「横浜のアオヤギ行政書士事務所」が認知症4分類の一つである、レビー小体型認知症につき解説いたします。 アルツハイマー型認知症とよく混同されたり、誤診されたりしますので、医者でもまだ間違って診断することがあります。 全認知症のおよそ20%を占めます。 因みに、アルツハイマー認知症は50%、脳血管型認知症は15%、その他が15%です。
小職は、現在、認知症の73歳の男性の後見人をしておりますが、本人をよく観察すると、幻視があり、誤認があり、夜中に寝言を大声で叫ぶ、壁をどんどん叩くなど、レビー小体型認知症の特色がよくみられます。
レビー小体型認知症は老年期に認知症(Dementia)を呈する病気の一つで、変性性(脳の神経細胞が原因不明に減少する病態)の認知症では、アルツハイマー型認知症についで多い病気です。男性は女性より約2倍多いと言われます。
レビー小体(Lewy Body)とは、元々は運動障害を主な症状とするパーキンソン病の脳の中の中脳と言われる部分にたまった異常な構造物をさす言葉ですが、レビー小体型認知症の患者さんの脳では、これが認知機能を司る大脳皮質にも広く見られることから命名されました。
(1) 認知障害と精神症状
レビー小体型認知症の認知機能障害は、アルツハイマー型認知症とは少し異なる面が見られます。
アルツハイマー型認知症の患者では特に初期では比較的近い時期の記憶をとどめておく事が難しくなる物忘れの症状で始まる事が多いのですが、レビー小体型認知症の患者では、こればかりではなく、初期より幻覚、特に幻視が現れることがしばしばです。
幻視とは、実際には存在していないものがあるものとして生々しく見える症状で、“壁に虫が這っている”、“子供が枕元に座っている”などが比較的よくみられます。 “柱が人の姿にみえる”といった錯視の症状もしばしばみられます。 これらの視覚性の認知障害は暗くなると現れやすくなります。
また、気分や態度の変動が大きく、一見全く穏やかな状態から無気力状態、興奮、錯乱といった症状を一日の中でも繰り返したり、日中に惰眠をむさぼったりすることも経験されます。
(2) 運動機能障害
もう一つの大きな特徴は、パーキンソン病に似た歩行の障害や体の固さを伴う点です。 このためレビー小体型認知症の患者さんではアルツハイマー型認知症の患者さんと比べて転倒の危険が高く、また、寝たきりにもなりやすいといえます。 また、歩く歩幅も狭くなってきます。
(3) 自律神経障害
3番目の特徴は自律神経の障害を伴う点です。このため、便秘や尿失禁が目立つのですが、日常生活を阻害する因子としては起立性低血圧など血圧の調節障害が見られる事です。
起立性低血圧は、立ち上がった時に血圧の大幅な低下がみられる症状で、ひどい場合には失神を起こす場合があり、これが原因で立位歩行が困難な程度になる場合もあります。
治療方法
レビー小体型認知症の治療は抗精神薬による精神症状のコントロールと運動症状に対する抗パーキンソン病薬、自律神経障害に対しての血圧コントロールなどになります。
レビー小体型認知症の患者さんでは抗精神薬への反応が過敏である事があり、少量より時間をかけて試みる事が必要です。
また、向精神薬は運動症状を悪化させる作用があるものが多く、逆に抗パーキンソン病薬は精神症状を増悪させる事があるため、薬剤調節は難しい場合もあり、個々の患者さんの生活や介護がしやすいように薬をうまく考える必要があります。 アルツハイマー型認知症の治療薬が効果的な場合もあり、試みられることもあります。
①抗認知症薬
ドネぺジル
ガランタミン
リバスチグミン
メマンチン
②幻視、妄想などに対する薬
漢方薬
抗精神病薬など
③パーキンソン症状に対する薬
幻視に対するケア
①部屋を明るくする
②幻視に対象物に近づく
③手を叩くなど音を立てる
④室内のデザインをシンプルにする。
その他の症状に対するケア
①転倒しにくい環境づくり
②薬が変わったときは過敏性に注意
③認知の状態が良い時にお願いする
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