渉外相続

 「横浜 アオヤギ行政書士事務所」渉外相続について解説いたします。 ご質問やお問合せは下記のフォームに記載のうえ、メールにて送信下さい。 なお、返信希望のご質問には、貴メールアドレスの記載をお忘れなく。

 

 今年最後のご相談は、渉外相続についてでした。 外国人(イスラム教)と日本人女性が婚姻して、日本で居住しておりました。 外国人男性は、在留資格「永住者」を取得することが出来、二人の子供にも恵まれて、ハッピーライフそのものでした。 

 外国人男性は、出張で、自国のアフリカの本国に長期出張が頻繁にあり、自国で第二夫人がおりました。 しかし、日本人女性はその存在を知りませんでした。 運悪く、昨年の出張中に「永住者」の在留期限が経過してしまいました。

 先月、その外国人男性が、自国で第二夫人宅で死亡してしまいました。 その後、第二夫人から、日本人女性に男性の日本にある財産の相続について、請求してきて、その対応を相談されてこられました。

 

相続の国際裁判管轄と準拠法について

 これまで、相続事件の国際裁判管轄については、実務上も、基準が明確ではありませんが、相続開始時における被相続人の住所が日本にある場合、日本に国際裁判管轄が認められえていると考えられています。 準拠法は、通則法36条において、被相続人の本国法と定められております。 なお、相続の準拠法には、反致(通則法41)の適用がありますから、例えば、日本に居住する外国人が亡くなった場合、当該外国人の本国法の国際私法規定によれば、住居地法が適用されることとされているとすれば、反致によって、日本法が準拠法となります。

 

通則法第36条  (相続)

相続は、被相続人の本国法による。

通則法第41条  (反致)
当事者の本国法によるべき場合において、その国の法に従えば日本法によるべきときは、日本法による。ただし、第二十五条(第二十六条第一項及び第二十七条において準用する場合を含む。)又は第三十二条の規定により当事者の本国法によるべき場合は、この限りでない。

 

反致(renvoi仏語)

   渉外的私法関係において、各国の国際私法が統一されていないため、準拠法を定める際、一つの法律関係について、法廷地の国際私法の規定だけでなく、外国の国際私法の規定も考慮した上で、準拠法を定めることをいう。