不在者財産管理人

 「横浜のアオヤギ行政書士事務所」が相続時に、相続人が不存在などで、問題になる時に必要な存在である、不在者財産管理人につき解説いたします。 相続人の中で、失踪者や、行方不明者などが存在して、遺産分割協議書の作成が難しくなってしまう場合がよくあります。 ご質問やご意見は下記のフォームに記載のうえ、メールにて送信下さい。

 

 従来の住所又は居所を去り、容易に戻る見込みのない者(不在者)に財産管理人がいない場合に、家庭裁判所は、申立てにより、不在者自身や不在者の財産について利害関係を有する第三者の利益を保護するため、財産管理人選任等の処分を行うことができます。 このようにして選任された不在者財産管理人は、不在者の財産を管理、保存するほか、家庭裁判所の権限外行為許可を得た上で、不在者に代わって、遺産分割、不動産の売却等を行うことができます

 

 申立人になれる人

 ①利害関係人(不在者の配偶者、相続人にあたる者、債権者など)

 ②検察官

 

申立てに必要な書類

(1) 申立書(6の書式及び記載例参照。)

(2) 標準的な申立添付書類

  ①不在者の戸籍謄本(全部事項証明書)

  ②不在者の戸籍附票

  ③財産管理人候補者の住民票又は戸籍附票

  ④不在の事実を証する資料

  ⑤不在者の財産に関する資料(不動産登記事項証明書、預貯金及び有価証券の残

   高が分かる書類(通帳写し、残高証明書等)等)

  ⑥申立人の利害関係を証する資料(戸籍謄本(全部事項証明書)、賃貸借契約書

   写し、金銭消費貸借契約書写し等)

 

財産管理人が遺産分割協議や、不在者の財産を処分する必要がある場合の手続

 「権限外行為許可」という手続が必要となります。 財産管理人は、民法103条に定められた権限を持っていますが、それは主に財産を保存することです。 遺産分割協議をしたり、不在者の財産を処分する行為は、財産管理人の権限を超えていますので、このような行為が必要な場合は、別に家庭裁判所の許可が必要となります。

 

財産管理人の資格

 資格は必要ありませんが、財産管理人は、不在者の財産を管理するために選ばれるものですので、職務を適切に行えることが必要です。 通常、不在者との関係や利害関係の有無などを考慮して、適格性が判断されているようです。 場合によっては、弁護士、司法書士などの専門職が選ばれることもあります。

 

財産管理人の職務

 主な職務は、不在者のために、財産を管理し、財産目録を作り、家庭裁判所に報告することです。 最初の職務は、不在者の財産を調査して、財産目録や管理報告書を作成し、家庭裁判所に提出することです。 その後も、家庭裁判所から定期的に不在者の財産状況の報告を求められることがあります。
 財産管理人が本人の財産を不正に費消した場合などには、財産管理人を解任されるほか、損害賠償請求を受けるなど民事上の責任を問われたり、業務上横領などの罪で刑事責任を問われたりすることもあります。

 

財産管理人の報酬

 財産管理人から請求があった場合、家庭裁判所の判断により、不在者の財産から支払われることになります。

 

財産管理人の職務の期間

 不在者が現れたとき、不在者について失踪宣告がされたとき、不在者が死亡したことが確認されたとき、不在者の財産がなくなったとき等まで,財産管理人の職務は続くことになります。申立てのきっかけとなった当初の目的(例えば、遺産分割など)を果たしたら終わりというものではありません。
 不在者が現れたときには不在者であった者に、不在者について失踪宣告がされたり不在者が死亡したときは不在者の相続人に、それぞれ財産を引き継ぐことになります。