国際(渉外)養子縁組

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 国際養子とは、国籍の異なる養親と養子の間で養子縁組を行うことを言います。 当事者の一方の国における手続き上の観点からは、渉外養子とも呼ばれます。 戦災孤児や、家庭問題等が深刻・経済的困窮などの理由で子供の養育が出来ない家族から、国境を越えて未成年者を養子として迎えるケースが多数です。 送り出す側は、開発途上国、迎え入れる側は、先進国であることが多いです。 こどもの権利条約によりますと、養子縁組は可能な限り国内委託を優先させることを定めており、国際的な養子縁組が行われる児童が国内における養子縁組の場合における保護及び基準と同等のものを享受することを確保するよう定めています。  

 止む無く、海外に送り出す場合も児童の利益最善化に最大限の配慮がなされるべきことを求め、不当な金銭授受を禁じています。 また、1993年のハーグ条約により、手続きの初めから終わりまで、両国の法務当局が責任を負うよう定められています。 人身売買ではないとの証明から始まり、法務当局間での養親と養子についてのプロフィール交換、送り出す側は子供の出国までを見届け、迎える側は子供の入国を確認する義務があるとされています。 

 

 日本において、養子縁組に関する担当官庁は法務省民事局(及び法務局・地方法務局)、外国籍の養子の日本在留に関する許認可官庁は法務省入国管理局(及び地方入国管理局)になりますが、国際養子に関する直接的な法律はありません。 6歳未満に関しては民法に特別養子縁組の詳細な規定があり、特に実親とは別れた乳幼児を他国から引取る場合などは、特別養子縁組によることが想定されています。 法の適用に関する通則法により、準拠法は、養親の本国法によるものと定められています。 養子の本国法に、縁組の承諾や許可に関する保護要件が設定されている場合は、それも満たすことが求められます。 帰化に際して、縁組当時 本国法において未成年で、1年以上日本に住んでいる外国人養子は、簡易帰化の適用が可能となります。

 

国際結婚に伴う連れ子を養子にする

 異なる国籍の者同士で国際結婚を行い、配偶者の子供を養子にする場合です。

ただし、後述のとおり、養子縁組をしたからといって、必ずしも帰化要件の緩和や在留資格が与えられるとは限りません。

 

成年同士の養子縁組

 それぞれの法律によって、養子は未成年者や一定の年齢以下のみに対象が限られている国と、日本のように成年者が養子となることも可能な国とがあり、後者で当事者の合意により養子縁組が行われる場合です。 なお、後述のとおり、養子縁組によって相続等における法律上の親子関係が発生することと、帰化や在留資格の取得の可否とは、また別問題です。

一般の未成年養子に関する在留資格
①特別養子には、日本人の配偶者等の在留資格が与えられる
②6歳未満の普通養子には、定住者の在留資格が与えられる
③それ以上の年齢では、人道上配慮すべき特段の事情がある場合は法務大臣から個別
 に定住者の在留資格が与えられる可能性もありますが、そうでなければ、通常の外
 国人と同様に何らかの在留資格が別途必要になります。
連れ子に関する在留資格
 日本人が、外国人配偶者の外国籍の子供と養子縁組する場合(養子縁組しない場合でも)、その外国人配偶者に扶養されている未成年の未婚の実子は、原則として定住者の在留資格が与えられます。 成年後や独立生計の養子が日本に居住するには、通常の外国人と同様、何らかの在留資格が別途必要になります。 また、外国人が、日本人配偶者の日本国籍の子供と養子縁組する場合は、養親の本国法に基づくことになります。
成年養子に関する在留資格
 留学生や技術研修などで来日した外国人が、日本での在留期間の延長や事業承継者となることを目的として、日本人の養子となることを希望する例が見られます。 しかし、成年養子には帰化や在留資格に関する特段の優遇措置は与えられておらず、滞在の便法としての利用は無意味であります。 このことは、養子縁組を脱法手段とした不法入国や違法滞在の防止とも関連しています。
日本人が外国人を養子にする場合の届出手続き
 日本で養子縁組する場合は、成立要件と準拠法は日本の民法となりますので、市町村役場に養子縁組届を提出します。 海外で養子縁組をし、その国の方式によって養子縁組を成立させる場合には、縁組成立の日から3ヶ月以内に市町村に養子縁組届とその国の発行した縁組証明書を提出します。
日本人と外国人の夫婦が外国人又は日本人の子供を養子にする場合
準拠法は日本法と外国人配偶者の本国法となり、両法を適法することになります。
 
国籍の変動
 養子が養親の国籍を取得するかは、養親の本国法によることになります。
①養親が日本人の場合には、養子となった外国人の国籍は変動しません。 すなわ
 ち、養子縁組をすることで日本国籍を取得できるわけではありません。 日本国籍
 を取得するには、帰化許可申請することになりますが、帰化要件が緩和されていま
 す。
②養親が外国人の場合で、養子となった日本人が養親の国籍を取得する場合には、養
 子の日本国籍は当然には喪失しないで、二重国籍者となります。
戸籍の変動
 日本国籍を有しない者について戸籍が編製されることはありません。 日本人の養親又は養子の戸籍身分事項覧養に養子縁組の事実が記載されます。 但し、養親が日本人と外国人の夫婦で養子が日本人の場合には、日本人養親の戸籍に編入され、その氏を称します。 一方、特別養子の場合は、まず、養子の新戸籍が編製され、その後日本人養親の戸籍に編入されます。
国際養子縁組の提出必要書類
①家庭裁判所の許可書
②国籍証明書
 外国人養子の本国発行の国籍証明書です。 有効パスポートで代用可能の場合があ
 りますが、市町村役場へ確認して下さい。
③出生証明書
④親族関係証明書
 親子関係などの確認です。
⑤養子の親族の同意書 

 

 国際養子縁組Q&A

Q1A子さんは日本人45歳女性です。 既に離婚しており、18歳の息子が一人おりま

 す。 将来、フィリピン国籍の子供と養子縁組をと考えていますが、養親としての 

 条件はありますか?  収入の最低限度額などありますか?

A1日本の法律では、自己又は配偶者の直系卑属以外の未成年者を養子とする場合、家

 庭裁判所の許可が必要です。 家庭裁判所では必要に応じて、申立人、未成年者、 

 代諾者(未成年者が15歳未満のとき)などに対し、家庭裁判所調査官が調査をした

 り、裁判官が審問をしたりして、これらの結果に基づき、裁判官が許可するかどう

 か判断することになります。 一方、養子になる者が外国籍である場合、その外国

 の法律も同時に、満たさなければなりません。 そもそも養子にして親権を持たな

 ければ日本へ連れて来ることも出来ませんから、まずはその外国の法律上で養子縁

 組をします。 養母としての条件はその国の法律によりますから、今回は、フィリ

 ピンの弁護士および在日フィリピン大使館・総領事館などにご相談ください。 そ

 の国の法律上養子縁組が成立すれば、市町村役場に養子縁組届を提出します。 

 た養子にできたとしても、日本に移住するための在留資格が認められるかどうかは

 また別問題です。まずは入国管理局へ在留資格認定証明書交付申請をしますが、そ

 こでは身元保証人としての収入や一緒に暮らす家が問題になってきます

Q2国際養子縁組について考えております。 日本では日本国籍の者が海外から養子を

 迎える方法を教えて下さい?

A2「法の適用に関する通則法」31条に養子縁組の規定がありますので、国際養子は

 日本法の想定の範囲です。 ただ、養子候補が、どこの国籍で何歳かといったこと

 など具体的条件がからんでくるので、ここでは結論が出ません。 さらに、日本永

 住のためには、外国国籍の養子を帰化させるかどうかという問題も生じてきます。
 法の適用に関する通則法31条は次の通りです。基本的には、養親が日本人なら、日

 本法の手続きで養子縁組できることになりますが、場合により、養子の母国の法も

 累積適用になります。
法の適用に関する通則法31
(養子縁組)
第31条 養子縁組は、縁組の当時における養親となるべき者の本国法による。この場合において、養子となるべき者の本国法によればその者若しくは第三者の承諾若しくは同意又は公的機関の許可その他の処分があることが養子縁組の成立の要件であるときは、その要件をも備えなければならない。
2 養子とその実方の血族との親族関係の終了及び離縁は、前項前段の規定により適用すべき法による。

Q3養子縁組を認めていない国はありますか?

A3イスラム教諸国(チュニジア除く)のように、全く認めない国や、インドのように 

 ヒンドゥー教徒間でのみ認める国があります。

 

 

 

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