強制執行受諾文言

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 強制執行受諾文言とは、約束通り支払わなければ強制執行されても異議は唱えません、という文言のことです。 具体的文言としては、「甲は、本契約上の金銭債務○〇を履行しないときは、直ちに強制執行に服する旨認諾した。」です。 公正証書にこのような強制執行認諾文言を入れることで、養育費や慰謝料など、金銭の支払が滞った場合、直ちに強制執行手続に移ることができます。 ただし、不動産の財産分与など、金銭の支払以外の債務には適用されません。 この文言があると、裁判をしなくても、強制執行ができるのですが、その文言の無い場合は、まず裁判をして、その判決を債務名義として、強制執行することになります。 強制執行受諾文言付公正証書があると、裁判をせずに、公正証書自体を債務名義として、強制執行ができるので、慰謝料や養育費の支払いのある離婚協議書には強制執行受諾文言を必ず入れる必要があります。

 強制執行の手続は執行裁判所(執行手続きを行う地またはこれを行った地を管轄する地方裁判所で行います。 執行裁判所への申立てには、申立書の他に、以下の書類等が必要になりますので、必要書類を準備して、申立書を作成してください。 なお、戸籍謄本や住民票を取得する際、市役所等から申立書の提出を求められる場合がありますので、注意ください。

 提出書類

(1) 養育費等の支払を命じた公正証書正本

 公正証書正本とは、債権者と債務者が合意した内容を公証人が書面にしたもので、「これは正本である。」という公証人の認証が入っているものです。 公正証書謄本では、給料の差押え等の手続きが出来ませんので公正証書正本を公証役場に請求して下さい。 給料の差押えをするためには、公正証書正本に、債務者が公正証書正本に記載された債務を履行しない場合は、直ちに強制執行に服する旨(執行受諾文言)が記載されていなければなりません。

 上記公正証書正本の末尾などに、「債権者は、債務者に対し、この公正証書によって強制執行をすることができる。」という「執行文」が付与されているか確認してください。 執行文は、申請をしなければ付与されません。 付与されていない場合には、公証人役場に「執行文付与の申立て」を行い(手数料がかかります。)、執行文の付与を受けてください。 強制執行受諾文言が付されていない公正証書では、強制執行の申立てはできませんので、ご注意ください。

(2) 送達証明書

 送達証明書とは、公正証書正本(または公正証書謄本)が相手方に届いていることを証明する文書のことです。 送達証明書が手元にない場合は、公正証書を作成した公証人役場に対し、公証役場で公正証書正本又は謄本の債務者への送達手続を済ませて、送達証明申請を行い(手数料がかかります。)、送達証明書を取得してください。※送達証明書は申請しなければ交付されません。

(3) 戸籍謄本(全部事項証明書)等

 公正証書正本に記載された当事者の氏名(債権者、債務者とも)が現在の氏名と異なる場合には、公正証書正本に記載されている氏名と現在の氏名のつながりが分かる戸籍謄本等の提出が必要です。(現在の氏名のみ、又は公正証書正本に記載された氏名のみが記載されている戸籍謄本等では足りませんのでご注意ください。)

(4) 住民票、戸籍附票

 公正証書正本に記載された当事者の住所(債権者、債務者とも)と現在の住所が異なる場合、公正証書正本の住所と現在の住所のつながりが分かる住民票や戸籍の附票の提出が必要です。(現在の住所のみ、又は公正証書正本に記載された住所のみが記載されている住民票等では足りませんので、ご注意ください。)

(5) 代表者事項証明書

 相手方に給料を支払っているのが株式会社などの法人の場合、その法人の代表者事項証明書が必要です。 代表者事項証明書は、最寄りの法務局で取得できます(手数料は700円です。)。

 ※代表者事項証明書は、発行から3か月以内のものを提出します。

 

 

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