忘れられる権利

 「横浜のアオヤギ行政書士事務所」忘れられる権利につき、解説いたします。 ご質問やご意見は、下記のフォームに記載のうえ、メールにて送信下さい。

 

 知る権利は、表現の自由より派生した権利です。 具体的内容としては様々なものが考えられていますが、最も重視されるものとしては、マスメディアへの反論権(反論の機会提供を請求する権利)や、意見広告の掲載を求める権利があげられます。

 知る権利は、表現の自由の一形態としてとらえる場合、その根拠は憲法21条に求めることになります。 ただし憲法はもともと国家と私人の関係を規定するものであり、私人対私人の関係にあるアクセス権をどの程度導き出すことができるのかといった問題もあります。

 近年ではインターネットの普及が見られ、これまで受け手とされてきた一般国民が情報発信で対抗するのも可能であると思われます。

憲法21条:1.集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する

      2.検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。

 

  忘れられる権利は、憲法21条の表現の自由ではなく、憲法13条の幸福追求権の一形態ととらえるべきと考えます。

 特に最近ネット社会になったために、個人のプライバシーを守る新たな権利として注目されてくるようになりました。

 きっかけとなったのは、EUの司法裁判所の2014年5月の判決です。 ネット上に残る個人の不都合な情報を、検索結果から削除するよう、検索サイト大手のグーグルに命令し、初めて、忘れられる権利が認められました。 グーグルは、EU司法裁判所の判決を受けた、欧州では、個人からの削除申請を受け付け、検索結果を次々と消去しています。

 グーグルで自分の名前を検索すると、犯罪に関わっているかのような検索結果が多数でるような被害に遭った人たちがいました。 今年10月、日本で初めて、東京地裁においても、グーグルに削除を命じる仮処分を決定しました。 

憲法13条:すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

 しかし、知る権利憲法21条忘れられる権利憲法13条が存在し、相反した権利をコントロールするのは、非常に難しい問題です。