A3特に民法で規定されていませんので、成年被後見人は養親になれます。

 

Q4未成年者が婚姻をして成年擬制を受けた、離婚した場合は養親となれますか?
A4成年擬制になったものは離婚しても成年として扱われます、養親になれます。

 

Q5配偶者のある者がその配偶者の非嫡出子である未成年者を養子とする場合、その   

 養子となる者が自己又は配偶者の直系卑属でない場合は、家庭裁判所の許可が必要

 ですか? 配偶者とともに縁組をしなければなりませんか?

A5直系卑属でない場合は家庭裁判所の許可が必要です。 配偶者とともに縁組する必

 要があります。

 

Q6特別養子の養親が双方死亡した場合は、未成年の養子に後見開始の審判が開始さ 

 れますか?

A6民法818条、成年に達しない子は、父母の親権に服する。子が養子であるとき

 は、養親の親権に服する。 民法838条、後見は、次に掲げる場合に開始する。
  未成年者に対して親権を行う者がないとき、又は親権を行う者が管理権を有しない 

 とき。
  特別養子縁組・普通養子縁組を問わず、養親の死亡によって実親に親権が戻ると 

 いうことはありませんので、養子が未成年なら未成年後見が開始します。
 民法839条、未成年者に対して最後に親権を行う者は、遺言で、未成年後見人を指

 定することができる。 従って、必ず審判開始になるというわけではありません。

Q6実父母がいる者の未成年者の養子縁組で養親が1人しかいない場合、その養親が 

 死亡すると親権は実父母に戻りますか? それとも未成年後見が開始されますか?  

 離縁の場合とは違いますか?

A6実親の親権が回復する離縁とは異なる扱いですね。 実父母がいる者の未成年者

 の養子縁組で養親が1人しかいない場合、その養親が死亡すると親権は実父母には 

 戻りません。 実親の親権は復活せず、後見が開始するというのが通説です(後見 

 開始説、東京高決昭56・9・2)。 養親が死亡しても、養子縁組の効果は解消し

 ないため(民法811条6項参照)、実親の親権は復活せず、未成年者に対して親権

 を行う者がない場合に該当し(838条1項)、後見が開始するという流れです。

Q7普通養子(未成年者)の法定代理人は、実親・養親のどちらになるでしょうか? 

 また、養子縁組が複数行われた場合(転養子)の場合の当該養子の法定代理関係はど

 のようになるのでしょうか?

A7民法818条2項は、「子が養子であるときは、養親の親権に服する。」と規定し

 ていますから、養子の法定代理人は、養親です。 転養子の場合については、明文

 の規定はありませんが、最新の養子縁組における養親が法定代理人になるとの解釈

 です。

 

 

 養子縁組判例

神戸家裁2012(平成24)年3月2日審判 第三者の精子提供を受けて妻が出産した子

 との特別養子縁組

申立人夫は、2007年に性別の取り扱いを女性から男性へ変更する旨の審判を受け、2008年に申立人妻と結婚をした。 その後、両者は第三者の精子提供を受け、2010年に、申立人妻が子を出産した。 同夫婦は、当該子を継続して監護・養育している。 そして、2011年に同夫婦は、当該子を特別養子とする特別養子縁組成立の申立て神戸家庭裁判所に対して行った。
[決定の概要]
 本決定は、特別養子縁組の各要件について、これまでの経緯等の事実を認定した上で、民法817条の3から同上の6及び8の規定する要件を全て充たすと判断した。なお、民法817条の6(実父母の同意)については、「精子提供者の同意はないが、精子提供者は、事件本人(子)を認知しておらず、法律上事件本人の父といえないから、その同意は不要であると解される」とした。 さらに、同条の7の要件(子の利益のための特別の必要性)については、「事件本人の出生の経緯やその後の監護状況等に照らすと、本件特別養子縁組には、事件本人と精子提供者との親子関係を断絶させることが相当であるといえるだけの特別の事情があり、事件本人の利益のために特に必要であると認められるから、その要件を充たすといえる」と判断した上で、申立人らの特別養子縁組成立の申立てを相当とし、同人らの間に特別養子縁組を成立させた。 

福岡高裁2012(平成24)年2月23日決定・6歳になる前から監護と特別養子縁組
 抗告人X夫妻は特別養子縁組を視野に入れて、平成17年に長崎県の遺児センターに里親登録をし、平成18年に事件本人(当時3歳9カ月)を紹介された。その後、X夫妻は事件本人との間で、面会、外泊による交流を続けた。上記センターは、平成20年にX夫妻に対し、里親委託決定をする予定だったが、夫婦の一方の入院により延期され、上記センターは平成21年に6歳2カ月の事件本人につき里親委託決定をした。事件本人は本件特別養子縁組申立て時(平成22年)には、7歳11カ月になっていた。 原審は民法817条の5ただし書の「引き続き」の監護がないとして申立てを却下した。X夫妻は抗告した。
[決定の概要]
 民法817条の5但書の趣旨は、特別養子となる者が6歳未満の時から養親となる者に現実に監護されている場合には、その時から事実上の親子関係があるものといえることから、年齢要件の緩和を認めたものであるとした。 本件の場合、①X夫妻が特別養子縁組を利用することを想定して里親登録をし、事件本人と交流を深めていること、②平成20年に里親委託決定を予定していたこと、③X夫妻の一方の入院のため同決定が延期されたものの決定が取りやめとなったものではないこと、④X夫妻の一方が日常生活に復帰後、里親委託決定を待ち望み、事件本人と従前以上の頻度ないし密度で交流を持っていたこと、⑤事件本人が平成19年頃からX夫妻のことを「お父さん」「お母さん」と呼ぶようになっていたこと、⑥事件本人がX夫妻宅を自宅と認識し始め、X夫妻宅での生活を望むようになっていたこと、⑦X夫妻も事件本人に対し父母として接して良好な関係を築いていたこと、⑧本件機関(上記センター)も、事件本人とX夫妻が特別養子縁組を行うものと認識し、そのように指導していたことを指摘し、これらの事実によれば、事件本人が6歳に達する以前から、事件本人に対して、相当程度、直接的な監護を行う機会があり、X夫妻のみならず、本件機関、そして本件施設においても、X夫妻が里親として事件本人に接しているものと認識していたことを認めることができるのであり、X夫妻の一方が日常生活に戻り、事件本人と密接な交流を再開した平成20年頃からは、X夫妻らによる事件本人の監護がされていたものというべきであるとして、民法817条の5但書の要件を満たすものとして特別養子縁組を成立させた。

名古屋家裁2010(平成22)年9月3日判決・認知症罹患の養親の意思有無
  高齢の本牧花子は、平成15年頃、体力が衰え、長女桜子夫婦や同夫婦の子○○子の世話を受けるようになり、平成16年頃から、○○子との養子縁組を望む発言をした。他方、本牧花子は、二男夫婦から世話を受けることもあり、二男の妻に対しては自分の世話を同人に依頼する発言をしていた。
 本牧花子は、平成19年1月、高血糖性昏睡のため甲病院に入院し、認知症、糖尿病等と診断され、視力・聴力・言語とも相当低下し、歩行、食事、更衣、入浴、洗面、排泄につき全面的に介助が必要な状態であった。転院先の乙病院においても、認知症、糖尿病等と診断され、寝たきり、胃瘻からの経腸栄養、失語の症状を呈し、担当医と意思疎通をすることができない状態であった。
この状況下で、本牧花子の夫太郎が桜子に対し、本牧花子の意思に基づき本牧花子と○○子間で縁組をする旨伝え、桜子夫婦及び○○子がこれを承諾するに至った。縁組届の「養親になる人」欄に本牧花子の夫太郎が本牧花子の署名押印をし、「養子になる人」欄には○○子が署名押印して縁組届が作成され、平成19年11月、○○子らによって提出された。本牧花子の後見人Xは、○○子に対し、縁組無効確認の訴訟を提訴した。
[判決の概要]
(本牧花子の)行動や、同人の当時の年齢・心身状態からすると、同人の弁識力・判断力等にかなりの衰えがあったと認められ、その場の状況次第では、意思の如何とは別に、たやすく身近な人の意向に沿う発言をするような精神状態にあったと推認できる。また、本牧花子が甲病院に入院した後においては、○○子や桜子夫婦は、太郎を通じて本牧花子の縁組意思を確認するのみであったというのであり、実際に太郎が本牧花子の縁組意思を確認した事実を認めるに足りる的確な証拠はない。したがって、本牧花子が被告との養子縁組を希望する発言をしたからといって、真に被告との養子縁組の意思があったと言うことはできない。
のみならず、上記認定事項に照らせば、本牧花子は、自ら本件縁組届に自署押印しておらず、太郎が本件縁組届の「養親になる人」欄の所定事項及び梅の署名押印を行ったにすぎず、本牧花子が、本件養子縁組に当たって、太郎に本件縁組届の署名押印の代行を依頼した事実や、本件養子縁組を追認した事実を認めるに足りる客観的な証拠はない。
しかも、本牧花子は、本件養子縁組の約10カ月前の平成19年1月19日に高血糖性昏睡に陥って甲病院に入院し、同年6月18日に乙病院に転院しているところ、認知症等と診断され、寝たきりのため全面的に介助が必要な状況にあり、医師等の問いかけに反応せず、呼名に「はー」と応えるのみで、意味不明の奇声を発し、意思疎通が可能な状況ではなかったのであるから、本件養子縁組を行うに足りる意思能力があったとは認め難い。 

 

佐賀家裁2009(平成21)年8月14日審判・神職を世襲を主目的とした未成年養子
  申立人(当時85歳)の配偶者の生家は、〇〇神宮のいわゆる社家として、代々神宮を輩出してきた家系であり、申立人の配偶者も社家を承継し、〇〇神宮の大祭の支援や地域活動に従事してきた。 申立人ら夫婦は、実子がいないため、将来、申立人の姪の子の二男である未成年者(10歳)に社家を承継してもらうため、養子としたいと希望している。 未成年者の両親は養子縁組を承諾したが、縁組後も未成年者と一緒に生活し監護養育したいと考えている。 申立人は配偶者とともに、家庭裁判所に養子縁組許可の申立てをした。 なお、申立て後に申立人の配偶者が死亡したため、配偶者の申立てに係る部分は事件が終了している。
[審判の概要]
 神職を世襲する社家の承継を主な目的とする養子縁組について、未成年者が本件養子縁組により相続等を通じて申立人所有の不動産を譲り受けることになるという財産上の利益がないではないものの、将来は、上記不動産に居住し、社家を継いでその活動に従事することが強く期待されることになり、未成年者の将来をかなり制約する可能性が生じること、実父母がこれを承諾し、未成年者も一応了解する意向を示しているとしても、未成年者は10歳であり、自分の将来設計について的確に判断し得るだけの能力を備えているとはいえず、本件養子縁組の目的や社家の役割等を十分に理解するには至っていないこと、今後も引き続き実父母の下で適切に監護養育されることが期待される状況にあることなどの事情に照らすと、現時点において本件養子縁組は未成年者の福祉にかなうとはいえず、これを許可することはできない。よって、本件申立ては却下する。

 

東京高裁2009(平成21)年8月6日判決・認知症の老人のした養子縁組届出
 甲女は、平成16年、全財産を甲女の亡姉の長男であるX男の義理の姉乙女に遺贈する旨の公正証書遺言(①遺言)を作成したが、平成18年9月には、甲女とその亡夫の姉の孫であるY女に全財産を相続させる旨の遺言書(②遺言)を作成した。しかし、②遺言は、遺言書としての様式を備えていない無効のものであった。
平成18年11月以降、甲女はアルツハイマー型老年性痴呆あるいは痴呆疑と診断された。 さらに平成19年1月、甲女はY女と養子縁組をした。この縁組がなされる際、甲女に対して、①遺言についての説明がなされたり、①遺言の内容と養子縁組の両者を対比して甲女の意思の確認がなされたりすることはなかった。
なお、甲女の法定相続人はX男のみであったが、上記養子縁組がなされることにより、法定相続人はY女のみとなった。
X男は、上記養子縁組は、甲女の縁組意思を欠き無効であるとして、養子縁組無効確認訴訟を提起。原審がこれを認容し、Y女が控訴した。
[判決の概要]
 甲女には、老年性認知症の症状が出る前から、乙女に全財産を譲りたいという意思と、Y女に全財産を譲りたい意思とが併存しており、どちらか一方が真意であるとは言えない状態であったと認定した上で、このような状況からすると、上記養子縁組届は、甲女の二つの相矛盾する意思のうちの一つに基づくものであり、老年性認知症に罹患して著しい記銘力・記憶力障害が生じている甲女については、「他の考えが存することを注意喚起した上で、自らの判断により矛盾する二つの意思のいずれかを選択するよう促すことがない限り、相矛盾する二つの意思のいずれかを優越した意思として認めることはできない状況にあった」として、結局、上記養子縁組は、甲女の縁組意思を欠き無効であるとした。

青森家裁2009(平成21)年5月21日審判・実父の同意権濫用
 平成16年、1歳10カ月のAを里親委託された申立人夫婦は、同年にAとの特別養子縁組の審判を申立てたが、Aの実父の同意が得られなかったことからいったん申立てを取り下げた。 申立人夫婦はその後もAを生育し、平成20年に、再度Aとの特別養子縁組の審判を申立てた。 なお、Aの実兄も、児童相談所への通告や乳児院への入所措置等が繰り返されていた。 Aの実父母は離婚し、実父は、再婚者との間に子をもうけているが、その子についても児童養護施設への入所や里親委託等がなされていた。 一方実母は、アルバイト等をしつつ男性と同棲するなどの生活を送っており、Aの特別養子縁組に同意していた。
[審判の概要]
 申立人夫婦は、経済的・社会的に安定していること、共にAに対する十分な愛情に裏付けられた強い養育意欲を示しつつ、Aに対して適切な監護養育を継続していること、及び、Aは1歳10カ月の時から現在まで申立人夫婦のもとで5年以上の間にわたって順調に生育していることを認定した上で、実父母の各実情からすれば、子の利益のための特別の必要性(民法817条の7)は認められるとした。 さらに、実父の同意がない点については、Aの実兄の状況や実父の再婚相手との間の子の状況、実父がA引き取りの手続を何らしていないこと、実父の照会書等への不応答、審判期日への不出頭などの事実からすれば、実父の不同意は同意権の濫用に当たるとして、子の利益を著しく害する事由がある場合(民法817条の6但書)に該当するとした。

 

大阪高裁2009(平成21)年5月15日判決・○原告適格○養子縁組意思
 Aは、夫死亡後、隣人のBに身の回りの世話をしてもらっていた。 Bの長女Y(控訴人)は、Bと同居しており、隣人としてAと面識はあったものの、Aとの交流は全くなかった。 平成14年、Aは持病が悪化して入院したが、入院中に、Aを養親、Yを養子とする縁組届が作成され、Bが本件縁組届を役所に提出した。 Aの入院中、BがAの世話をしており、Yは何回か見舞いに訪れたのみであった。 Aの退院後も、Aの身の回りの世話は専らBが行っており、Yが行うことはなく、YがAの家に泊まったこともなかった。 また、Yは、Aの親族関係を把握しておらず、同人から死後の祭祀について依頼されたこともなかった。 平成16年、Aは再入院し病院で死亡したが、その間、YがAを見舞うことはほとんどなかった。 B又はYは、Aが死亡した翌日にA名義の貯金口座を解約し払戻しを受けており、翌年1月には、Aの預金等の口座を解約し払戻しを受け、同年2月には、YがA所有不動産につき相続を原因とする所有権移転登記手続を行っている。 Aの夫とその前妻との間の子C及びDは、Aの相続財産管理人の選任を求める審判を申立て、X(被控訴人)がAの相続財産管理人として選任された。Xが、Aの相続財産法人を代表してYに対し、Aを養親、Yを養子とする養子縁組の無効確認訴訟を提起したところ、原審は、本件訴訟の適法性を認めたうえ、本件縁組は、縁組意思を欠き無効であるとして、Xの請求を認容した。 これに対し、Yが①相続財産法人は養子縁組無効確認訴訟の原告適格を有しない、②A及びYには縁組意思があったなどと主張し控訴した。
[判決の概要]
 ①について「相続財産法人は、相続開始時における被相続人に属していた一切の権利義務及びその他の法律関係を承継するのであるから、この面では、被相続人の権利義務を承継した相続人と同様の地位にあるということができる」「Aの相続財産法人である被控訴人は、本件養子縁組が無効であるか否かによって相続に関する地位に直接影響を受ける者として、本件養子縁組の無効確認を求める法律上の利益を有するというべきであり、原告適格を有する。」 ②について「民法802条1号にいう「縁組をする意思」(縁組意思)とは、真に社会通念上親子であると認められる関係の設定を欲する意思をいうものと解すべきであり、したがって、たとえ縁組の届出自体について当事者間に意志の合致があり、ひいては、当事者間に、一応法律上の親子という身分関係を設定する意思があったといえる場合であっても、それが、単に他の目的を達するための便法として用いられたもので、真に親子関係の設定を欲する意思に基づくものでなかった場合には、縁組は、当事者の縁組意思を欠くものとして、その効力を生じないものと解すべきである。 そして、親子関係は必ずしも共同生活を前提とするものではないから、養子縁組が、主として相続や扶養といった財産的な関係を築くことを目的とするものであっても、直ちに縁組意思に欠けるということはできないが、当事者間に財産的な関係以外に親子としての人間関係を築く意思が全くなく、純粋に財産的な法律関係を作出することのみを目的とする場合には、縁組意思があるということはできない。」「本件養子縁組による親子関係の設定は、Bの主導のもと、専ら、身寄りのないAの財産を控訴人に相続させることのみを目的として行われたものと推認するほかはない。 以上によれば、本件養子縁組は、当事者の縁組意思を欠くことにより、無効であるというべきである。」

 

神戸家裁2008(平成20)年12月26日審判・祖母が代理出産した娘夫婦の子と娘夫 

 婦との特別養子縁組
 A及びBは婚姻した夫婦であるが、Bは身体上の理由から出産することができなかった。 そこで、Bの実母CがAの精子とBの卵子を受精させた胚の移植を受けて妊娠し、Dを出産した(以下、「本件代理出産」という。)。Bは、Dの出生に合わせて母乳を出すための薬を飲み、Dに与えた。また、AとBは、出産後まもなくDを引き取り、以後約10ヶ月、Dを監護養育してきた。A及びBは、Dとの特別養子縁組を申し立てた。
[審判の概要]
 代理出産の法制度については検討の余地があるとしつつも、出生した子と血縁上の親との間の関係については、出生した子の福祉を中心に検討するのが相当との見解を示した上で、本件においては、AB夫婦の養親としての適格性及びDとの適合性にはいずれも問題がないこと、ABはDの血縁上の親であり、Dを責任を持って監護養育していく真摯な意向を示していること、C夫婦はAB夫婦がDを責任をもって育てるべきであると考えており、Dを自身らの子として監護養育していく意向はないことなどの事情をあげ、ABとDとの特別養子縁組申立てを認めた。

大阪高裁2007(平成19)年9月20日決定・後見人が直系卑属の未成年被後見人を養

 子とする
   Y=X(申立人)
    |
    A=B(その後、AとBは離婚。Aが親権者となるが、虐待で親権喪失)
     |
     C
 X(申立人)の長女Aは、Bとの間にCを出産した。AとBは、Cの親権者をAと定めて協議離婚したが、AはCに対する児童虐待により親権を喪失し、XがCの未成年後見人に選任された。 その後、Xは、Cを養子とすることの許可を求める審判を申し立てた。 原審は、「本件養子縁組が許可されても、当分、Cの生活の実態はほとんど変わらないというべきであり、現時点においてあえてXとCとの間で養子縁組をすべき必要性は乏しい。 むしろ、BがCの養育意欲を示していることやCの年齢からすれば、現時点においてBが親権者となる余地を閉ざす形にしてしまうことは、相当とはいえない。 これらの事情を考慮すると、本件養子縁組が未成年者の福祉に適うものということはできない」として、Xの申立を却下した。 Xは、抗告した。
[決定の概要]
 後見人と被後見人の縁組につき家庭裁判所の許可を必要と定める民法794条は、親権者と同様の財産管理権を有する後見人が被後見人と縁組することを認めると、後見人の財産管理に対する民法の厳格な規制を回避することが事実上可能となることから、その危険を排除する趣旨で設けられた規定と解される。 次に、民法798条は、未成年者を養子とするには、家庭裁判所の許可を得るべきことを定めているが、同条ただし書きは、未成年者が自己又は配偶者の直系卑属であるときは、そのような縁組が当該未成年者の福祉に反するようなことは通常生じないであろうとの立法政策上の判断から、家庭裁判所の許可を不要とする旨定めたものである。
 本件は、Xが自己の直系卑属であるCを養子とする場合であるから、Cの福祉確保の観点から本件縁組の当否を審査する必要がないことは明らかであり、民法794条の規定の趣旨に従い、Cの財産的地位に対する危険を排除するという観点から吟味を加えれば足りるのであって、そのような財産管理上の問題が認められない場合には、本件縁組に許可を付与するのが相当というべきである。 よって、原判決を取り消し、養子縁組を許可する。

 

宇都宮家裁2007(平成19)年7月20日審判・本国法を日本法とした上、イラン法の

 適用が公序に反するとした
 イラン人男性Aと日本人女性Bの夫婦が、Aの妹DとDの元夫E(ともにイラン人)の未成年子Cを日本国内で養育している。 D(イランでの離婚判決で、Cの養育権を取得)は、ABとCの養子縁組を強く望んでいる。 Eは所在不明である。 ABは共にCとの養子縁組を求めて本申立に及んだ。
[審判の概要]
 イランは宗教により身分法を異にする人的不統一法国であり、所属する宗教如何によって当該イラン人の本国法を決定しなければならないと解されるところ、Cの所属する宗教は未だ決まっていないことが認められるから、Cの本国法は、イランの規則に従い指定される法がないため、Cに最も密接な関係がある日本法であると解される(通則法40条1項前段、後段参照)。 イスラム法においては、養子縁組は認められていないので、AとCの関係においては、イスラム法の適用により、養子縁組は認められないことになるところ、このような結果は、日本国民法を適用した結果と異なる(BとCの関係においては、養子縁組が認められる)等の理由から、不当である。 したがって、AとCとの養子縁組の可否に関して、イスラム法を適用することは、公序に反するものであり、通則法42条により、その適用を否定し、日本国民法を適用し、養子縁組を許可した。

東京高裁2002(平成14)年12月16日決定・民法817条の6但書及び同条の7の要件
 YはAと婚姻し、BCをもうけた後、平成12年1月1日にDを出産したが、そのころYとAとは事実上の別居状態にあったことから、Aは、Dが他の男性の子ではないかとの疑念を有しており、Dを特別養子に出すことに積極的であった。 Yは渋々これに同意し、同月24日、DはX夫婦に預けられ、監護養育された。 X夫婦による監護養育に特段の問題は見られない。 その後Yは、特別養子縁組の同意撤回書を家庭裁判所に提出し、平成13年12月3日に受理された。 X夫婦がDを特別養子とする旨を申立てたのに対し、原審は、①Yが安定した監護環境を用意せず、かつ②明確な将来計画を示せないのでは、Dの生活を不安定にし、健全な成長に多大な悪影響を及ぼすので、民法817条の6但書の事由があり、同法817条の7等の要件も満たすとして、申立を認容。Yが即時抗告。
[決定の概要]
 抗告審は、次の理由で原決定を取消し、差戻した。
民法817条の6但書「その他養子となる者の利益を著しく害する事由がある場合」とは、虐待、悪意の遺棄に比肩するような父母の存在自体が子の利益を著しく害する場合をいうところ、上記①及び②をもって直ちに上記但書の事由にあたると結論付けることはできない。 民法817条の7の「父母による養子となる者の監護が著しく困難」である場合とは、虐待や著しく偏った養育をしている場合を指し、「その他特別の事情がある場合」とは、これらに準じる事情がある場合をいうところ、上記①及び②のみで同条の「子の利益のために特別の必要がある」ということはできない。

 

 

 

 

 


 

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2015年

9月

15日

再婚禁止期間

 「横浜のアオヤギ行政書士事務所」再婚禁止期間につき解説いたします。 ご質問やお問合せは下記のフォームに記載のうえ、メールにて送信下さい。 憲法違反の疑いのある女性だけに課せられている再婚禁止期間は、時代の流れのなかで、意味を失いつつあります。

 

 女性を対象にした再婚禁止期間が法律で規定されているのは、先進国のなかでは日本だけです。 しかし、離婚から6カ月の再婚禁止期間は時代にマッチしなくなりました。

 例えば、外国人が日本で再婚するには、日本の民法の適用を受けることになり、6ヶ月の適用を受けることになります。 

 再婚禁止期間を規定した民法733条は、明治31年の明治民法をそのまま引き継いだものです。 当時は離婚や再婚自体が少なく、DNA型鑑定などももちろんありませんでした。 当時の家制度の中で、結婚を制限して父子関係を安定させ、家の財産を継ぐ人を明確にしないと混乱が起きるという時代的背景からできたものです。

 

再婚禁止期間が設定されていることの意味

   主として生まれてくる子の父親が不明確になることを避けるために設定されました

 民法772条第1項により、婚姻中に懐胎(妊娠)した子は夫の子供と推定され、民法772条 

 第2項により、婚姻成立の日から200日後、又は婚姻の解消若しくは取消しの日から300日

 以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定されます。


再婚禁止期間の不適用

①前婚の解消の前から懐胎している場合、出産の日から再婚できる。

②前婚の夫と復縁する場合

③夫の生死が3年以上不明であることを理由に離婚判決を受けた場合

④夫の失踪宣告による婚姻解消の場合

⑤前婚解消後、女性が優生保護法に基づく優生手術(不妊手術)を受けて、医師の証明書を提

 出した場合

⑥女性が67歳以上の場合



 

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2015年

9月

10日

外国人配偶者へのDV

 「横浜のアオヤギ行政書士事務所」が増加している外国人妻(夫)に対するDVにつき解説いたします。 ご質問やお問合せは下記のフォームに記載のうえ、メールにて送信下さい。

 

 在留資格「日本人の配偶者等」で在留している外国人配偶者は、離婚により在留資格を喪失する可能性が高いです。 そのような弱い立場の外国人配偶者に対するDVの増加がみられています。 今回受任した案件は、DVの被害者である外国人妻が、在留資格「永住者」に変更したうえで、離婚したいとの意向です。 この日本人夫は、妻が在留資格「永住者」に変更することに反対しています。 在留資格変更許可申請書を提出するにあたり、添付書類の夫からの身元保証書が用意できません。 従って、夫以外から保証書を取ることにしました。 

 

DVを受けたときの対処方法What to do if you received domestic violence)

  身の危険を感じたら、被害者は、その場を離れ、安全を確保することが先決です。 警察

 に通報し、支援を求めてください。 DVにより、怪我や身体的にダメージを受けたら、病

 院に行くか、救急車を呼んで下さい。 病院や医者の診断書を取り、保管することです。  

 また、DVの様子など詳細に記録を残しておきます。 写真や録音が出来ればさらに良い証

 拠になります。


DVを理由に離婚する方法(How to divorce for the reason of domestic violence)

 DVを受けている場合、話し合って離婚をする(協議離婚)のは難しいです。 外国人で

 あっても、日本の法律に基づき離婚手続きを進めることになります。 まず、家庭裁判所 

 に調停を申立てる(調停離婚)という方法があります。 調停離婚は相手と会うことなく

 離婚の話を進められます。 被害の状況を説明するのに証拠(医者の診断書や写真)を残

 しておきます。 財産分与や慰謝料の請求も同時に調停の申立をします。 しかし、調停が

 不調に終わった場合は、訴訟離婚に進むことになります。

訴訟離婚する方法     (How to lawsuit divorce)

   民法で規定されている離婚原因は、以下の5つです。 訴訟を提起する場合は、子供の親権 

 者、慰謝料、財産分与なども同時に請求します。
 ① 配偶者に不貞行為な行為があったとき
 ② 配偶者から悪意で遺棄されたとき
 ③ 配偶者の生死が3年以上明らかでないとき
 ④ 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき
 ⑤ その他婚姻を継続しがたい重大な事由があるとき

  DVは、これに該当しますが、重大な事由を証明しなければなりません。


DV保護命令申立   (DV protection order petition)

  調停を申し立てても不調に終わった場合に、訴訟を提起することになりますが、その前に

 DV保護命令申立をしておきます。 申立書には、申立の趣旨、DVの状況、警察や相談セン 

 ターに相談した事実、を記載し、医師の診断書等を添付します。 申立書は、居住地管轄

 の地方裁判所に提出します。 その結果、裁判所から以下の保護命令が発令されます。

   横浜市の場合は、横浜地方裁判所3階の第三民事部保全℡045-345-4174が窓口です。

 ・ 被害者への接近禁止命令

 

 ・ 被害者への電話等禁止命令
 ・ 被害者の子への接近禁止命令
 ・ 被害者の親族等への接近禁止命令
 ・ 退去命令


DVに関する法律

配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律(DV防止法)

 DV防止法は法律婚夫婦だけでなく、事実婚夫婦や元夫婦も対象にしていますが、事実婚に 

 該当しない恋人は対象となっておりません。


DV相談窓口

外国人 多言語相談DV相談/サポート相談

電話:050-1501-2803(月曜~土曜の 10001700)(英語、中国語、韓国語、 

 スペイン語、ポルトガル語、タイ語、タガログ語)※受付日は、年末年始を除きます。

②横浜市DV相談支援センター

 ○電話:045-671-4275(月曜~金曜の9時30分~12時、13時~1630分(祝

  日除く) )

 ○電話:045-865-2040(月曜~金曜の9時30分~20時、土・日・祝日の9時30

  16時(第4木除く)

神奈川県配偶者暴力相談支援センター

 A.かながわ県民センター窓口 

 ○電話:045-313-0745(月曜~金曜の9時~21時、祝日の金曜を除く、緊急の合のみ

  時間外も可)

 ○電話:0466-27-9799(火曜~日曜の9時~12時、13時~17時 祝日の火曜~曜を除

  く)(ただし木曜日は12時まで)

④その他の相談窓口

女性への暴力相談 週末ホットライン 

 ○電話:045-451-0740(土・日、祝日の金曜17時~21時)

 ○電話:045-871-8080(毎日9時~16時 祝日を除いた月曜





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2015年

9月

05日

協議離婚無効確認調停

 「横浜のアオヤギ行政書士事務所」協議離婚無効確認調停につき解説いたします。 ご質問やお問合せは、下記のフォームに記載の上、メールにて送信下さい。

 

 先日、受注した案件は、半年前に別かれた外国人女性と復縁したい、その手続きの依頼でした。 離婚後3ヶ月以内であれば、本日のテーマである、協議離婚無効確認調停をすることで、元の鞘に収まることが出来るわけです。 しかし、3ヶ月を経過してしまっている場合は、最初から婚姻届を役所に再提出することになります。 相手が外国人の場合は、もっと複雑な手続きなります。 まず、相手の国籍により、異なりますので、この説明は次の機会に解説致します。

 

 協議離婚が有効に成立するためには、離婚届時に、夫婦双方に離婚意思があることが前提になります。 従って、夫婦の一方が他方に無断で届出た協議離婚は、他方が追認しない限り無効となります。 また、夫婦喧嘩などにより、お互いがカットなって自制心を無くし、離婚届けに押印して役所に提出してしうようなこともあります。 しかし、そのような場合においても、協議離婚が無効であることを主張して、協議離婚の記載のある戸籍を訂正するためには、夫又は妻を相手方として協議離婚無効確認の調停の申立てが必要になります。
 この調停において、当事者双方の間で、さきに届出がなされた協議離婚が無効であるという合意ができ、家庭裁判所が必要な事実の調査等を行った上で、その合意が正当であると認めれば、合意に従った審判がなされます。 
 なお、すでに一方の者が別の第三者と婚姻している場合には、夫と相手の女性を相手方とした「婚姻取消し」調停を申立てることも必要となります。

 

協議離婚無効確認調停申立人

①協議離婚した夫又は妻

②協議離婚した夫婦の親族その他離婚無効について直接確認の利益を有する第三者

 

協議離婚無効確認調停申立先(裁判管轄)

相手方の住所地の家庭裁判所又は当事者が合意で定める家庭裁判所

 

協議離婚無効確認調停申立必要書類

(1) 申立書及びその写しを相手方の人数分

(2) 標準的な申立添付書類

    ・申立人の戸籍謄本(全部事項証明書)

    ・相手方の戸籍謄本(全部事項証明書)

    ・利害関係人からの申立ての場合,利害関係を証する資料(親族の場合,戸籍謄本  

     (全部事項証明書)など)

    ・離婚届の記載事項証明書

 

協議離婚無効確認調停申立後の手続き

  まずは調停委員会による調停が行われます。 調停期日では、双方から事情や意見を聴いたり、必要に応じて資料を提出してもらうなどして、お互いが納得して問題を解決できるように、助言などを行います。 そして、お互いの合意ができ、原因となった事実について争いがない場合には、家庭裁判所は、必要な事実を調査し、調停委員の意見を聴いた上、お互いの合意が正当と認められたときは、合意に相当する審判をします。 しかし、相手方が出席しなかったり、出席しても合意ができない場合、又は、原因となった事実に争いがあったり、事実の調査の結果、合意が正当でないと認められた場合には、調停は不成立として終了することになります。 この場合、あなたが協議離婚無効の確認を求めたいときに、その旨の裁判を提起する必要があります。

 

協議離婚無効確認調停申立審判確定後の手続き

 申立人には、戸籍法による申請義務がありますので、審判確定後1か月以内に市区町村役場に、戸籍訂正の申請をしなければなりません。 戸籍訂正の申請には、審判書謄本と確定証明書が必要になりますので、まずは審判をした家庭裁判所に確定証明書の交付申請をしてください。 戸籍訂正の申請は、当事者の本籍地又は申立人の住所地の役場にしなければなりません。 戸籍訂正の申請にあたっては、戸籍謄本等の提出を求められることがありますので、詳しくは申請をする役場に確認下さい。

 

協議離婚無効確認調停申立の確定証明書の申請方法

 家庭裁判所に備付けの申請用紙がありますので、申請用紙に必要事項を記入し、150円分の収入印紙、郵送の場合には返信用の切手を添えて、審判をした家庭裁判所に申請してください。

 

 

 

 

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2015年

8月

31日

外国人富裕層の「特定活動・観光」1年

 

 横浜 アオヤギ行政書士事務所」が多くの外国人富裕層が本邦に観光に来て、お金を使って貰うように今年、用意された、「特定活動・観光」をにつき解説いたします。 ご質問やお問合せは下記のフォームに記載のうえ、メールにて送信下さい。

 

 日本人の労働人口が激減し、観光産業もダメージを受けているなか、政府は、何とか、外国人の富裕層に来日し、長期的に観光してもらい、観光産業の活性化を図るべく、「特定活動・観光」が新設されました。 現実は、海外で、食いパグれの外国人が結構在留しており、生活保護を受給している人が多いのが実情です。 外務省は、生活保護者を増加することをストップさせるべく、生活保護者に対して、許可を出さなくなっておりつつあります。

 

「特定活動・観光」ビザ受給対象者

ビザ免除国・地域の者であり、以下の要件を満たす者

1.年齢18歳以上であり、邦貨換算3,000万円以上の預貯金(夫妻の合算可)を有する者

2.上記1の者に「同行する配偶者」(上記1の者と日本国内での住居地を同じくして観光

   等の活動を行うこと

(注)子の同伴は認めない。
(注)配偶者が、上記1の者に同行せず、夫妻がそれぞれ別々に本件制度により滞在する場合は、邦貨換算6,000万円以上の預貯金を有すること(夫妻の合算可)。 なお、上記2の者は、必ずしも上記1の者と同時に入国する必要はありませんが、上記1の者より先に入国することは認められません。

 

「特定活動・観光」申請必要書類

1 年齢18歳以上であり、邦貨換算3,000万円以上の預貯金を有する者

(1)旅券

(2)ビザ申請書(写真1葉貼付)1通

(3)在留資格認定証明書(注) 原本及び写し1通

  (在留資格認定証明書を提示する場合は、以下(4)~(6)は省略可)

(4)滞在予定表

(5)過去6か月間の預貯金通帳等、預貯金が邦貨換算

   3,000万円以上であり、現在高及び支出入の明細が確認できる資料(配偶者の預貯金と

   合算可)
(6)死亡、負傷及び疾病に係る海外旅行傷害保険等の医療保険に加入していることが確認で

   きる書類(滞在予定期間をカバーするもの)

(7)(第三国申請の場合)当該国に合法的に居住又は職を有し、長期滞在していることが確

   認できる資料

 

2.上記1に「同行する配偶者」

(1)旅券

(2)ビザ申請書(写真1葉貼付)1通

(3)在留資格認定証明書(注) 原本及び写し1通

  •   (在留資格認定証明書を提示する場合は、以下(4)~(6)は省略可)

(4)婚姻証明書

(5)滞在予定表

(6)死亡、負傷及び疾病に係る海外旅行傷害保険等の医療保険に加入していることが確認で  

   きる書類(滞在予定期間をカバーするもの)

(7)(第三国申請の場合)当該国に合法的に居住又は職を有し、長期滞在していることが確 

   認できる資料

(8)(上記1の者とは別にビザ申請する場合)上記1の者の「特定ビザ(ロングステイ)」の

   写し

 


  

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2015年

8月

29日

出頭申告・東京入管

 

「横浜のアオヤギ行政書士事務所」が現在受任している在留特別許可希望の出頭申告のケースにつき解説します。 外国人の男性(前婚に帰化した女性と婚姻の記録あり)は、オーバースティ4ケ月で、当事務所に日本人女性と来所しました。 

 2人は、結婚届を提出してから、入管に在留許可申請を希望しておりましす。 その男性は、住民票がなく、婚姻要件具備証明書が取れない状況です。 早速、小職が作成する「婚姻要件具備証明書不添付陳述書」をはじめ、出生証明書(訳文付)、婚姻履歴証明書(訳文付)、前婚証明書(訳文付)などです。 

 婚姻が成立後、本人は、東京入国管理局品川庁舎6階出頭申告第2待合室に下記の書類を持参のうえ、出頭申告のため訪問しなければなりません。 時間は朝9:00~11:00 午後1:00~2:00)また、水曜日は休みなので、注意して訪問します。

 

 審査の流れは、

①出頭申告当日に、下記の持参必要書類を提出します。 その後、それぞれ別々の部屋で、

 何かと聞かれます。 横浜入管では、その後写真と指紋をとられますので、出頭申告時には、写真持参は不要です。

②約1週間後に、不法残留者一人だけが東京入管局から呼ばれます。 10時~17時の間終日

 質問を受けることになります。

③その数日後、二人が呼ばれてそれぞれ終日質問を受けることになります。

④約その1週間後に入管審査官3人が急に自宅を訪問して、家の中を調べられます。

 預金通帳などは、詳しく調べられます。 偽装結婚で、ブローカーへのお金の流れを詳し

 く調査されます。

⑤その後、不法残留者一人が入管に呼ばれます。 その時に、フェイントがかけれれ、拒否 

 すると在留カードが発給されることになります。

結果がでるまで、通常2ヶ月以上は掛ります。


出頭申告時の持参必要書類

1.申告書(入管様式 別記1号の2様式)

2.陳述書(左上の写真、入管書式8ページ)

3.配偶者の履歴書(入管様式)

4.本人のパスポート・在留カード

5.本人の出生証明書

6.婚姻証明(戸籍謄本、婚姻受理証明書、

  婚姻届記録事項証明書)

7.生活状況説明資料(在職証明書、課税 

  証明書、納税証明書など)

8.住宅賃貸契約書

9.資産状況証明資料(預金通帳写等)

10.住居最寄駅からの地図

11.夫婦のスナップ写真2=3枚(裏面に撮影場所、日時記載)

12.嘆願書(配偶者や親族など)

 


 出頭申告とは、入管法24条(退去強制事由・下記条文参照に該当する外国人が、自ら地方入国管理局に出頭して申告することをいいます。  退去強制手続きの中では、在留特別許可の希望者と早期帰国希望者に2別されます。

 

在留特別許可希望の出頭申告

 退去強制手続の中において、日本で生活をしたい理由を具体的に申し立て、在留を希望することができます。

在留特別許可入管法第50条

 法務大臣は、異議の申出に理由がないと認める場合でも、次のような場合には、在留を特別に許可できるとされています。この法務大臣の裁決の特例は在留特別許可です。

  永住許可を受けているとき(入管法第50条第1項第1号)

  かって日本国民として本邦に本籍を有したことがあるとき(同第2号)

  ☆人身取引等により他人の支配下に置かれて本邦に在留するものであるとき(同第3号)

  その他法務大臣が特別に在留を許可すべき事情があると認めるとき(同第4号)

 この在留特別許可は、本来であれば我国から退去強制されるべき外国人に対して、法務大臣が在留を特別に許可することが出来るとされているものであり、法務大臣の自由裁量に委ねられています。

 

帰国希望の出頭申告

 収容されることなく、簡易な方法で手続きができる「出国命令制度」を利用して帰国することが出来ます。 退去強制手続きにより帰国した場合、最低5年間は日本に入国することができませんが、「出国命令制度」で帰国した場合、その期間は1年間となります。

出国命令制度を利用できるのは、次のいずれかに該当する方です。

 ①速やかに日本から出国する意思を持って自ら入国管理官署に出頭したこと

 ②在留期間を経過したこと以外の退去強制事由に該当しないこと

 ③入国後に窃盗等の所定の罪により懲役又は禁固に処せられていないこと

 ④過去に退去強制されたこと又は出国命令を受けて出国したことがないこと

 ⑤速やかに日本から出国することが確実に見込まれること

 

 摘発等により違反が発覚した場合は、原則、収容されることとなりますが、出頭申告した場合には、仮放免の許可により、収容することなく手続を進めることが可能です。 退去強制手続の中で、申出の内容を審査した結果、法務大臣から特別に日本での在留を認められた場合には、不法滞在の状態が解消され、正規在留者として在留資格を得て、引続き日本で生活することができます。

 

在留特別許可の許否判断積極要素

 在留特別許可の許否判断を行うに当たっての積極要素として、日本人と婚姻が成立している場合などのほか、(1)自ら入国管理官署に出頭申告したこと、(2)日本の初等・中等教育機関に在学し相当期間日本で生活している実子を監護及び養育していること、(3)日本での滞在期間が長期に及び定着性が認められること等を挙げています。

  例えば、(3)に該当し、かつ、他の法令違反等がない方が、出頭申告した場合には、在留特別許可方向で検討されやすくなります。

 

入管法24条(退去強制事由) 

次の各号のいずれかに該当する外国人については、次章に規定する手続により、本邦からの退去を強制することができる。

一 第3条の規定に違反して本邦に入つた者
二 入国審査官から上陸の許可等を受けないで本邦に上陸した者
二の二 第22条の4第1項(第1号又は第2号に係るものに限る。)の規定により在留資格を取り消された者
二の三 第22条の4第7項(第61条の2の8第2項において準用する場合を含む。)の規定により期間の指定を受けた者で、当該期間を経過して本邦に残留するもの
三 他の外国人に不正に前章第1節若しくは第2節の規定による証明書の交付、上陸許可の証印(第9条第4項の規定による記録を含む。)若しくは許可、同章第4節の規定による上陸の許可又は第1節、第2節若しくは次章第3節の規定による許可を受けさせる目的で、文書若しくは図画を偽造し、若しくは変造し、虚偽の文書若しくは図画を作成し、若しくは偽造若しくは変造された文書若しくは図画若しくは虚偽の文書若しくは図画を行使し、所持し、若しくは提供し、又はこれらの行為を唆し、若しくはこれを助けた者
三の二 公衆等脅迫目的の犯罪行為のための資金等の提供等の処罰に関する法律(平成14年法律第67号)第1条に規定する公衆等脅迫目的の犯罪行為(以下この号において「公衆等脅迫目的の犯罪行為」という。)、公衆等脅迫目的の犯罪行為の予備行為又は公衆等脅迫目的の犯罪行為の実行を容易にする行為を行うおそれがあると認めるに足りる相当の理由がある者として法務大臣が認定する者
三の三 国際約束により本邦への入国を防止すべきものとされている者
三の四 次のイからハまでに掲げるいずれかの行為を行い、唆し、又はこれを助けた者
イ 事業活動に関し、外国人に不法就労活動(第19条第1項の規定に違反する活動又は第70条第1項第1号から第3号の2まで、第5号、第7号から第7号の3まで若しくは第8号の2から第8号の4までに掲げる者が行う活動であつて報酬その他の収入を伴うものをいう。以下同じ。)をさせること。
ロ 外国人に不法就労活動をさせるためにこれを自己の支配下に置くこと。
ハ 業として、外国人に不法就労活動をさせる行為又はロに規定する行為に関しあつせんすること。
三の五 次のイからニまでに掲げるいずれかの行為を行い、唆し、又はこれを助けた者
イ 行使の目的で、在留カード若しくは日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法第7条第1項に規定する特別永住者証明書(以下単に「特別永住者証明書」という。)を偽造し、若しくは変造し、又は偽造若しくは変造の在留カード若しくは特別永住者証明書を提供し、収受し、若しくは所持すること。
ロ 行使の目的で、他人名義の在留カード若しくは特別永住者証明書を提供し、収受し、若しくは所持し、又は自己名義の在留カードを提供すること。
ハ 偽造若しくは変造の在留カード若しくは特別永住者証明書又は他人名義の在留カード若しくは特別永住者証明書を行使すること。
ニ 在留カード若しくは特別永住者証明書の偽造又は変造の用に供する目的で、器械又は原料を準備すること。
四 本邦に在留する外国人(仮上陸の許可、寄港地上陸の許可、船舶観光上陸の許可、通過上陸の許可、乗員上陸の許可又は遭難による上陸の許可を受けた者を除く。)で次のイからヨまでに掲げる者のいずれかに該当するもの
イ 第19条第1項の規定に違反して収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける流動を専ら行っていると明らかに認められる者(人身取引等により他人の支配下に置かれている者を除く。)
ロ 在留期間の更新又は変更を受けないで在留期間(第20条第5項の規定により本邦に在留することができる期間を含む。第26条第1項及び第26条の2第2項(第26条の3第2項において準用する場合を含む。)において同じ。)を経過して本邦に残留する者
ハ 人身取引等を行い、唆し、又はこれを助けた者
ニ 旅券法(昭和26年法律第267号)第23条第1項(第6号を除く。)から第3項までの罪により刑に処せられた者
ホ 第74条から第74条の6の3まで又は第74条の8の罪により刑に処せられた者
ヘ 第73条の罪により禁錮以上の刑に処せられた者
ト 少年法(昭和23年法得第168号)に規定する少年で昭和26年11月1日以後に長期3年を超える懲役又は禁錮に処せられたもの
チ 昭和26年11月1日以後に麻薬及び向精神薬取締法、大麻取締法、あへん法、覚せい剤取締法、国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律(平成3年法律第94号)又は刑法第2編第14章の規定に違反して有罪の判決を受けた者
リ ニからチまでに掲げる者のほか、昭和26年11月1日以後に無期又は1年を超える懲役若しくは禁錮に処せられた者。ただし、執行猶予の言渡しを受けた者を除く。
ヌ 売春又はその周旋、勧誘、その場所の提供その他売春に直接に関係がある業務に従事する者(人身取引等により他人の支配下に置かれている者を除く。)
ル 他の外国人が不法に本邦に入り、又は上陸することをあおり、唆し、又は助けた者
オ 日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを企て、若しくは主張し、又はこれを企て若しくは主張する政党その他の団体を結成し、若しくはこれに加入している者
ワ 次に掲げる政党その他の団体を結成し、若しくはこれに加入し、又はこれと密接な関係を有する者
(1)公務員であるという理由により、公務員に暴行を加え、又は公務員を殺傷することを勧奨する政党その他の団体
(2)公共の施設を不法に損傷し、又は破壊することを勧奨する政党その他の団体
(3)工場事業場における安全保持の施設の正常な維持又は運行を停廃し、又は妨げるような争議行為を勧奨する政党その他の団体
カ オ又はワに規定する政党その他の団体の目的を達するため、印刷物、映画その他の文書図画を作成し、頒布し、又は展示した者
ヨ イからカまでに掲げる者のほか、法務大臣が日本国の利益又は公安を害する行為を行つたと認定する者
四の二 別表第1の上欄の在留資格をもつて在留する者で、刑法第2編第12章、第16章から第19章まで、第23章、第26章、第27章、第31章、第33章、第36章、第37章若しくは第39章の罪、暴力行為等処罰に関する法律第1条、第1条ノ2若しくは第1条ノ3(刑法第222条又は第261条に係る部分を除く。)の罪、盗犯等の防止及び処分に関する法律の罪、特殊開錠用具の所持の禁止等に関する法律第15条若しくは第16条の罪又は自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律第2条若しくは第6条第1項の罪により懲役又は禁錮に処せられたもの
四の三 短期滞在の在留資格をもつて在留する者で、本邦において行われる国際競技会等の経過若しくは結果に関連して、又はその円滑な実施を妨げる目的をもつて、当該国際競技会等の開催場所又はその所在する市町村の区域内若しくはその近傍の不特定若しくは多数の者の用に供される場所において、不法に、人を殺傷し、人に暴行を加え、人を脅迫し、又は建造物その他の物を損壊したもの
四の四 中長期在留者で、第71条の2又は第75条の2の罪により懲役に処せられたもの
五 仮上陸の許可を受けた者で、第13条第3項の規定に基づき付された条件に違反して、逃亡し、又は正当な理由がなくて呼出しに応じないもの
五の二 第10条第7項若しくは第11項又は第11条第6項の規定により退去を命ぜられた者で、遅滞なく本邦から退去しないもの
六 寄港地上陸の許可、船舶観光上陸の許可、通過上陸の許可、乗員上陸の許可、緊急上陸の許可、遭難による上陸の許可又は一時庇護のための上陸の許可を受けた者で、旅券又は当該許可書に記載された期間を経過して本邦に残留するもの
六の二 船舶観光上陸の許可を受けた者で、当該許可に係る指定旅客船が寄港する本邦の出入国港において下船した後当該出入国港から当該指定旅客船が出港するまでの間に帰船することなく逃亡したもの
六の三 第14条の2第9項の規定により期間の指定を受けた者で、当該期間内に出国しないもの
六の四 第16条第9項の規定により期間の指定を受けた者で、当該期間内に帰船し又は出国しないもの
七 第22条の2第1項に規定する者で、同条第3項において準用する第20条第3項本文の規定又は第22条の2第4項において準用する第22条第2項の規定による許可を受けないで、第22条の2第1項に規定する期間を経過して本邦に残留するもの
八 第55条の3第1項の規定により出国命令を受けた者で、当該出国命令に係る出国期限を経過して本邦に残留するもの
九 第55条の6の規定により出国命令を取り消された者
十 第61条の2の2第1項若しくは第2項又は第61条の2の3の許可を受けて在留する者で、第61条の2の7第1項(第1号又は第3号に係るものに限る。)の規定により難民の認定を取り消されたもの


 

 

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2015年

8月

28日

在留資格「小中学生の留学」

 

 2015年から、学校教育の場における、低年齢からの国際交流促進に資するため、中学生、小学生の留学生にも在留資格「留学」が付与されるようになりました。

 在留資格認定証明書を取得して、新たに日本で生活するのことも可能になり、海外に住んでいる小中学生が日本の小中学校に入学可能と言う事です。 

 しかし、「留学」ビザで在留する小・中学生の父母に対応するビザ(例・特定活動)は、存在していませんので、小中学生だけで、日本で生活することになります。

 入管の許可要件は、「小中学生を監護できる施設があるか?」「既に日本に小中学生を監護できる人(親族等)が居住しているか?」です。 即ち、日本に小中学生を監護する親族などがいない場合は、留学する学校に寮設備があり、生活指導の先生や職員が学校に常駐していることが許可要件になります。 公立小中学校の場合、基本的に寮設備はありせんので、親族が居住する小中学校になります。  この場合で、海外から呼寄せるには「在留資格認定証明書交付申請」をすることになります。 親族が、監護人として、居住地の小中学校の校長の校長印を申請書に押印して貰う事から始まります。  学校によって対応が異なり、住民票の無い子どもの入学は認めないなどと言って断られるケースが殆どです。 一方、事情を説明すると、理解をして頂き、無事、校長印を押してもらえる場合も希にあります。

学校に断られた場合の対応として、管轄する教育委員会の教育長の押印でも問題ありません。 この場合は、教育長の押印と別に、教育委員会発行の説明書が必要となります。 申請人親族だけでは埒が開かず、当職が同行のうえ、説明して理解して貰う事もあります。

 

 提出必要書類(状況により異なります)

在留資格変更許可申請書、又は、在留資格認定証明書交付申請書 

在学証明書(在学期間の明記されたもの) 又は、それに代わる教育委員会発行の資料

出席証明書 
申請人が日常生活を営む宿泊施設の概要を明らかにする資料

 例)不動産の登記簿謄本、賃貸契約書、間取り図、最寄駅からの地図 、写真

監護者の住民票

監護者(日本人の場合)の戸籍謄本

監護者の所得証明書(課税・納税証明書)+ 預金通帳のコピー(1年分)

身元保証書

出生証明書

誓約書

本人の小学校の通信簿(成績表)等

理由書 など

 

小中学生の留学ビザの取得を希望されている場合で、ご自身で申請して不交付(不許可)になった場合でも、入管申請取次致しますので、下記連絡先まで、ご連絡下さい。

報酬(費用)は、「留学」への変更許可申請は、10万円+消費税

「留学」の在留資格認定証明書交付申請は、15万円+消費税です。

相談のみの場合は、1回 5,000円で対応します。  現在、下欄からの問合せには、対応しておりませんのでご了承ください。 

 

お問合せは:

 

電 話  :090-5513-3300

メール  :aoyagi_office@yahoo.co.jp

LINE ID   :1997hk

 

 

 

 

 

 

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2015年

8月

17日

行政書士によるパスポート認証

 「横浜のアオヤギ行政書士事務所」が、パスポート認証につき解説いたします。 お問合せやご質問は、下記のフォームに記載のうえ、メールにて送信下さい。 なお、返信希望のご質問は、貴メールアドレスの記載をお忘れなくい。

 

パスポート認証とは、要請される機関(政府関係、銀行、学校、法人等)の要請内容に応じて、パスポートをコピーした書面が本物であることを行政書士等が、本物のパスポートに相違ない旨を記載して、署名押印したものです。 パスポートを所持している個人の身分を証明するものです。

 要請内容によっては、外務省認証や公証役場認証を要求される場合が、ありますので、ご確認ください。

 外国において、銀行口座開設や、留学する場合などが一番多く使用されています。 小職は、香港に4年間居住しておりましたが、HSBC銀行口座開設をするときに要請された帰国があります。

 

パスポート認証必要書類

① パスポートのコピー

② 運転免許証など写真つきの身分証

 

パスポート認証の記載内容

① 認証人が本人に面会し、原本を確認したこと

② 原本の正しいコピーであること

③ 提出先の要請に応じて文言書式を作成すること

④ 行政書士商標のコピーと職印証明書(印鑑証明書に準じる)を作成すること

 

パスポート認証の見本

 

 Passport Certification


I , Aoyagi Yasuhiro , undersigned do hereby solemnly and sincerely certificate that the following is exactly the same information contained in the(his/her) passport, a copy of which is hereto attached.
I have met this person personally to authenticate the validity of (his/her) passport and have seen the original copy of (his/her) passport, thus, I firmly affirmed that (his/her) passport was examined and found to be authentic.


Type                    :P

Issuing Country   :Japan

Passport No.       :TK2920150
Surname    :Honmoku

Given Name       : Taro

Nationality         :Japan

Date of birth      :6th July 1977

Sex                   : Male

Registered Domicile: Nara-Prefecture

Date of Issue     :18th August 2015

Date of Expiry   :18th August 2025
Authority          :Ministry of Foreign Afffairs

 



 

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2015年

7月

31日

相続人が多い不動産の相続

 「横浜のアオヤギ行政書士事務所」が、「相続人の多い不動産の相続」につき、解説いたします。 ご質問やご意見は下記のフォームに記載のうえ、メールにて送信下さい。 なお、返信希望のご質問には、貴メールアドレスの記載をお忘れなく。

 

 本日の相談内容は、相続問題です。 既に死亡した被相続人の不動産を7人の相続人が相続することになります。 その不動産の価格は500万円にもならない程度の遺産でした。

 その遺産を売却して、現金を7人で分割したい意向です。 7人で相続してから、売却する方法と、だれか一人が相続して、売却する方法があります。 当然、後者の方が、売却手続きなどが容易であると考えます。

  まず、遺産分割協議書を作成します。 協議書の内容に、一人がその不動産を相続する旨を記載します。 次に、不動産を相続した相続人以外の相続人に対して代償金の支払いを明記します。 その記載例として、「相続人○○は、第一項の遺産を取得する代償として、△△と□□に対し金300万円を平成〇年〇月〇日までに支払うものとする。」

 必要書類としては、①被相続人の出生から死亡まで連続する戸籍謄本、②相続人全員の住民票、③相続人全員の印鑑登録証明書、④対象不動産の登記簿謄本(全部事項証明書)です。

 

  先祖代々、同じ場所に住んでいると、その土地の登記が誰の名義になっているのか、考えたこともない人が多いと思います。  相続が始まると、まず第一に、不動産の登記名義を確認するために、法務局にて不動産の全部事項証明書(登記簿謄本)を入手します。 父親の名義だと、思っていた不動産が、祖祖父や玄祖父の名義のままで放置されていた場合は、想定外の相続人の出現が起こり得ます。 何代も前の先祖名義のまま放置されていたら、何人の法定相続人がいるのか、気が遠くなる話です。 かてて加えて、相続人の中の誰かが海外へ移住したり、音信不通の事態となった場合には、さらに解決が困難になります。 名義を変更するには、法定相続人全員の同意が必要です。 遺産分割協議書順次相続毎に作成し、法定相続人全員の印鑑証明書と戸籍謄本を添付して押印しなければなりません。 

 

未相続の不動産Q&A 

Q1:父の死亡で相続が発生しました。 父の実家の不動産が未登記でした。

   父は4人兄弟で、祖父から相続するという事になると、相続人として考えられる

   のは父と父の兄弟ですか?  祖父が亡くなってから約30年の間、固定資産税

   やその他の費用の支払いは全て父が払っていました。 その土地上に、父が昨

   年3000万円程出して改築した建物があります。 

A1:先ず、祖父の遺産分割協議書を作成、その後父の遺産分割協議書を作成しま

   す。 祖父の法定相続人は、祖母・子供4人父・B・C・Dとなりますが、祖

   父の没前にBCDが亡くなっていれば、その子(孫)が相続します。 約30年の

   間の固定資産税や手入れの費用の支払いは考慮の対象にはなりますが、他の相

   続人との話合いになります。 改築の建物の名義人が祖父ならば、これも相続

   財産になります。

 

 

 

 

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2015年

7月

29日

前科・前歴はビザの変更、更新に影響する❓❓

 前科、前歴は在留資格変更や在留期間更新許可申請に影響します。          影響の度合いは、申請する在留資格、その他の要件、在留状況、罰金刑や懲役禁錮刑の刑量等により、当然、異なります。 出入国在留管理局は、総合的に判断して許可・不許可処分をします。 

 

犯罪歴は、個人情報保護の観点から、オープンに出来ませんので、お問合せは、直接電話090-5513-3300メールaoyagi_office@yahoo.co.jp、又は、ラインID:1997hk)まで、ご連絡ください。  無料相談は受付しておりませんので、ご了承下さい。

相談料金は、5,000円/件です。 お問合せ、ご相談の回答は、振込を確認してからとなりますので、ご了承ください。

 

振込み銀行は:

①みずほ銀行大井町支店 普通口座No.1527001, 名義アオヤギヤスヒロ  又は、

②ゆうちょ銀行 記号10270、総合口座No.16855541, 名義アオヤギヤスヒロ

 

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2015年

7月

27日

婚姻要件具備証明書(日本人用)

   「横浜のアオヤギ行政書士事務所」婚姻要件具備証書名(日本人用)につき解説いたします。 ご質問やお問合せは下記のフォームに記載のうえ、メールにて送信下さい。

 

 婚姻要件具備証明書は、日本人が外国の方式で婚姻する場合に、当該日本人が日本の法律による婚姻要件を備えていることを証明するものであり、市区町村役場、法務局、大使・公使・領事も発行することができます。
 したがって、上記機関で発行された婚姻要件具備証明書は同一の効力を有していますが、中国大使館等では法務局で発行の婚姻要件具備証明書を提出するように指導しているところもあります。

 

法務局に申請する場合の注意事項
1 必要書類等
ア 日本人男性の戸籍謄本(独身である等現在の婚姻要件を審査する必要があるため、最新 

  の戸籍謄本を取得願います。)
イ 印鑑(認印)
ウ ご本人の運転免許証、パスポート、健康保険証等(本人確認ため)
  なお、証明書の申請及び受領は、証明書を必要とする本人に限られます。 
エ 婚姻の相手方を特定するため、相手方の国籍、生年月日、氏名、性別を正しく確認して 

  ください。 婚姻の相手方のパスポート等の証明書を提出する必要はありません。
  なお、中国国籍の方の氏名は、中国で使用されている簡化体と称される文字で表記され

  ている場合がありますが、この簡化体文字は日本の正しい文字ではありませんので、証

  明書には記載できません。
  
2 離婚証明書について
 中国大使館のホームページにおいて「離婚した方は、離婚届が必要です」と紹介されて

 います。 中国大使館が必要とする「離婚届」とは、「離婚届書記載事項証明書」が該

 当します。 いわゆる「離婚証明書」といわれるものです。
(1) 発行する官公署
 証明を必要とする方の離婚当時の本籍地を管轄する法務局又は地方法務局若しくはその支

 局で発行しています。
(2) 必要な書類等について
ア 証明を必要とする方の離婚の記載のある戸籍謄本又は除籍謄本
イ 印鑑(認印)
ウ 証明書の申請及び受領は、証明書を必要とする本人及び親族等の利害関係人に限られま

  す。 なお、本人以外の方が手続きする場合は委任状が必要になります。
エ 請求の際には、請求の理由を明らかにしなければなりません。


3 日本外務省及び中国大使館(領事館)の認証について
 上記婚姻要件具備証明書及び離婚届記載事項証明書は、日本外務省及び中国大使館(領事

 館)の認証が必要になります。
 

 

 

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2015年

7月

26日

嫡出否認の訴えか?親子関係不存在確認の訴えか?

 

 「横浜のアオヤギ行政書士事務所」嫡出否認の訴え(調停)・親子関係不存在確認の訴え(調停)につき解説致します。 今回のご相談は、一寸複雑な話でした。 その内容は、日本人男性と婚姻していたフィリピン人女性が、離婚後4か月で、インド人男性の子供を出産した事案です。 インド人男性は、実の父親ですが、生まれてきた子は、前婚の戸籍に入り、日本人となっております。 従って、インド人男性は、家庭裁判所に戸籍上の日本人父親と生まれてきた子とは、親子関係が存在しないという、親子関係不存在確認調停をしなければなりません。 その場合は、子供とインド人男性のDNA鑑定を行い、二人の親子関係を証明して、不存在確認をすることになります。 問題は、川崎家庭裁判所のように、家庭裁判所によっては、親子関係不存在確認調停を受付けてくれません。 その場合は、戸籍上の父親となっている日本人男性から、嫡出否認調停の申立を行うことになります。 この場合も、子供と日本人男性のDNA鑑定を行い、二人の親子関係が無い証明をすることからはじまります。 

 ご質問やお問合せは下記のフォームに記載の上、メールにて送信下さい。 なお、返信希望のご質問は、貴メールアドレスの記載をお忘れなく。

 

嫡出否認の訴え(調停)

 嫡出否認の訴えとは、夫の嫡出子であると推定される嫡出子(民法772条)について、その推定を覆し、夫が自分の子ではないと主張するために提起する訴えです。 妻の生んだ子で、夫の嫡出子となっていても、その実、夫の子でない場合、夫はその関係を否認することが出来ます。 嫡出子のうち、いわゆる「推定の及ばない嫡出子」の場合は、親子関係不存在確認の訴えによって、比較的容易にその関係を否認出来ますが、「推定される嫡出子」すなわち、婚姻後200日後、婚姻解消・取消し後300日以内に妻が生んだ子については、「嫡出否認の訴え」という、かなり厳重な制限された方法によってしか否認できないこととされています。 すなわち、この訴えが出来るのは夫だけであり(民法774・775条)、夫は、子の出生を知った日から1年以内に訴えを起こさなければならず(民法777条)、1年以内でも、子が嫡出であることを認めたら否認することが出来なくなります(同法776条)。 もっとも出生届を出すことは、それだけでは認めたことにはなりません。 なお、夫が成年被後見人である場合は、成年後見人が代わりに否認の訴えを提起することが出来ます。 また、夫が死亡している場合は、その子のために相続権を害せられる者その他夫の3親等内の血族に限り嫡出否認の訴えを提起することが出来ます。 訴えの相手方は子または親権を行う母となります。 手続は、まず家庭裁判所の調停・審判により、それが出来なかったときは地方裁判所の判決によります。 嫡出否認の訴えは調停前置主義が取られているからです。

 

嫡出否認調停

嫡出否認申立て必要書類

(1) 申立書及びその写し1通

(2) 標準的な申立添付書類

   ① 申立人の戸籍謄本(全部事項証明書)

   ② 子の戸籍謄本(全部事項証明書)、出生届未了の場合,子の出生証明書写  

     し及び母の戸籍謄本(全部事項証明書)

※ 同じ書類は1通で足ります。

※ 審理のために必要な場合は、追加書類の提出の要請があります。

 

 親子関係不存在確認の訴え(調停)

 法律上は親子関係があるとされる場合において、真の親子関係がないことを確認することです。 親子関係は、単なる事実関係ではなく、一つの法律関係ですから、その存否いかんが、審判ないし判決の目的となりうることは、特別な規定がなくても当然のことです。 従って、例えば、他人夫婦の子として届出されているとか、妻の生んだ子であるが夫の子ではない(但し、夫の推定された子の場合は嫡出否認の訴えを提起する)、妻の非嫡出子となっているが妻の子ではない、などというように、戸籍上あるいは法律上親子関係があるとされていても、その実、親子関係がない場合には、利害関係人はだれでも、またいつでも、当該親子関係不存在確認の審判、判決を受けることが出来ます。 さらにそれを基に戸籍を訂正することも出来ます。 当事者については規定がありませんが、判例は、父母双方と子がともに生存しておればこれら三者が当事者となり、父母の一方が死亡しているときは生存する親と子との間でこの訴えが許され、父母の両者または子のいずれか一方が死亡した場合でも、生存している一方は検察官を被告として、死者との間の親子関係不存在の確認を求めることが出来るとされています。 また第三者が死者と生存者間の親子関係の存否確認を求めるには、生存者のみを被告とすれば足りるとされています。 推定された嫡出子の場合は、この方法によることができず、嫡出否認の訴えによらなければなりません(民法775条)。

 どういった場合に推定の及ばない嫡出子とみるのかについては、

外観説

 夫の失踪・出征・在監・外国滞在・夫婦の事実上の離婚など父子関係のあり得ないことが

 外観上明白な場合に限定するもの

血縁説

 生殖不能や血液型・DNAの不一致など、科学的・客観的にみて妻が夫の子を懐胎すること

 があり得ないことが証明された場合にも嫡出推定が排除されるというもの。

家庭破綻説

 子との父子関係が科学的に否定される場合で、かつ、子の懐胎当時家庭が崩壊していた場

 合に認めるもの

合意説

 間題の子と母とその夫の三者の合意があれば、嫡出推定が排除され親子関係不存在確認訴

 訟が提起できるとするもの…等があります。

 

 ちなみに判例は①外観説に立つと思われます(最昭44.5.29、最判平10.8.31など)。

そこで、親子関係不存在確認訴訟の要件事実は次にまとめることが出来ます。

① 子が嫡出推定を受けないこととは、外観説的に推定の及ばない子であること

 法律上の親子関係がないこと(認知がないこと)

③ 戸籍訂正の必要性または法律上の親子関係に就き争いがあること(訴えの利益)

  また、親子関係存在確認の要件事実は次の通りです。

 法律上の実親子関係の存在

② 確認の利益

  ところで、確認対象の親子関係の主体である親または子が死亡した後でも訴えの利益は

  否定されません(最判昭和45.7.15)。

  なお、この訴訟の相手方は、それぞれ確認したい対象の親子関係における子または父で

  す(父との関係を確認した場合)。 父子関係の確認をする場合に、母まで相手方にする

  必要はありません(最判昭和56.6.16)。 ただし、第三者(戸籍上父や母となっていな

  い者)からの訴え提起の場合には、存否を確認した親子関係の主体である親及び子の両

  方を被告としなければいけません(人訴12条2項、大判大正5.9.6)。そして、この場合

  には、被告とすべき者の一方が死亡のときは、検察官を被告とします(人訴12条3)。

 

親子関係不存在確認訴訟の判例

A. 産院で取り違えられたため、生物学的な親子関係がない夫婦の実子として戸籍に記  

  載され、長期間にわたり実の親子と同様の生活実態を形成してきたが、両親の死

    後、遺産争いを直接の契機として、戸籍上の弟らが提起した親子関係不存在確認

    求は、権利の濫用に当たるとされた事例
     [裁判所]東京高裁
     [年月日]2010(平成22)年9月6日判決
     [事実の概要]
    被控訴人Yは、A (夫) B (妻)間の長男として戸籍に記載され、ABに養育され、大 

    学卒業後は会社勤めをし、結婚して、妻との間に二人の子が生まれた。Yは会社勤

    めの後、退職し、Aの不動産業を手伝い、その後、独立した。控訴人Xらは、ABの 

  子であり、Yの戸籍上の弟である。YはABの死後、Xらと相続をめぐって対立し、X

    らはYに対し、ABとYとの間に親子関係が存在しないことの確認を求める訴訟を提

    起した。
    原審において、Xら申請のDNA鑑定が採用され、YとABとの間には生物学的な親子

    関係が存在しない旨の鑑定結果が得られた。原審は、鑑定結果に基づいて、ABとY

    との間には親子関係が存在しないことを確認する判決を言い渡した。Yが、本件請

    求は権利の濫用に当たるとして控訴した。
    [判決の概要]
    ①YとAB夫婦との間で長期間にわたり(Aについて約54年半、Bについて約46年)

    実の親子と同様の生活の実体があったこと、②ABはいずれも既に死亡しており、Y

    がAB夫婦との間で養子縁組をすることがもはや不可能であること、③親子関係不存

    在が確認された場合、Yが重大な精神的苦痛及び少なからぬ経済的不利益を受ける

    こと、④XらとYの関係、XらがYとAB夫婦との親子関係の不存在確認請求をするに

    至った経緯及び請求をする動機、目的、⑤親子関係が存在しないことが確認されな

    い場合、Xら以外に不利益を受ける者はいないことなどを考慮すると、Xらの親子関

    係不存在確認請求は、権利の濫用に当たり、許されないというべきである。
    [ひとこと]
    最判2006(平成18)年7月7日は、実子でない子を実子として届け出るいわゆる藁 

  の上からの養子のケースについて、当該親子関係不存在確認請求が権利の濫用当た

    ると判断したが、本件は、産院で取り違えられた子のケースについて、同判決の示

    した具体的判断基準をあてはめ、権利濫用を認めた1例である。 

B. 戸籍上嫡出子と記載されている子について、亡父の弟から父子関係不存在の確認 

 を求めたのに対し、在留資格取得目的での婚姻であったことを認定し、嫡出の推定 

 が排除されるとした上、請求を認めた事例
 [裁判所]東京高裁
 [年月日]2010(平成22)年1月20日判決
   [事実の概要]
 Yは、父A(日本人)と母B(ルーマニア人)の嫡出子として戸籍上記載されている。
 AはBと離婚後死亡した。
 Aの弟Xは、YはAの子ではないとして、親子関係不存在確認訴訟を提起した。
 原審はXの請求を認め、Yはその取消しを求めて控訴した。
 [判決の概要]
 1.嫡出推定について
 本件親子関係不存在確認訴訟が適法とされるためには、本件において、妻が夫の子 

 を懐胎する可能性がないことが外観上明白な事情があることから、嫡出の推定が排

 除される場合に当たることが必要となる。
 ①Bは、本邦に最初に入国した後の、日本語による日常会話にも不自由していたと見 

 られる時期に、結婚を前提とする交際期間もないままに、従前、何らの接点もない

 生活保護受給者で重い腎臓病の持病のある16歳も年上のAと突然婚姻した。
 ②AとBは、Yの出生直前(9日前)に協議離婚をした。
 ③夫婦の転居の時期が異なる。
 ④婚姻後間もなく、Bの在留資格期間が日本人配偶者(1年)と変更されている。
 ⑤Yの出生直前の協議離婚は、Yが誕生すれば、その母親にあたるBは婚姻を続けな  

  くても在留資格を得られることによるものと推認され、実際にもYの出生後Bの在 

  留資格期間は定住者(1年)と変更されている。
 ⑥BがYを懐胎したと見られる時期にはAと同居していた事実がない。
  したがって、BとAの婚姻は、Bの在留資格の取得又は維持の目的で法律上の婚姻 

  関係が形成されたものであると推認することができ、夫婦の生活実態も存在しな

  いものであったと評価するのが相当である。本件においては、妻が夫の子を懐胎

  する可能性がないことが外観上明白な事情があるといえ、嫡出の推定が排除され

  る。
2.親子関係について
①保険会社の担当者の訪問を受けた際に、担当者の「(Yは)あなたの子供ですか」とい 

 う質問に対し、Bは、「違います」と答えたこと、
②BはYとAとの間の父子関係の有無についてのDNA鑑定につき、協力しない姿勢に終

 始したこと(裁判所に顕著な事実) は、YとAとの間の親子関係の不存在を推認しうる

 重要な間接事実である。
 YとAとの間に父子関係は存在しないと認めるのが相当である。
 [ひとこと]
   最判H12.3.14の採用した外観説に依拠しつつ、間接事実を詳細に検討・評価したう

   えで、嫡出推定(民772)が排除されるとした判例であり、その判断手法は参考にな

   る。  また、DNA鑑定に協力しなかったことを、「親子関係の不存在を推認しうる

   重要な間接事実」であると判断した点も参考になる。   従来、認知訴訟等において

   も、科学鑑定への非協力は同様に扱われてきた。 人事訴訟法においては真実の発見

   が重要であるので、一般の民事訴訟における弁論主義は制限され、職権証拠調べ(人

   訴19、20)が行われるが、「証明妨害と立証責任の転換」や「事実及び証拠に近い  

   者の事案解明義務及びそれに基づく主張・証明責任の転換」は、実際には人事訴訟

   でも行われている典型例であります。
 
C.  離婚後300日以内に生まれた子は前夫の子とする民法772条の規定には合理性があ

    るなどとして違憲ではないと判断した事例
    [裁判所]岡山地裁
    [年月日]2010(平成22)年1月14日判決
    [事実の概要]
    原告Dの母親Aは、平成18年2月にBと婚姻するも、Bの暴力が原因で実家に帰り、 

    同年10月及び平成19年4月に、Bに対し、それぞれDV法に基づく保護命令決定を得

    た後、平成20年3月、Bと和解離婚した。  他方、Aは、平成20年1月ないし同年2月

    ごろ、Cの子であるD(原告)を懐胎し、同年10月、再婚禁止期間6ヶ月を経過して

    10日ほど後に、Cと婚姻,同年11月にDを分娩した(AとBの離婚日から300日以内

    の出生。)。 Cを父とするDの出生届が不受理とされたことにつき、Dが、憲法14

 条違反や民法772条1項違反などを理由として損害賠償等を求めた。
    [判決の概要]
    民法772条1項の規定について、「一般に婚姻中に妻が懐胎した子の父は夫である 

    可能性が高い」ことから憲法14条に違反するものではないとした。 また、本件不

  受理処分等についても、戸籍や出生届の添付資料などからは、Dの懐胎時期におけ

  るAとBの関係が明らかではなく、保護命令の効力も懐胎時期には既に失われていた

    のであるから、Aの懐胎がBによるものではないことが明白であったとはいえず、憲

    法14条に違反するとは言えないとした。  さらに、本件不受理処分等は、民法772

    条1項や児童の権利に関する条約7条に違反するものでもないとした。
   [ひとこと]
   原告より控訴がなされ、係争中

 

 

 

 

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2015年

7月

24日

帰化

 

  「横浜のアオヤギ行政書士事務所」につき、解説いたします。 ご質問やご意見は下記のフォームに記載のうえ、メールにて送信下さい。 なお、返信希望のご質問には、貴メールアドレスの記載をお忘れなく。

 

帰化とはrenho091022_6.jpg

 国籍法第4条第1項に「外国人は帰化によって日本の国籍を取得することが出来る」と規定されています。 即ち、帰化とは外国の国籍を喪失して日本国籍を取得する、日本人になることです。 当然ながら、参政権が認められ、日本国民としての権利義務が生じます。

 帰化申請は住所地を管轄する法務局又は地方法務局に本人が出頭して書面で帰化の許可申請をします。

 一方永住がありますが、永住ととは全く異なるものです。 永住許可取得は取得後も外国人で、在留活動の制限はなくなりますが、退去強制事由に該当すれば退去強制の対象となり、参政権は認められず在留カードや再入国の手続きが必要であります。 永住許可申請は入国管理局で書面で許可申請をします。

 

 帰化の要件国籍法5、6、7、8、9条

国籍法5条(基本要件)

  1)引き続き5年以上日本に住所を有すること。

  2) 20才以上で本国法によって能力を有すること。

    例えば、米国人の帰化申請は米国法によって能力を有することが必要です。

  3)素行が善良であること(前科や非行歴の有無、所得申告、納税義務)。

  4)自己又は生計を一にする配偶者その他の親族の資産又は技能によって生計を営むこ

    とができること(同居していなくてもよい)。

  5)国籍を有せず、又は日本の国籍を取得によってその国籍を失うべきこと。

  6)日本国憲法施行日以後において、日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破

    壊することを企て、若しくは主張し、又はこれを企て、若しくは主張する政党その

    他の団体を結成し、若しくはこれに加入したことがないこと。

  7)国籍法に条文として規定されていませんが、当然に日本語の読み書き、理解、会話

    の能力が必要です。 入管担当官の許可基準は「小学校3年生以上の日本語能力」

    です。

2.国籍法第6条(住所の緩和規定)

  日本と特別の関係のある外国人で、現に日本に住所を有する者については、継続して5

  年以上日本に住所を有していなくても、他の条件が備わっていれば、法務大臣は帰化の

  許可をすることができます。

  1)日本国民であった者の子(養子を除く)で引き続き3年以上日本に住所又は居所を

    有する者。

  2)日本で生まれた者で引き続き3年以上日本に住所若しくは居所を有し、又はその父

    若しくは母(養父母を除く)が日本で生まれた者。

  3)引き続き10年以上日本に居所を有する者。

3.国籍法第7条(住所・行為能力の緩和規定)

  日本国民の配偶者に対する緩和規定であり、このような場合でも帰化の許可をすること

  が出来ます。

  1)日本国民の配偶者たる外国人で引き続き3年以上日本に住所又は居所を有し、か

    つ、現に日本に住所を有する者。

  2)日本国民の配偶者たる外国人で婚姻の日から3年を経過し、かつ、引き続き1年以

    上日本に住所を有する者。

4.国籍法第8条(住所・行為能力・生計の免除規定)

  次の1)~4)の者については、帰化の条件(国籍法第5条第1項各号)のうち住所、

  行為能力、生計に関する条件を備えていないときでも帰化の許可をすることが出来ま

  す。

  1)日本国民の子(養子を除く)で日本に住所を有する者。

  2)日本国民の養子で引き続き1年以上日本に住所を有し、かつ、縁組の時本国法によ

    り未成年であった者。

  3)日本の国籍を失った者(日本に帰化した後日本の国籍を失った者を除く)で日本に

    住所を有する者。

  4)日本で生まれ、かつ、出生の時から国籍を有しない者でその時から引き続き3年以

    上日本に住所を有する者。 

5.国籍法9条(特別規定)

  日本に特別功労のある外国人については、法務大臣は、国籍法第5条第1項の規定に拘

  らず、国会の承認を得て、その帰化を許可することが出来る。

 

帰化許可申請の必要書類

 個人によって提出書類がかなり異なりますので、申請前に管轄法務局に相談することが基本です。 また、申請後も追加書類の提出を要求されることが多々あります。

1.帰化許可申請書 (帰化許可申請書記載例) 申請者全員分が必要です。

2.親族の概要を記載した書面

3.各自が自筆で書いた帰化動機書(15歳未満は不要)

4.履歴書(15歳未満は不要)

5.宣誓書(15歳未満は不要、係官の面前で直接作成するもの)

6.生計の概要を記載した書面(事業者は事業の概要も必要)

7.在勤証明書及び給与証明書

8.居宅、勤務先付近の略図

9.本国の戸籍謄本など身分関係を証する書面

   身分関係を証する書類とは、出生証明書、婚姻証明書、親族(親子)関係証明書など

   です。 これらの書類には翻訳者を明示した翻訳分を添付します。

   本国から郵送で取り寄せた場合は郵送してきた封書も添付します。

10.家族の各種届出記載事項証明書(出生、死亡、婚姻等)

11.外国人住民票

12.納税証明書(一家全員の源泉徴収票、住民税、固定資産税等)

13.本人の写真(6ヵ月以内5cm四方、上半身)・家族のスナップ写真

14.その他(卒業証明書、在学証明書、資格等を証明する書面、運転記録証明書)

 

当事務所の帰化許可申請の流れ

 1.依頼者からのご相談・ご依頼

 2.住所地を管轄する法務局の国籍・戸籍課に事前相談(本人・行政書士)

   相談時に申請書類一式が手渡されます。

 3.必要書類の取寄せ・申請書の作成

 4.法務局に帰化許可申請書を提出

   本人が直接法務局に出頭、行政書士は同行

 5.法務局は書類の点検後受理、審査開始

   通常、申請書が受理されれば、殆どのケースで帰化許可されています

 6.法務局から面接の日時の連絡(申請後1~2ヵ月)

   通常平日を指定されますので、本人が法務局に出向き、本人のみで面接

   主に、申請書に記載している内容の確認、日本語の能力を確認

   所用時間30分~1時間、通常は1回の面接で終了しますが、疑義が生じたリ、必要と面

   接官が判断した場合、後日再度面接を指定されます。

 7.法務大臣により決裁

 8.許可の場合は官報に告示・本人へ通知(不許可の場合は本人に通知)

 9.身分証明書の交付

 10.在留カードの返納・帰化の届出

 

 帰化許可申請が不許可の場合

 不許可処分は法務大臣から不許可通知書が送付されてきます。 不許可通知書には不許可の理由が記載されていますので、再申請(何度でも可能)するときには参考にして下さい。

 税金の滞納や、道交法違反履歴で不許可になる場合が多く、法務局職員との事前打合せの時に詳細についてアドバイスをして貰えることがあります。

  不許可処分に納得がいかない場合は、「行政事件訴訟法」に法り取消を求める処分にあたると最高裁の判例があり(平成3年7月18日)、取消訴訟を提起することが出来ます。 しかし、帰化許可処分は法務大臣の裁量に委ねらていますので、「行政不服審査法」の不服申立てをすることは出来ません。

 

帰化許可の自発的取消

 帰化許可申請において著しい虚偽があったことが判明した場合に国から取消されるのは当然のこととして、帰化許可がおりてから、帰化許可を自分から取消することが出来るのか? 以前はこのような事を考えるひとは殆どいなかったですが、最近は中国人の帰化が増加していることから、後から後悔して又はいろいろな事情があって、帰化許可取消しの相談もあります。 しかし、告示取消を除き、自分から帰化の取消しの申出は認められておりません。 最高裁判例では、帰化許可という行政処分が行われた限りは、重大かつ明白な違法が存在しない限り無効とはならないとされております。 

 

帰化後の手続き

 申請者は、法務局から帰化許可の通知を受領し、指定された日に出頭し、帰化後の手続きにつき説明をうけます。 そこで「帰化者の身分証明書」を受領し、戸籍等の手続きをすることになります。

 帰化が許可になっても日本人としての戸籍や住民票はまだありませんから「帰化者の身分証明書」を持参して市区町村役場又は別に定めた本籍地に帰化届を提出し、入管局経由して法務大臣に在留カードの返納を行います。 「帰化の届出は、帰化したものが、告示の日から1ヵ月以内に、これをしなければならない」と戸籍法に規定されておりますが、実務上は「帰化者の身分証明書」を発行した日が、1ヵ月の起算日となっています。また、それぞれの国により本国法に違いはありますので、それぞれの本国法に従い、基本的には国籍喪失の手続きを行います。 なお、多重国籍可能国がかなりありますので、注意が必要です。

 多重国籍を認めている国は、アメリカ合衆国、ロシア、カナダ、メキシコ、コロンビア、ブラジル、ペルー、パラグアイ、ウルグアイ、イギリス、アイルランド、フランス、イタリア、スイス、ポルトガル、フィンランド、イスラエル、トルコ、ナイジェリア、モロッコ、南アフリカ共和国、コートジボワール、オーストラリア、ニュージーランド、台湾、フィリピンなどです。

 孫正義

帰化Q&A 

Q1:留学ビザで日本に居住していますが、日本国籍を取得(帰化)  

   できますか?

A1:留学ビザのままでは難しいので、他のビザに変更してから帰化

   申請することをお勧めします。

Q2:借金があっても日本国籍を取得(帰化申請)できますか?

A2:借金の目的にもよります、借金をしないと生活が成り立たないということになると、

   日本国籍の取得(帰化許可)は難しいです。 しかし、常識的な範囲内の住宅ローン

   などであれば、問題ありません。

Q3:自己破産歴があっても日本国籍を取得(帰化)できますか?

A3:ケース・バイ・ケースです。 破産から5年程度がたち、現在は生計を営むことがで

   きている場合には日本国籍の取得が認められることが多いようです。
Q4:無職でも日本国籍を取得(帰化申請)できますか?

A4:無職であっても、「生計を営む」ことができている場合は、問題ありません。

Q5:犯罪歴があっても日本国籍を取得(帰化)できますか?

A5:内容によります。 直近に大きな犯罪を犯していれば、「素行が善良である」と認め

   られません。

Q6:交通違反歴があっても、日本国籍を取得(帰化)できますか?

A6:軽微な交通違反は帰化に影響しませんが、頻度な場合や、飲酒運転で捕まった場合

   は、数年間帰化の申請ができません。
Q7:帰化申請中に海外旅行や海外出張はできますか?

A7:できますが、なるべくお控えください。 居住要件を満たせなくなる場合がありま

   す。 また、帰化許可の時点で海外にいると、日本出国時に母国が交付したパスポー

   トや旅行証が無効となり、問題が生じる可能性があります。

Q8:日本国籍取得(帰化)後の名前に制限はありますか?

A8:日本風の名前にしてもよいですし、母国における本名を日本名にしてもよいです。 

   ただし、ひらがな、カタカナ、人名漢字で表記できるものでなければなりません。

Q9:帰化申請をしてから許可がおりるまでの期間は?

A9: 通常1年程度です。 特別永住者の方は、6ヶ月から8ヶ月程度です。 
Q10 : 私は「韓国籍」ではなく、「朝鮮籍」です、韓国の登録基準地(旧戸籍の本籍)等が

   わからないのですが、帰化はできるでしょうか?

A10 : 帰化の申請は「韓国籍」、「朝鮮籍」に関係なく可能です。 ただし、朝鮮籍であっ

   ても、韓国に本籍があるのが在日のほとんどであり、本人は戸籍整理がされていなく

   ても、そのご両親の戸籍があり、その除籍謄本を取り寄せることができる場合もあり

   ます。また、無くても帰化が可能な方法もあります。

Q11 : 私は、日本人の男性と結婚し子供が一人いるのですが、その場合、普通の方よりも早

   く帰化ができるのでしょうか?

A11 : 日本人の方と結婚しているからといって、帰化が早く許可されるものではありませ

   ん。   通常の方と同じような期間がかかります。   また、もちろんご主人の日本の戸

   籍謄本や住民票、所得に関する証明書等が必要となります。  

Q12 : 私は、両親や兄弟と同居していますが、今回、結婚の予定がある私だけが帰化申請を

   したいのですが、できますでしょうか?

A12 : 帰化申請は、世帯単位で行なうことを原則としていますが、あなたのように事情があ

   る場合には、あなただけでも帰化申請をすることもできます。ただし、生計に関する

   事項は、原則どおり世帯単位で必要としますので、あなたのご両親やご兄弟の所得や

   納税関係の書類も必要となることがあります。
Q13 : 帰化申請は必ず本人が法務局に行かなければなりませんか?

A13 : 必ず申請者ご本人が申請書類を持参して法務局で行います。 行政書士が取次して申請

   することは出来ません。 ただし15歳未満の申請者の場合は、両親などの代理人が行

   います。

Q14 : 私は、離婚して、現在は小学生の子供2人を含め、3人で生活しています。    

         生活は、私のパート収入と母子手当をもらってなんとか生活していますが、そのよう

   な場合でも帰化申請はできるでしょうか?

A14 : 母子手当や児童手当等の国や市町村からの手当を含めてやっと生活ができるような方

   でも、帰化申請が可能です。   パート収入や家賃等、総合的に判断して考えていきま

   す。   もちろん、単に離婚したからといって、帰化申請が不利になることはありませ

   ん。

Q15 : 私は、自分で会社を経営しているのですが、ここ1、2年は確定申告は赤字となって

   います。   このような場合でも帰化申請はできるでしょうか?

A15 : 中小企業においては、経営状態がよくなく、赤字となっている企業もあります。   こ

   こ1、2年が赤字経営となっているから必然的に帰化の在留資格をとれないものでは

   ありません。 その他、総合的な判断で許可されます。

Q16 : 帰化をした後に、日本の戸籍謄本に帰化をしたということが記載されますが、それを

   消せる方法があると聞いたのですが?

A16 : 帰化後、日本の戸籍謄本が作られるのですが、そこには何年何月何日に帰化をしたと

   いうことが記載されます。   そして、あなたのおっしゃるように、その戸籍謄本から

   帰化の事項が削除される場合(方法)があります。  しかし、その戸籍謄本から除籍謄

   本を手繰り寄せれば、帰化事項記載の除籍謄本は出てきます。

Q17 : 私には、今、日本人の婚約者がいるのですが、帰化申請をするとしたら、結婚前にす

   るのがよいのでしょうか、又は、結婚後にするのがよいのでしょうか?

A17 : 一概には言えませんが、あなたの現在の所得や婚約者の方の職業等により、多少、必

   要書類の量が多くなったり、少なくなったりする程度です。

 

 

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2015年

7月

22日

在留資格「技能実習」の実態

 「横浜のアオヤギ行政書士事務所」が在留資格「技能実習」の現在の問題点につき解説します。 ご質問やお問合せは下記のフォームに記載のうえ、メールにて送信下さい。

 

実習生の失踪

 入管局によると、実習生の失踪は平成23年から毎年増加しており、26年は過去最多の4851人が行方不明(失踪)となっています。 それらの多くは、不法残留者として、潜って生活しています。 原因の多くは、労働条件が思っていたより悪く、特に収入が低く、本国で借りた入国費用の返済が出来ないなど、お金の問題が多いようです。

 

 入管法に基づく法務省令では「行方不明者の多発」を不正行為として規定しています。 過去1年間に受け入れた実習生の失踪が一定数に達した団体・企業は、新規受け入れが3年間停止されることになっています。

 しかし、平成22~26年の5年間に受け入れが停止された団体・企業はゼロです。 さらにさかのぼっても適用事例は数件しかないとのことです。 入管局の話では、「失踪実習生から話が聞けないと、事実認定に至らない、調査に強制力もない」ので、困難との事です。

 失踪が多発しているような団体・企業の場合、賃金未払いなど他の不正行為が多発していることも多いので、別の法令違反を適用して、受け入れを止める場合があります。

 

実習生の現状

 少子高齢社会の中、企業優先の政策観点だけが前面に出ています。 国民経済的な労働市場の役割や労働条件、賃金水準を良くするというのではなく、企業活動本来の改善対策ではなく、企業の費用から見て都合のいい労働市場構造、労働条件の決定方式をつくり、外国から流入・流動している労働者も、企業活動の都合を優先する観点で国内外を一緒にした活用体制にしたいという強い願望があるのだと思います。  こんな惨状になっているにもかかわらず、安倍政権は今春、外国人技能実習制度の受け入れ期間を最長3年から5年に延長するとともに、受け入れ職種に介護職なども追加する法案を閣議決定しました。 

 

実習生の労働災害

   政府が受け入れ拡大を図る外国人技能実習生の労災事故が、2010年に労働環境に配慮し制度が見直された後も増えており、2013年度に初めて1千人を超えましたた。

 実習生の受け入れ団体や企業を指導する国際研修協力機構(JITCO)がまとめて公表しました。 JITCOが把握する労災事故は2009年度の制度導入から受け入れ拡大とともに増え、2013 度は1100人にを超えました。

 2013年度に労災事故にあった人の国籍はアジアに集中し、中国705、ベトナム156、インドネシア118、フィリピン86と続きます。 都道府県別では愛知が129と最多で、三重71、広島64、岐阜60、大阪58と続き、製造業が盛んな地域が目立ちます。

 長時間残業による実習生の過労死も出ています。 茨城県のめっき加工会社に勤めた31歳の中国人男性の過労死を、労基監督署が2010年に認定しました。 厚労省が統計を取り始めた2011年度以降の認定はありませんが、ある新聞社の取材では、岐阜県の鋳造会社で働き27歳で心疾患で急死したフィリピン人男性の認定へ手続きが進んでいます。 JITCOは受け入れ側に「日本語の理解や作業上の危険情報の不足が原因で労災が起きたケースもある」と配慮を求めていますが、それだけではないようです。 技能実習生を、日本人の若者が嫌う仕事を、低賃金単純労働者として、働かせているのが実情ではないでしょうか。

 

 

 

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2015年

7月

13日

フィリピン・リーガルセパレーション

「横浜のアオヤギ行政書士事務所」フィリピンのリーガルセパレーションについて解説いたします。 何度も記載してきましたが、フィリピンには、日本のような離婚制度がありません。 通常は、アナルメント(婚姻解消裁判)、Nullity declaration of marriage(婚姻無効裁判)又は、リコグニッション(離婚承認裁判)のいずれかの手続きを経る手続きを取らなければなりません。

 

リーガルセパレーション

Legal separationとは、法的別居、夫と妻との夫婦関係を完全に断ち切るという意味では離婚とは法的な取り扱いが違います。 従って、リーガルセパレーションが許可されても、再婚は出来ません。 しかし、事実婚はありだと考えます。 

 

リーガルセパレーションは、フィリピン家族法第55条~64条に記載されています。

Article 55:A petition for legal separation may be filed on any of the following grounds:

第55条:リーガルセパレーションの申立ては、次のいずれかの事由により、提出することができます。
 (1) Repeated physical violence or grossly abusive conduct directed against the

     petitioner, a common child, or a child of the petitioner;            (1)申立人、夫婦間の子供、または申立人の子に対して、虐待行為を繰り返す。
(2) Physical violence or moral pressure to compel the petitioner to change religious

     or political affiliation;

(2) 肉体的暴力や、宗教・支持政党の変更を強要する。
(3) Attempt of respondent to corrupt or induce the petitioner, a common child, or a

     child of the petitioner, to engage in prostitution, or connivance in such corruption 

     or inducement;                                                                                               (3)申立人、夫婦間の子供、または申立人の子を売春に従事させたり、又はその行為の企てを

 する。
(4) Final judgment sentencing the respondent to imprisonment of more than six

      years, even if pardoned;                                                                 

(4) 終審で、、6年以上(執行猶予含う)の懲役を言い渡されたこと。
(5) Drug addiction or habitual alcoholism of the respondent;

(5) 覚醒剤やアルコール中毒者
(6) Lesbianism or homosexuality of the respondent

(6) レズビアンや同性愛者

(7) Contracting by the respondent of a subsequent bigamous marriage, whether in

      the Philippines or abroad;

(7) フィリピンのみならず、海外においての重婚者
(8) Sexual infidelity or perversion;

(8) 不倫
(9) Attempt by the respondent against the life of the petitioner; or

(9) 申立人の生活に反する企て、または
(10) Abandonment of petitioner by respondent without justifiable cause for more

     than one year.

(10)正当な理由のない1年以上の放棄。


  For purposes of this Article, the term "child" shall include a child by nature or by

     adoption.

 この条の用語「子供」は、実子、養子を含みます。

Art. 61. After the filing of the petition for legal separation, the spouses shall be entitled to live separately from each other.
The court, in the absence of a written agreement between the spouses, shall designate either of them or a third person to administer the absolute community or conjugal partnership property. The administrator appointed by the court shall have the same powers and duties as those of a guardian under the Rules of Court.
第61条:
リーガルセパレーション申立後、配偶者は互いに別々に生活する権利を有します。
 
裁判所は、配偶者間の書面による合意がない状態で、純然たるコミュニティや婚姻協力の財産を管理するために夫か妻のどちらか、または第三者を指名しなければなりません。 裁判所が選任した管理者は、裁判所の規則の下で保護者と同様の権限と義務を有するものとします。


Article 63.
The decree of legal separation shall have the following effects:
第63条

リーガルセパレーション法令は次のような効果を持ちます。
(1) The spouses shall be entitled to live separately from each other, but the marriage bonds shall not be severed;

(1)配偶者は別居して生活できるが、夫婦関係は断絶しません。

 

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2015年

7月

12日

渉外認知

 「横浜のアオヤギ行政書士事務所」渉外認知につき、解説いたします。 

 本日、次の相談がありました。 内容は、横浜在住の日本人男性が、フィリピンに旅行中にフィリピン人女性と恋愛関係になり、そのフィリピン人女性が懐妊したことによるものです。 日本人男性は、子どもを認知したいので、認知する方法を知りたいとのことです。 

 ご質問やお問合せは、下記のフォームに記載のうえ、メールにて送信下さい。 なお、返信希望のご質問には、貴メールアドアレスの記載をお忘れなく。

 

 日本の国際私法の認知要件

 下記①②③のいずれかの国の法律を満たしていれば、認知によって親子関係を成立させることができるとなっております。

 ① 子の出生当時における父または母の本国法
 ② 認知の当時における認知する者の本国法
 ③ 子の本国法

 なお、父母の本国法および認知する者の本国法によって認知する場合(①、②の場合)は、子の本国法上の保護要件(子や第三者の承諾・同意など)も備えなければなりません。

 もし父親が日本人、母親が外国人のカップルであれば、日本法を準拠法として考えればう良いことになります。 子の国籍が外国法により決まる場合、その国の法律の保護要件も満たす必要があります。

                                         民法779条「認知」に関する規定 

「嫡出でない子は、その父または母がこれを認知することができる」   
民法による保護要件
 ① 成年者を認知する場合の成年者の承諾
 ② 胎児認知の場合の母親の承諾
 ③ 死亡した子を認知する場合の子の直系卑属(子や孫)の承諾

よって生まれた未成年者を認知する場合は、特に保護要件はありません。


日本の国際私法の認知方式

 ① 認知行為の成立について適用された国の法律
 ② 認知行為を行った国の法律
 のいずれかの法律で認められる方式でよいとしています。 日本において日本人である父

 が任意に子を認知する場合は、日本法が適用されますので、日本の方式により市区町村長 

 への届出をすることになります。 ここで子の本国法の保護要件を満たす必要がある場

 合、子の保護要件を規定した法令の翻訳や子の保護要件を満たしていることを証明した書

 類も提出しなければなりません。

  また、日本において外国人である父が日本人母の産んだ子を認知する場合、認知行為が

 父の本国法によって成立した場合であっても、認知行為を行う国の方式によることも可能 

 ですので、日本人母は、日本の方式により市区町村長への届出をすることになります

 

日本人男性とフィリピン女性間の子を認知する場合

 フィリピンの家族法によれば、未婚の男女間に生まれた子供の親子関係に関しては「承認」によって親子関係が確定するとなっています。 即ち、出生届を出す際に両親が未婚の場合、子の父親の氏名を記載する際、父親の承認、署名が必要になります。 承認・署名がなければ、父親の欄に父親の名前を記載する事が出来ません。 例えば、承認・署名が不必なら、勝手に世界の有名人などの名前を使って出生届を出す事が出来てしまいます。 その為に出生届の父親に関する欄に「承認・署名」をする項目が設けられています。
 日本と様式が違いますが、出生届の父親に関する事項に承認、署名をする事が「認知」と同じになります。 
 また、フィリピンでは、フィリピン人同士の「離婚」のシステムは無く、夫婦が別れる際「アナルメント」や「婚姻無効」の裁判を行わなければなりませんが、裁判を起こす為の条件が決められており、性格の不一致等では認められません。  一方、リーガルセパレーションと言うシステムがあり、裁判でリーガルセパレーションの判決を貰っている場合、記録上は既婚の状態のままですから再婚はできませんが、「事実婚」が法的に認められた形になり、その間に生まれた子供も父親の「承認、署名」が有る事で法的な親子関係が確定されます。 リーガルセパレーション等の状況により「嫡出子」と同等の権利を与えられる場合があると言う事と理解しています。
  日本の場合、戸籍上母親が既婚である場合又は離婚後6ヶ月以内は、本当の父親は認知が出来ません。 フィリピンでは認知でき、事実主義とされています。

 フィリピンの出生届は両親が未婚の場合、2枚組みになっています。(通常は1枚)
2枚目は、父親の申述書(子供の認知に関する承認)と署名であり、これがなければ出生届の際に父親の欄に父親の名前を書く事が出来ません。
 『その者が事件本人の父であることを認めていることの証明書(父の申述書、父の署名ある出生証明書等)の提出があるときは、事件本人の戸籍に父の氏名を記載する。』となっていますので、フィリピンへの届出が済んでいない場合、日本では証明書があれば、父親の欄に記載されるとなっています。 フィリピンへの出生届の際に父親が「認知」している事が条件です。
 フィリピンの家族法によると、承認、書名がされている出生届を提出した場合でも『非嫡出子』で有る事には変りません。

 日本の法の適用に関する通則法29条1項によると、
 非嫡出子関係は、子と父の関係については子の出生当時の父の本国法によるとされ、
父の本国法によることになります。 子は認知の手続をしなくても準正によって嫡出子の身分となり、その旨戸籍に登録されます。 そのための戸籍手続は、母の婚姻届のその他の欄にその旨記載することが必要です。
 必ずしも認知届を出さなくてはいけない事はないようなので、日本側の手続きでは「認知届は必要ない」と言うのは正しいです。
 「嫡出でない子」と「その事実上の父」との関係について、日本は認知主義を採用していますが、フィリピン共和国は事実主義を採用しています。
 父の本国法が事実主義を採用している場合、父によって認知届が提出されなくても、「父の国籍証明書(パスポート)」と「父の申述書」があれば、法律上の父子関係は成立します。 フィリピン共和国内だけで父子関係が成立し、我が国の領域内で父子関係が成立しない、というようなことはありません。
 
法の適用に関する通則法http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H18/H18HO078.html
嫡出でない子の親子関係の成立
第29条 嫡出でない子の親子関係の成立は、父との間の親子関係については子の出生の当時における父の本国法により、母との間の親子関係についてはその当時における母の本国法による。この場合において、子の認知による親子関係の成立については、認知の当時における子の本国法によればその子又は第三者の承諾又は同意があることが認知の要件であるときは、その要件をも備えなければならない。
2 子の認知は、前項前段の規定により適用すべき法によるほか、認知の当時における認知する者又は子の本国法による。この場合において、認知する者の本国法によるときは、同項後段の規定を準用する。

フィリピン家族法1988年施行⇒ http://www.chanrobles.com/executiveorderno209.htm
Art. 163. The filiation of children may be by nature or by adoption. Natural filiation may be legitimate or illegitimate.
Art. 175. Illegitimate children may establish their illegitimate filiation in the same way and on the same evidence as legitimate children.
The action must be brought within the same period specified in Article 173, except when the action is based on the second paragraph of Article 172, in which case the action may be brought during the lifetime of the alleged parent.
Art. 172. The filiation of legitimate children is established by any of the following:
(1) The record of birth appearing in the civil register or a final judgment; or
(2) An admission of legitimate filiation in a public document or a private handwritten instrument and signed by the parent concerned.
In the absence of the foregoing evidence, the legitimate filiation shall be
proved by:
(1) The open and continuous possession of the status of a legitimate child; or
(2) Any other means allowed by the Rules of Court and special laws. 
同条翻訳
第163条:子との親子関係は、自然によって、または養子縁組によるものであってもよいとします。 自然の親子関係は、正当な場合と違法な場合があります。
第175条:非嫡出子が正当な子供と同じようにし、正当な子供として、親子関係を確立することができます。
  申立は
、親の存続期間中に提起することができます。 その場合には第172条、第二段落に基づく場合を除き、第173条に指定した同じ期間内に提起しなければなりません。
 
第172条:正当な親子関係は、以下のいずれかによって確立されます。
 
(1)市民記録の誕生記録、または最終審
 
(2)公文書又は当該親による手書きで正当な親子関係の確認や署名
  
上記の証拠が存在しない場合には、正当な親子関係は下記の事項により証明されなければな

 りません:
 
(1)正当な子どもとしての地位で、公然と継続する親子関係
  
(2)裁判所と特別法の規則で許可されているその他の手段

 

法務省民二第3900号民事局長通達( 平成元年10月2日付)⇒
http://c-faculty.chuo-u.ac.jp/~okuda/shiryoshu/heisei1_tsutatsu.htm...
第3 出生等
2 嫡出でない子
(2) 外国人父の本国法が事実主義を採用している場合における日本人母からの嫡出でない子の

     出生の届出については、次のとおり取り扱う。
ア  届書の父欄に氏名の記載があり、「その他」欄に父の本国法が事実主義を採用している旨

  の記載があり、かつ、父の国籍証明書、父の本国法上事実主義が採用されている旨の証 

  明書及びその者が事件本人の父であることを認めていることの証明書(父の申述書、父

  の署名ある出生証明書等)の提出があるときは、事件本人の戸籍に父の氏名を記載す

  る。
  
  
  
   

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2015年

7月

10日

在留資格 「経営管理」

 「横浜のアオヤギ行政書士事務所」が入管法別表第一の二の在留資格「経営・管理」について解説いたします。 2015年4月から、在留資格「経営・管理」がスタートしました。 日本国内企業において事業の経営・管理活動を行う外国人を広く迎え入れることができるよう、従来の「投資・経営」の在留資格の名称を「経営・管理」に改め、これまでの外国資本との結びつきの要件をなくしました。 これにより、国内資本企業の経営・管理を行うことも同在留資格によってできるようになりました。

 ご質問やご意見は下記フォームに記載のうえ、メールにて送信下さい。 なお、返信希望のご質問には、貴メールアドレスの記載をお忘れなく。

 

外国人が我が国にて事業を起こし、又は既存の事業の経営又は管理に従事する場合、その活動は「経営・管理」の在留資格に該当することとなりますが、同在留資格については、出入国管理及び難民認定法第7条第1項第2号の基準を定める省令(以下「基準省令」という。)において「事業を営むための事業所として使用する施設が本邦に確保されている」又は「事業を営むための事業所が本邦に存在すること」とする基準が定められているところ、ベンチャー企業などとして興された企業については、設立当初は規模が小さいことや少人数での事業運営が可能であること等から、住居としても使用している施設を事業所と定めて事業を行う場合等があります。 また、在留期間の更新許可申請等において、当該事業の経営・管理という在留活動を継続して行うことができるかという観点から、赤字決算等が疑問を生ぜしめる場合があり得る反面、通常の企業活動の中でも、諸般の事情により赤字決算となっていても在留活動の継続性に支障はない場合も想定されます。
 従来。この「事業所の確保存在)」及び「事業の継続性」の認定をするに当たって、その基準が不透明であるとの指摘があったことから以下のとおり入国管理局は、ガイドラインを示しています。

1.事業所の確保について

総務省が定める日本標準産業分類一般原則第二項において、事業所については次のように定義されています。                                経済活動が単一の経営主体のもとにおいて一定の場所すなわち一区画を占めて行われてい

ること                                       ②財貨及びサービスの生産又は提供が、人及び設備を有して、継続的に行われていること

 

以上の二点を満たしている場合には、基準省令の「事業所の確保(存在)」に適合しているものと認められるところ、「経営・管理」の在留資格に係る活動については、事業が継続的に運営されることが求められることから、月単位の短期間賃貸スペース等を利用したり、容易に処分可能な屋台等を利用したりする場合には、基準省令の要件に適合しているとは認められません。

 事業所については。賃貸物件が一般的であるところ。当該物件に係る賃貸借契約においてその使用目的を事業用、店舗、事務所等事業目的であることを明らかにし、賃貸借契約者についても当該法人等の名義とし、当該法人等による使用であることを明確にすることが必要です。 ただし、住居として賃借している物件の一部を使用して事業が運営されるような場合には、住居目的以外での使用を貸主が認めていること(事業所として借主と当該法人の間で転貸借されることにつき、貸主が同意していること。)、借主も当該法人が事業所として使用することを認めていること、当該法人が事業を行う設備等を備えた事業目的占有の部屋を有していること、当該物件に係る公共料金等の共用費用の支払に関する取決めが明確になっていること及び看板類似の社会的標識を掲げていることを必要とします。

なお、インキュベーター(経営アドバイス,企業運営に必要なビジネスサービス等への橋渡しを行う団体・組織)が支援している場合で、申請人から当該事業所に係る使用承諾書等の提出があったときは、(独)日本貿易振興機構(JETRO)対日投資ビジネスサポートセンター(IBSC)その他インキュベーションオフィス等の一時的な住所又は事業所であって、起業支援を目的に一時的に事業用オフィスとして貸与されているものの確保をもって,基準省令にある「事業所の確保(存在)」の要件に適合しているものとして取り扱うこととします。

参考事例

「住居」を事業所として「経営・管理」の在留資格に係る入国・在留申請の許否に係る事例については、以下のとおりです

事例1

Aは、本邦において個人経営の飲食店を営むとして在留資格変更申請を行ったが、事務所とされる物件に係る賃貸借契約における使用目的が「住居」とされていたものの、貸主との間で「会社の事務所」として使用することを認めるとする特約を交わしており、事業所が確保されていると認められたもの


事例2

Bは、本邦において水産物の輸出入及び加工販売業を営むとして在留資格認定証明書交付申請を行ったところ、本店が役員自宅である一方、支社として商工会所有の物件を賃借していたことから、事業所が確保されていると認められたもの


事例3

Cは、本邦において株式会社を設立し、販売事業を営むとして在留資格認定証明書交付申請を行ったが、会社事務所と住居部分の入り口は別となっており、事務所入り口には、会社名を表す標識が設置されていた。 また、事務所にはパソコン、電話、事務机、コピー機等の事務機器が設置されるなど事業が営まれていることが確認され、事業所が確保されていると認められたもの。


事例4

Dは、本邦において有限会社を設立し、当該法人の事業経営に従事するとして在留期間更新許可申請を行ったが、事業所がDの居宅と思われたことから調査したところ、郵便受け、玄関には事業所の所在を明らかにする標識等はなく、室内においても、事業運営に必要な設備・備品等は設置されておらず、従業員の給与簿・出勤簿も存在せず、室内には日常生活品が有るのみで事業所が確保されているとは認められなかったもの


事例5

Eは、本邦において有限会社を設立し、総販売代理店を営むとして在留資格認定証明書交付申請を行ったが、提出された資料から事業所が住居であると思われ、調査したところ、2階建てアパートで郵便受け、玄関には社名を表す標識等はなかったもの。 また、居宅内も事務機器等は設置されておらず、家具等の一般日常生活を営む備品のみであったことから、事業所が確保されているとは認められなかったもの


事例6

Fは、本邦において有限会社を設立し、設計会社を営むとして在留資格変更許可申請を行ったが、提出された資料から事業所が法人名義でも経営者の名義でもなく従業員名義であり同従業員の住居として使用されていたこと、当該施設の光熱費の支払いも同従業員名義であったこと及び当該物件を住居目的以外での使用することの貸主の同意が確認できなかったことから、事業所が確保されているとは認められなかったもの


2事業の継続性について

事業活動においては様々な要因で赤字決算となり得るところ、当該事業の継続性については、今後の事業活動が確実に行われることが見込まれることが必要です。 他方で、単年度の決算状況を重視するのではなく、貸借状況等も含めて総合的に判断することが必要であることから、直近二期の決算状況により次のとおり取り扱うこととします。        1直近期又は直近期前期において売上総利益がある場合

a直近期末において剰余金がある場合又は剰余金も欠損金もない場合

 直近期において当期純利益があり同期末において剰余金がある場合には、事業の継続性

 に問題はありません。 また、直近期において当期純損失となったとしても、剰余金が 

 減少したのみで欠損金とまでならないものであれば、当該事業を継続する上で重大な影

 響を及ぼすとまでは認められないことから、この場合においても事業の継続性があると

 認められます。 債務超過となった場合、一般的には企業としての信用力が低下し、事 

 業の存続が危ぶまれる状況となっていることから、事業の継続性を認め難いものです 

 が、債務超過が1年以上継続していない場合に限り、1年以内に具体的な改善(債務超

 過の状態でなくなることをいう。)の見通しがあることを前提として事業の継続性を認 

 めることとします。
  具体的には、直近期末において債務超過ですが、直近期前期末では債務超過となってい 

 ない場合には、中小企業診断士や公認会計士等の企業評価を行う能力を有すると認めら 

 れる公的資格を有する第三者が、改善の見通し(1年以内に債務超過の状態でなくなる 

 ことの見通しを含む。)について評価を行った書面(評価の根拠となる理由が記載され

 ているものに限る。)の提出を申請者に求めることとし、当該書面を参考として事業の

 継続性を判断することとします。
  したがって、直近期末において剰余金がある場合又は剰余金も欠損金もない場合には、

 事業の継続性があると認められます。


 b直近期末において欠損金がある場合

ア直近期末において債務超過となっていない場合

 事業計画、資金調達等の状況により、将来にわたって事業の継続が見込まれる可能性を 

 考慮し、今後1年間の事業計画書及び予想収益を示した資料の提出を求めることとし、

 事業が行われていることに疑義があるなどの場合を除いて、原則として事業の継続性が

 あると認められます。 ただし、当該資料の内容によっては、中小企業診断士や公認会

 計士等の企業評価を行う能力を有すると認められる公的資格を有する第三者が評価を

 行った書面(評価の根拠となる理由が記載されているものに限る。)の提出をさらに求

 める場合もあります。

イ直近期末において債務超過であるが、直近期前期末では債務超過となっていない場合

ウ直近期末及び直近期前期末ともに債務超過である場合

 債務超過となって1年以上経過しても債務超過の状態でなくならなかったときは、事業

 の存続について厳しい財務状況が続いていること及び1年間での十分な改善がなされて

 いないことから、事業の継続性があるとは認められません。


2直近期及び直近期前期において共に売上総利益がない場合

企業の主たる業務において売上高が売上原価を下回るということは、通常の企業活動を 行っているものとは認められず、仮に営業外損益、特別損益により利益を確保したとしても、それが本来の業務から生じているものではありません。 単期に特別な事情から売上総利益がない場合があることも想定されるところ、二期連続して売上総利益がないということは当該企業が主たる業務を継続的に行える能力を有しているとは認められません。 したがって、この場合には事業の継続性があるとは認められません

 在留資格「経営・管理」の許可基準
(a) 事業経営の場合

. 年間500万円以上の投資がされていること                                                            . 事業営むための事業所・店舗・施設の確保がされていること                                       . 経営者以外に日本に居住する者の常勤社員2名以上を雇用すること
(b) 外国人経営者に代わって経営管理業務をする場合                     .事業の経営又は管理について3年以上の経験(大学院において経営又は管理にかかる科目を専攻した期間を含む)                              .日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けること。

                              

 


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2015年

7月

09日

在留資格「定住者」の連れ子

 「横浜のアオヤギ行政書士事務所」が在留資格「定住者」の連れ子の在留資格につき解説いたします。 本日の依頼は、日本人男性と離婚した外国人女性からです。 離婚に伴い、彼女の在留資格を「日本人配偶者等」から「定住者」に在留資格変更許可申請をしなければなりません。 彼女の連れ子12歳は、元々「定住者」を取得して在留しておりましたので、同じ在留資格「定住者」になることから、在留資格変更許可申請ではなく、在留期間更新許可申請することになります。 

 ご質問やご意見は下記のフォームに記載のうえ、メールにて送信下さい。 なお、返信希望のご質問は、貴メールアドレスをお忘れなく。

 

 定住者の在留資格認定要件は、法務大臣が特別な理由を考慮して一定の在留期間を指定して居住を認める者となっています。

 審査要件が、具体的に決まっているもの(告示該当定住者)と、決まっていないもの(非告示該当定住者)があります。 

 告示該当定住者の要件は、外国から日本に上陸するためには、原則として平成2年法務省告示第132号に該当する場合に限り認められると規定してあります。 

 「定住者」に係る在留資格認定証明書の交付申請が出来る場合、即ち「定住者」として新規入国できる場合は告示該当定住者に限定ということです。

告示該当定住者の事例

1.タイ国内において一時的に庇護されているミヤンマー難民で一定の条件に該当する者

2.日系人の子として出生した者の実子であって素行が善良であるものにかかる者。

3.日本人の子として出生した者でかって日本国民として本邦に本籍をゆうしたことがある

  者の実子であって素行が善良であるものにかかる者。

4.本件告示に該当し、あるいは上陸特別許可、在留資格の変更、在留資格の取得、在留特

  別許可等を受けて定住者として在留する者のうち指定されている在留期間が一年以上の

  配偶者

5.特別永住者の扶養を受けて生活するものの未成年で未婚の実子

6.1年以上の在留期限を指定されている「定住者」の扶養を受けて生活する未成年で未婚の

  実子


 非告示該当定住者の要件は、入管法別表第二によれば「法務大臣が特別な理由(原則でない場合)を考慮して一定の在留期間を指定して居住を認める者」とあります。在留資格で、人道上の理由その他特別な理由がある場合に認められると規定されています。 非告示定住者として「定住者」の取得を希望する場合は、現在有する在留資格から「定住者」への在留資格変更許可申請を行うことになります

 

実際によくある非告示該当定住者の事例は、

1.「日本人の配偶者等」の在留資格を持つ外国人が、配偶者の本国の連れ子を日本  

  に呼びよせる場合

2.「日本人の配偶者等」の在留資格を持つ外国人が、本国の高齢の親を日本に呼び

  よせる場合

3.「日本人の配偶者等」の在留資格を持つ外国人が、日本人と離婚または死別後引

  き続き日本に在留する場合

4.「日本人の配偶者等」の在留資格を持つ外国人が、離婚または死別後、引き続き

  日本人との間の実子を扶養する場合

 

 在留資格「定住者」には、実に様々なケースが含まれており、それぞれの状況に応じて提出資料等も異なります。 まずは自分が申請しようとする「定住者」の在留申請が「定住者」の中でどのケースに該当するのかを明確にすることです。

 




           

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2015年

7月

08日

養育費(Child Support Expense) の問題点

 「横浜のアオヤギ行政書士事務所」が離婚する場合に取り決める項目の一つである

養育費(Child Support Expense) につき解説いたします。 ご質問やお問合せは、下記のフォームに記載のうえ、メールにて送信下さい。 なお、返信希望のご質問には、貴メールアドレスの記載をお忘れなく。 


 昨日、外国人妻が、日本人夫と離婚の相談です。 子供は一人おります。 彼女は離婚6ヶ月後に再婚を予定しております。 この場合の養育費につき、引き続き前夫から貰えるのか?ということでした。 答えは貰えますが、減額要請されることもあります。 また、再婚相手と子供が養子縁組すると、扶養義務者が変更し、貰えなくなる可能性が高くなります。


 養育費(Child Support Expense) とは離婚後、子供を監護しない親から、監護する親に対して支払われる費用のことです。 一般的には、親権者・監護者に母親になることが多いので、父親が母親に対して支払うことになります。 協議離婚の場合には、合わせて協議文書を公正証書で作成することを勧めます。 強制執行をする場合に、公正証書正本の提示でできるこになります。 調停離婚や訴訟離婚の場合には、付帯して請求して、定められることが一般的です。 勿論、離婚後に請求することも可能です。 さらに、事後的に、状況が変化したことを理由に、増減額請求することも可能です。

 算定基準は、基本的には、裁判所が作成した養育算定表に従って、形式的に算定されます。 算定表が修正適用されるのは、一般的に予見出来る範囲を超えた「特別な事情」があるときに限定されます。

 

状況が変化すとは

①母親が再婚した場合

 母親が再婚しても、養育費の支払いは、継続させなければなりません。 原則は、父親の  

 子どもなので、父親と同じレベルの生活をさせる義務があります。 しかし、母親と協議

 することは可能です。 協議不可の場合は、減額調停も可能です。

②母親が再婚し、再婚相手と子供が養子縁組をした場合

 養子縁組をした再婚相手が子どもの扶養義務を負うことになります。 従って、養子縁組

 が大きな要件になります。

③父親が再婚した場合 

 父親が再婚した場合は養育費の減額調停をすることができます。 父親は、前妻の子ども

 だけではなく、再婚相手と再婚相手の子どもにも、当然、扶養義務を負いますので、収入

 を再婚相手と再婚相手の子どもにも割付けなければなりません。 再婚相手が無職の場合  

 と有職により、異なることになります。 再婚して再婚相手とに、子どもができた場合、

 養育費は2分の1~3分の1程度に減額することが可能だと考えます。




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2015年

7月

07日

在留資格「永住者」変更許可申請受任

「横浜のアオヤギ行政書士事務所」永住許可申請につき、解説いたします。  

 先日、ヨーロッパ出身36歳の(在留資格「日本人配偶者」)の女性から、永住許可への在留資格変更許可申請の取次依頼を受任しました。 夫は日本人で大手一部上場金融関係の社員です。 二人の間に9歳の子どもが一人存在しています。

 許可申請に当たり、特に問題はあるようには見えませんが、唯一、夫が永住許可申請に非協力的であるという点でした。 従って、夫から身元保証書を得ることは出来ないことです。

 ご意見やご質問は下記のフォームに記載のうえ、メールにて送付下さい。 なお、返信希望のご質問には、貴メールアドレスの記載をお忘れなく。

 

永住許可要件(審査基準

1.素行が善良であること

         法律を遵守し日常生活においても住民として社会的に非難されることのない生活を営

   んでいること

2.独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること

   日常の生活において公共の負担にならず、その有する資産又は技能等から見て将来に

   おいて安定した生活が見込まれること、しかし、今回の場合のように夫が大手企業の

   社員であり、高収入である場合には、この独立生計要件は不要です。

3.健康であること

4.身元保証人があること

   身元保証人になれるのは日本人又は永住者のみです。

   身元保証人はA)身元保証書、B)保証人の職業証明書、C)保証人の住民票、D)保証人の

   所得証明書を入管局に提出します。 

   入管法における身元保証人とは、外国人が日本において安定的かつ継続的に入国目的

   を達成することが出来るように必要に応じて外国人の経済的保証及び法令遵守等生活

   指導を行う旨を法務大臣に約束する人のことです。

   身元保証書の保証事項(1.滞在費、2.帰国旅費、3.法令遵守)について身元保証

   人に対して法的な強制力はありません。 すなわち、当該外国人が仮に借金をして返

   済不能になった場合、保証人が自動的に債務を負うことはありません。

5.その者の永住が日本の利益に合うと認められること

   A)原則として引き続き10年以上本邦に在留していること。 但し、この期間のうち

    労資格又は居住資格を持って引き続き5年以上在留していることを要する。

    B)罰金刑や懲役刑を受けていないこと。 納税義務等公的義務を履行していること。

        C)現に有している在留資格について、入管法施行規則別表第2に規定されている最長の

    在留期間をもって在留していること。

    D)公衆衛生上の観点から有害となるおそれがないこと

     ※但し、日本人、永住者、又は特別永住者の配偶者や子である場合には、(1)及び(2)に適

   合することを要しない。 また、難民の認定をうけている者の場合には、(2)に適合す

   ることを要しない。

 

原則10年在留に関する特例

 1.日本人、永住者及び特別永住者の配偶者の場合、実態を伴った婚姻生活が3年以上継

   続し、かつ、引き続き1年以上本邦に在留していること。 その実子等の場合は1年以

   上本邦に継続して在留していること。

 2.「定住者の在留資格で5年以上継続して本邦に在留していること

 3.難民の認定を受けた者の場合、認定後5年以上継続して本邦に在留していること

 4.外交、社会、経済、文化等の分野において我が国への貢献があると認められる者で、

   5年以上本邦に在留していること。

 

永住許可申請の必要書類

  永住許可申請の必要書類は1)日本人配偶者、永住者の配偶者からの場合、2)定住者

 からの場合、3)家族滞在ビザからの場合、4)就労資格ビザからの場合によって異なりま

 すので、注意が必要です。 なお、審査の過程において追加資料を要求される場合があり

 ます。 証明書や謄本は発効日から3ヶ以内のものが必要です。 すべてに申請者の写真

  (縦4㎝×横3㎝)1枚も必要です。

 

1)日本人配偶者、永住者の配偶者の場合

   A)永住許可申請書

   B)日本人配偶者の戸籍謄本               family register of Japanese spouse

   C)申請人の本国での婚姻証明書         marriage certificate of applicant

   D)申請人の住民票                           resident card of applicant

   E)日本人配偶者の住民票                   resident card of Japanese spouse

   F)その他家族全員の住民票                resident card of all family

   G)申請人の在職証明書                    incumbency certificate of applicant

   H)申請人の源泉徴収票                      withholding slip of applicant

    I)住民税課税証明書  (過去一年分)   resident taxation certificate

    J)住民税納税証明書(過去一年分)   resident tax certificaate

   K)身元保証書(夫または妻でも可能) letter of gurantee

   L)保証人の職業証明書                      gurantor of vocational certificate

   M)保証人の所得証明書                     income certificate

   N)保証人の住民票                           resident card of gurantor

   O)住居報告書                                 residential report

   P)家族状況報告書                            family status report

   R)パスポート及び在留カード(原本提示)

 

2)定住者からの場合 

   A)永住許可申請書

   B)理由書

               外国語で作成する場合は翻訳文を添付します。

   C)定住者の身分関係を証明するもの

     戸籍謄本、出生証明書、婚姻証明書等

   D)申請人の住民票

   E)その他家族全員の住民票

   F)申請人の在職証明書

   G)申請人の源泉徴収票

   H)申請人(又は扶養する者)の貯金通帳の写し

    I)申請人(又は扶養する者)の不動産登記事項証明書等

    J)住民税課税証明書(過去一年分)

   K)住民税納税証明書(過去一年分)

   L)身元保証書(夫または妻でも可能)

   M)保証人の職業証明書

   N)保証人の所得証明書

   O)保証人の住民票

   P)住居報告書

   Q)家族状況報告書

   R)日本からの表彰状、感謝状など(ある場合)

   S)パスポート及び在留カード(原本提示)

 

3)家族滞在ビザからの場合(夫又は妻が就労ビザの場合)

   A)永住許可申請書

   B)理由書

   C)家族滞在の身分関係を証明するもの

    (戸籍謄本、出生証明書、婚姻証明書等)

   D)申請人の住民票

   E)その他家族全員の住民票

   F)夫又は妻の在職証明書

   G)夫又は妻の源泉徴収票

   H)夫又は妻の貯金通帳の写し

    I)夫又は妻の不動産登記事項証明書等

    J)住民税課税証明書(過去3年分)

   K)住民税納税証明書(過去3年分)

   L)身元保証書(夫または妻でも可)

   M)保証人の職業証明書

   N)保証人の所得証明書

   O)保証人の住民票

   P)日本からの表彰状、感謝状など(ある場合)

   Q)パスポート及び在留カード(原本提示)

 

4.就労資格ビザからの場合

   A)永住許可申請書

   B)理由書

   C)申請人の住民票

   D)その他家族全員の住民票

   E)申請人(又は扶養する者)の在職証明書

   F)申請人(又は扶養する者)の源泉徴収票

   G)申請人(又は扶養する者)の貯金通帳の写し

   H)申請人(又は扶養する者)の不動産登記事項証明書等

    I)住民税課税証明書(過去3年分)

    J)住民税納税証明書(過去3年分)

   K)身元保証書

   L)保証人の職業証明書

   M)保証人の所得証明書

   N)保証人の住民票

   O)日本からの表彰状、感謝状など(ある場合)

   P)パスポート及び在留カード(原本提示)

 

許可申請の標準処理期間

 法務局のホームページによると4ヶ月となっておりますが、これより遅れることが多いです。

 

永住許可事例

例1

 科学技術研究者として活動し、科学技術誌に研究論文数十本を発表した実績が我が国の科学技術向上への貢献があったものと認められた(在留歴9年5月)。

事例2

 我が国のアマチュアスポーツ選手として活躍し、その間にW杯への出場やスポーツ指導者として我が国のスポーツの振興に貢献があったものと認められた(在留歴7年7月)。

事例3
 音楽分野の大学教授として我が国の高等教育活動に従事し、その間、無償でアマチュア演奏家を指導するなど我が国の教育や文化の振興に貢献があったものと認められた(在留歴5年10月)。

事例4
 日本文学研究者として勲3等旭日中綬章授賞のほか各賞を受賞し、文学の分野での貢献があったものと認められた(通算在留歴9年、入国後3月)。

事例5
 長期間にわたり我が国の大学教授として勤務し、高等教育に貢献が認められた(在留歴7年)。

事例6
 大学助教授として我が国の高等教育活動に従事し、その間、科学技術研究者としての成果も顕著であり、多数の科学技術誌への研究論文の掲載の他、各種学会、研究グループの指導等を行い、我が国の産業、教育等の分野に貢献があると認められた(通算在留歴9年5月、入国後7年11月)。

事例7
 システム開発等の中心的役割を担う立場として顕著な実績を挙げており、その実績は高く評価されていることから、我が国の情報技術産業に貢献が認められた(通算在留歴10年9月、入国後6年)。

事例8
 長期間にわたり在日外交官として勤務し、国際関係分野において貢献が認められた(通算在留歴6年3月)。

事例9
 本邦での研究の結果、多数の学術誌に掲載し、国際会議での招待講演を要請される等、その分野において国際的に認められている他、国内の企業・研究所との共同研究に携わっており、我が国の学術・技術分野に貢献が認められた(在留歴7年9月)。

例10 

我が国の大学助手として4年以上勤務しており、高等教育活動に従事しているほか、派遣研究員として第三国で研究活動を行う等、研究面においても一定の評価があることから、我が国の学術分野において貢献が認められた(在留歴7年3月)。

事例11
 我が国の大学の常勤講師として3年以上勤務しており、我が国の高等教育(外国語)の水準の向上に貢献が認められた(通算在留歴8年1月)。

事例12
 我が国の大学助教授として5年以上勤務しており、高等教育(外国語)の水準の向  上に寄与しているほか、大学入試センター試験等各種教育活動に参画していること などから、我が国の教育分野において貢献が認められた(在留歴7年2月)。

事例13 

 我が国の大学助教授として3年弱勤務しており、我が国の高等教育(情報技術)の水準の向上に貢献が認められた(通算在留歴17年4月,入国後4年11月)。

事例14 

 我が国の大学の助教授及び教授として5年以上勤務しており、我が国の高等教育(国際法)の水準の向上に貢献が認められた(在留歴5年6月)。

事例15
 我が国の大学助手として3年以上勤務し物理学の研究指導等をおこなっているほか、基礎物理学の研究を行いその成果は学術雑誌に多数掲載されている等、我が国の学術分野において貢献が認められた(在留歴11年2月)。

事例16
 我が国の大学教授として3年以上勤務しており、我が国の高等教育(国際政治学)の水準の向上に貢献が認められた(在留歴13年7月)。

事例17

  入国以後,我が国の大学で約9年にわたり勤務し、我が国の高等教育(外国の教育学、外国文化)の水準の向上に貢献が認められた(在留歴8年11月)。

事例18
 我が国の大学で教授として通算約22年間勤務し、我が国の高等教育(神経心理学)の水準の向上に貢献が認められた(在留歴7年6月)。

事例19

 生物学研究者として活動し、その研究の成果が実用面への利用されていること等、十分な結果を出していることから、我が国の研究分野において貢献が認められた(在留歴10年10月)。

事例20
 入国以後、我が国の大学で教授として8年以上勤務し、我が国の高等教育(情報技術)の水準の向上に貢献が認められるほか、研究分野では国内外から高く評価されていることから、我が国の教育・研究分野において貢献が認められた(在留歴9年9月)。

事例21

 医療関係の研究を行っており、関係機関から表彰を受ける等、国内外から高く評価されていることから、我が国の研究分野において貢献が認められた(在留歴9年8月)。

事例22
 在日外国公館に通算約10年勤務し、その間に我が国と派遣国の国際交流に貢献があったものと認められた(在留歴8年)。

23
 入国以後、我が国で先端技術に係る研究を行い、その成果は国内外の学術雑誌への掲載、学会での発表等しており、我が国の研究分野において貢献が認められた(在留歴8年3月)。

24
 入国以降、一貫して地方における英語教育に従事する一方で、地方の方言で語りながら伝統的楽器を演奏することで伝統文化を内外に宣伝する活動あるいは大学での講義を通じて外国人の視点に立った我が国の地方文化を内外に広める活動を行っており、文化・芸術分野における貢献が認められた。(在留歴7年)

事例25
 我が国の大学の医学部整形外科学講座で3年以上勤務し、整形外科学に係る学術雑誌において多数の論文が特集で掲載され、著名な専門雑誌にも論文が引用されており、研究分野における貢献が認められた。(在留歴13年4月、就労資格変更後3年)

事例26
 我が国の大学の農学部助教授として5年以上勤務しており、我が国の高等教育の水準の向上に貢献が認められたほか、国内及び国外の学会においてその研究成果が高く評価され、著名度の高い外国雑誌に掲載されるなど、研究分野においても貢献が認められた。(在留歴5年7月)

事例27
 入国以来6年間にわたって、独立行政法人に所属しながら我が国の研究所において研究活動に従事しており、専門分野の雑誌に掲載されている論文も多数あり、我が国の研究分野における貢献が認められた。(在留歴6年)

事例28
 我が国の大学の常勤講師として6年以上勤務しており、独自の語学教授法を開発し、教科書の編纂や講師の教育にも従事し、我が国の教育分野における貢献が認められた。(在留歴6年2月)

事例29
 本邦内で、日本応用磁気学会、日本セラミックス協会、日本応用物理学会等において学術活動をし、磁性薄膜及び応用分野の学術・技術発展に貢献し、多数の論文と特許出願を行っており、我が国の研究分野への貢献が認められた。(在留歴8年8月)

事例30
 本邦内の会社員として勤務しながら、電気学会において多数の論文を発表し、学術雑誌等において表彰され、権威ある賞を受賞していることから、研究分野での貢献が認められた。(在留歴10年4月、就労資格変更後4年3月)

事例31
 本邦内の国立大学工学部の教授として約8年間勤務し,我が国の高等教育の水準の向上に貢献したことが認められた。(在留歴8年3月)

事例32
 入国以来、本邦内の大学で、専任講師、教授等として、約7年間英語教育に従事し、我が国の高等教育の水準の向上への貢献が認められた。(在留歴6年9月)

事例33
 本邦内の自動車生産会社に勤務し、粉末冶金関係の論文を多数発表し、日本金属学会誌等に多数掲載されているほか、権威ある協会から表彰されており、産業の発展及び研究分野における貢献が認められた。(在留歴8年6月)

事例34

本邦内の大学の経済学部博士課程を修了後、大学の教育職員として採用され、約3年間助教授として講義を担当しているほか、国際的ネットワークを構築するためのプロジェクトのメインコーディネーターを任されるなど教育分野での貢献が認められた。(在留歴7年)

35
 オリンピックに出場した日本人選手のコーチを勤めていたほか、現在も次期オリンピックに出場する見込みのある選手のコーチをしており、その他の活動等を通じて、我が国におけるスポーツ等の振興に多大な貢献のあった者として認められた。(在留歴6年7月)

事例36
 約20年前から日本国内でスポーツ競技大会に出場し、日本において競技生活を続けている者で、権威ある協会から、日本における同競技の発展に大いに貢献している旨表彰されており、我が国におけるスポーツ等の振興に多大な貢献のあった者として認められた。(在留歴7年6月)

事例37
 留学生として約14年間在留し、以降大学の専任講師として約4年間、異文化間コミュニケーション等の授業を担当しており、我が国の高等教育の水準の向上に貢献したことが認められた。(在留歴18年1月、就労資格変更後4年8月)

事例38
 本邦内において、ナノテクノロジー、フルカラー半導体ナノ粒子の合成等に関係する多数の論文を発表しており、日本化学会、高分子学会等において、独自の研究成果を発表していることから、研究の分野への貢献が認められた。(在留歴8年8月、就労資格変更後3年7月)  

 

在留資格永住者の取消理由

(1)永住許可申請に虚偽があったと入国管理局が認めた場合
(2)再入国許可制度を使わずに出国した場合

(3)再入国許可制度を使って出国して、再入国許可期限までに再入国しなかった場合(4)届け出た住居地から退去後90日以内に住居地の届出をしなかった場合や虚偽の住

  居地の届出をした場合

 

永住不許可

事例 1
 日本産競走馬の生産・育成、輸出、馬産農家経営コンサルタント、講演等を行っているとして申請があったが、入国後1年半と短期であることから不許可となった。

事例2
 画家として多数の作品を製作・保有し、美術館の建設後に寄贈するとして申請があったが、在留状況が良好とは認められず(不正な在留に関与)、不許可となった。  事例3

 外国人の子弟の教育を行う機関において教師の活動を行っているとして申請があったが、当該活動のみをもって社会的貢献等には当たらないものとして不許可となった。

事例4
 約1年間、高校で教師をしている他、通訳等のボランティア活動を行っているとして申請があったが、当該活動のみをもって社会的貢献等には当たらないとして不許可となった。

事例5
 本邦で起業し、当該法人の経営を行っているが、その投資額、利益額等の業績からは顕著なものであるとはいえず、我が国経済又は産業に貢献があるとは認められず、不許可となった。

事例6

 大学で研究生として研究活動を行っているが、教授等の指導を受けて研究している通常の研究生、学生等の範囲内での研究活動であり、研究分野において貢献があるとまでは認められず、不許可となった。

事例7

 投資関連企業の課長相当職にある人物であるが、当該勤務のみをもって我が国経済に貢献があるとは認められず、他に貢献に該当する事項もないことから不許可となった。

事例8
 システム開発関連企業の課長補佐相当職にある人物であるが、当該勤務のみをもって我が国経済に貢献があるとは認められず、他に貢献に該当する事項もないことから不許可となった。

事例9

 約9年間、本邦に在留し、作曲活動や自作の音楽作品発表会を行い、我が国と本国との音楽分野における交流に努めているとして申請があったが、文化・芸術分野における我が国への貢献とは認められず、不許可となった。

事例10
 約9年間、本邦に在留し、我が国の芸能人による本国での公演の実現、我が国と本国の企業交流にかかるイベント実現等を理由に申請があったが、我が国への貢献とは認められず,不許可となった。

事例11
 入国後、3年間は留学生として在留し、その後、我が国の大学の医学部助手として5年間勤務していたが、我が国の高等教育の水準の向上に貢献があったものとは認められず不許可となった。

事例12
 語学指導助手として入国し、3年間は本邦内の中学校で、それ以降は高等学校において約4年間英語教育に従事していたが、日本の大学又はこれに準ずる機関の常勤又はこれと同等の勤務の実体を有する教授、助教授又は講師としては認められず、高等教育の水準の向上に貢献のあった者とは認められなかった。(在留歴6年11月)

 

永住許可Q&A(入管実務)

 Q1 「家族滞在」で在留中の者が永住許可申請する場合、申請時においては「最長の

       在留期間」を有していながら、申請中に起業し「投資・経営」などに在留資格

       を変更すると 「最長の在留期間」でなくなる場合があります。 この場合、再び

       「家族滞在」に変更すると、国益要件に該当すると考えられますか?

A1 この場合、永住は許可にはなりません。 もしも他の家族が永住許可になるのな

       ら、「永住者の配偶者等」への在留資格変更を考えたら良いです。

Q2   長期海外出張中のものであって、会社の都合による出張であり、本邦の企業から

       報酬が引続き支給されているような場合、在留期間の更新が認めれていることが

       多いです。 この点「10年以上」の判断に当たっては、海外在留中の期間を控除

       する必要がありますか? 海外出張が長期の及ぶと、海外出張を終えて帰国した

       時点が「10年」の起算点となりますか?

A2 帰国した時点を起算点とはしません。 本人が海外にいても、家族が日本にいる

       なら、生活基盤は日本にあるとのプラス評価になるかもしれませんが、殆どの期

       間、本人が海外にいるような場合は厳しいです。

Q3  「就労資格又は居住資格」で在留中の者で、出国中に病気や止むを得ない理由に

   より再入国の有効期間経過後に上陸をみとめられ、かつ、出国前と同一の在留資

       格で在留している者)は、国益要件に適合していると判断し得るとされていま

       す。 すると、本邦の大学に在学中の者が大学の交換留学制度により海外の大学

       に留学中、本邦起業からの就職内定を得て、就労資格に書かう在留資格認定証明

       書の交付を得て帰国するような場合は、国益要件に適合しないこととなるのです

       か?

A3 本省が認めれば、許可の可能性もあるかもしれません。

Q4   永住より帰化のほうが簡単と思うことがあり、外国人もそう思っている人がいる

   が、是正する予定はありますか? その問題が法務省内で問題になることはない

       のですか?

A4 どちらが簡単かわかりません。 法務省内の話を全て承知しているわけではない

       ですが、聞いたことはありません。

Q5   永住や定住の在留資格では、生活保護が受給できるため、今後、外国人を少子高

       齢化対策の補充移民で受け入れようとすると、上陸1年目で生活保護が受給でき

      る人が増加する可能性があります。 外国人と日本人を区別する考えはあります

       か?

A5  この質問は立法論の問題なので、答えることは難しいが、例えば「家族滞在」で

      入国後、すぐに生活保護になるというケースは現状でもあります。 それを踏ま

      えての事前審査は難しいです。

Q6  永住許可審査において、年金、健康保険の加入状況は現在どのような要件で運用

  していますか? 今後の予定は?

A6 申請時に資料を全て提出してくれという運用はしていません。 提出書類から加   

  入していないと疑われるような場合には、追加資料を求め、それが出せなければ

  不許可としています。 不許可になっても、翌年、適切に納付資料が提出できれ

  ば、許可となります。

Q7  日本人とフィリピン人が日本で結婚して、日本では婚姻が有効ですが、フィリピ

  ンでは婚姻しが有効か否かに疑義がある場合は、日本で婚姻が有効である限り 

  「日本人の配偶者」の資格の該当性はあるとの認識で良いですか? 永住者のブ

  ラジル人がフィリピン人と日本で婚姻し、日本では有効に婚姻が成立して、フィ

  リピンとブラジルでは婚姻がが有効か否かに疑義がある場合は、「永住者の配偶

  者」資格該当性があると考えてよいですか? それとも、本国での婚姻が明確に

  有効でない限りは資格該当性がないものと考えるべきなのですか?

A7 日本の法務局が認めているのなら、資格該当性があると判断しています。 ただ  

  し、本国に届出を出してくれという指導に従えない場合には、不許可になること

  があります。 大使館が受け付けてくれないというのであれば、その旨を届出し

  てほしい。

Q8 上記に、年金と健康保険の加入状況の質問がありますが、その取扱いは年金も同

  じですか?

A8 年金は健康保険ほど厳しくしていません。 なお、会社の経営を左右出来る「投

  資・経営」の人の場合は話は別で、未加入は不許可になります。 また、会社が

  入れてくれなくても、自身で国民年金に加入いているなどであれば、問題ありま

  せん。

Q9 在留期間の問題について、在留歴の途中で出国準備の「特定活動」を挟んだ場合

  は、永住審査における扱いはどうなるのですか?

A9 それを何度も繰り返しているという場合は、問題になるが、1回程度なら問題に

  はなりません。

Q10 「日本人の配偶者等」で在留中の中国人女性です。 2009年中国で日本人男性 

  と婚姻し、来日。 半年後、離婚し、現在の日本人男性と再婚。 現夫は無職で

  生活保護受給中。 永住許可の申請するも不許可となった。 中国から送金して

  もらい、商売を始めれば、永住許可の可能性はありますか?

A10 生活保護が直接的な不許可の理由でしょう。 まず、安定した仕事に就居て、納 

  税を3年以上継続することです。 それからの申請となります。 一方、商売が

  うまくいき、収入が安定すれば、可能性はあります。

Q11 2010年7月に不法在留から「在留特別許可」にて「日本人の配偶者等」の在留

  資格を得て、現在4年が経過します。 入管に永住許可申請をしたところ、不許

  可になりました。 永住許可・帰化許可を取る方法はありますか?

A11 不法在留から永住・帰化許可は、不法在留期間やその当時の状況、在留特別許可

  後の在留状況などを見て判断されます。 現状では、年数だけでも不十分。

Q12 中国人女性ですが、日本人と1999年に婚姻し、在留資格「日本人の配偶者等」

  で在留も、殆ど中国に帰っており、日本には、1~2ヵ月しか滞在しない。

  前夫の間に成人した息子がいるが、息子は現日本人夫と養子縁組をしています。

  息子を日本に呼ぶこと可能ですか? 息子の在留資格は? 中国人女性の在留資

  格を「日本人配偶者等」から「永住者」に変更できますか?

A12 息子は成人しているため、身分系の在留資格の対象とはなりません。 日本の仕

  事を見つけて、「技術」などの在留資格取得が現実的です。 中国人女性の在留

  資格「永住者」は生活基盤が日本になってからの話です。

 

 

 

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2015年

7月

05日

事実婚(内縁・準内縁)

 「横浜のアオヤギ行政書士事務所」事実婚(内縁)につき解説いたします。 

 

萬田久子 事実婚とは、お互い合意(婚姻の意思)のうえで、婚姻の届けを役所に出すことなしに、夫婦共同生活を送ること(夫婦共同生活の実態)を言います。 また、周りの人からも夫婦であると認知されていることも要件になります。 事実婚の法的解釈は、普通の夫婦と同じ責任をお互いに負っています。 一方、法律婚の夫婦と同じ権利が認められている部分もありますが、税金面での優遇がないこと、相続権がないことなど、法律で保護されないといった不安要素も多く含んでいます。 事実婚を解消するときは普通の離婚と同様に、財産分与請求権はあります。 ⇒写真は、事実婚をしていた萬田久子さん。


 事実婚の法的責任

①同居・協力・扶助義務
②貞操義務
③婚姻費用分担義務
④日常家事債務の連帯責任
⑤夫婦別産制と帰属不明財産の共有推定
⑥財産分与と不当破棄への慰謝料
⑦第三者の不法行為に対する救済

 


事実婚のメリット 
 

①夫婦別姓が実現できるので、姓の変更に関わる面倒な対応が不要

②相手の親族と適度な距離を保てる

③対等なパートナーシップを築きやすい

④別れても戸籍に×がつかない

⑤語財産分与や不貞行為への慰謝料請求は、法律婚と同じように認められている

 

事実婚のデメリット  

①配偶者控除や配偶者特別控除は、「配偶者」がいなければ受けられません。 配偶者は、

 婚姻届を出して初めてなることができるので、婚姻届を出していない事実婚では受けられ

 ません。

②社会的信用を得にくい。

③夫婦生活を解消するのが容易なため、離婚につながりやすい。

④生命保険や財産の相続などを利用する際、制限がかかる場合が多い

⑤相続権がない

⑥子どもの児童手当が不支給になる。

 

 

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2015年

7月

04日

在留資格「永住者の配偶者等」

  「横浜のアオヤギ行政書士事務所」が在留資格「永住者の配偶者等」につき解説いたします。 ご質問やご意見は下記のフォームに記載の上、メールにて送信下さい。 なお、返信希望のご質問には、貴メールアドレス記載をお忘れなく。

   在留資格「永住者の配偶者等」とは、日本に住む永住者との身分関係により付与される在留資格です。

 

永住者の配偶者等に該当する者

 ①    「永住者」の在留資格を持って在留する者の配偶者

     「特別永住者の配偶者

 ③    「永住者の在留資格を持って在留する者の子として日本で出生し、出生後引 

   き続き日本に在留する者(出生時の時に父母いずれか一方が永住者の在留資格 

   を持って在留した場合、又は本人の出生前に父が死亡し、かつ、その父が死亡

   時に永住者の在留資格を持って在留していた場合。)

 ④    特別永住者の子として、日本で出生し、出生後引き続き日本で在留する者 

在留資格認定証明書交付申請(永住者の配偶者等)必要書類

1 在留資格認定証明書交付申請書 1通
2 写真(縦4cm×横3cm) 1葉
※ 申請前3か月以内に正面から撮影された無帽、無背景で鮮明なもの。
※ 写真の裏面に申請人の氏名を記載し、申請書の写真欄に貼付して下さい。
3 永住者の住民票謄本 1通
※ 申請人との婚姻事実の記載があるもの。 婚姻事実の記載がない場合には、戸籍 

  謄本に加え婚姻届出受理証明書の提出をしてください。 
※ 発行日から3か月以内のものを提出して下さい。
4 申請人の国籍国(外国)の機関から発行された結婚証明書 1通
※ 申請人が韓国籍等で戸籍謄本が発行される場合には、お二方の婚姻が記載された 

  外国機関発行の戸籍謄本の提出でも差し支えありません。
5 永住者の住民税の課税(又は非課税)証明書及び納税証明書(1年間 

  の総所得及び納税状況が記載されたもの) 各1通
※ 1月1日現在お住まいの市区町村の区役所・市役所・役場から発行されます。
※ 1年間の総所得及び納税状況(税金を納めているかどうか)の両方が記載されて 

  いる証明書であれば、いずれか一方でかまいません。
※ 入国後間もない場合や転居等により、お住まいの区役所・市役所・役場から発行

  されない場合は、最寄りの地方入国管理官署にお問い合わせ下さい。
※ 発行日から3か月以内のものを提出して下さい。
6 身元保証書[PDF] 1通
※ 身元保証人には、日本に居住する永住者になります。 
7  質問書[PDF] 1通 
8 スナップ写真(夫婦で写っており,容姿がはっきり確認できるもの)2~3葉
 

9 392円切手(簡易書留用)を貼付した返信用封筒
※ 返信用封筒には、あらかじめ宛先を記載して下さい。
11
 その他 

 

在留資格認定証明書交付申請(永住者の実子)必要書類

1 在留資格認定証明書交付申請書 1通
2 写真(縦4cm×横3cm) 1葉
※ 申請前3か月以内に正面から撮影された無帽、無背景で鮮明なもの。
※ 写真の裏面に申請人の氏名を記載し、申請書の写真欄に貼付して下さい。
3 申請人の親の住民票 1通
※ 発行日から3か月以内のものを提出して下さい。
4 日本で出生した場合は次のいずれかの文書 1通
(1)
 出生届受理証明書
(2)
 認知届受理証明書 

5 海外で出生した場合は次のいずれかの文書 1通
(1)
 出生国の機関から発行された出生証明書
(2)
 出生国の機関から発行された申請人の認知に係る証明書(認知に係る証明書が

       ある方のみ)
6 日本で申請人を扶養する方(複数の方が扶養する場合は収入の多い方)の住民税の 

  課税(又は非課税)証明書及び納税証明書(1年間の総所得及び納税状況が記載さ

    れたもの) 各1通
※ 1月1日現在お住まいの市区町村の区役所・市役所・役場から発行されます。
※ 1年間の総所得及び納税状況(税金を納めているかどうか)の両方が記載されて 

  いる証明書であれば、いずれか一方でかまいません。
※ 入国後間もない場合や転居等により、お住まいの区役所・市役所・役場から発行

  されない場合は、最寄りの地方入国管理官署にお問い合わせ下さい。

※ 発行日から3か月以内のものを提出して下さい。
8 身元保証書[PDF] 1通
※ 身元保証人には、日本に居住する日本人(子の親又は養親)等がなります。
 
9 392円切手(簡易書留用)を貼付した返信用封筒
※ 返信用封筒には、あらかじめ宛先を記載して下さい。 

 

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2015年

7月

03日

在留特別許可が2か月で出ました!!!

 

「横浜のアオヤギ行政書士事務所」が4月7に在留特別許可希望の出頭申告したケースで、6月末に在留特別許可(日本人の配偶者等)1年が目出度くでたケースを簡単に解説します。

 外国人の彼女は、オーバースティ1年で、当事務所に日本人男性と来所しました。 

 2人は、結婚してから、入管に在留許可申請を希望しておりました。

 従って、まず、住民票もなく、婚姻要件具備証明書が取れない彼女と日本人男性の婚姻届を横浜のある区役所に提出しました。  当然ながら、添付書類は、婚姻要件具備証明書不添付陳述書をはじめ、出生証明書(訳文付)、婚姻履歴証明書(訳文付)、申立書などです。 住民票がないため、結構時間がかかりましたが、なんとか婚姻届が受理されましたので、受理証明書の発行を依頼しました。  その後、直に、東京入国管理局横浜支局に下記の書類を持参のうえ、依頼人夫婦と小職が出頭申告のため訪問しました。

 本来、結果がでるまで6ヶ月以上掛ると理解していましたが、幸いにも2ヶ月以内に許可を得ることができました。 新規発行の在留カードを確認すると、日本人配偶者等1年となっており、添付されている写真は、出頭申告したときに横浜入管1階で指紋と写真を撮られたときのものでした。

 入管の調査は、当然ながら、非常に厳しいものでありました。 突然の自宅訪問をはじめ中身の濃い取り調べが入管において行われました。

 

出頭申告時の持参必要書類

1.申告書(入管様式 別記1号の2様式)

2.陳述書(左上の写真、入管書式8ページ)

3.配偶者の履歴書(入管様式)

4.本人のパスポート・在留カード

5.本人の出生証明書

6.婚姻証明(戸籍謄本、婚姻受理証明書、

  婚姻届記録事項証明書)

7.生活状況説明資料(在職証明書、課税 

  証明書、納税証明書など)

8.住宅賃貸契約書

9.資産状況証明資料(預金通帳写等)

10.住居最寄駅からの地図

11.夫婦のスナップ写真2=3枚(裏面に撮影場所、日時記載)

12.嘆願書(配偶者や親族など)

 


 出頭申告とは、入管法24条(退去強制事由・下記条文参照に該当する外国人が、自ら地方入国管理局に出頭して申告することをいいます。  退去強制手続きの中では、在留特別許可の希望者と早期帰国希望者に2別されます。

 

在留特別許可希望の出頭申告

 退去強制手続の中において、日本で生活をしたい理由を具体的に申し立て、在留を希望することができます。

在留特別許可入管法第50条

 法務大臣は、異議の申出に理由がないと認める場合でも、次のような場合には、在留を特別に許可できるとされています。この法務大臣の裁決の特例は在留特別許可です。

  永住許可を受けているとき(入管法第50条第1項第1号)

  かって日本国民として本邦に本籍を有したことがあるとき(同第2号)

  ☆人身取引等により他人の支配下に置かれて本邦に在留するものであるとき(同第3号)

  その他法務大臣が特別に在留を許可すべき事情があると認めるとき(同第4号)

 この在留特別許可は、本来であれば我国から退去強制されるべき外国人に対して、法務大臣が在留を特別に許可することが出来るとされているものであり、法務大臣の自由裁量に委ねられています。

 

帰国希望の出頭申告

 収容されることなく、簡易な方法で手続きができる「出国命令制度」を利用して帰国することが出来ます。 退去強制手続きにより帰国した場合、最低5年間は日本に入国することができませんが、「出国命令制度」で帰国した場合、その期間は1年間となります。

出国命令制度を利用できるのは、次のいずれかに該当する方です。

 ①速やかに日本から出国する意思を持って自ら入国管理官署に出頭したこと

 ②在留期間を経過したこと以外の退去強制事由に該当しないこと

 ③入国後に窃盗等の所定の罪により懲役又は禁固に処せられていないこと

 ④過去に退去強制されたこと又は出国命令を受けて出国したことがないこと

 ⑤速やかに日本から出国することが確実に見込まれること

 

 摘発等により違反が発覚した場合は、原則、収容されることとなりますが、出頭申告した場合には、仮放免の許可により、収容することなく手続を進めることが可能です。 退去強制手続の中で、申出の内容を審査した結果、法務大臣から特別に日本での在留を認められた場合には、不法滞在の状態が解消され、正規在留者として在留資格を得て、引続き日本で生活することができます。

 

在留特別許可の許否判断積極要素

 在留特別許可の許否判断を行うに当たっての積極要素として、日本人と婚姻が成立している場合などのほか、(1)自ら入国管理官署に出頭申告したこと、(2)日本の初等・中等教育機関に在学し相当期間日本で生活している実子を監護及び養育していること、(3)日本での滞在期間が長期に及び定着性が認められること等を挙げています。

  例えば、(3)に該当し、かつ、他の法令違反等がない方が、出頭申告した場合には、在留特別許可方向で検討されやすくなります。

 

入管法24条(退去強制事由) 

次の各号のいずれかに該当する外国人については、次章に規定する手続により、本邦からの退去を強制することができる。

一 第3条の規定に違反して本邦に入つた者
二 入国審査官から上陸の許可等を受けないで本邦に上陸した者
二の二 第22条の4第1項(第1号又は第2号に係るものに限る。)の規定により在留資格を取り消された者
二の三 第22条の4第7項(第61条の2の8第2項において準用する場合を含む。)の規定により期間の指定を受けた者で、当該期間を経過して本邦に残留するもの
三 他の外国人に不正に前章第1節若しくは第2節の規定による証明書の交付、上陸許可の証印(第9条第4項の規定による記録を含む。)若しくは許可、同章第4節の規定による上陸の許可又は第1節、第2節若しくは次章第3節の規定による許可を受けさせる目的で、文書若しくは図画を偽造し、若しくは変造し、虚偽の文書若しくは図画を作成し、若しくは偽造若しくは変造された文書若しくは図画若しくは虚偽の文書若しくは図画を行使し、所持し、若しくは提供し、又はこれらの行為を唆し、若しくはこれを助けた者
三の二 公衆等脅迫目的の犯罪行為のための資金等の提供等の処罰に関する法律(平成14年法律第67号)第1条に規定する公衆等脅迫目的の犯罪行為(以下この号において「公衆等脅迫目的の犯罪行為」という。)、公衆等脅迫目的の犯罪行為の予備行為又は公衆等脅迫目的の犯罪行為の実行を容易にする行為を行うおそれがあると認めるに足りる相当の理由がある者として法務大臣が認定する者
三の三 国際約束により本邦への入国を防止すべきものとされている者
三の四 次のイからハまでに掲げるいずれかの行為を行い、唆し、又はこれを助けた者
イ 事業活動に関し、外国人に不法就労活動(第19条第1項の規定に違反する活動又は第70条第1項第1号から第3号の2まで、第5号、第7号から第7号の3まで若しくは第8号の2から第8号の4までに掲げる者が行う活動であつて報酬その他の収入を伴うものをいう。以下同じ。)をさせること。
ロ 外国人に不法就労活動をさせるためにこれを自己の支配下に置くこと。
ハ 業として、外国人に不法就労活動をさせる行為又はロに規定する行為に関しあつせんすること。
三の五 次のイからニまでに掲げるいずれかの行為を行い、唆し、又はこれを助けた者
イ 行使の目的で、在留カード若しくは日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法第7条第1項に規定する特別永住者証明書(以下単に「特別永住者証明書」という。)を偽造し、若しくは変造し、又は偽造若しくは変造の在留カード若しくは特別永住者証明書を提供し、収受し、若しくは所持すること。
ロ 行使の目的で、他人名義の在留カード若しくは特別永住者証明書を提供し、収受し、若しくは所持し、又は自己名義の在留カードを提供すること。
ハ 偽造若しくは変造の在留カード若しくは特別永住者証明書又は他人名義の在留カード若しくは特別永住者証明書を行使すること。
ニ 在留カード若しくは特別永住者証明書の偽造又は変造の用に供する目的で、器械又は原料を準備すること。
四 本邦に在留する外国人(仮上陸の許可、寄港地上陸の許可、船舶観光上陸の許可、通過上陸の許可、乗員上陸の許可又は遭難による上陸の許可を受けた者を除く。)で次のイからヨまでに掲げる者のいずれかに該当するもの
イ 第19条第1項の規定に違反して収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける流動を専ら行っていると明らかに認められる者(人身取引等により他人の支配下に置かれている者を除く。)
ロ 在留期間の更新又は変更を受けないで在留期間(第20条第5項の規定により本邦に在留することができる期間を含む。第26条第1項及び第26条の2第2項(第26条の3第2項において準用する場合を含む。)において同じ。)を経過して本邦に残留する者
ハ 人身取引等を行い、唆し、又はこれを助けた者
ニ 旅券法(昭和26年法律第267号)第23条第1項(第6号を除く。)から第3項までの罪により刑に処せられた者
ホ 第74条から第74条の6の3まで又は第74条の8の罪により刑に処せられた者
ヘ 第73条の罪により禁錮以上の刑に処せられた者
ト 少年法(昭和23年法得第168号)に規定する少年で昭和26年11月1日以後に長期3年を超える懲役又は禁錮に処せられたもの
チ 昭和26年11月1日以後に麻薬及び向精神薬取締法、大麻取締法、あへん法、覚せい剤取締法、国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律(平成3年法律第94号)又は刑法第2編第14章の規定に違反して有罪の判決を受けた者
リ ニからチまでに掲げる者のほか、昭和26年11月1日以後に無期又は1年を超える懲役若しくは禁錮に処せられた者。ただし、執行猶予の言渡しを受けた者を除く。
ヌ 売春又はその周旋、勧誘、その場所の提供その他売春に直接に関係がある業務に従事する者(人身取引等により他人の支配下に置かれている者を除く。)
ル 他の外国人が不法に本邦に入り、又は上陸することをあおり、唆し、又は助けた者
オ 日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを企て、若しくは主張し、又はこれを企て若しくは主張する政党その他の団体を結成し、若しくはこれに加入している者
ワ 次に掲げる政党その他の団体を結成し、若しくはこれに加入し、又はこれと密接な関係を有する者
(1)公務員であるという理由により、公務員に暴行を加え、又は公務員を殺傷することを勧奨する政党その他の団体
(2)公共の施設を不法に損傷し、又は破壊することを勧奨する政党その他の団体
(3)工場事業場における安全保持の施設の正常な維持又は運行を停廃し、又は妨げるような争議行為を勧奨する政党その他の団体
カ オ又はワに規定する政党その他の団体の目的を達するため、印刷物、映画その他の文書図画を作成し、頒布し、又は展示した者
ヨ イからカまでに掲げる者のほか、法務大臣が日本国の利益又は公安を害する行為を行つたと認定する者
四の二 別表第1の上欄の在留資格をもつて在留する者で、刑法第2編第12章、第16章から第19章まで、第23章、第26章、第27章、第31章、第33章、第36章、第37章若しくは第39章の罪、暴力行為等処罰に関する法律第1条、第1条ノ2若しくは第1条ノ3(刑法第222条又は第261条に係る部分を除く。)の罪、盗犯等の防止及び処分に関する法律の罪、特殊開錠用具の所持の禁止等に関する法律第15条若しくは第16条の罪又は自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律第2条若しくは第6条第1項の罪により懲役又は禁錮に処せられたもの
四の三 短期滞在の在留資格をもつて在留する者で、本邦において行われる国際競技会等の経過若しくは結果に関連して、又はその円滑な実施を妨げる目的をもつて、当該国際競技会等の開催場所又はその所在する市町村の区域内若しくはその近傍の不特定若しくは多数の者の用に供される場所において、不法に、人を殺傷し、人に暴行を加え、人を脅迫し、又は建造物その他の物を損壊したもの
四の四 中長期在留者で、第71条の2又は第75条の2の罪により懲役に処せられたもの
五 仮上陸の許可を受けた者で、第13条第3項の規定に基づき付された条件に違反して、逃亡し、又は正当な理由がなくて呼出しに応じないもの
五の二 第10条第7項若しくは第11項又は第11条第6項の規定により退去を命ぜられた者で、遅滞なく本邦から退去しないもの
六 寄港地上陸の許可、船舶観光上陸の許可、通過上陸の許可、乗員上陸の許可、緊急上陸の許可、遭難による上陸の許可又は一時庇護のための上陸の許可を受けた者で、旅券又は当該許可書に記載された期間を経過して本邦に残留するもの
六の二 船舶観光上陸の許可を受けた者で、当該許可に係る指定旅客船が寄港する本邦の出入国港において下船した後当該出入国港から当該指定旅客船が出港するまでの間に帰船することなく逃亡したもの
六の三 第14条の2第9項の規定により期間の指定を受けた者で、当該期間内に出国しないもの
六の四 第16条第9項の規定により期間の指定を受けた者で、当該期間内に帰船し又は出国しないもの
七 第22条の2第1項に規定する者で、同条第3項において準用する第20条第3項本文の規定又は第22条の2第4項において準用する第22条第2項の規定による許可を受けないで、第22条の2第1項に規定する期間を経過して本邦に残留するもの
八 第55条の3第1項の規定により出国命令を受けた者で、当該出国命令に係る出国期限を経過して本邦に残留するもの
九 第55条の6の規定により出国命令を取り消された者
十 第61条の2の2第1項若しくは第2項又は第61条の2の3の許可を受けて在留する者で、第61条の2の7第1項(第1号又は第3号に係るものに限る。)の規定により難民の認定を取り消されたもの


 

 

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2015年

6月

19日

小中学生の在留資格「留学」

「横浜のアオヤギ行政書士事務所」が平成27年1月1日から新たにスタートした小中学生の在留資格「留学」につき解説いたします。 これまでは、高校生以上が対象でしたが、今回の改正で小中学生まで拡大しました。 ご質問やお問合せは下記のフォームに記載のうえ、メールにて送信下さい。 なお、返信希望のご質問には、貴メールアドレスの記載をお忘れなく。 初回の小学生留学に関する相談料は、無料です。         

 

 東京入管に小学生の在留資格「留学」の許可申請書を提出し、4カ月の審査期間を経て許可されました。 本案件は、日本人配偶者として在留していた母親の連れ子で、在留資格「定住者」で在留していた 小学校2年生の男の子です。 在留資格要件は全て満たされており、問題なく許可が出されたと考えます。 しかし、今年から、新しく設定されたこともあり、審査に時間がかかります。

 

 2015年から、学校教育の場における、低年齢からの国際交流促進に資するため、中学生、小学生の留学生にも在留資格「留学」が付与されるようになりましたが、在留資格認定証明書を取得して、新たに日本で生活するのことも可能になりました。 すなわち、海外に住んでいる小中学生が日本の小中学校に入学可能と言う事です。

 しかし、「留学」ビザで在留する小・中学生の父母に対応するビザ(例・特定滞在)は、存在していませんので、小中学生だけで、日本で生活することになります。

 入管の許可要件は、小中学生を監護できる施設があるか、既に日本に小中学生を監護できる人(親族等)が居住している場合に限られます。 即ち、日本に小中学生を監護する親族などがいない場合は、留学する学校に寮設備があり、生活指導の先生や職員が学校に常駐していることが許可要件になります。

 

 提出必要書類

在留資格変更許可申請書、又は、在留資格認定証明書交付申請書 

在学証明書(在学期間の明記されたもの) 又は、それに代わる教育委員会発行の資料

出席証明書 
申請人が日常生活を営む宿泊施設の概要を明らかにする資料

 例)不動産の登記簿謄本、賃貸契約書、間取り図、最寄駅からの地図 、写真

監護者の住民票

監護者(日本人の場合)の戸籍謄本

監護者の所得証明書(課税・納税証明書)又は、預金残高証明書

身元保証書

出生証明書 + 訳文

誓約書

本人の小学校の通信簿(成績表)等

その他、理由書など                         

 

 

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2015年

6月

16日

インド人の婚姻具備証明書(独身証明書)

 「横浜のアオヤギ行政書士事務所」インド人の婚姻具備証明書につき解説いたします。 ご質問やお問合せは下記のフォームに記載のうえ、メールにて送信下さい。 なお、返信希望のご質問には、貴メールアドレスの記載をお忘れなく。


  インドには、婚姻具備証明書は存在しません。 従って、婚姻具備証明書が要求される場合は、それに代わる下記の書類を提出致します。

○ AFFIDAVIT(宣誓供述書) ←本人の宣誓供述
○ DECLARATION(宣誓書) ←親による本人が独身であることの宣誓

 それぞれに証人の署名と地方裁、州高裁、外務省の認証が要ります。 承認の署名は複

  数必要です。 出来ればその裁判所によく出入りしているバッキール(弁護士)や有力

  者の署名がある方が良いとされています。 州高裁までの認証があれば外務省認証の分

  は在日インド大使館での裏書きでもOKです。

 

 インド人が日本で、日本人と婚姻する場合は、婚姻届と上記書類のほか、

出生証明書←なければ「परीवाल काड़」(パリワールカード:家族全員の氏名年齢が記載されている州発行のカード)のコピーで代用可

○パスポート(持参)

を市区町村役場に和訳文添付のうえ、提出します。

 

 

 

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2015年

6月

10日

外務省認証

 「横浜のアオヤギ行政書士事務所」外務省認証につき解説いたします。 ご質問やお問合せは、下記のフォームに記載のうえ、メールにて送信下さい。 なお、返信希望のご質問には、貴メールアドレスの記載をお忘れなく。

 

 外務省認証公印確認アポスティーユは、どちらも日本の官公署、自治体等が発行する公文書に対する外務省の証明のことです。 外国での各種手続き(婚姻・離婚・出生、査証取得、会社設立、不動産購入など)のために日本の公文書を提出する必要が生じ、その提出先機関から、外務省の証明を取得するよう求められた場合、また日本にある提出先国の大使館・(総)領事館の領事による認証(=領事認証)取得に際して要求された場合に必要になります。 よって、外国の提出機関あるいは駐日大使館・(総)領事館が求めている場合のみ申請することになります。

 

 公印確認とは日本にある外国の大使館・(総)領事館の領事による認証(=領事認証)を取得するために事前に必要となる外務省の証明のことです。 外務省では公文書上に押印されている公印についてその公文書上に証明を行っています。 外務省で公印確認を受けた後は必ず日本にある外国の大使館・(総)領事館の領事認証を取得します。

・外務省における公印確認は、その後の駐日外国大使館・(総)領事館での領事認証が必要 

 となる証明ですので、必ず駐日外国領事による認証を受けてから提出国関係機関へ提出し

 て下さい。

・提出先機関の意向で日本外務省の公印確認証明ではなく、現地にある日本大使館や総領事

 館の証明が求められている場合があります。 外務省で公印確認証明を受けた書類は、現

 地日本大使館や総領事館で重ねて証明することはできませんので、注意が必要です

 

外務省認証が必要とされる主なケースには、下記のようなものがあります。

① 外国人配偶者の連れ子を日本人配偶者の養子にする場合、

  家裁の決定書謄本を外務省で認証後、住所地の役所と外国人の国籍の在日公館に提

  出します。 

② 国際結婚、日本人が外国人と婚姻する場合

  日本の方式で結婚するのか、外国の方式で結婚するのかにより異なります。 日本

  の方式の場合は市区町村役場へ婚姻具備証明書を添付して婚姻届を提出します。   

  外国の方式の場合は当該国の手続き先または駐日大使館・(総)領事館に婚姻届を  

  提出します。 外務省認証された婚姻具備証明書を添付します。

  当該国により異なることがありますので、市区町村役場又は、当該国の在日公館に

  確認が必要です。

③ 渉外離婚、日本人と外国人が離婚する場合

    日本での離婚の証明には戸籍謄(抄)本、離婚届記載事項証明書および離婚届受理証明 

      書があります。 提出先の要請書類を確認のうえ、その書類を外務省認証して提出しま

  す。

④  ビザ申請のために健康診断書に証明が必要な場合

  健康診断を受ける病院に指定があり、外務省認証ができる文書は国公立病院または赤十

  字病院発行の診断書のみが対象です。ただし、国立大学法人○○大学附属病院、独立行

  政法人○○病院などは公印確認は可能ですがアポスティーユの対象外となります。

  また、診断書に医師の私印のみで病院の公印の押印がないケースが多々ありますので、

  病院の公印、発行日付、病院名(及び医師名)があるか確認が必要です。

 

 アポスティーユ(仏語で証明文の意)

 「外国公文書の認証を不要とする条約(略称:認証不要条約)」(1961年10月5日のハーグ条約)に基づく付箋(=アポスティーユ)による外務省の証明のことです。 提出先国はハーグ条約締結国のみです。 アポスティーユを取得すると日本にある大使館・(総)領事館の領事認証があるものと同等のものとして、提出先国で使用することができます

・提出先国がハーグ条約(認証不要条約)の締約国であっても、領事認証が必要となり、公

 印確認を求められる場合があります。事前に提出先または日本にある提出先国の大使館・ 

 (総)領事館にご確認ください。

・ハーグ条約に加入していない国へ提出する公文書の証明は全て公印確認となります。

 

アポスティーユ申請に必要なもの

・証明が必要な公文書(発行日より3か月以内の原本)

申請書(公印確認またはアポスティーユ)

・窓口に備え付けの申請書もご使用できます。

・身分証明書(運転免許証、住基カード、パスポート、在留カードのいずれか一つ)

委任状(代理人の方による申請のみ)

・返送先を記入した封筒(切手貼付)、レターパックなど(郵送での受領希望のみ)

 

外務省認証の証明できる書類

(1)~(3)の全ての要件を満たす公文書(公的機関が発行した書類や公証役場で作成する公証人認証書など)になります。

(1)発行日付が記載されていること(発行日より3か月以内のもの)

(2)発行機関(発行者名)が記載されていること

(3)個人印や署名ではなく、公印が押されていること

(注)
署名のみまたは個人の印鑑のみが押印されている文書は証明の対象になりません。
コピーするためにホチキスを外したり、加筆を行った文書は提出先において拒否される場合があります。
証明が必要な部数は提出先に確認下さい。予備目的のご申請は受付けられません。
 
 




   
 


       


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