サイバー戦争

 「横浜のアオヤギ行政書士事務所」が世界の脅威である、国境なき空間をもたらしているインターネットサイバー戦争につき解説します。 ご質問やご意見は下記のフォームに記載のうえ、メールにて送信下さい。

 

 北朝鮮を題材にしたソニー米映画子会社制作のパロディ映画をめぐるハッカー攻撃について、米大統領報道官は18日、攻撃が「悪意ある洗練された方法での、破壊行為だったことを示す証拠がある」と述べ、厳しく対処する方針を表明しました。 上映を停止したことに対して、ソニー米映画会社を非難する声が大きく聞こえてきますが、被害者は、ソニー米映画会社であることを、忘れてはいけません。 なんと、社員の個人情報が流失しているのですから。

 一方、同社がテロへの懸念から作品の全米公開を中止したことでは、ギングリッチ元下院議長から、「米国は最初のサイバー戦争に負けた」、ロイス米下院外交委員長から、「独裁者に屈服すれば、別の独裁者やテロリストに屈することになる」など、同社の公開中止判断に対する批判がでました。 また、ロイス氏は北朝鮮が攻撃を仕掛けたことは「明白」と言明しました。 

 

 わが国では社会インフラを停止させるような大規模なサイバー攻撃は未だ、発生していませんが、尖閣諸島を巡る日中対立が激化する中で、中国のハッカーからウェブサーバー等への攻撃が増加しており、サイバー攻撃のリスクと隣り合わせの危険な状態にあります。 今後日本を取り巻く国際安全保障環境が厳しくなれば、韓国のようなサイバー戦争は対岸の火

事ではなくなります。 また、サイバー戦争のもう一つの側面であるサイバー諜報戦は、既に日本に対して行われてきており、ますます激しさを増しています。

 政府へのサイバー攻撃が報道されたのは、2011 1 21 日のNHK の報道「経済産業省

にサイバー攻撃」が皮切りでした。 同年9 月には、読売新聞が防衛産業へのサイバー攻撃

を報じました。 2011 年は、我が国政府機関へのサイバー攻撃が相次いで明らかになった年であり、10 月には、衆議院のコンピュータ・ネットワークへの攻撃が報道され、サーバー等数十台が攻撃によって感染させられたことが判明しました。


サィバー戦争と国際法

 サイバーが戦闘行為の手段として、相当現実的になる中、国際法は、サイバー戦争を下記のごとく、規律できておりません。 

1.現在は、サイバー戦は、非正規戦と認識され、戦時国際法の適用の合意はありません。

2.軍事的必要性の原則では、サイバー戦は、通信施設の軍事・民事目的の区別が非常に困

  難で、その結果民間の情報インフラが敵対行為の対象となる可能性が高いです。

3.現行の国際法では、戦闘員と非戦闘員は区別原則により区別されますが、サイバー戦の

  攻撃は、遠隔地から隠密要員により行われることが多いです。 攻撃者が戦闘員と非戦

  闘員、民間人である場合、この原則の適用が難しい。

4.均衡性の原則は、軍事目標達成に必要な程度を超える武力使用を禁じています。 しか

  し、遠距離からエネルギー網や通信網に対して行われるサイバー攻撃での軍事的成果は

  不明確です。

5.無差別兵器の禁止との関連では、なにがサイバー兵器であるかについてのコンセンサス

  が殆ど無い現状では、この原則の適用意味はなくなります。

6.法的な保護施設と歴史上承認されたものない対する攻撃は規制され、軍がこの識別を悪

  用することは禁じられています。  従って、病院や学校などのシステムはサイバー攻

  撃の対象とならないように明確に識別されなければなりません。