自己破産と破産宣告

 「横浜のアオヤギ行政書士事務所」自己破産破産宣告につき解説いたします。 先週受けた相談に、「200万円を貸している友人が、自己破産を申し立て、破産手続き開始の決定を受けました。 そこで、保証人に200万円支払うように請求しました。 しかし、保証人は、開き直って、裁判でもなんでもやってくれ! 払うお金はないとの事です。」がありました。 保証人が財産を所有していなく、また支払う意思がないケースは、裁判で審判されても、判決で支払命令が出されても、結局、裁判費用の負担が増加するだけで、全く意味の無いものになってしまいます。 最終的に諦めざるを得ない場合が殆んどとなります。 要は、金銭を貸すときには、保証人には資産のある人を要求しないと、保証人がいても意味がなくなります。 ご質問やご意見は下記のフォームに記載のうえ、メールにて送信下さい。

 

破産(自己破産)の制度

 破産(自己破産)とは、自分の収入や財産で債務を支払うことができなくなった場合、自分の持っている全財産をお金に換えて、各債権者に債権額に応じて分配、清算して、破綻した生活を立て直すことを目的としている制度です。

 財産とは、不動産、自動車、現金、預貯金、他人への貸金、保険の解約返戻金(保険を解約したときに受け取ることのできるお金)、将来受け取ることのできる退職金などすべてのものを含みます。

 清算される債務とは、クレジット会社や金融会社からの借金のほか、勤務先や身内、友人知人からの借入金、家賃の滞納分、他人の借入れ等の保証分など、支払わなければならないもの一切が対象となるので、すべての債務を明らかにしなければなりません。

 

自己破産手続

 自己破産手続きは、債務を負っている人(債務者)が、裁判所に破産申立てをし、裁判所が破産手続を始める決定をすることによってなされます。

 破産手続を始める裁判のことは、今まで破産宣告と言われていましたが、平成17年1月から破産法という法律が変わり、破産宣告ではなく、破産手続開始決定と呼ばれています。 また、新しい破産法では、破産申立てをすると、同時に免責許可の申立てをしたことになります。

 

自己破産の裁判

 自己破産の申立てがされると、裁判官が債務者から話を聞いて(審尋)、債務者が持っている財産だけでは債務を返すことができない状態にあると認めたときに破産手続開始決定をします。 通常、裁判所は、破産手続開始決定と同時に破産管財人を選任し、この破産管財人が破産者の財産を調査・管理し、これをお金に換えて債権者全員に配当することになります。 しかし、破産手続を進めるのに必要な費用、又はその費用に代わるだけの財産も持っていない場合には、破産手続開始と同時に破産手続を終了させる決定をします。 この決定を「同時廃止決定」といいます。

 破産手続開始決定により、債務者は、破産者となり、官報(国が発行している新聞)に掲載されます。

 

自己破産した人の失うもの

 自己破産後には、いくつかの制限が設けられます。  例えば、破産者に財産があり、管財人が選任される管財事件として扱われる場合には、引越しをするにしても、また、海外旅行など長期の旅行を行うにしても、逐一裁判所の許可が必要になります。 許可を求めた場合にはすぐに認めてもらえるケースがほとんどですが、こうした手間は破産手続きが完了するまで続きます。 また、5~7年間はクレジットカードの作成やローンの申込みが難しくなります。 自己破産者はブラックリストに名前が載るので、それが消えない5~7年間は新たな借金はもちろんの事、カードでの支払いや分割払いができなくなってしまいます。

 これに加え、最も厄介なのは職業の制限です。 自己破産をした場合、破産手続きを開始してから免責許可が下りるまでの間、職業や資格が制限されてしまいます。 弁護士や税理士、警備員、建設業者、株式会社の会社役員などには就くことができません。 期間はわずか数ヶ月ですが、これが致命的となり、多くの場合、その職を辞する事になります。

 商法の改正により破産しても、会社の取締役を継続できますが、会社と取締役は委任契約関係にあり、破産は委任契約の終了事由になりますので、再度、委任契約をする必要があります。