後見制度に利用できる信託の概要

「横浜のアオヤギ行政書士事務所」が本人の財産の適切な管理・利用のための後見制度支援信託につき解説致します、ご質問やご意見は下記のフォームに記載のうえ、メールにて送付下さい。 なお、返信希望のご質問には、貴メールアドレスの記載をお忘れなく。

 

後見制度信託について、

 本人の財産の適切な管理・利用のための方法の一つです。 本人の財産のうち、日常的な支払をするのに必要十分な金銭を預貯金として後見人が管理し、通常使用しない金銭を信託銀行等に信託する仕組みのことです。 成年後見と未成年後見において利用することが出来ますが、保佐、補助及び任意後見では利用出来ません。 信託財産は元本が保証され、預貯金保険制度の保護の対象にもなります。 

 

後見制度信託の対象財産は、

 後見制度信託を利用して信託銀行に信託出来る財産は、金銭に限られています。 不動産・動産・株式などは原則として、対象とされていません。

 

後見制度支援信託を利用するための費用

 通常、信託契約締結時に関与した専門後見人や親族後見人に対する報酬と信託銀行等に対する報酬が必要になります。 専門後見人に対する報酬は、家庭裁判所が、仕事の内容や本人の資産状況等の事情を考慮して決めます。 信託銀行等に対する報酬は、信託銀行に確認する必要があります。

 

後見人の日常的な財産管理

 信託した財産は信託銀行等で管理されますので、後見人は、年金の受取や施設入所等のサービス利用料の支払いといった日常的な必要な金銭を管理します。 本人の収入よりも支出の方が多くなることが見込まれる場合には、信託財産から必要金額が定期的に送金されるようにすることが出来ます。 また、定期的に送金される金額を変更したい場合や、事情により信託契約を解約する必要が生じた場合には、家庭裁判所に報告書(家庭裁判所で入手)を提出して指示書の発行を受ける必要があります。

 

信託締結後、本人に多額の支出が必要になった場合

 家庭裁判所に必要な金額とその理由を記載した報告書(家庭裁判所で入手)を裏付け資料を付けて提出します。 家庭裁判所は、報告書の内容に問題がないと判断すれば、指示書を発行しますので、それを信託銀行に提出し、必要な金額を信託銀行から払い戻しします。

 

信託締結後、本人に臨時収入があり、管理金額が多額になった場合

 通常使用しない金銭については、家庭裁判所に追加信託の報告書(家庭裁判所で入手)を裏付け資料とともに提出します。 家庭裁判所は報告書の内容に問題が無いと判断すれば指示書が発行されますので、指示書を信託銀行等に提出し、追加信託をすることになります。

 

家庭裁判所の後見監督

 後見制度支援信託を利用する場合も、家庭裁判所は、事案に応じて必要な後見監督を行います。 家庭裁判所から報告を求められことがありますので、収支を帳簿につけたり、領収書などを保管したりするとともに、本人の心身の状態や生活の状況を定期的に記録するようにします。

 

個人信託・家族信託・福祉型信託について

  個人が自分の財産を特定の目的の為に預ける仕組みを個人信託といい、その中でも、特に高齢者や障害者のための財産管理(福祉型信託)や家族・親族に対する資産継承の手法としての総称を「家族信託」と呼んでいます。

 特に福祉型信託は、平成19年9月30日に施行された改正信託法により、高齢社会の

ニーズに対応する新しい社会的インフラとして、成年後見制度を補完するため、あるいは成年後見制度では対応出来ない部分を補うための財産管理の仕組みとして注目されています。

 

家族信託とは

 2次相続発生以降の代々にわたる資産継承者の指定まですることで、しっかり資産承継の道筋を作りたい方のための信託です。 特に、妻子のいない方や子供のいない夫婦、障害があって遺言能力が無い子供を抱えるご家族の方にとって、望まない資産の継承(国庫に帰属することなど)を回避することが可能になります。

 また、自分の保有財産を長期にわたり効率的に管理・運用・処分したい方で、将来的な自己の財産管理能力に不安のある方(加齢による過度な負担や認知症発症、障害による能力低下を危惧する方)のための信託です。 自分の能力が低下してからでは効率的万全の管理方法の構築が難しくなりますので、元気なうちから信頼できる親族等に財産管理を委ねる方法です。

 

福祉型信託とは

 高齢者(認知症高齢者を含む)や障害者・被後見人等を受益者として、長期に渡り毎月一定額を生活費・入院費・施設利用料等に充当する目的で財産給付したい方のための信託です。 成年後見制度と併用したり、あるいは成年後見制度では対応できないケースでの利用が可能です。

 

信託と成年後見の対比

 

 

信託における受託者 成年後見制度における後見人

財産の積極的処分

や運用の可否

信託の目的に従った自由な

処分・運用が可能

後見人は財産の管理・保全が原則なの

で積極的な運用や必要不可欠でない

換価処分等は原則不可

オレオレ詐欺等

本人が受けた犯

罪被害への対応

本人の財産とは分離される

ので、被害は信託財産に及

ばない

法定後見人は取消権を行使し、被害を

回復出来るが、任意後見人は取消付与

の審判を請求しなければならない

 

死後の事務処理

や遺産の整理

信託の設定次第では本人が

死亡しても信託は継続する

ので、信託の仕組みの中で

処理をすることができる

本人の死亡により後見業務は終了する

ので、相続人等に相続財産を引継ぐの

みで、死後事務や遺産整理は法定後見

人の業務権限範囲外、任意後見人は別

死後事務委任契約等を締結する

受託者や後見人

への監督機能

信託監督人受益者代理人

を置くことで監督機能を本

人が任意に設定出来る

家庭裁判所又は監督人の監督を受ける