丁度一か月先に、横浜中図書館(本牧和田)において、神奈川県行政書士会協賛により、
無料セミナーを開催致します。 2時間のセミナーの終了後に、無料相談会も開催されます。
セミナー講師は、「横浜のアオヤギ行政書士事務所」の青柳保廣行政書士の予定です。
ご希望の方は、横浜中図書館に申し込ください。 予約制になっております。
セミナーのレジメを下記掲載致します。
1.遺言・相続について
(1)遺言は必要?
・遺言書が不要である場合は非常に限られます。 例えば、①プラス・マイナスの相続財産が全くなく、認知などの身分関係の遺言を残さない場合、②相続人が一人のみで、その一人に全財産を相続させたい場合です。
(2)遺言の種類
・自筆証書遺言(民法986条)
遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければなりません。
自筆証書中の加除その他の変更は、遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を付記して特にこれに署名し、かつ、その変更の場所に印を押さなければ、その効力は生じません。
・公正証書遺言(民法969条)
・秘密証書遺言(民法970条)
(3)自筆証書遺言と公正証書遺言のメリット・デメリット
種類 |
メリット |
デメリット |
自筆証書 遺言 |
・簡単にいつでも作成できる ・簡単に書き直しができる ・費用がかからない |
・方式違背の危険性がある ・遺言書そのものが発見されない、もしくは紛失の危険性がある ・遺言書の内容を改ざんされる危険性がある ・検認が必要である |
公正証書 遺言 |
・方式違背の危険性が低い ・原本が公証役場に保管される ため、紛失の恐れがない ・検認が不要である ・遺言書の内容が改ざんされる 恐れがない |
・費用がかかる ・公証役場が開いている時間に出向く必要がある(公証人による出張も可能) ・証人2人が必要である(必要であれば公証人が用意してくれる) |
・夫婦の間に子がなく、配偶者のみに相続させたい
・相続人以外の者に財産を残したい(同居している嫁、内縁の妻、孫、知人、友人、各種団体への寄付等)
・お互いに子がいる者同士が再婚した
・特定の相続人に多く相続させたい
・特定の相続人に相続させたくない(相続排除)
・ 特定の相続人に特定の財産を渡したい(同居している子に不動産を譲りたい)
・個人事業の経営、農業等、事業承継の必要がある
・認知したい子がいる(生前には認知したくない)
・推定相続人の中に未成年の子がいる(遺産分割協議に特別代理人の選任)
・推定相続人の中に海外在住者や行方不明者がいる(不在者財産管理人)
・特別受益の持戻しについて、持戻しはさせたくない
・生命保険金の受取人の指定・変更をしたい
(5)何を遺言に書いたらいいのか
・財産に関すること
・祭祀に関すること
・遺言執行者に関すること
・身分(認知など)に関すること
・その他自分の思いなど
(6)遺言を書くときのポイント
(ア)財産について
・総括遺贈、均等分割、財産指定、特別受益の持戻し、負担付遺贈、相続排除など、あらゆるパターンを考えて書きましょう
(イ)付言
・法定相続分以外の割合で各相続人に相続させたいときはその理由など。
・相続人の遺留分を侵害するような内容の場合、何故このような内容にしたのかという理由と、遺留分減殺請求をしないで欲しい旨など。
(ウ)遺言執行者
遺言執行者とは、遺言の内容を実現させる手続きを行う人のことを言います。 相続人の代理人となって相続財産を管理し、預金の解約や不動産名義変更などの様々な手続きを行います。 遺言執行者でないと執行できないもの(遺言認知、推定相続人の廃除)があります。
(エ)その他
・葬儀についての希望
・祭祀の承継について
・認知・相続人の廃除・未成年後見人の指定など身分に関すること
(7)推定相続人と法定相続分
推定相続人とは、遺言者が死亡した時点で相続人になる人のことを指します。 誰が先に死亡するかは判らないので、「推定」と付いているのです。
相続人の順位
・第1順位 子及びその直系卑属(+配偶者)
・第2順位 直系尊属(+配偶者)
・第3順位 兄弟姉妹(+配偶者)
法定相続分
・子(直系卑属)+配偶者・・配偶者が相続財産全体の1/2、
子は残りを頭割り
・直系尊属+配偶者・・・・・配偶者が相続財産全体の2/3、
尊属は残りを頭割り
・兄弟姉妹+配偶者・・・・・配偶者が相続財産全体の3/4、
兄弟姉妹は残りを頭割り
・半血兄弟姉妹 ・ ・・・・・全血兄弟姉妹の1/2
(8)遺留分とは
遺留分とは、相続人が最低限主張することができる取り分のことです。
例えば、「全財産をNPO○○○○に遺贈する」という遺言も可能ですが、残された相続人がそれでは困るだろうと、法が最低限主張できる割合を決めているのです。 遺留分がある相続人は、第1順位と第2順位の相続人(配偶者含む)です。つまり、兄弟姉妹には遺留分がないため、「全財産をNPO○○○○に遺贈する」という遺言を書いた遺言者に、配偶者も子も孫も親もいない(又は既に死亡している)場合、遺言のとおりに全額遺贈されます。
遺留分権利者がいても、その人達が何ら異議を唱えなければ、遺言通りに相続・遺贈されます。
遺留分率(総体的遺留分)は次のとおりです。
・配偶者のみ・・・・・・・・・相続財産全体の1/2
・配偶者+子(直系卑属) ・・・・相続財産全体の1/2
・子(直系卑属)のみ・・・・・相続財産全体の1/2
・配偶者+直系尊属・・・・・・相続財産全体の1/2
・直系尊属のみ・・・・・・・・相続財産全体の1/3
相続人個別の遺留分は、総体的遺留分に各自の法定相続分を掛けて算出しま
す。
例:相続人・・・・・配偶者A+子B+子C
Aの遺留分・・・1/2×1/2=1/4
Bの遺留分・・・1/2×1/4=1/8
Cの遺留分・・・1/2×1/4=1/8
(7)死因贈与
死因贈与とは、贈与者の死亡によって効力が生じる贈与契約です。 死因贈与は契約ですから契約書には、贈与者と受贈者の双方の捺印が必要です。
従って、死因贈与の撤回・取消には、贈与者だけの意思表示では成立しません。 受贈者との間の合意が必要です。 遺贈(遺言)は遺贈者(遺言者)の意思のみで、書換え出来るのとは、大きく異なります。 死因贈与も贈与税ではなく、相続税の課税対象になります。
2.成年後見制度について
厚生労働省における介護保険法の制定準備と並行して2000年4月に施行されてから約15年になります。 近年、高齢者人口が増加し続け、今年は、認知症高齢者が500万人を超え、予備軍も600万人存在すると言われています。 従って、この制度の重要性と必要性が益々高まってきています。
(1)成年後見制度の種類(法定後見・任意後任)
①法定後見は、本人の判断能力が不十分になった場合に、家庭裁判所の審判により後見人、保佐人、補助人が決定され開始するもので、本人の判断能力に応じて3類型があります。 根拠法は民法に基づき、実際の手続きは家事事件手続法及び同規則に基づき家庭裁判所が行います。
②任意後見は、将来の後見人の候補者を本人があらかじめ選任しておく制度です。 法定後見が家庭裁判所の審判によるものであるのに対して任意後見は契約です。 後見人候補者(受任者)と本人が契約当事者で、この契約は公証役場において公正証書によって行われます。 将来後見人となることを引き受けた者を「任意後見受任者」と言います。 任意後見人の行為は、定期的に家庭裁判所の選任する任意後見監督人の監督を受けます。 任意後見監督人が裁判所に報告することで、国家は間接的に監督するものです。
(2)後見人の仕事
被後見人は、自分で治療や介護を受ける契約を締結することや、自分の財産を適切に管理することが出来ません。 そこで、被後見人に代って①治療や介護を受ける契約を締結したり、②財産を管理する人が必要になります。 この役割を果たすのが後見人です。
(3)後見人の責任
後見人には、被後見人の収入や財産等に照らして相当と認められる範囲の支出にとどめる責任があります。 「被後見人の意向を尊重する」と言うことが安易な支出に繋がらないよう慎重の判断する必要があります。
後見人はその職務の重大性から、重い責任を課せられていますので、後見人が被後見人の利益に反して被後見人の財産を処分して、被後見人に損害を与えればこれを賠償する責任を負うことになります。 また、悪質な場合には業務上横領などの刑事責任を問われることもあります。 後見人の仕事が適切に行われるよう、後見人は家庭裁判所の監督を受けることになっています。
(4)後見人被の財産から支出できるもの
1)被後見人自身の生活費
2)被後見人の療養看護費用
3)被後見人の財産を管理するための費用
4)後見事務費
5)被後見人の債務の弁済
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