フィリピン女性の重婚

 「横浜のアオヤギ行政書士事務所」が、本日受けた相談「フィリピン人の妻と結婚3年目ですが、先日妻とまだ婚姻関係のある男性と子供がいることがわかりました。 これは重婚になるのでしょうか? また、この婚姻は取消しでしょうか?」を受けましたフィリピン人女性の重婚について解説いたします。 


 日本で、結婚の際に提出する婚姻届には、婚姻具備証明書(独身証明)が必要であったはずですが、それは、偽であった可能性がのこります。 しかし、フィリピンのことですから、本人名義の婚姻具備証明書が手違いで発行される場合も稀にあります。

 フィリピン人妻は、日本に在留している限り、法の適用に関する通則法によって、重婚罪は課せられません。 また、取消しにもなりません。

 彼女に日本で課せられる可能性が残るのは、有印私文書偽造・行使:1年以下の懲役又は10万円以下の罰金、公文書偽造・行使=3年以下の懲役又は20円以下の罰金、公正証書原本不実記載等の罪=5年以下の懲役又は50万円以下の罰金、詐欺罪などです。 関連法令は下記の通りです。

法の適用に関する通則法婚姻の成立及び方式
第24条 婚姻の成立は、各当事者につき、その本国法による。 
(公序)
第42条 外国法によるべき場合において、その規定の適用が公の秩序又は善良の風俗に反するときは、これを適用しない。


フィリピン家第21条(婚姻要件具備証明書)

婚姻当事者の一方又は双方が外国人であるときは、婚姻許可証を取得するためには、本国の外交官または領事によって発行された婚姻要件具備証明書を提出しなければならない。

無国籍者又は他国からの難民は、婚姻具備証明書に代えて、婚姻要件の具備を示す事実を述べた宣誓供述書を提出しなければならない。


フィリピン家法・第26条(外国での婚姻・離婚)

フィリピン国外において挙行されたすべての婚姻は、挙行地国の法律に従っており、その国において有効であるときは、わが国においても有効とする。 ただし、第35条第1号および第4号ないし第6号、第36条ないし38条により禁止された婚姻は除く。フィリピン国民と外国人間の婚姻が有効に挙行され、その後、外国人配偶者が外国において有効に離婚判決を得て、再婚できるようになったときは、フィリピン配偶者も、フィリピン法により再婚できるものとする。


フィリピン家法・35(婚姻の無効)
 以下の場合には、婚姻は当初から無効とする。

①たとえ両親または後見人の同意を得ていても、当事者が18歳未満であったとき

②法律の権限のないものによって挙行されたとき。 

③婚姻許可証を受けないで婚姻が挙行されたとき。

④第41条を除き、重婚であるとき。

⑤当事者の一方が相手を人違いして婚姻したとき

⑥第53条により無効とされる再婚であったとき。


日本民法(婚姻の取消し) 
第743条 婚姻は、次条から第747条までの規定によらなければ、取り消すことができない。
(不適法な婚姻の取消し)
第744条 第731条から第736条までの規定に違反した婚姻は、各当事者、その親族又は検察官から、その取消しを家庭裁判所に請求することができる。ただし、検察官は、当事者の一方が死亡した後は、これを請求することができない。
(重婚の禁止)
第743条 配偶者のある者は、重ねて婚姻をすることができない。