渉外認知

 「横浜のアオヤギ行政書士事務所」渉外認知につき、解説いたします。 

 本日、次の相談がありました。 内容は、横浜在住の日本人男性が、フィリピンに旅行中にフィリピン人女性と恋愛関係になり、そのフィリピン人女性が懐妊したことによるものです。 日本人男性は、子どもを認知したいので、認知する方法を知りたいとのことです。 

 ご質問やお問合せは、下記のフォームに記載のうえ、メールにて送信下さい。 なお、返信希望のご質問には、貴メールアドアレスの記載をお忘れなく。

 

 日本の国際私法の認知要件

 下記①②③のいずれかの国の法律を満たしていれば、認知によって親子関係を成立させることができるとなっております。

 ① 子の出生当時における父または母の本国法
 ② 認知の当時における認知する者の本国法
 ③ 子の本国法

 なお、父母の本国法および認知する者の本国法によって認知する場合(①、②の場合)は、子の本国法上の保護要件(子や第三者の承諾・同意など)も備えなければなりません。

 もし父親が日本人、母親が外国人のカップルであれば、日本法を準拠法として考えればう良いことになります。 子の国籍が外国法により決まる場合、その国の法律の保護要件も満たす必要があります。

                                         民法779条「認知」に関する規定 

「嫡出でない子は、その父または母がこれを認知することができる」   
民法による保護要件
 ① 成年者を認知する場合の成年者の承諾
 ② 胎児認知の場合の母親の承諾
 ③ 死亡した子を認知する場合の子の直系卑属(子や孫)の承諾

よって生まれた未成年者を認知する場合は、特に保護要件はありません。


日本の国際私法の認知方式

 ① 認知行為の成立について適用された国の法律
 ② 認知行為を行った国の法律
 のいずれかの法律で認められる方式でよいとしています。 日本において日本人である父

 が任意に子を認知する場合は、日本法が適用されますので、日本の方式により市区町村長 

 への届出をすることになります。 ここで子の本国法の保護要件を満たす必要がある場

 合、子の保護要件を規定した法令の翻訳や子の保護要件を満たしていることを証明した書

 類も提出しなければなりません。

  また、日本において外国人である父が日本人母の産んだ子を認知する場合、認知行為が

 父の本国法によって成立した場合であっても、認知行為を行う国の方式によることも可能 

 ですので、日本人母は、日本の方式により市区町村長への届出をすることになります

 

日本人男性とフィリピン女性間の子を認知する場合

 フィリピンの家族法によれば、未婚の男女間に生まれた子供の親子関係に関しては「承認」によって親子関係が確定するとなっています。 即ち、出生届を出す際に両親が未婚の場合、子の父親の氏名を記載する際、父親の承認、署名が必要になります。 承認・署名がなければ、父親の欄に父親の名前を記載する事が出来ません。 例えば、承認・署名が不必なら、勝手に世界の有名人などの名前を使って出生届を出す事が出来てしまいます。 その為に出生届の父親に関する欄に「承認・署名」をする項目が設けられています。
 日本と様式が違いますが、出生届の父親に関する事項に承認、署名をする事が「認知」と同じになります。 
 また、フィリピンでは、フィリピン人同士の「離婚」のシステムは無く、夫婦が別れる際「アナルメント」や「婚姻無効」の裁判を行わなければなりませんが、裁判を起こす為の条件が決められており、性格の不一致等では認められません。  一方、リーガルセパレーションと言うシステムがあり、裁判でリーガルセパレーションの判決を貰っている場合、記録上は既婚の状態のままですから再婚はできませんが、「事実婚」が法的に認められた形になり、その間に生まれた子供も父親の「承認、署名」が有る事で法的な親子関係が確定されます。 リーガルセパレーション等の状況により「嫡出子」と同等の権利を与えられる場合があると言う事と理解しています。
  日本の場合、戸籍上母親が既婚である場合又は離婚後6ヶ月以内は、本当の父親は認知が出来ません。 フィリピンでは認知でき、事実主義とされています。

 フィリピンの出生届は両親が未婚の場合、2枚組みになっています。(通常は1枚)
2枚目は、父親の申述書(子供の認知に関する承認)と署名であり、これがなければ出生届の際に父親の欄に父親の名前を書く事が出来ません。
 『その者が事件本人の父であることを認めていることの証明書(父の申述書、父の署名ある出生証明書等)の提出があるときは、事件本人の戸籍に父の氏名を記載する。』となっていますので、フィリピンへの届出が済んでいない場合、日本では証明書があれば、父親の欄に記載されるとなっています。 フィリピンへの出生届の際に父親が「認知」している事が条件です。
 フィリピンの家族法によると、承認、書名がされている出生届を提出した場合でも『非嫡出子』で有る事には変りません。

 日本の法の適用に関する通則法29条1項によると、
 非嫡出子関係は、子と父の関係については子の出生当時の父の本国法によるとされ、
父の本国法によることになります。 子は認知の手続をしなくても準正によって嫡出子の身分となり、その旨戸籍に登録されます。 そのための戸籍手続は、母の婚姻届のその他の欄にその旨記載することが必要です。
 必ずしも認知届を出さなくてはいけない事はないようなので、日本側の手続きでは「認知届は必要ない」と言うのは正しいです。
 「嫡出でない子」と「その事実上の父」との関係について、日本は認知主義を採用していますが、フィリピン共和国は事実主義を採用しています。
 父の本国法が事実主義を採用している場合、父によって認知届が提出されなくても、「父の国籍証明書(パスポート)」と「父の申述書」があれば、法律上の父子関係は成立します。 フィリピン共和国内だけで父子関係が成立し、我が国の領域内で父子関係が成立しない、というようなことはありません。
 
法の適用に関する通則法http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H18/H18HO078.html
嫡出でない子の親子関係の成立
第29条 嫡出でない子の親子関係の成立は、父との間の親子関係については子の出生の当時における父の本国法により、母との間の親子関係についてはその当時における母の本国法による。この場合において、子の認知による親子関係の成立については、認知の当時における子の本国法によればその子又は第三者の承諾又は同意があることが認知の要件であるときは、その要件をも備えなければならない。
2 子の認知は、前項前段の規定により適用すべき法によるほか、認知の当時における認知する者又は子の本国法による。この場合において、認知する者の本国法によるときは、同項後段の規定を準用する。

フィリピン家族法1988年施行⇒ http://www.chanrobles.com/executiveorderno209.htm
Art. 163. The filiation of children may be by nature or by adoption. Natural filiation may be legitimate or illegitimate.
Art. 175. Illegitimate children may establish their illegitimate filiation in the same way and on the same evidence as legitimate children.
The action must be brought within the same period specified in Article 173, except when the action is based on the second paragraph of Article 172, in which case the action may be brought during the lifetime of the alleged parent.
Art. 172. The filiation of legitimate children is established by any of the following:
(1) The record of birth appearing in the civil register or a final judgment; or
(2) An admission of legitimate filiation in a public document or a private handwritten instrument and signed by the parent concerned.
In the absence of the foregoing evidence, the legitimate filiation shall be
proved by:
(1) The open and continuous possession of the status of a legitimate child; or
(2) Any other means allowed by the Rules of Court and special laws. 
同条翻訳
第163条:子との親子関係は、自然によって、または養子縁組によるものであってもよいとします。 自然の親子関係は、正当な場合と違法な場合があります。
第175条:非嫡出子が正当な子供と同じようにし、正当な子供として、親子関係を確立することができます。
  申立は
、親の存続期間中に提起することができます。 その場合には第172条、第二段落に基づく場合を除き、第173条に指定した同じ期間内に提起しなければなりません。
 
第172条:正当な親子関係は、以下のいずれかによって確立されます。
 
(1)市民記録の誕生記録、または最終審
 
(2)公文書又は当該親による手書きで正当な親子関係の確認や署名
  
上記の証拠が存在しない場合には、正当な親子関係は下記の事項により証明されなければな

 りません:
 
(1)正当な子どもとしての地位で、公然と継続する親子関係
  
(2)裁判所と特別法の規則で許可されているその他の手段

 

法務省民二第3900号民事局長通達( 平成元年10月2日付)⇒
http://c-faculty.chuo-u.ac.jp/~okuda/shiryoshu/heisei1_tsutatsu.htm...
第3 出生等
2 嫡出でない子
(2) 外国人父の本国法が事実主義を採用している場合における日本人母からの嫡出でない子の

     出生の届出については、次のとおり取り扱う。
ア  届書の父欄に氏名の記載があり、「その他」欄に父の本国法が事実主義を採用している旨

  の記載があり、かつ、父の国籍証明書、父の本国法上事実主義が採用されている旨の証 

  明書及びその者が事件本人の父であることを認めていることの証明書(父の申述書、父

  の署名ある出生証明書等)の提出があるときは、事件本人の戸籍に父の氏名を記載す

  る。
  
  
  
   

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コメント: 1
  • #1

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