渉外離婚

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離婚の国際裁判管轄

 離婚の国際裁判管轄が日本の裁判に認められるかは、現在のところ、明文規定は存在しません。 従って、過去の2ケの最高裁判例(最大判昭39.3.25、最判平8.6.24)を基に、当該離婚において国際裁判管轄が認められるか否かを判断することになります。

 は、日本に国際裁判管轄が認められることを原則とし、原告が日本に住所を有する場合、例外的に被告が原告を遺棄した場合、被告が行方不明の場合、その他これに準じる場合には、日本にも国際裁判管轄がある旨示しました。 も被告の住所地を原則的な管轄基準とし、その他どのような場合に日本に管轄がみとめられるかについては当事者の公平や裁判の適正・迅速の理念により条理に従って決定するのが相当とし、管轄の有無の判断に当たっては、原告が被告の住所地国に訴訟を提起することにつき法律上の又は事実上の障害があうか否か及びその程度を考慮し、離婚を求める原告の権利の保護に欠けることのないよう留意しなければならない旨、判示しました。

 これらの基準によれば、被告の住所が日本にあれば、日本に国際裁判管轄が認められますから、当事者双方が日本国内に在住していれば、日本に国際裁判管轄が認められます。 また、原告となる当事者の一方が国外に在住していても、被告となる当事者が日本国内に住所を有していれば、日本に国際裁判管轄が認められます。

 一方、これらの基準によれば、当事者双方が日本人であっても、双方が日本国外で在住している場合、日本に国際裁判管轄が認められないと考えます。 この場合でも、協議離婚は可能ですから、協議離婚による離婚の可能性を提案することになります。

 

 

日本に住んでいる同国の外国人夫婦の離婚手続

<準拠法>

 国籍が同じ外国人の場合、準拠法は同一本国法となります。 その結果、本国の法律で「協議離婚」が認められていない場合は、裁判による離婚しかありません。 またたとえ「協議離婚」が認められていても、韓国人同士の離婚のように日本で離婚届を出しただけでは本国では認められない場合もあり、韓国から見て有効な離婚を成立させるために韓国大使館・領事館に双方が出頭し、離婚の意思確認をすることもあります。

<裁判管轄>

 共に常居所が同じ日本と判断されれば、日本の裁判所に管轄権があることになり、家庭裁判所での調停・審判・裁判を申し立てます。 このようにして成立した離婚は本国でも認められる可能性が高いと言えますが、前もって在日大使館、領事館で確かめて下さい。

<例外>国籍が同じであっても、アメリカのように州により離婚の法律が異なる場合や宗教毎に法律が異なる場合は、同じ法律を適用することができません。

 

日本に住んでいるィ国籍の外国人夫婦の離婚手続

<準拠法>

 異国籍の外国人夫婦には共通の本国法がありませんので、①共通の常居所地である国の法律、②それが無い場合は密接地の国の法律を準拠法とすることになります。 このケースの場合、共通の常居所地が日本と判断された場合、日本の法律が準拠法になります。日本の民法に基づいて、協議離婚、調停離婚、裁判離婚ができます。

<離婚の効力>その後それぞれの本国で、日本で成立した離婚が有効と認められる為に、きちんと手続きを取ることが必要です。