性同一性障害者の婚姻

  「横浜のアオヤギ行政書士事務所」が性同一性障害の婚姻につき解説致します。 ご質問やご意見は下記のフォームに記載のうえ、メールにて送信下さい。 なお、返信希望のご質問には、貴メールアドレスの記載をお忘れなく。
 
性同一性障害とは
 性同一性障害とは、医学的な病名です。 すなわち、「生物学的には性別が明白であるにも拘らず、心理的にはそれとは別の性別であるとの持続的な確信をもち、かつ、自己を身体的および社会的に別の性別に適合させようとする」障害です。
 この障害は、生物学的性別とジェンダー・アイデンティティ(自分自身が自覚・認識している性別)の不一致によって引き起こされます。 生物学的性別は、単純化を恐れずにいえば、受精の際に精子にY染色体があるかどうかによって決まります。一方、ジェンダー・アイデンティティは2歳半ごろまでには決定づけられて、その後の変更は極めて難しいとされています。 いまだ不明のことが多いのですが、胎児のころの脳の形成過程が深く関与していると考えられています。 自分の身体的な性に対する持続的な不快感、あるいは嫌悪感、またその役割についての不適切感があります。 それと同時に自分とは反対の性に対して、身体的にも同じようになりたい、社会的にも反対の性で受け入れられたいなどの強い気持ちをもちます。

 例えば、体が女性で心理的に男性であれば、スカートをはくのがいやでズボンばかりはくとか、思春期になって胸がふくらんでくると、さらしを巻いて隠すというようなことが起こります。 また、反対であれば(体が男性、心は女性)、ペニスや睾丸がいやでたまらない、ヒゲが生えているのが自分らしくないなどと感じ、できるだけスーツを着たりネクタイをするのを避けるようになったりします。

 日本国内では、性別適合手術まで一貫した治療が受けられる施設は3つの大学病院しかありません。 しかし、まず診断を受けることが必要です。 そのためには、各地域の性同一性障害に詳しい精神科医を訪ねてみて下さい。

 このような典型的な性同一性障害の人たちの周辺に、さまざまな種類と程度で、自らの性別に違和感を抱いている人々がおり、広く「性別違和症候群」と呼ばれています。 また近年、男女の社会的役割は大きく変わってきており、旧来の男性、女性という単純な二分法は、もはや通用しない社会になってきています。

性同一性障害者の婚姻

婚姻が可能のケースは下記のとおりです。
 現在の法律(性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律)では、性別適合手術(性転換手術)を行うことにより、戸籍の性別の変更を家庭裁判所の審判を受けて可能になっています。

1.性同一性障害で性別適合手術(性転換手術)をしていない人の場合
MTF:戸籍上の女性との結婚可能
   (性別適合手術をしていないFTMと性別適合手術をしたが戸籍を変更していな

   いFTMを含む)
FTM:戸籍上の男性との結婚可能(性別適合手術をしていないMTFと性別適合手術を

   したが戸籍を変更していないMTFを含む)。
2.性同一性障害で性別適合手術(性転換手術)をしたが、戸籍の性別を変更してい 

  ない場合
  上記の1と同じ
3.性同一性障害で性別適合手術(性転換手術)をして戸籍の性別も変更した場合
MTF:戸籍は女性に変更されているため、戸籍上の男性(上記1と2のMTFを含む)  

   と結婚可能
FTM:戸籍は男性に変更されているため、戸籍上の女性(上記1と2のFTMを含む)

   と結婚可能

FTMとは、生物学的性別が女性で、性の 自己意識が男性である事例をFemale-to-Maleといいます。 MTFはその逆をいいます。 

 

「性別適合手術」(sex reassignment surgery, SRS)                                1.外科的療法 

  外性器等に外科的に手を加え、主として反対の性別に近づける治療法を「性別適  

  合手術」と呼びます。 男性が女性への(Male to Female, MTF)性別適合手術  

  を求めるときには精巣摘出術、陰茎切除術、造膣術ならびに外陰部形成術をしま  

  す。 一方、女性が男性への(Female to Male, FTM)手術を求めるとき、第一  

  段階として卵巣摘出術、子宮摘出術、尿道延長術、ならびに膣閉鎖術を行い、つ  

  いで、第二段階として、陰茎形成術を行います。

2.外科的療法を行うにあたっては、次のような条件を満たす必要があります。

・ 十分な第1段階(精神療法)ならびに第2段階(ホルモン療法)の治療が行われ   

  ていること。

・ 十分な第1段階(精神療法)ならびに第2段階(ホルモン療法)の治療にもかか 

  わらず、依然として生物学的性別と性別の自己意識との不一致に悩み、手術療  

  を強く望んでいること。

・ 精神療法ならびにホルモン療法を通して、選択した反対の性別に対し、持続的で  

  安定した適合感があること。

・ 選択した性別で生活することにともなう身体的な困難、現在の社会的立 場や家  

  庭内で起こる可能性のある問題などに対処できる条件が整っていること。

・ 手術を望むものの性格、薬物依存の有無などの観点から、手術とその結果に対す 

  る事態に十分対処できる人格を有していること。

・ 手術を望むものが、手術によって生ずる身体的変化、随伴症状、社会生活上の変  

  化、家庭や友人との関係、性的問題などを十分理解し、判断していること。

・ 家族や親しい人が手術療法に理解を示していること、とくに両親や配偶者、時  

  には子供の同意が得られていることが望ましい。

・ あらゆる可能性を考慮して医療チームが手術療法に移ることが適切であると判断  

  したこと。

・ 年齢は満20歳以上であること。

 

「性別適合手術」が出来る病院

 ・ナグモクリニック

 ・札幌医科大学付属病院

 ・ 岡山大学医学部付属病院

埼玉医科大学病院は日本で初の公的にSRSを実施し、有名ですが、現在SRSの実施は中止しています。

 ・ヤンヒー国際病院(タイ

  

性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律
最終改正:平成23年5月25日法律第53号
(趣旨)

 第1条 この法律は、性同一性障害者に関する法令上の性別の取扱いの特例について 

   定めるものとする。

(定義)

 第2条 この法律において「性同一性障害者」とは、生物学的には性別が明らかである   

   にもかかわらず、心理的にはそれとは別の性別(以下「他の性別」という。)
   であるとの持続的な確信を持ち、かつ、自己を身体的及び社会的に他の性別に
   適合させようとする意思を有する者であって、そのことについてその診断を的
   確に行うために必要な知識及び経験を有する二人以上の医師の一般に認められ
   ている医学的知見に基づき行う診断が一致しているものをいいます。

 (性別の取扱いの変更の審判)

 第3条 家庭裁判所は、性同一性障害者であって次の各号のいずれにも該当するものに 

   ついて、その者の請求により、性別の取扱いの変更の審判をすることができ
   る。
 1.20歳以上であること。
 2.現に婚姻をしていないこと。
 3.現に未成年の子がいないこと。
 4.生殖腺がないこと又は生殖腺の機能を永続的に欠く状態にあること。
 5.その身体について他の性別に係る身体の性器に係る部分に近似する外観を備え
   ていること。

2  前項の請求をするには、同項の性同一性障害者に係る前条の診断の結果並びに

  治療の経過及び結果その他の厚生労働省令で定める事項が記載された医師の診断
  書を提出しなければならない。

(性別の取扱いの変更の審判を受けた者に関する法令上の取扱い)

第4条 性別の取扱いの変更の審判を受けた者は、民法 その他の法令の規定の適用につ

   いては、法律に別段の定めがある場合を除き、その性別につき他の性別に変
   わったものとみなす。
2   前項の規定は、法律に別段の定めがある場合を除き、性別の取扱いの変更の審 
   判前に生じた身分関係及び権利義務に影響を及ぼすものではない。
 
 
 

 

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コメント: 1
  • #1

    sekstelefon (火曜日, 31 10月 2017 23:37)

    Wrocisławostwo