イスラム法

「横浜・アオヤギ行政書士事務所」イスラム法につき解説いたします。 ご質問やお問合せは下記のフォームに記載の上、メールにて送信下さい。 なお、返信希望のご質問には、貴メールアドレスの記載をお忘れなく。

 

  イスラム法は、ムスリムの社会生活のすべての領域、出生・結婚・死亡など個人の人生の節目に関して、様々な規定を与えています。 これは日本の憲法や民法などのような制定法とは趣を異にするものです。

 

イスラム法の内容

 儀礼的規範(イバーダート)法的規範(ムアーマラート)に大別されます。

 

儀礼的規範(イバーダート)

イバーダートは神と人間の関係を規定した垂直的な規範で、宗教的行為、すなわち五行(菩薩の修すべき5種の行法)にかかわるものです。

 

法的規範(ムアーマラート)

 ムアーマラートは社会における人間同士の関係を規定した水平的な規範と位置づけられます。  婚姻、相続、契約、訴訟、非ムスリムの権利義務、刑罰、戦争など、イスラム社会における相互の権利や義務に関わる規範です。 私たちの考える民法や刑法に当たる事柄が規定されています。基本的には、ムスリムの政権担当者がイスラー法を施行する責任を担うています。

 

イスラム法では刑罰は、①同害報復刑(キサース刑)と②固定刑(ハッド刑)と③裁量刑(タァズィール刑)に分けられます。

 

同害報復刑は、加害者が成人で知的に成熟しており、被害者と同等の身分である場合、被害者ないし相続人が同程度の報復をするというものです。(「目には目を!」) 被害者の同意を得れば金銭支払いで済ますこともあります。

固定刑は、姦通、中傷、飲酒をした場合は定められた回数のむち打ち、窃盗をした場合は手足の切断、追い剥ぎをした場合は死刑あるいは手足の切断あるいは追放、といった具合に明示されています。また、背教者は死刑です。

裁量刑は、イスラム法に刑罰が定められていない犯罪に対して裁判官の裁量によって科す刑罰のことです。文書偽造、詐欺、恐喝、偽証などの場合に適用されています。 

 

イスラム法をシャリーア(水辺に至る道)と言います。 シャリーア(Shari'a)は、コーランと預言者ムハンマドの言行(スンナ)を法源とする法律で、1000年以上の運用実績があります。 ローマ法を起源としないイスラム世界独自のものであります。 シャリーアはコーランと預言者ムハンマドの言行(スンナ)を法源とし、イスラム法学者が法解釈を行います。
 コーランを解釈するための学問体系(コーラン解釈学)も存在し、預言者ムハンマドの時代から1000年以上、法解釈について議論され続けています。 法解釈をする権限はイスラム法学者のみが持ち、カリフ(アラビア語で「後継者」の意味。ムハンマドの死後、イスラム共同体の政治と宗教の両面で率いる指導者を言う。)が独断で法解釈をすることはできないとされています。