自己破産

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  破産は、債務者が経済的に破綻して、弁済期にある債務の総債権者に対して債務を一般的・継続的に弁済することができない状態にあることを言います。 また、そのような状態にある場合に、裁判所が選任する破産管財人によって債務者の財産を包括的に管理・換価して、総債権者に公平に配分することを目的として行われる法的手続を指すこともあります。 平成16年6月2日に全面改正された破産法平成16年法律第75号)が公布され、翌平成17年1月1日に施行されました。

破産手続の倒産処理法制における位置付けは⇒倒産処理手続を参照下さい。

破産手続開始の決定(破産法30条1項)

 原則として、破産手続開始の申立があってはじめてなされます。 自己破産を申立てる際には、申立てと同時に、財産の概況を示すべき書面並びに債権者及び債務者の一覧表を提出することが必要です(同法20条)。 多くの裁判所で配布されている定型申立書では、申立書のほかに陳述書も作成することになっているが、この陳述書が上記の「財産の概況を示すべき書面並びに債権者及び債務者の一覧表」です。 この陳述書は、免責不許可事由の存否に関する証拠としても用いられます。 多くの裁判所においては、自己破産・同時廃止・免責を申し立てる際に、破産手続の費用を予納するよう要求されます。 この予納金は主として官報公告の費用に充てられ、具体的な金額は裁判所によって異なります。 また、これとは別に、破産及び免責の各申立ての手数料として合計1,500円(破産手続開始申立につき1,000円(債権者申立の場合は20,000円)、免責につき500円)の収入印紙を申立書に貼り、郵便物の料金に充てるための費用として、裁判所が定める金額の郵便切手を予納しなければなりません(民事訴訟費用等に関する法律)。

 

自己破産Q&A

Q1. 破産(自己破産)とは、どのような制度ですか?

A1. 破産(自己破産)とは、自分の収入や財産で債務を支払うことができなくなった場 

  合、自分の持っている全財産をお金に換えて、各債権者に債権額に応じて分配、

  清算して、破綻した生活を立て直すことを目的としている制度です。  財産と

  は、不動産、自動車、現金、預貯金、他人への貸金、保険の解約返戻金(保険を解

  約したときに受け取ることのできるお金)、将来受け取ることのできる退職金など

  すべてのものを含みます。 清算される債務とは、クレジット会社や金融会社か

  らの借金のほか、勤務先や身内、友人知人からの借入金、家賃の滞納分、他人の

  借入れ等の保証分など、支払わなければならないもの一切が対象となるので、す

  べての債務を明らかにしなければなりません。

 

Q2. 自己破産手続とは、どのような手続ですか?

A2. 自己破産手続は、債務がある人(債務者)が、裁判所に破産申立てをし、裁判所が 

  破産手続を始める決定をすることによってなされます。 破産手続を始める裁判

  のことは、今まで破産宣告と言われていましたが、平成171月から破産法とい

  う法律が変わり、破産宣告ではなく、破産手続開始決定と呼ばれています。ま

  た、新しい破産法では、破産申立てをすると、同時に免責許可の申立てをしたこ

  とになります。

 

Q3. 自己破産の裁判は、どのような流れで進行するのですか?

A3. 自己破産の申立てがされると、裁判官が債務者から話を聞いて(審尋)、債務者が 

  持っている財産だけでは債務を返すことができない状態にあると認めたときに破

  産手続開始決定をします。 通常、裁判所は、破産手続開始決定と同時に破産管

  財人を選任し、この破産管財人が破産者の財産を調査・管理し、これをお金に換

  えて債権者全員に配当することになります。 しかし、破産手続を進めるのに必

  要な費用、又はその費用に代わるだけの財産も持っていない場合には、破産手続

  開始と同時に破産手続を終了させる決定をします。この決定を「同時廃止決定」と 

  いいます。 破産手続開始決定により、債務者は、破産者となり、官報に掲載さ

  れます。

 

Q4. 免責手続とは、どのような手続ですか?

A4. 破産手続開始決定・同時廃止の決定がなされて破産手続が終わっても、債務はそ

  のまま残ることになります。 そこで、残った債務につき、法律上の支払い義務

  を免除する制度のことを「免責」といいます。 破産手続開始決定・同時廃止の決 

  定後、裁判所は、破産者について免責許可の決定をすることの当否について、債

  権者が意見を述べることができる期間を定めて、各債権者に通知をします。 ま

  た、必要があれば、再度破産者を審尋することもあります。 裁判所は、その期

  間内に出された債権者からの意見を考慮して、免責を許可するか、不許可にする

  かの決定をします。 免責許可決定も官報に公告され、債権者からの不服申立て

  がなければ確定します。 免責許可決定が確定しても、税金や罰金、故意に債権 

  者一覧表に記載しなかった請求権、不法行為に基づく損害賠償請求権、養育者又

  は扶養義務者として負担すべき費用に関する債権などは「非免責債権」と呼ばれ、 

  支払義務は免除されません。 また,免責の効果は,破産者の支払義務を免除す

  るだけで、保証人に対しては及びません。

 

Q5. 破産手続が開始されるとどのような制限を受けるのですか?

A5   いくつかの法律では、一定の公職や資格を要する仕事に就けなかったり、警備員

  などになれないという制限があります(免責許可決定の確定により、そのような制

  限もなくなります。)。 しかし、選挙権や被選挙権を失うことはありませんし、

  破産手続開始決定の事実が戸籍や住民票に掲載されたり、あなたの親族が影響を

  受けたりすることはありません。

 

Q6. 破産の申立てはどのようにするのですか?

A6. 破産申立てを考えている場合は、まず法律の専門家に相談することをお勧めしま

  す。 弁護士会や司法書士会は、多重債務者の相談センターを開設しています。 

  また、裁判所で、申立書の説明を受けることができます。 ただし、裁判所で

  は、破産申立てをした方がよいかどうかという相談には応じていません。

 

Q7. 自己破産申立てを弁護士や司法書士に依頼すると、費用はいくらぐらいですか?

A7. 一般的には、「実費+着手金+成功報酬」で30万円~100万円が相場と聞いてお

      りますが、具体的には、弁護士などに確認ください。

 

Q8. 以前に自己破産しましたが、何回でもできますか?
A8.
破産法では、免責の不許可事由の一つとして「免責許可決定の確定した日から7

      年以内」は再度の免責決定は原則としてできないとしています。

 

Q9 .自己破産しても、現在所有しているクレジットカードは使えますか?
A9.
自己破産を行うと、債権者の金融機関が加盟している信用情報センターに自己破

      産者として登録が行われます。 この情報は通常10年間は残りますので、その期

  間は一般的な金融機関では借り入れをすることはできません。その期間は住宅 

  ローンも組むことはできません。


Q10.
自己破産したら、戸籍に記載されたり、年金の受給権が消失しますか?

A10. 戸籍に記載や、年金の受給権には影響しません。