渉外離婚

 

 

 「横浜のアオヤギ行政書士事務所」渉外離婚につき、説明いたします。 渉外離婚とは、夫婦のどちらかが外国人、もしくは夫婦お互いが外国人同士の場合の離婚のことをいいます。   国際結婚は比較的簡単な手続で可能なのですが、離婚をする場合は、どこの国の法律が適用されるのかが、日本人同士の場合と違い、その離婚手続は簡単ではありません。 ご質問や、ご意見は下記のフォームに記載の上、メールにて送信下さい。 なお、返信希望のご質問には、貴メールアドレスの記載をお忘れなく。

 

 

国際結婚と国際離婚の現状

 経済のグローバル化によって、金、もの、人の移動が生じている日本社会ですが、高齢化、少子化、未婚化といった問題の深刻化に伴って、日本の活力が低下してきています。

 人口減少の進む中では、好むと好まざるとに拘らず、外国人からのサポートが必要であると考えます。 多くの外国人が日本社会へ入ってきて、日本社会の活動を担う一端となるわけです。 外国人の日本社会への参入方法は、初期の就労や修学による短期滞在は、国際結婚により、定住へと変わりつつあります。
 1980年代以降、日本人間の婚姻件数の総数は急激に減少していますが、国際結婚に関しては、急増しています。 現在、日本における国際結婚の比率は、総婚因数の5.0% 以上を占めています。 この数値は1980年の0.9%と比較すれば大幅に増加しています。 男女で分けると、1990年、外国人女性と結婚する日本人男性が、外国人男性と結婚する日本人女性より断然多いです。

 国際結婚した日本人男性の相手女性の国籍上位国は、中国、フィリピン、韓国、タイなどです。 日本社会の基準で、社会的階層の低い男性も、中国、フィリピン、タイ、ベトナムなどアジアの発展途上国の女性から見ると、豊かな経済生活を保障してくれる存在になることができます。 この日本とアジア諸国との経済格差を背景に、多くの夫婦が誕生しています。 

 非常に残念なことですが、国際結婚の中には偽装結婚問題も多く、紛れ込んでいます。 悪徳ブローカーが介在して、外国人女性を性産業で働かせる目的で日本人男性と婚姻をさせるケースがあり、日本人男性はブローカーから報酬を受け取ります。

 

渉外離婚の類型

 渉外離婚とは、夫婦の一方が外国人か、夫婦の双方が外国人か、また、送付が日本に移住しているか、一方のみが日本に移住しているかにより、法的問題や手続きが異なります。 外国人配偶者の国籍も多様化しており、渉外離婚に特有の問題点を共通に述べることはできません。 具体的な案件は、直接当事務所にお尋ねください。

 

離婚事件の国際裁判管轄

 人事訴訟事件等についての国際裁判管轄に関する法整備をする必要があると考えられています。
 離婚事件、親子関係事件等の人事訴訟事件及び家事事件のうち渉外的な要素をもったものについては、どの国が当該紛争について裁判管轄権を有するかという「国際裁判管轄」が問題となりますが、人事訴訟法及び家事事件手続法には、国際裁判管轄について定めた明文の規定がありません、具体的な事案に即し、判例上の準則等に拠って判断がされています。
 民事紛争のうち財産権上の訴えの国際裁判管轄については、第177回国会(常会)において「民事訴訟法及び民事保全法の一部を改正する法律」(平成23年法律第36号)が成立し、平成24年4月1日から施行され、国際裁判管轄に関する規定の整備が完了しました。
 人事訴訟事件及び家事事件についても、財産権上の訴えと同様に、当事者の予測可能性を確保するなどの観点から、国際裁判管轄に関する準則を明確化する必要があることは言うまでもなく、身分関係については複数の国で異なる判断がされることによる当事者の不都合を回避する必要性が財産権上の訴えよりも高いとも考えられることに鑑みれば、国際裁判管轄法制の整備の必要性は、財産権上の訴えよりも高いとの指摘もあります。 こうした中で,上記第177回国会において、家事事件手続法(平成23年法律第52号)が成立し、平成25年1月1日から施行されたことにより,人事訴訟事件及び家事事件に関する国際裁判管轄法制の整備に向けた環境が整ったものということができます。
 また、我が国において、どのような場合に外国裁判所の裁判を承認し、これに執行力を付与するかという、いわゆる外国裁判の承認・執行の問題については、その要件の一つとしていわゆる間接管轄があることが要求されていることから、国際裁判管轄の規律の在り方と密接な関連を有します。 この点に関し、外国裁判所の確定判決の承認・執行の規律としては、既に民事訴訟法第118条及び民事執行法第24条等があるものの、「判決」以外の裁判については、その承認・執行の明文の規律がなく、要件が明確でないとの指摘がされていたところであります。 そこで、国際裁判管轄法制と共に、外国裁判所においてされた家事事件に関する裁判についても、その承認・執行の規律を整備する必要があると考えられた。

 

子の監護事件と国際裁判管轄

 親権者・監護者の指定や、面会交流など、子供の監護に関する事件の国際裁判管轄については、離婚訴訟における付帯請求の場合と、別居中の監護者指定やその変更、離婚後における親権者・看護者の指定・変更など独立の事件として申立られる場合とで取扱いが異なります。

①離婚訴訟の付帯請求として申立る場合

 離婚請求ついて国際裁判管轄があることを理由に日本の裁判所に子の親権・監護に

 ついても国際裁判管轄を肯定するのが実務の取り扱いとされています。 国際離婚  

 裁判の場合も、子の監護権者の指定処分を付帯すべきだと考えるためと思われま

 す。 国際裁判管轄、離婚子事件と同じではなく、子の住所が日本にある場合が原

 則とされています。 従って、子の住所が日本にあれば、国際裁判管轄をを認めて

 も問題はありません。しかし、子の住所が、海外にある場合は、問題となります。

 

②この親権者を指定等を離婚と別に申立る場合

 学説・判例ともに、子の住所地国に国際裁判管轄を認める傾向にあります。 

 

養育費請求の国際裁判管轄

 養育費の請求については、義務者である相手方の住所地国のはか、権利者である子の住所地国に国際裁判管轄が認められるとするのが実務の扱いです。

 

調停の国際裁判管轄

 調停の国際裁判管轄は、訴訟・審判の場合と異なります。 調停の場合は、厳密に国際裁判管轄があるとは考えられない場合でも、相手方が任意に調停に出頭して調停手続きに応じていることを理由に、国際裁判管轄を肯定した例が多数みられます。これは、調停が、裁判手続きではあるが、当事者の合意が認められている子tが、国際裁判管轄の考え方に影響していると考えられます。 そのため、申立人及び相手方の双方が日本に住所を有しない場合であっても、双方当事者が合意すれば、日本の裁判所に調停についての国際裁判管轄が認められると考えられます。

 

国際離婚の準拠法

 離婚の成立及び効力の準拠法は、通則法27条に規定されています(婚姻に関する25条を準用)。 当事者の本国法が共通であれば、共通本国法、共通本国法がない場合で共通共通常居所地法がある場合は、共通常居地法によります。 それもない場合は、夫婦に最も密接な関係がある地の法によります。 ただし、当事者の一方が日本に常居所地を有する日本人の場合は、日本法によります。 

 この日本人条項により、当事者双方が日本に居住する日本人と外国人の国際結婚の夫婦の離婚については、常に準拠地方が日本法になります。 また、国際結婚の夫婦の一方が日本人で日本に居住し、他方配偶者が外国に居住するが日本の裁判所に国際裁判管轄権が認められる離婚の場合も準拠法は日本法となります。

 夫婦に最も密接な関係がある地が準拠法になる場合はそれほど多くはありませんが、夫婦がいずれも外国籍で国籍が異なり、かつ夫婦の一方は日本に居住するが、他方は外国に居住する場合には、共通本国法、共通常居所地法のいずれもないから、夫婦に最も密接な関係がある地の法を決定して準拠法としなければなりません。 この場合、別居前に婚姻共同生活地がある場合は、その国の法律が、それもない場合は、婚姻地、子供の居住地夫婦財産の所在地等の要素を考慮に入れ、夫婦に最も密接な関係がある地を決定することになります。

 

通則法第25条 (婚姻の効力)  婚姻の効力は、夫婦の本国法が同一であるときはその法により、その法がない場合において夫婦の常居所地法が同一であるときはその法により、そのいずれの法もないときは夫婦に最も密接な関係がある地の法による。
通則法第27条 (離婚) 第25条の規定は、離婚について準用する。ただし、夫婦の一方が日本に常居所を有する日本人であるときは、離婚は、日本法による。
 

管轄及び準拠法をめぐる争い 

 どちらが先にどちらの国で手続きを始めるか、管轄がどこになるかで適用される国際私法が異なり、したがって準拠法も異なってくる場合も多いです。 離婚そのもには争いのない夫婦でも、子の監護について、あるいは財産分与について争いがある場合に、準拠法によって大きく結論が異なるために、管轄争いが熾烈になります。

 

 アリモニー&メンテナンス

 外国の法制には、離婚後も夫婦の一方が他方に対して一定期間、扶養料を払うべき義務を定めるものがあります。 離婚の際に、このような離婚後扶養の請求が認められるか否かは、これを財産分与の一種とみれば、通則法27条の離婚の効力の準拠法によるべきこととなりますが、これを扶養と考えれば扶養義務の準拠法に関する法律4条により離婚について適用された法律によるべきことになります。 いずれの考えによっても、離婚後扶養を請求する場合は、同じ結論となりますが、いったん決まった離婚後扶養の内容の変更を求める場合は、準拠法が異なる場合があります。