遺贈と死因贈与契約

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 遺贈とは、遺言により人(自然人、法人を問いません、一般的に相続人以外)に遺言者の財産を無償(法律上の無償)で譲ることです。 民法第964条に規定されています。 遺贈は単独行為である点で、契約である死因贈与とは全く異なります。 具体例として、遺贈は、遺言と同じように満15歳に達した者であれば、法定代理人の同意なくして有効にこれをすることができます(民法961条、962条)。 一方、死因贈与は、贈与者と受贈者との間の契約ですので、これには意思能力だけでは足りず、行為能力が必要となります。 従って、未成年者が死因贈与契約締結には、法定代理人の同意が必要となります。

遺贈の種類

①包括遺贈

 遺産の全部、または一部を割合をもって示し対象とする場合です。 包括受遺者は相続人と同一の権利義務を持ちます。 例えば、包括遺贈の放棄は自己のために遺贈のあったことを知った日から3ヶ月以内にしなければなりません(990条・915条1項)。

②特定遺贈

 具体的な特定財産を対象とする場合です。 遺贈の放棄は、遺贈者の死後いつでもできます。 特定遺贈の目的物は、遺言者の死亡と同時に直接受遺者に移転するとした古い判例(大正15年)があリます。

③負担付遺贈

  遺贈者が受遺者に対して、対価とは言えないほどの義務を負担するよう求める場合です。 受遺者は遺贈の目的の価値を超えない限度においてのみ、負担した義務を履行しなければなりません。(1002条1項)。 受遺者が遺贈を放棄すれば、負担の利益を受けるべき者は自ら受遺者になれますが、遺言者が遺言で別段の意思表示をしたときはそれに従います(1002条2項)。 負担付遺贈を受けた者が義務を履行しないときは、相続人または遺言執行者は相当の期間を定めて履行を催告でき、なお履行がないときは遺言の取消しを家庭裁判所に請求できます(1027条・1015条)。

 ④後継ぎ遺贈

 「全財産を妻Aに相続させる。 ただし、子Bが20歳に達した時Bに当該財産を受け継ぐこととする」といった、順次財産を受け継ぐ者を指定する形の遺贈を、後継ぎ遺贈といいます。 後継ぎ遺贈について民法の定めがありませんので、この形態の遺贈が認められるかどうかについて解釈が定まっていません。 また、仮に後継ぎ遺贈が認められるとしても、相続開始後に法的状態の不安定化および手続上の煩雑さといった弊害を生むことにもなります。

 2007年9月30日に施行された現行信託法においては、新たに後継ぎ遺贈型受益者連続信託が認められています(信託法3条2号・88条1項・89条2項)。 これにより、後継ぎ遺贈と同様の効果を得ることができます。 ただし、この場合の相続税の課税関係については何ら優遇処置が無いため、注意が必要です。

 

遺贈の不成立・失効

 遺言者の死亡以前に受遺者が死亡したときは、遺贈は効力を生じません(994条1項)。 停止条件付き遺贈の場合、受遺者が条件成就前に死亡したとき遺贈は効力を生じませんが、遺言者が遺言で別段の意思表示をしたときはそれに従います(994条2項)。 遺贈が効力を生じなかったり放棄により効力を失ったときは、受遺者が受けるべきであったものは相続人に帰属しますが、遺言者が遺言で別段の意思表示をしたときはそれに従います(995条)。

 

死因贈与とは贈与者の死亡によって効力が生じる贈与契約です。

 死因贈与は合意契約ですから契約書には、贈与者と受贈者の双方の捺印が必要です。 従って、死因贈与の撤回・取消などするには、贈与者だけの意思表示では成立しません。 受贈者との間で合意が必要です。 遺言は、遺言者が財産を誰に相続させるという単独行為ですので、遺言者の押印だけでよいのとは基本的に異なります。

 遺贈は、遺言という原則として受贈者に公開されないものによってなされるので、贈与の内容を知られたくない場合などに使用されますが、死因贈与は、契約によってなされるため、受贈者に贈与の内容を知らせるメリットがある場合などに使用されます。  そして死因贈与も贈与税でなく相続税が課されることから遺贈ととてもよく似た贈与方法と言えます。

 死因贈与契約の利点の一つに始期付所有権移転仮登記ができることです。  この仮登記をすることによって、当該不動産が勝手に処分されるのを防ぐことができますし、仮登記をする事によって、この不動産は貰える担保となり、安心できます。 死因贈与契約は、必ず公正証書にしなければならないわけではありませんが、贈与者の死後、受贈者と贈与者の相続人の間で摩擦が生じやすいので、公正証書で作成しておく方が安全です。

 死因贈与により贈与された財産が不動産である場合、不動産取得税が課税されます。一方、遺言による場合には、相続人以外の者が遺言により不動産を取得したのであれば死因贈与と同様に不動産取得税が課税されるのに対し、これが相続人の立場である場合には、不動産取得税は非課税となり、課税されません。

 取得した財産について、登記を行う場合に要する登録免許税は5倍高くなります。
死因贈与・・・固定資産税評価額×20/1000
相続・・・・・固定資産税評価額×4/1000


負担付き遺贈のサンプル

                遺 言 書 

遺言者○○○○は、以下のとおり遺言する。

第1条 遺言者は、下記不動産(土地)を甥△△△△(昭和○年○月○日生、住所:横浜市○町○丁目○番○号)に遺贈する。 ただし,受遺者△△△△は、遺言者の妻、□□□□が生存中,同女に対し、その生活費として月額金10万円を毎月末日限り支払わなければならない。 しかし、受遺者△△△△がこの遺贈を放棄したときは、受益者□□□□に当該不動産を取得させないで、遺贈は効力を失うものとする。

                   

  所 在   ○○県○○○市○○丁目

   地 番   ○番○

   地 目   ○○  地 積   ○○.○○平方メートル

 第2条 遺言者は,この遺言の遺言執行者として受遺者○○○○を指定する。

平成27年2月18日

横浜市○町○丁目○番○号   

 遺言者 ○○○○    

 

死因贈与契約書サンプル  

贈与者○○○○と受贈者△△△△は、次のとおり死因贈与契約を締結する。

(贈与契約)
第1条 平成27年2月4日贈与者○〇○〇は、自己の全財産を受贈者△△△△に対 

    し無償で贈与することを約し、受贈者はこれを受諾した。

(始期付)
第2条 本件贈与は贈与者の死亡によって、効力を生じ、贈与財産の所有権は、受贈

    者に移転する。

(執行者の指定)
第3条 贈与者○○〇○は受贈者△△△△を死因贈与執行者に指定する。

 この死因贈与契約の締結を証するため、贈与者○〇○○及び受贈者△△△△が下記 

 に署名、捺印する。

  平成27年2月18日

                住所 横浜市中区本牧三之谷16

       贈与者       氏名○〇○○   実印  (印鑑証明書添付)

                住所 横浜市中区不老町1-2-1
         贈与者     氏名△△△△   印