個人情報保護法とベネッセ名簿流出

「横浜のアオヤギ行政書士事務所」がベネッセコーポレーションからの個人情報流出(漏洩)問題が大きく報じられている中、個人情報保護法につき、解説いたします。

ご質問や相談は下記のフォームに記載のうえ、メールにて送信下さい。 なお、返信希望のご質問には貴メールアドレスの記載をお忘れなく。

 

 個人情報の保護に関する法律(個人情報保護法)は、個人情報の取扱いに関連する法律です。 2003年(平成15年)に成立し、一般企業に直接関わり罰則を含む第4〜6章以外の規定は即日施行されました。2年後の2005年(平成17年)4月1日にに全面施行されました。

   個人情報保護法および同施行令によって、5,000件以上の個人情報を個人情報データベース等として所持し事業に用いている事業者は個人情報取扱事業者とされ、個人情報取扱事業者が主務大臣への報告やそれに伴う改善措置に従わない等の適切な対処を行わなかった場合は、事業者に対して刑事罰が科される。

罰則

 個人情報保護法の罰則は同法第56~59条に規定されています。 まず、主務大臣(権限のある大臣)の勧告・命令に従わなかった場合、6月以下の懲役または30万円以下の罰金に処せられます(第56条)。
 個人情報の取り扱いに関して報告を怠ったり、または虚偽の報告をすれば30万円以下の罰金です(第57条)。  法人の違反行為も、同じように罰せられます。

 

行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律(行政機関個人情報保護法)

 行政機関個人情報保護法とは、行政機関における個人情報の取扱いについて定めた法律です。

対象行政機関

1.法律の規定に基づき、内閣府を除き内閣に置かれる機関及び内閣の所轄の下に置

  かれる機関

2.内閣府、宮内庁並びに内閣府設置法に規定する機関(例外あり)

3.国家行政組織法に規定する機関(例外あり)

4.内閣府設置法並びに宮内庁法の機関並びに内閣府設置法の特別の機関で、政令で 

  定めるもの

5.国家行政組織法の施設等機関及びの特別の機関で、政令で定めるもの

6.会計検査院

 

罰則

 行政機関の職員若しくは職員であった者又は受託業務に従事している者若しくは従事していた者が、正当な理由がないのに、個人の秘密に属する事項が記録された個人情報ファイル(その全部又は一部を複製し、又は加工したものを含む)を提供したときは、2年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられる(53条)。 偽りその他不正の手段により、開示決定に基づく保有個人情報の開示を受けた者は、10万円以下の過料に処せられる(57条)。

 

ベネッセコーポレーションから流出(漏洩)

   流出した通信教育サービスなどの詳細は、下記のように、報告されています。

約760万件(最大可能性 約2070万件)

①郵便番号

②子供と保護者の名前(漢字およびフリガナ)

③住所

④四電話番号(固定または携帯)

⑤子供の生年月日、

⑥子供の性別

 

名簿流出(漏洩)の原因として、ベネッセ社グループ以外の社員以外の内部者(データベースにアクセスできる権限を持つ者)による情報漏えいと推定している。

 

情報流出(漏洩)商品一覧

・こどもちゃれんじ(こどもちゃれんじbabyを含む)、・進研ゼミ小学講座、、・進研ゼミ中学講座、・進研ゼミ高校講座、・難関私立中高一貫講座、・東大特講√T 京大特講√K、・考える力・プラス中学受験講座、・公立中高一貫校 受検講座、・こどもちゃれんじEnglish、・Worldwide Kids、・BE-GO、・かがく組、・Benesseこども英語教室(直営) 、・ベネッセグリムスクール(直営)、・コラショのえいごコース、・Benesseサイエンス教室、・チャレンジ学習教、、・学習教室学ぶチカラ
、・Benesse文章表現力教室、・考える力・プラス講座、・得点力学習DS、・ポケットチャレンジ、・しまじろうミュージック、・EVERES(エベレス)、・いぬのきもち、・ねこのきもち、・たまひよbefa!

 

ベネッセコーポレーション側に予想される損害賠償請求

  まず、個人情報保護法に違反することによって、6月以下の懲役又は30万円以下の罰金が科される可能性があります。
 
民法上の損害賠償請求(民法709条)される可能性も大きいです。 しかし、民法709条の不法行為による損害賠償を請求する場合は、請求する側が相手方の過失を立証する必要があり、過失を証明することが困難な場面が多々あります、 しかし、今回のケースでは、過失を認めているので、容易になると考えます。 損害賠償額は、まだ少ない判例から推測するに、一人1万円の慰謝料程度ではと考えられます。  さらに、個人情報保護法全面施行で顧客の権利意識が高まり、刑法230条の名誉毀損罪に問われる可能性も残ります。

 

 

 

 

 

 

コメント: 2
  • #2

    アオヤギ行政書士事務所 (月曜日, 06 10月 2014 10:43)

    ムーンさん、

    理論的には、1人だけの霜害賠償請求は可能ですが、弁護士に依頼する場合は、着手金は、通常30万(訴訟額により変動)はかかると聞いています。 また、成功報酬は、別途必要です。
    一般に、個人情報流出による損害賠償は、訴訟額が大きくないので、1人だけの損害賠償となると、原告も弁護士も割が合わないと考えます。
    個人で、弁護士なしで、最寄りの簡易裁判所に訴訟することも一つの方法です。 訴訟方法(訴状の書き方など)は、簡易裁判所が丁寧に教えてくれます。

  • #1

    ムーン (月曜日, 06 10月 2014 02:35)

    ある弁護士事務所に相談しましたが、1人だけのための損害賠償請求は受けられないと言われました。
    手数料が通常料金と同じ20~30万かかるため、数人での請求が不可欠だそうです。
    やはり自分だけで請求は難しいのでしょうか?